国会質問

質問日:2016年 11月 18日 第192国会 厚生労働委員会

年金カット法案(国民年金等改定案)

年金削減必要なし 抜本改革こそ 衆院委
株式運用は危険 見直しを 高橋氏が追及

 日本共産党の高橋千鶴子議員は18日の衆院厚生労働委員会で、年金積立金の危険な株式運用拡大を見直すよう求め、そうすれば年金削減などしなくてもすむし、給付にも回せるはずだとただしました。
 高橋氏は、株式運用の拡大は何のために行うのかと追及。塩崎恭久厚労相は「最小のリスクによる長期の運用利回りの確保が政府の責任」と答弁しました。
 高橋氏は、国内株式運用を倍加した2014年第3四半期以降は損失が上回っていることを示し、リスクの最小化になっていないと指摘。「(運用利回りが)大きく上回る年があっても、その逆もあるようなリスクを無理にとる必要はない」と述べました。
 高橋氏は、安倍晋三首相がアベノミクスで25兆円プラスと宣伝しながら、“損が出ると短絡的にいうな”と批判するのはおかしいと指摘。積立金についても鈴木俊彦年金局長が「100年後に1年分の(年金)給付があればいい」と答えたため、高橋氏は「最小限リスクという方針とかい離している」と強調しました。
 高橋氏は、積立金の危険な「インハウス(自主)運用」については見送られたものの、3年後の検討規定に残されていると指摘。「国民の保険料だという感覚がまひしている。積立金を見直せば、国民に還元できるし、年金削減などしなくてすむはずだ」と主張しました。

(しんぶん赤旗2016年11月19日付より)

 

――議事録――

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 きょうは、年金積立金の運用について質問します。
 塩崎大臣に対する初めての質問は、二〇一四年の十月十五日でした。私は、全く株に御縁がありませんけれども、ほかならぬ塩崎大臣ということで、あのときもGPIFの質問をさせていただきました。同じ日に、大臣は社保審年金部会に出席し、これは大変異例なことだと報道されていたわけですけれども、GPIFの組織改革について、アベノミクスの最重要課題として議論を急ぐよう求めたわけであります。
 ところが、その完成を待たずに、その月の末には、年金積立金の五割を国内外の株式で運用できるという基本ポートフォリオの変更を行いました。アベノミクスの弾みとしたい官邸の強い意向であったということが報道されているわけでありますけれども、改めて伺います。
 二〇一四年十月に基本ポートフォリオを変更したのは、そもそも何のためでしょうか。
○塩崎国務大臣 平成二十六年十月の、今御指摘の基本ポートフォリオの見直し、これは、財政検証の結果や労使の代表を含めた専門家の検討を経て、デフレから脱却をして、長期的に見て物価が上昇していく局面では、国内債券だけでは実質的な年金給付を確保することが困難となるという考え方のもとで、国内債券に偏っていた従来の基本ポートフォリオから株式等への分散投資を進めたものでございます。これは、他の金融機関、資産運用会社、郵政、ゆうちょなども含めて、方向としては同じ方向に行っているというふうに理解をしております。
 これによりまして、短期的なぶれ幅は大きくなったわけでございますけれども、長期的に見れば、変更前の基本ポートフォリオを維持した場合と比べて、年金財政上必要な積立金を下回るリスクは少なくなるという適切な見直しではなかったかというふうに考えているところでございます。
○高橋(千)委員 デフレからの脱却の局面である、そういうことだったと思います。
 三谷理事長なども、年金財政検証の結果とデフレから緩やかなインフレへの移行が見えてきたためだ、将来の金利上昇による国内債の評価損リスクが最大の焦点だった、つまり、国債ではとても利ざやが間に合わない、平たく言うとそういう意味だったんだと思うんですが、しかし、それが必ずしも結果がそうだったとは言えないということと、急ぐ必要があったのかということも、当然、その後の展開で言えるのではないか。
 何度も指摘されてきたように、昨年度とことし上四半期で十兆三千億円の損失が出たと発表されたのは、七月の参議院選挙の後でありました。
 私は、どこを歩いても、この問題は非常に皆さんの関心が高くて、年金で暮らせない、年金が減るのは困る、そういう声が上がっている一方で、なぜ国民の保険料積立金を株に投入するのか、五兆円などという単位で損失が出ても誰も責任をとらないという怒りの声が寄せられていたわけです。
