国会質問

質問日:2016年 5月 11日 第190国会 厚生労働委員会

障害者総合支援法改定案

障害者総合支援法改定案
“自助共助”迫るもの / 衆院委 高橋氏が転換求める

 障害者に給付抑制を押し付ける障害者総合支援法改定案が12日の本会議で採決され、自民、民進、公明、おおさか維新各党の賛成多数で可決しました。日本共産党、社民、生活の各党は反対しました。採決に先立つ11日の厚生労働委員会での質問で共産党の高橋千鶴子議員は、障害者らの願いに背を向けた改定案の転換を求めました。
 高橋氏は、障害者自立支援法を廃止して新しい総合福祉法をつくると約束した自立支援法違憲訴訟原告団と国との「基本合意」などに基づく法改定こそが必要だと述べ、「裁判で正式に約束した重みが分かっているのか」と塩崎恭久厚労相の認識をただしました。
 そのうえで、障害者を65歳で障害福祉サービスから介護保険に移行する総合支援法の“介護保険優先”原則について、両サービスは目的も内容も違うため「納得できない」という障害者らの悲痛な声を示し、“介護保険優先”原則を削除するよう迫りました。
 塩崎厚労相が「保険優先の考えが社会保障制度の原則だ」と居直ったのに対し、高橋氏は「負担あってこその見返りだとして、自助共助の世界に持っていくものだ」と批判しました。
 高橋氏は、新設される自立生活援助について、施設からの軽度者の追い出しになってはならないと主張。厚労省は約5千人の削減目標を掲げているが、入所待機者がいる実態を把握し、施設をつくることを応援すべきだと求めました。藤井康弘・厚労省障害保健福祉部長は「必要な整備をする」と答えました。
(しんぶん赤旗2016年5月13日付より)

 

――議事録――

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 四月十九日の本会議で、私は、そもそも本法案の成り立ちについて指摘をいたしました。
 六年前、全国十四カ所、原告七十一名による障害者自立支援法違憲訴訟が、基本合意をもって国と和解、終結したことが出発点だったはずです。
 そこでは、本来、応益負担を原則とする障害者自立支援法を廃止して、新しい総合福祉法をつくるはずではなかったのか。そして、そのために、当事者参加で精力的に議論した障がい者制度改革推進会議総合福祉部会による骨格提言の全面具体化こそ求められていたはずです。
 塩崎大臣は、答弁で、「制度改革推進本部等の議論を踏まえ、」障害者総合支援法が制定されたと述べて、「基本合意は、障害のある方を初め当事者の皆様の思いが込められたものであるとの認識は変わりません。」と答えました。
 私は、この「踏まえ、」それから、「思いが込められた」、こういう認識でよいのかと思ったわけです。
 大臣に伺います。
 総合支援法の制定によって、約束どおり、自立支援法は廃止したと考えているのか、もう一つ、基本合意と骨格提言については、政権がかわったから約束は守らなくてもよいと考えているのか、お願いします。

○塩崎国務大臣 先ほどもお答えを申し上げましたけれども、民主党政権下におきまして、平成二十二年に、自立支援法を廃止すること等を内容といたします基本合意が行われたわけでございます。そして、そこで障害者自立支援法の廃止ということがうたわれていたと承知をしております。
 その後、成立をいたしました障害者総合支援法、これは、制度の継続性を踏まえて、障害者自立支援法の骨格を残しつつ、関係者が協力、理解し合える内容として改正が行われたものと認識をしているわけでございます。
 先ほどお話が出ましたが、基本合意と骨格提言に関する私の認識は、障害のある方を初め関係者の思いが込められたものであるという認識は変わっておらないところでございます。

