国会質問

質問日:2016年 10月 4日 第192国会 本会議

第二次補正予算案に対する反対討論

――議事録――

○高橋千鶴子君 私は、日本共産党を代表して、第二次補正予算案に反対する討論を行います。(拍手)
 初めに、百二十名もの犠牲者、二千四百名以上の重軽傷者を出した熊本地震から間もなく半年になろうとしています。この夏は、一連の台風が列島を襲い、甚大な被害をもたらしました。一日も早い生活となりわいの再建へ、補正による予算措置は当然のことです。
 台風十号に見舞われた岩手県は、支援金対象外の半壊、床上浸水にも独自支給を決めました。被災自治体の独自支援策を応援すること、被災者生活再建支援金を最大三百万円から五百万円へと引き上げ、対象を一部損壊以上に拡大するべきです。
 日本の食料基地と言える北海道の甚大な被害、東日本大震災からの復興途上の災害でもあり、大震災時と同等の農林水産業、中小企業支援を求めます。
 ここ十数年は、国内も世界的にもかつてない災害が連続する中、予報と避難指示の確実な連携、現実的な避難計画、住宅とインフラ施設の耐震化、常襲地帯の優先的改修など、総合的な防災対策が急がれると考えます。
 本予算案は、事業費規模二十八兆一千億円の経済対策に基づき、三兆三千億円を計上しています。アベノミクスで経済の好循環が生まれていると言いながら、なぜ政権発足以降最大規模となる経済対策なのでしょうか。
 今、日本経済は、一昨年四月の消費税増税による個人消費の落ち込みと底打ちが、米英加など主要国に比べてもずっと長引いています。本来なら、賃上げや社会保障の充実など、国民の懐を直接助ける予算を組むのが政治の道です。
 ところが、本予算案は、国民生活にとって切実な課題はほとんどないか先送りさせる一方、リニア新幹線、港湾、道路建設などの新規大型開発を新たな借金で賄うものが中心となっています。これでは、消費が落ち込んでいる国民の暮らしの立て直しに役立たないばかりか、自然環境の破壊が進み、財政再建も困難になるなどの新たな弊害をもたらしかねません。
 以下、具体的反対理由を述べます。
 第一に、補正予算案の一億総活躍社会、働き方改革とうたう予算案の大部分は、低所得者向け臨時福祉給付金三千六百八十五億円です。年六千円を、消費税増税までの二年半分一括支給するものですが、たった一回、一万五千円をもらっても、消費税が一〇%になれば、一人二万七千円の負担増になるのです。予算額の大きさに比べ極めて効果は薄く、そもそもなぜこの予算が働き方改革の枠なのか、意味がわかりません。
 低所得者ほど負担の重い逆進性が強まる消費税増税は、延期ではなく、きっぱりやめるべきです。
 日本共産党は、税金の集め方、使い方、働き方を変える三つのチェンジを提案しています。
 待ったなしの保育士の処遇改善は、補正予算案では見送られ、概算要求でもわずか二%の賃上げを事項要求にとどめました。
 介護人材については来年度から月一万円増を目指すとしていますが、介護報酬の引き下げはそのままです。介護離職ゼロを言いながら、病院からも施設からも追い出し、家族に押しつける介護保険改悪は絶対やめるべきです。
 また、大企業のリストラを後押しする労働移動支援助成金の再編強化の雇用対策は、容認できません。とりわけ力のある企業には、各種助成金で誘導するよりも、ルールを決めればよいことであります。
 第二に、JR東海のリニア中央新幹線の開業前倒しや、大型のクルーズ船が寄港できる港湾整備と首都圏の道路建設など、新規大型開発事業へ大盤振る舞いの内容となっています。しかも、財源は、建設国債を二兆七千五百億円も新規に増発し、加えて、リニア新幹線建設のために財政投融資で一兆一千五百億円もの財投債発行など、国の借金を莫大にふやすものです。
 日本銀行が国債を買い支えるゼロ金利維持のもとでの新たな借金増加は、我が国の将来の財政と金融を再建困難な状況へ追い込むことになりかねません。
 第三に、軍事費は、安保法制が施行されたもとで、日米一体で軍事体制を強化し、東アジアの緊張を高めるものです。しかも、P1哨戒機やF15戦闘機を初めその多くは、次年度以降の歳出化経費の前倒しであります。経済対策に名をかりた軍事費の先取りであり、到底許されません。
 最後に、今国会冒頭、輸入米のSBS価格偽装問題が発覚しました。TPPで輸入米がふえても、同量の国内産米を買い入れるため、市場に影響はないとしてきた大前提が崩れたのです。しかも、採決する今になっても、農水省の調査結果は提出されておりません。まして、概要版の和訳で提出された協定書は、十八カ所も誤りが発覚しました。そもそも、このような状態で審議に付すという資格すらないと思います。改めて、TPP批准は絶対にするべきではありません。
 以上で討論を終わります。(拍手)

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