 そもそも、GPIFに寄託する年金積立金の原資は保険料であり、その保険料が損なわれた場合、誰が責任をとるのでしょうか。
○塩崎国務大臣 年金積立金の運用というのは、厚生年金保険法などに基づきまして、所管大臣である厚生労働大臣の責任のもとで、「専ら」「被保険者の利益のために、長期的な観点から、安全かつ効率的に行う」というふうになっております。
 実際の運用業務は、運用に特化した専門の法人である、今回御議論をいただいております、御審議いただいております法案にあるGPIFに寄託をして行っておりまして、GPIFにおいて、年金財政上必要な運用利回りを最小限のリスクで確保できるように運用をしているわけでございます。
 年金積立金の運用は長期的な視点で行っておりますので、平成十三年度の自主運用開始以降、累積収益約四十兆円と、年金財政上必要な収益を十分に確保をしているところでございます。
 市場動向によって短期的な評価損が出る、そして年金財政上の問題は、しかし、それによっては生ずるわけではなく、年金額に影響することもないわけでございますので、国民の皆様方には御安心をいただきたいというふうに思っているところでございます。
 年金積立金の運用におきましては、このように、年金財政上必要な収益は十分確保をされておりますけれども、その責任は、年金制度を所管する厚生労働省が負うということになっておりまして、その長たる私、大臣が最終的な責任を負っております。
○高橋(千)委員 どんな責任がとれるんでしょうかね。
○塩崎国務大臣 先ほど申し上げたように、長期的に安全かつ効率的に運用をして、年金財政上必要な利回りを確保する、これが最大の責任であって、短期的な評価損や評価益で一喜一憂するということではなくて、年金の運用は、やはり長いタイムスパンで見て、年金財政上必要な利回りを確実に得ていくということが大変大事だ、それがまさに責任をとるということではないかというふうに思います。
○高橋(千)委員 それは、損失が出たときの責任のとり方についての質問の答えにはなっておりません。
 私は今、十兆だの損失が出たから責任をとれという質問をしたのではありません。そういう場合にどうするかということを聞いております。
 かつては、年金の財政が、積立金がいっぱいあって、まだ皆さん、現役世代が多かったから、支払いの方は待って、だから、それをうんと運用しようということで、グリーンピアなどの要らない箱物をつくってしまった、そういうことがあったじゃないですか。それを結局二束三文で売って、二兆何がしの赤字を結局国民年金の積立金から出したんですよね。結局、そういう形で責任は国民にいくのではありませんか。
○塩崎国務大臣 グリーンピアのお話が出ましたが、今、GPIFでは、そういうような投資をやることには法律上もなっておりません。
 責任のとり方は、さっき申し上げたように、今お話をいただいている、短期的に評価損が出たことをもって責任をとる、とらないということ自体がまず問題になることではなくて、問題になるのは、年金財政上必要な利回りを得られないような運用をした場合に、これは責任があると言わざるを得ないというふうに思いますので、今御指摘のように、株価の変動によって評価損が出て、これは大半は実現損ではありませんから、そういうことをしっかりと見ながら、長期的に見て年金財政をしっかりと確保できるように、利回りを確保できるようにしていくことこそが一番大事な責任のとり方だということを申し上げているので、短期的に責任をとる、とらないのことが問題になるのではないというふうに思います。
○高橋(千)委員 ですから、そんなことは聞いていないとさっき言ったじゃないですか。法律上、グリーンピアはもう買わないというのは、当たり前ですよ。だけれども、海外のインフラ投資を今やっているじゃないですか。もっとリスクが高いですよ。それは指摘させていただきます。
 最小限のリスクでと今大臣はお答えになりました。ですから、私は、必要以上のリスクをとる必要はないという議論をしているんです。今十兆円の責任をとれなんていうことを言ったのではありません。