○高橋(千)委員 廃止はうたわれたということは認識しているけれども、これで廃止したと思ってはいないということだと思いますよね。今の答弁はそういう意味だと思います。
 民主党政権のときの大臣の答弁は、名前が変わったしと。本当はこちらに質問したいことがいっぱいあるんですが、残念ながらきょうは与党はこちらですので、そこは大変抑えております。
 ただし、先ほど岡本委員が指摘をした平成二十四年の四月十八日、たった三時間でつなぎ法案を通したんです。そのときに、自民党の提案者は、修正案の提案者は田村元厚生労働大臣でございました。骨格提言、応益負担の仕組みを撤回したのかということに対して、答えられませんでした。撤回ということをお認めにならなかった。
 ですから、結局、廃止を目指しているんですとおっしゃった民主党さんと、骨格を残しているんですという自民党さんの、今の答弁もそうでした、それが何で一本化できるんですかということを私は指摘したんです。それをたった三時間で質疑をして、三党で修正して、これでいいのかということを、怒りを込めて反対の討論をしたことを今改めて言っておかなきゃいけないなと思うわけであります。
 やはり、今大臣が言ったように、当事者の皆様の思いが込められたものであるという認識に変わりはない。でも、これは思いが込められたというだけの話じゃないんですよ。裁判を通して、文書で、国と訴訟団が正式に約束したものです。もっと言えば、これがなければ取り下げをしなかったんじゃないでしょうか。その重みがわかっているんでしょうか。「骨格提言の内容を含め、」と本会議で答弁されました。これは、はなから全面実施をする気がないとしか受け取れません。
 事実、本会議でも紹介しましたけれども、ことし二月に滋賀県大津市で行ったアメニティーフォーラム、初鹿さんも参加されています、中島さんも参加をされていますが、そのときに、本法案の土台をつくった社保審の障害者部会の委員の一人がこういうことを言い放ったんですね。自立支援法を廃止するという合意は、社保審の障害者部会で議論があったら逃げようと思っていた、幸い突っ込まれなかったと大変正直におっしゃいました。それで、基本合意は現在では法的な効力はない、総合支援法をつくったし政権交代しているので、和解に縛られる必要はない、ここまでおっしゃった。
 まさかこんな考えではないと、大臣、確認させてください。

○塩崎国務大臣 先ほど御答弁申し上げたとおり、基本合意、すなわち和解が二十二年に行われて、その中で障害者自立支援法を廃止するということが入っていることはよく承知をしているところでございます。その後に、さまざまな議論があって、骨格提言が出てまいりました。さらに、その後に議論が重ねられて、障害者総合支援法が、制度の継続性を踏まえて、さっき申し上げたように、障害者自立支援法の骨格を残しながら、関係者が協力そして理解し合える内容として改正が合意のもとに行われたということを理解しているわけであります。
 先ほど申し上げたとおり、基本合意と骨格提言は障害のある方を初め関係者の思いが込められたものであるという私どもの認識は変わらないというふうに申し上げたとおりでございます。

○高橋(千)委員 昨日の参考人質疑でも、総合福祉部会の部会長だった佐藤久夫先生は、当時の大臣の、民主党政権のときの大臣の小宮山大臣ですけれども、答弁も引きながら、直ちに手を打つところ、一遍にできないところは三年後の見直しで、そういう提案だったということに理解を示しているんですね。だから、向かってほしいという思いを込めているんです。裏切られたという思いを持ちつつも、そこを忘れてはならない。
 今の法案を個々に見れば、前進しているところは確かにあります。障害者権利条約批准という重要な局面を経て、全体としては、全体としてはというのは、障害者施策全体としては前進している、このことも、誰も否定はしておりません。
 障害者権利条約の第一回政府報告案には、「日本政府としては、条約の実施については不断の努力が必要であるとの認識」である、こう書いてある。これは何か憲法のような、大変高い理想を掲げていると思うんですが、その中で、「障害当事者・関係者の方からの意見を求めながら、今後政策を実施していきたい。」と書いてあります。
 そこで伺いますが、政府案の提出の見通しはどうか。そして、政府報告案は、今後の取り組みについての書き込みが不足しているという指摘がございます。不断の努力との認識に立てば、今回の見直しでなお不十分な点に、さらにさらに取り組んでいくという立場であるということを確認したい。