 では、二つまとめて局長に伺いますけれども、GPIFの昨年度の業務の概況書によれば、単年度では損が出ている一方、累積では四十五兆円超のプラスが出ていると報告しています。今報告があったとおりです。では、基本ポートフォリオの変更後の累計損益はどうなっているでしょうか。また、この間の国内債券だけで見るとどうなっているでしょうか。
○鈴木政府参考人 まず、現在の基本ポートフォリオでございますけれども、これは想定運用期間が二十五年でございまして、長期的な経済、運用環境の変化等を考慮して策定されております。したがいまして、これは長期的な観点から評価していただくべきでございまして、短い期間で評価すべきものではない、これをまず申し上げたいと思います。
 その上で、今お尋ねのございました、基本ポートフォリオの見直しが行われました平成二十六年度第三・四半期から平成二十八年度第一・四半期までの七四半期の累積損益でございますけれども、マイナス一・一兆円となっております。
 それから二番目に、基本ポートフォリオ変更後の国内債券における累積損益ということでございます。これも短期的な評価で語るべきではないという前提の上でございますけれども、基本ポートフォリオの見直しが行われました二十六年第三・四半期そして二十八年第一・四半期までの七四半期の国内債券の累積損益は、プラス三・九兆円でございます。
 ただし、国内債券につきましては、御案内のとおり、現在、歴史的な低金利下でございまして、これからデフレから脱却して物価上昇局面を想定いたしますと、国内債券運用というのは、金利上昇による保有債券の価格下落リスクが非常に大きいということでございます。
 ちなみに申し上げますと、金利が一%上昇をした場合に、この評価損でございますけれども、全額国内債券でありますと、約十兆円の評価損が生じます。これに対しまして、現在のポートフォリオであれば、それが三・六兆円ということで防げるわけでございます。
 いずれにいたしましても、年金は長期の運用でございますので、過度に短期的な動向にとらわれて評価すべきではないということを重ねて御理解を賜りたいと思います。
○高橋(千)委員 聞かないことまで答えないようにお願いいたします。ポートフォリオを変えてからプラスになっていない、国内債券がマイナスになっていないということを指摘したかったんです。だから、何というんでしょうか、そのことによるメリットが何なのかという議論をきちんとしなければだめだと。短期の話をしているのではありません。
 私は、昨年二月二十七日の予算委員会で、塩崎大臣もいらっしゃったので御存じだと思いますが、安倍総理に対してこういう質問をしました。
 総理が、前の年、つまり二〇一四年の十月の予算委員会で、政権交代直前の上半期の運用収益がマイナス一兆五千億円だったのに対して、政権交代の兆しが見え始めた以降の好転によってプラス二十五兆円になっているわけですと。これは総理が言ったんですよ。株式市場において株価が上がることは、明らかに、運用はプラスになり、年金の資産、二十五兆円プラスになったんですから、これは年金受給者のためのものであると明言されたことを紹介して、では、二十五兆円プラス、これは年金受給者に還元されますかと聞きました。お答えは、長期的な給付と負担の均衡を図る仕組みだから直ちに配るということではございませんとおっしゃった。
 成果が上がったときは大きな声を出すけれども、そうじゃないときだって当然あるわけでしょうと私が言ったんですよ。ですから、二十五兆円上がったなんて、余りそういうことはおっしゃらない方がいいと指摘をさせていただきました。一喜一憂するなと言ったのは私でございます。それを、今の方たちに対して、短絡的だとか、一喜一憂するなという指摘をしているのは、やはり総理が、上がったときだけアベノミクスの効果だと言っている、そういうところの裏返しじゃないかということを指摘させていただきたいと思います。
 そこで質問ですが、そもそもGPIFに要請されているのは、長期的に実質的な運用利回り一・七%を最低限のリスクで確保することではなかったのか。それを大きく上回る年があったとしても、またその逆もある。今言っているように、波があるわけですよね。だったら、それを、無理にリスクをとる必要はないんじゃないでしょうか。
○鈴木政府参考人 先ほど大臣からも御答弁申し上げましたけれども、平成二十六年十月の基本ポートフォリオの見直しでございますが、これは、先ほど申し上げましたように、デフレから脱却をいたしまして物価が上昇していく局面では国内債券だけでは実質的な年金給付を確保することが困難になる、こういう考え方のもとで、従来、国内債券に偏っておりましたこの基本ポートフォリオを、株式等への分散投資を進めたというのが基本的な考え方でございます。