○藤井政府参考人 障害者権利条約の政府報告案についてのお尋ねでございます。
 本年一月十五日から二月十三日の期間に実施をいたしました障害者権利条約政府報告についてのパブリックコメントにつきましては、四月に結果が公表されたところでございます。
 今後、外務省におきまして、パブリックコメントでいただいた関係者からの意見を踏まえつつ、英訳作業も含めまして、できる限り早期に提出できるように取り組んでいくものと聞いてございます。
 今回の見直しに当たりましては、審議会において、当事者の団体を含む計四十五の団体からのヒアリングを行うとともに、四月から十二月にかけまして計十九回にわたって審議を行ってきたところでございますが、今後におきましても、今般の改正法案の施行状況等を踏まえつつ、当事者あるいは関係団体の意見を丁寧に伺いながら、障害福祉制度について、また必要な検討を行ってまいりたいと考えております。

○高橋(千)委員 だんだん声が小さくなっていくので、大変心配して聞いておりましたけれども。
 先ほど、岡本委員が、基本合意を読みましたかという質問を大臣にされました。基本合意そのものは大変短いですから、これは全部読んだ方がいいと思うんですが、最初のところに、こう書いてあるんですよね。
 障害者自立支援法違憲訴訟の原告ら七十一名は、国(厚生労働省)と書いてある、による話し合い解決の呼びかけに応じ、これまで協議を重ねてきたが、今般、本訴訟を提起した目的、意義に照らし、国がその趣旨を理解し、今後の障害福祉施策を、障害のある当事者が社会の対等な一員として安心して暮らすことのできるものとするために最善を尽くすことを約束したために、次のとおり、基本合意に至ったものである。
 ですから、幾ら検討を重ねても、違憲だ、憲法違反だと、生きていくことを利益だといって応益負担にした、そうしたことを訴えられたその趣旨をやはり理解していなければ、結局生きてこないわけですから、そのことを重ねて指摘したいと思うんです。
 それが、実際にこの法案の中でも、まだまだ課題が残っていると言っていて、ちょっと具体の話に進めていきたいと思います。
 まず、介護の優先原則について、一番指摘をされている問題です。
 六十五歳になったら介護保険が優先される原則が、より明確にされました。昨年十一月のNPO法人日本障害者センターの調査、これは資料の一枚目にあります、ごらんになっていただきたいと思うんですが、六十五歳を過ぎると、切りかえ手続が完了していなくても障害福祉サービスを打ち切る自治体が、少なくとも百三十四あるという結果が出ております。現実に裁判も起こっているわけです。
 国は、二〇〇七年から、障害福祉にしかできないサービスについては継続できるんだという通知も重ねて出してきたわけですが、何でこういう実態なんでしょうか。今後はどのようにしていくんでしょうか。

○藤井政府参考人 厚生労働省といたしましても、利用者が要介護認定等の申請勧奨に応じないような場合に、障害福祉サービスの利用申請を却下する、そういう自治体が複数あるということは、自治体に対する調査を通じて把握をしているところでございます。
 こうしたことを踏まえまして、平成二十七年、昨年でございますが、二月に事務連絡を発出いたしまして、要介護認定等の申請を行わない障害者に対しては、申請をしない理由や事情を十分に聞き取るとともに、継続して制度の説明を行い、申請について理解を得られるよう働きかけることと周知をしたところでございます。
 今般の見直しの施行に当たりましても、また通知を発出することとしておりますので、改めてこのような考え方の周知に努めてまいりたいと考えております。