 それによりまして、御指摘のとおり、短期的なぶれ幅は大きくなってございますけれども、長期的に見ますと、変更前の基本ポートフォリオを維持した場合と比べまして、年金財政上必要な積立金を下回るリスクはかえって少なくなる、そういうことで、目標でございます名目賃金上昇率プラス一・七%という実質的な運用利回りを確保するために、これは必要な見直しであったというふうに考えております。
○高橋(千)委員 必要な積立金を下回るリスクはなくなったと今おっしゃいました。では、その必要な積立金というのは、どういう水準なんでしょうか。どこまで積み立てる必要があるんでしょうか。
 二〇〇〇年の財政投融資の抜本改革のときに、二〇〇一年からの年金積立金は、資金運用部へ預託していたものが、厚生大臣が運用する自主運用に変わったわけです。そのときに、年金福祉事業団が年金資金運用基金に改組をされました。このとき、二〇〇二年の第六回社保審年金資金運用分科会では、このように言っています。「国民の合意に基づく一定の長期的な財政計画による財政運営を行っているので、私的年金のようにいわゆる給付現価に相当するものを現に積み立てるべき額と考えるのではなく、基本的に、財政計画上の積立金に相当するものを現に積み立てるべき額と考えるのが適当である。」と。
 では、この「現に積み立てるべき額」というのは、見たこともありませんが、どういう水準でしょうか。
○鈴木政府参考人 私ども、年金財政上、御案内のように、五年に一度、財政検証をしております。この財政検証の中で、必要な積立金をしっかり確保するという観点から、財政計算上の実質的な運用利回り、これを計算いたしております。
 それを御紹介申し上げますと、例えば、自主運用開始から平成二十七年度までの平均で申しますと、財政計算上の前提で、実質的な運用利回りは〇・一九%ということではじいております。これをしっかりこれ以上確保していくということでございまして、実績を申しますと、現在のところ、実質的な運用利回りが二・六%でございますので、この〇・一九ははるかに上回って、しっかり確保できている状況であるということでございます。
○高橋(千)委員 ですから、必要な利回り以上を超えて、どこまで超えればいいんですかということを今聞いている。超えただけでいいんじゃないかということなんです。
 二〇一二年の、今のポートフォリオの前のポートフォリオを決めるときに、いわゆる運用を停止する予定の二〇三八年には二百五兆九千億円の積立金が残っているであろうという財政計算をしております。また、昨年度の、先ほど来紹介されているGPIFの業務概況書によると、「積立金から得られる財源は一割程度」である。これはよく言っているわけですよね、一割程度しか国庫に入れたりしていないと。そうすると、「年金給付に必要な積立金は十分に保有しており、」「短期的な市場変動は年金給付に影響を与えません。」それはいいんですよ。だけれども、保有し過ぎる必要はないと思うんですね。だから、それを聞いています。
○鈴木政府参考人 現在の年金財政の仕組みは、先生御案内のように、百年の長期間置きまして、おおむね百年後に給付費一年分の積立金を、いわばバッファーとして残しまして、その時点できちんと財政が均衡するようにということで、五年に一度きちんと検証作業をやっているわけでございます。
 その中で、積立金は国民の皆さんからお預かりしました貴重な財源でございます。したがって、これをしっかり運用して年金給付の増に結びつけていく。これを一番効率的、効果的にやるために、どういうようなやり方がいいだろうかということで設定いたしましたのが、財政検証上の実質運用利回り、スプレッド、いわゆる一・七%でございまして、これをきちんと確保できるようなポートフォリオをしっかり組んで、国民の年金給付に役立てるようにということで、厚生労働大臣がGPIFに目標を与えているわけでございます。これに基づきまして、GPIFは積立金を保有いたしまして、しっかり運用している、こういう状況でございます。
○高橋(千)委員 私が聞いているのは、運用が、短期の変動を、動揺する必要はないんだと、それは私もわかっています。ですが、大きなお金が動いているわけですよね。当然、市場にも影響を出しています。でも、結果として、上がって下がって一緒だったら、何だったんだろうという話になるわけですよ。
 さっきから言っているように、国民の大事な保険料が原資であるわけですよね。最小限のリスクを当面とろうと言っているわけですね。ですから、そのリスクを最小限という点と、必要な水準を積み立てるということから見て、乖離していないのかということを聞いています。
 先ほど、総理の答弁の中で、国民に還元するという言葉があった。給付に還元ということは全く考えられないんでしょうか。一・七%を超えたら、それは給付に一定還元していくということだってあってもいいと思いますが、そういうことはないんですか。
○鈴木政府参考人 年金財政、長期のものでございまして、短期的な収益が生じたからといって、それを直ちに年金給付に還元するという考え方はとっていないわけでございます。
 したがいまして、先ほども申し上げましたけれども、現行のポートフォリオでいえば、二十五年間という長期の運用期間をとりまして、その間、やはり経済というのは、当然浮き沈みというのはあります。その中で、一番効果的な分散投資を行って、国民のために一番実が上がるような資産の運用、このためのポートフォリオというものを設定いたしまして、それで長期の運用をして、結果、その運用期間の中で最大限の利益を国民に対してお返しできるようにしていく、こういった考え方でございます。
○高橋(千)委員 大臣に、今即答でなくていいんです。少し検討していただいてもいいと思うんですよ。だって、社保審の中で、財政計画上の積立金相当のものを積み立てると書いている、積み立てる額だと書いている。だけれども、その額が幾らかということは書いていないんです。この水準を上回ってくださいということと、百年たったら一年分残してくださいと、それしか書いていないわけなんです。私は、それ以上はためなくてもいいでしょうということを言っています。
 確かに変動します、株は。ですが、この十年間の積み立て収益でいうと、三十二兆円のうち二十兆円はインカムゲイン、それは、毎年毎年二兆円の利子と配当金が入っている。これは、株がこうやって浮き沈んでも横ばいなんですよね、安定して入っている。そして、ポートフォリオが、変えようが変えまいが同じように入っております。
 こうした一定の収入を見越して、全部と言っているわけじゃないんです、そういう中で、例えば、ずっと議論されている基礎年金、給付の削減し過ぎじゃないか、こういう議論をされているわけです。そこに一定充てていく。そもそも、もともとの積立金の活用って、そういうことじゃなかったのかと。それを検討したらいかがでしょうかと言っています。
○塩崎国務大臣 一つは、運用と、それから年金自体の給付の水準などは、リンクをしているわけではございません。別の決め方をしているわけでございます。
 それで、もう一つ懸念として、今、高橋先生がずっと挙げられてきているリスクということでありますが、何をリスクと呼ぶのかということが、少し議論が必ずしもかみ合っていないことになっているのではないかというふうに思います。
 いわゆる標準偏差というか、ぶれが大きくなるという、統計学で言う標準偏差が大きくなることと、リターンを得なきゃいけない、先ほど来、名目賃金上昇率プラス一・七という目標が、お約束をしている年金を支払うために必要な利回りということで、GPIFに課せられた利回りであるわけですけれども、それを、実現を長期的に見てすることができないリスクを、ぶれが大きくなるという、スタンダードデビエーション、標準偏差が大きくなることをリスクと呼ぶことが、一般的には必ずしも資産運用の御専門ではない方々はおっしゃるわけですけれども、一番大事なのは、年金を支払うに当たって必要とする利回りを、ちゃんとノルマどおりGPIFが利回りとして得られるかどうかという、その得られないリスクを下げていくということが一番大事なのだということで、私は、先ほど来、責任ということで違う違うと大分お叱りをいただきましたが、そういう意味で、長期的に見た年金財政上の利回りを得られないリスクをどう下げていくかというときに、経済条件が変わったときに今回のようなポートフォリオの組み合わせにしていくことが、今申し上げた一番大事なリスクを下げることになるんだということを申し上げたいというふうに思うところでございます。