○高橋(千)委員 この記事は、昨年の十二月十一日付の毎日新聞夕刊で書かれているわけですけれども、本体を見ますと、全国七百七十市と東京二十三区に発送して、五百六の区市から返答いただいて、その名前を公表しないということで正直ベースで書いていただいているわけですね。
 そうすると、要介護度五のみを認めているとか、独自の厳しい基準を決めているところが二八%、いわゆるローカルルールになっている問題が明らかになった。それから、自治体が介護保険への移行前に上乗せとか横出しなどができるんだという情報提供をしていない、これが四二%にもなっているわけなんです。
 それで、介護保険は申請主義ですから、申請しなければサービスは受けられません。だけれども、障害福祉は六十五歳になったら一方的に打ち切る、あるいは下手すれば強制移行、こんなことは絶対あってはならない。これは重ねて確認いたします。

○塩崎国務大臣 厚生労働省としても、自治体に対する調査を通じて、今先生御指摘になったような自治体があることは把握をしているわけでございます。
 このため、調査結果を踏まえて、市町村において障害福祉サービスを上乗せする場合の基準を設けている場合であっても、当該基準によって一律に判断するのではなくて、介護保険サービスでは十分な支援が受けられない場合は、障害福祉サービスを上乗せして支給すること、介護保険制度との併給が可能であることを、障害福祉サービスを利用される方々などに案内を行うことを求める事務連絡を既に発出しているところでございます。
 今般の見直しの施行に当たっても、制度の適切な運用がなされるように、市町村にこのような内容を改めて周知徹底してまいりたいと思っておりまして、今回の改正の趣旨もしっかりと地方公共団体に理解をしてもらいたいというふうに思っております。

○高橋(千)委員 私は、先ほど中根委員も指摘されたと思いますが、七条を削除するべきだと。そういう紛らわしいことを、通達を出して徹底するとか、でもできていないところがあるねというのではなくて、そもそも削除するべきだ、このように指摘をしたいと思います。
 その上で伺いますけれども、高齢障害者が介護保険に移行できるためにということで、障害福祉事業所が介護事業所の事業もできるようにする、そのために要件緩和を行うと言っていますね。具体的にどのようなことを考えていらっしゃるのか。

○藤井政府参考人 今般、障害の事業所が介護の事業所になりやすくするために、例えば、双方の人員や設備の基準につきまして、両者を可能な限り合わせる、整合をとるというような、そういった見直しを行うこととしてございます。
 基準の見直しの詳細につきましては今後検討することとなってまいりますけれども、障害の事業所が、できる限り相当する介護保険サービスに係る介護の事業所となれますように、事業所の状況等を踏まえながら具体的に検討してまいりたいと考えております。

○高橋(千)委員 全然意味がわからないですね。整合させるというのは何ですか。

○藤井政府参考人 検討の一つの切り口、流れといたしましては、今、制度の中に基準該当というような仕組みがございます。それぞれの、例えば障害者総合支援法の生活介護に相当する介護保険のサービスと申しますと介護保険法のデイサービスでございますけれども、両方の基準がそろうといいますか、もっと整合性がとれていけば、基準該当に該当して、障害の事業所が、介護の事業所の指定を受けなくても、基準該当として、いわば、みなしの介護事業所というような格好で介護保険の適用を受けることができる、そういった仕組みがございますので、そういったものを活用しながら、両方の基準を整合性がとれるようにしてまいりたい、そういうことでございます。

○高橋(千)委員 まだよくわからないですが、多分、似たことをやっているからそれを読みかえるという、そういう意味じゃないかなと。ばくっと言って、そういう意味だと思うんです。
 とにかく、そこまでしても介護保険優先原則を貫きたい、そういうことの仕組みじゃないかなと思うんですね。
 それからもう一つ、本会議の質問の中で、そうはいっても、介護に移ると利用料が一割負担になるということが大きな問題になっているわけですけれども、それの補助をするからいいんだと言っている。その対象になる人はどのくらいいますかと言ったときに、三万人と大臣が答えておりますが、この根拠を伺いたいと思います。実際に、六十五歳以上の障害福祉利用者が何人くらいいて、対象となるのが何人なのか。また、それによる財政影響額を伺いたい。

○藤井政府参考人 六十五歳までに相当する障害福祉サービスを利用していた障害のある方につきましては、六十五歳以前から障害福祉サービスを利用していた方の利用実績等から推計をいたしまして、平成三十年の制度施行時点におきまして約六万人と見込んでおります。
 その上で、本会議で出てまいりました対象となる約三万人と申しますのは、その六万人の中で、今回の軽減措置により介護保険の利用者負担が軽減をされる、障害福祉サービスを五年以上利用すること等の一定の要件の仮定を置くことで、その仮定に該当するような方について推計を行ったものでございます。
 また、利用者負担軽減の財政影響の所要額につきましては、対象となる方が介護保険制度をどれぐらい利用されるか等々によりまして変わり得るものでございますので、率直に申しまして、財政面の影響がどのようになるかというのを論じるのは難しゅうございますが、負担軽減の対象者を約三万人として一定の仮定のもとに単純に推計をすれば、国費ベースで約二十億円強、そんな感じかなというふうに考えております。

○高橋(千)委員 言いにくいかもしれないけれども、部長の答弁が時間がかかり過ぎます、もう少し簡潔におっしゃっていただきたいと思います。
 資料の二枚目に「六十五歳以上の障害福祉サービス利用者の支援区分別人数について」というのを、一番新しいのを出しておきました。国保連データ。トータルすると八万三千七十二人いるんですが、支援区分に該当しない方、なしの方一万六千九百四十一人と区分一を除くと大体六万ちょっとになるのかな、そういうところから計算しているのかなと思っているんですが、そうはいったって、二十億円ということで、何も分ける必要はないなというふうにまず誰もが思ったのではないか、あと、四十億円になればいいだけだなということをまず指摘しておきたい。
 その上で、もう少し伺いますけれども、障害福祉の居宅介護のサービスを受けていた千葉県の天海さんは、昨年七月、六十五歳になる直前に市から介護保険を申請するように言われ、自分は介護保険の対象者ではないと断り、障害福祉サービスの継続を申請している、だけれども、これを認めず、却下されて、やむなく自費でヘルパーを依頼して、十四万円もの出費をせざるを得なくなった。
 この方は裁判に出たわけですけれども、やはり、おっしゃっているのは、六十五歳になったからといって急に身体状態が変わったわけじゃない、あるいは生活環境も変わっていない、なぜ介護保険に移行されるのか納得がいかないと主張しているんです。
 さっき、移行する事業所を、障害福祉の事業所が介護の看板もつけられる、みなすんだよという話があったわけですけれども、やはりさっきのアンケートの中にも出てくるんですけれども、自治体が何でそういうふうにするかというときに、介護とついているとか、似た名前だから、介護のサービスでも構わないじゃん、国がもともと優先と言っているんだし、そういう答えがあったんですね。やはり、そこははっきりさせておきたいと思うんです。
 それから、何で五年以上なのかということも、六十五歳を過ぎてから初めて障害者になる方もいらっしゃる、その方は、もともと介護保険優先原則が厳しく出るわけなんですよね。だけれども、六十五歳を過ぎてからなった人が、高齢のためだけではない、当然、何らかの要因があって障害者になるということはあるわけですよね、そういうことが、厳しく、なかなか認められない。そのときに、やはりサービスの違いを認めていないんだろうなと思うんですね。
 目的も内容も違うんだ、先ほど来議論されていますが、障害福祉はやはり社会参加を目指しているんだから、当然違うんだ、そして、サービス量にもともと上限がある介護とではまるでサービスの組み方も違う、言ってみれば、オーダーメードの支援をつくることができる障害とは全く違うんだ、その認識が共有できるでしょうか。