○高橋(千)委員 昨年一月二十三日の第三十回の社保審年金部会の審議においても、基本ポートフォリオの見直しは、ゼロ金利状態がずっと続いていて、国債を中心とした運用では必要な利回りは確保できないという、ある意味での緊急避難的な措置だったのではという指摘もあるわけです。
 ですから、今の改定がずっといくわけではないだろうし、不断に見直しをするわけだし、ましてゼロ金利あるいはマイナス金利などというのは、極めて国策に近い状態なわけですよね。そういうことを考えれば、これはいわゆる最小限のリスクということから見て乖離しているのではないかということを、それは審議会の中でも十分出てきた議論ではないかということを思っています。それを少しも省みない答弁ばかり続いているということに、非常に残念に思っているわけなんですね。
 もう少し続けますけれども、GPIFのガバナンス強化について、経営委員会とか今度組織を新しくするわけですが、政府とGPIFの、どういうふうな関係であるべきかということについては、どんな議論があり、どのように整理されているでしょうか。
○鈴木政府参考人 GPIFのガバナンスのさらなる強化でございますけれども、これは、平成二十六年十一月から社会保障審議会の年金部会におきまして精力的に御議論をいただいてきたところでございます。
 そこで、この検討過程におきましては、今御指摘のございました政府とGPIFの関係につきまして、例えば、先ほどから鋭意御議論が出ております基本ポートフォリオの決定に関しまして、これを引き続き、GPIFが省へ申請をして、厚生労働大臣が承認、認可をするというふうにするべきであるという御意見に対しまして、一方で、これは、ある程度GPIFの自由に任せて、大臣には報告にとどめるべきだというような意見も出るなど、さまざまな立場から議論が行われたわけでございます。
 また、保険料を拠出していただいております労使を代表する委員からは、運用組織が政府から独立するということはあってはならず、運用の最終責任は厚生労働大臣にあること、これを大前提に運用組織の見直しを行うべきだという強い御意見もいただいたところだというふうに承知をいたしております。
 こういったような御議論を踏まえまして、最終的には、先ほども出てまいりましたが、運用についての最終責任はあくまで厚生労働大臣が負うべきという従来の考え方に基づきまして、したがって、これまでと同様に、厚生労働大臣がGPIFが達成すべき中期目標を示した上で、GPIFが基本ポートフォリオなどを含みます中期計画を作成して、これを厚生労働大臣の認可を受ける、こういった形での整理が行われたところでございまして、この整理に基づきまして、今回この法案を御提案申し上げているというところでございます。
○高橋(千)委員 例えば、最初に紹介した、塩崎大臣に対して初めて質問したときに私が指摘をしたのは、九二年の宮沢内閣のときの株価PKO、株価維持活動ですよね、平和維持活動をもじった表現ですけれども、あのときはまだ二兆八千億円という規模でした。この二の舞になるのではないかという懸念が非常にありますよという指摘をしました。そのときに大臣は、管理運用は厚生年金法に基づいて専ら被保険者のためにと、そもそも法律で禁止されていることだから心配ないんだという答弁をされたと思います。
 しかし、やはりガバナンスのあり方検討会の作業班の議論は、専らこれが出てくるんですよね。つまり、一つは執行部の暴走を防ぐという、だから合議制が必要だ、そういう議論なんだと思うんですが、それともう一つはPKOを防ぐんだ、やはり政治の介入があってはいけない、株価操作があってはいけないという議論が随分あった。やはりそのおそれがあったということなんでしょうか。
○鈴木政府参考人 今御指摘ございました株価操作といった御議論は別にいたしまして、論点の大きな一つといたしまして、これは非常に大きな額の国民の大事な財産であります保険料をお預かりして、積立金をお預かりしている運用組織でございますので、その方針の決定と執行、これを透明に、かつ、ガバナンスをきかせるような形で組み立てなければならないということで御議論がございました。
 この結果が、方針の決定につきましては合議制、経営委員会を設けて、そこで透明性、独自性を持って議論をする、そして、決まった方針どおり、理事長を初めといたします執行部が忠実にこれを執行する、そして、それがちゃんと行われているかどうかを監査する仕組みを設ける、こういったことがこのガバナンス検討班では議論をされまして、これに基づきまして今回の法律を御提案申し上げているところでございます。
○高橋(千)委員 例えば米沢運用委員長などは、労使の代表を入れろという議論があることに対して、労使の代表というけれども一人でいい、つまり、それぞれの業界の利益を代表するような人が来るんじゃ困るんだ、そうであっては困るんだということと、これまで少ない人数でやってきてとても大変だった、だから、ともかく専門家をということを言う。
 ですから、私が言いたいのは、それだけのいわゆる専門家、つまり株に詳しい人、市場に詳しい人、今の理事長がそうだとは言えないという議論などもありますけれども、そういう人を集めて、やはりリスクの高いところからとる必要があるんだろうかという議論にまた戻っていくわけですよね。
 それから、国は余り出張らない方がいいという、国は介入になるからという議論もある。でも一方で、いやいや、国が責任を持ってもらわなきゃ、国民の保険料なんだから絶対大事なんだという議論もあります。
 これはやはり矛盾するんですよ、どうしても。百三十兆円以上の大きな、世界で一番の機関投資家ですからね、これだけのお金を運用する、今は全部運用しているわけではありませんけれども。ですから、それを本当にやろうとしたら、プロでなければいけない。最初の検討会のときは、そのプロを採用するためには手数料を特別大きく出しても当然なんだという議論もあったわけなんですよね。でも、そこは、それを追求する必要があるんだろうかと。そこまで追求して、百三十兆円が、ですから、私、幾らためるんですかと聞いたんですよね。どこまでいく必要があるんですかということ、その兼ね合いをどのようにとるつもりですか。
○塩崎国務大臣 高橋先生が御指摘のように、何といっても、国民の一番大事な年金の資金の運用、これを百三十兆、百四十兆の規模で今行われているわけであります。
 これまでは、一人が全て責任をとるという、世界でも珍しい組織になっていました。それを合議制にするということ。つまり、複数の、ちょうど株式会社でいえば取締役会と同じように、合議で、皆でやはり知恵を持ち寄って決めるという形にするということ。
 それに加えて、今、専門家を集めることについての是非の御指摘がありましたが、やはり専門家であるべきだと思います。それは、貴重な年金資産を預かって運用するわけですから、間違いがないようにするということが最も大事ですから、専門家に集まってもらって、大事に運用してもらう。
 しかし、その執行を行うところが、やはりちゃんと、国の私どもは、これは独法ですから、中期目標というのをちゃんと大臣が見て決めるわけでありますので、それに合った形で、国民の年金の将来のために必要な利回りを確保するだけのものとして、運用が安全かつ透明かつ効率的に行われるかどうかということを絶えず監督をしないといけない。ということで、今回、この監督の機能も明確にして、この委員会を設けていくということにしたわけでございます。
 したがって、執行の部門には専門家がいなければいけませんし、監督をする部分にも、一定程度やはり専門家でなければ、専門家がやっていることが監督できませんから、そういう人たちに経営委員会に入ってもらってやるということで、法律の中でも属性として幾つか書いているわけでございます。
 そのように懸念をお持ちであることに対して、これは国民の懸念に対してもきっちりと説明をしなきゃいけないので、このような形で組織改正をするということで、御安心をいただけるような運営体に変えていけるように、努力をまたさらにしていきたいというふうに思っております。
○高橋(千)委員 今の、専門家で運用をうんとうまくやっていこうという議論と、国の関与を、しっかり監督しようという議論のバランスをどうしますかという質問をいたしました。そのバランスの議論からいうと、やはり、前にも質問したときに、今は考えていないとおっしゃって、今回も法案には載っていないわけですが、インハウス運用、やはりこれについては、どう考えても選択肢としてはないなとおっしゃってくださればいいかなと思いますが、検討に残っているようなので、どのようにお考えでしょうか。