○藤井政府参考人 議員御指摘のように、障害福祉制度には、同行援護など介護保険サービスに相当するものがないような障害福祉固有のサービスがございますし、また、介護保険制度では、保険で使えるサービスに上限額が設定されている等、両制度に違いがあることは、もちろん、私ども認識をしてございます。
 ただ、一方、両制度におきましては、それぞれの制度の対象者が尊厳を持って日常生活を営むことができるように支援を行うといったような目的ですとか、あるいは、ホームヘルプ等、サービスの内容や機能面でお互いに相当するサービスがあるなど、共通するところもあるわけでございます。
 審議会におきましても、障害福祉制度と介護保険制度とはその趣旨、目的が異なるといったような御意見もございましたけれども、一方で、両制度の関係はやはり共生社会の実現の観点から検討すべきだという意見もございました。
 このように、私ども、両制度ないし両制度の関係につきましてはさまざまな御意見があると認識をしております。

○高橋(千)委員 改めて大臣に伺います。
 わざわざ要件を緩和して、障害福祉事業所に介護の看板をつけさせて、両方やっていることになっていますとか、補助まで出して、利用者負担がなかった人が出るようになったら、条件がある人には補助を出します、そこまでしてなぜ介護保険優先原則を貫くのか、いずれやはり介護と障害を統合したいのか、伺います。

○塩崎国務大臣 あるサービスが公費負担の制度で提供できる場合に、同じようなサービスが国民の間で支え合うためのいわゆる社会保険制度、保険料を支払う社会保険制度で提供できるときは、社会保険制度で提供されるサービスをまず御利用いただくという保険優先の考え方が現在の社会保障制度の原則であるというふうに考えております。
 審議会においても、先ほど来お話が出ているように、障害福祉制度と介護保険制度の関係についてさまざまな御意見があったわけでありますけれども、我が国の社会保障の基本からは、現行の介護保険優先原則には一定の合理性があるとされています。
 今般の介護保険の利用者負担の軽減や、それから、介護サービス事業所になりやすくする見直しというのは、現行の介護保険優先原則のもとで、障害福祉制度と介護保険制度という二つの別の制度があることを前提として、高齢の障害のある方が介護保険サービスを利用するに当たって生じている課題に対応しようとするものでありまして、また、障害福祉制度と介護保険制度の関係について、先ほど申し上げたとおり、いろいろな意見が審議会でもありましたが、その結果、「障害福祉制度と介護保険制度との関係や長期的な財源確保の方策を含めた今後の在り方を見据えた議論を行うべきである。」とされておりまして、今後、議論がなされるべきものと考えているところでございます。

○高橋(千)委員 本当に重大な答弁だと思います。
 保険優先が原則だと明確におっしゃいました。そして、財政審の見解をそのまま、当然これは社保審の報告書にもされているわけですけれども、追認している、断じて認められないと思うんですね。
 社会保障と税の一体改革のときに、生活保護と障害福祉は社会保障四分野の中に入りませんでした。医療、介護、年金、子育てが四分野であるといって、そのとき分けていたわけですよね。普通の感覚からいうと、社会保障というのは、生活保護と障害福祉というのは一番入るのかなとみんな思うわけですよね。
 でも、何でそういうふうに分けたのかと思ったときに、私、そのときも本会議で指摘していますけれども、一体改革のときには、負担あってこその見返りという保険原理を社会保障でも貫く、そういうことが盛んに議論されたと思います。自民党の議員の方はたくさんそういう質問をいたしました。だけれども、その枠には入れられないものが生活保護と障害福祉である。言ってみれば、自助、共助の世界と、公助が中心の世界、そういう意味なんじゃないのかなと思っているんですね。
 だけれども、そのわずかな違いを取っ払っちゃって、自助、共助の世界に持っていくという考えではないのか。そういうことですよね、大臣が今おっしゃったのは。