○鈴木政府参考人 株式のインハウス運用でございますけれども、これは検討の過程で、社会保障審議会の年金部会あるいは与党における検討におきましても、積極的な立場、慎重な立場の双方からさまざまな御意見をいただきました。その中で、労使の代表も含めまして、今回の法律改正案では株式のインハウス運用までは踏み込まない、こういう意見が一番多かったというふうに承知をいたしております。したがいまして、これを踏まえまして、今回の法案にも、株式のインハウス運用を盛り込んでおりません。
 ただ、今先生御指摘ございましたように、検討規定を置いております。これの経緯を申し上げますと、この運用のあり方につきまして、ただいま申し上げましたように、社会保障審議会等でさまざまな御意見がございました。その中で、特に、やはり今般、非常に大きな議論もございましたので、今回の改正法の施行から一定期間状況を見て、これを検証して、またその状況を見た上で見直す、こういった措置を講ずるべきであるという御意見もございましたので、これを受けまして、御提案申し上げております法案の附則におきまして、この法案の施行の状況とか、国民の意識、そしてスチュワードシップ責任をめぐる動向などを勘案いたしまして、GPIFの運用が市場や民間活動に与える影響を踏まえつつ検討を加えて、必要があると認めるときは施行後三年を目途に必要な措置を講じる、こういった旨の規定を置かせていただいているところでございます。
○高橋(千)委員 今は間接的に信託銀行などに寄託をしている状況でありますから、政府は実際には株主ではないわけですけれども、今回の業務概況書によって、どのような株を保有されているのかということが新しく発表になって、実質トップの、一番の株主に国がなっているじゃないかという指摘もされているところだと思うんですね。
 私は、何度も言いますけれども、答弁をすると、確かに法律には書いていますから、原資は国民の保険料なんだから、安全に、効率的にとおっしゃるし、専ら被保険者のためにと言います。だけれども、やはり大き過ぎて感覚が麻痺してしまっているのではないかと。
 今、一方では、賃金スライドあるいはマクロ経済スライドのキャリーオーバーということが議論をされていて、本当に、月数千円かもしれない、数百円かもしれないけれども、それが下がっていくということは大変なことなんだと訴えているときに、もう何兆円の世界で売り買いをしているわけで、もちろん、売り買いというのは、常にトレードしているという意味ではありませんよ。それはわかっておりますけれども、そこでもうけ過ぎる必要はないだろう、本来は国民に還元するというものだったんだということをやはり決して忘れてはいけないということを重ねて指摘したいと思いますので、最後に大臣、一言お願いします。
○塩崎国務大臣 先ほど申し上げたことの繰り返しになる部分が多いかと思いますけれども、やはり年金は国民生活の最後のとりででありますので、この約一割の原資となるGPIFの運用に関しては、やはり国民の年金に対する期待にきちっと応えられるような、安全かつ効率的、そして透明な運用がなされなければならないし、絶えずきちっと監督が行き届いた形でもって皆様方に運用の状況をお見せできるような、そういう運用をしていかなければならないと思います。これは、どこの組織でも、やはりそこのことを心がけているはずであります、年金の運用組織は。
 ということで、とりわけ世界で一番大きいわけですから、責任は重いので、そこの重い責任をしっかりと受けとめながら、説明責任を果たすべく努力を重ねてまいりたいというふうに思っておりますので、今回の法律も、まずはその第一歩の努力の形だというふうに思っていただければと思います。
○高橋(千)委員 責任が重いということをおっしゃっていただきました。
 ガバナンスの強化というのは、それは当然必要なことだと思っています。ですが、これ以上運用の仕方を広げて、リスクの方向に広げる必要があるのだろうかということと、国民の実感から見てどうなのかということを、本当はそのことを大臣に触れてほしかったんだけれども、やはり改めて見ていただきたいと思います。
 先ほど提起をした、どれだけためれば足りるのかということをちゃんと精査していけば、国民の給付に還元することができるし、スライドもしなくていいんじゃないかということも提案いたしまして、きょうの質問は終わりたいと思います。
 以上です。

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