○塩崎国務大臣 一つ前の御質問で、介護と障害の制度を統合するのではないかという御質問がありましたが、そういうことを考えているわけではございません。

○高橋(千)委員 ございませんと言っても、優先原則ですと言っている以上はこうなっちゃうんですよ、結果として。
 先ほど紹介した滋賀のフォーラムのときに、もう一人紹介しますけれども、渡辺芳樹さん、厚労省の方はよく御存じだと思いますが、こう言いました。今回、介護保険事業所になりやすくする、六十五歳以上になった障害者の利用者負担など、じわりじわりと介護保険優先の実態をつくっていっている、消費税一〇%になった後五年後くらいにはさらに上げる議論が出てくるのでは、消費税財源を障害者の方に寄せてくる議論をすべきだと。
 つまり、私が今言った、一体改革の仕切りを取っ払っちゃって一緒にしましょうということをあからさまに言っている、国会じゃないから言っているのかもしれないけれども、これが本音だということを、今はまだ決まっていないからそうおっしゃるけれども、そういう狙いがあるんだということですね。
 やはり、最初に私が言ったように、趣旨を理解しろと言ったのはそういうことなんですよ。それを障害とは違うんだということを言い続けてきて、ここまで基本合意や骨格提言で積み上げてきたことを理解していないということを重ねて指摘したいと思います。
 次に行きます。
 今回新設される自立生活援助、資料の三枚目、さっきと同じ資料です、使った方がいますけれども、地域で自立して暮らしたいと希望する人には当然あっていいと思います。それを私たちは否定するものではありません。
 まず伺いますが、自立生活援助事業所を新たにつくると言っています。一体どのくらいの供給量を考えているのか。
 それと、ちょっと時間の節約でつなげて二つ伺いますけれども、軽度者の追い出しにつながらないのかということが何度も言われている。それはなぜ言われているかというと、審議会のまとめの中に、地域生活支援の拠点整備の推進と言っている一方で、グループホームにおける重度者への対応の強化ということで重点化が打ち出されているからだと思います。今後どう重点化を図っていく考えか。二つ聞きました。

○藤井政府参考人 自立生活援助につきましてですけれども、事業所は、全く新しい事業所ができるかといいますと、そういうケースもあろうかと思いますが、既存の相談支援事業所であるとか、あるいは、グループホームを運営しているような事業所が新しい事業としてこうした事業を行うということも十分考えられるというふうに思っております。
 したがいまして、供給量という意味で、対象者として、私どもは、施設や病院から退所または退院してひとり暮らしを希望される者等とすることを考えております。
 このサービスを提供する事業所数の見込みにつきまして、先ほど申しましたように、その担い手として、自立生活援助を単独で行う事業所もあってしかるべきですけれども、グループホームや地域定着支援を行っている事業所なども見込まれますので、なかなかこれは一概に事業所数がどれぐらいになるということは言えないと思いますが、利用者につきましては、例えば、グループホームを退去してひとり暮らし等の自立した生活に移行する者というのが年間約千三百人いらっしゃいますので、少なくともこのうちの一定割合の方の利用が想定されるというふうに考えております。
 それから、グループホームですけれども、グループホーム自体は、障害のある方の住まいとして重要な役割を担っております。現在、約十万人が利用してございますが、依然そのニーズは大きいと思っております。
 したがいまして、グループホームの計画的な整備を進めますとともに、必要な方が適切にグループホームを利用できるように、利用いただく方について、グループホームが果たすべき役割や障害の特性等を踏まえて、次期報酬改定に向けて検討するというところが審議会で提案をされているところでございます。
 ただ、その検討に当たりましては、障害のある方の支援の必要性を示す、例えば障害支援区分というのがありますけれども、こういったものもグループホームにおける支援の必要性を判断する要素の一つにはなり得ると考えてはおりますが、しかし、やはり障害のある方の状況とかニーズ等を踏まえまして、必要なサービスを利用できるような仕組みにしていくということは当然基本でございますので、私どもとしても丁寧に検討してまいりたいと考えております。

○高橋(千)委員 要素の一つとして、支援区分を検討するとおっしゃいました。
 毎年、何らかの理由で自立される、グループホームを卒業される方が大体千三百人くらいいる。その方に可能な援助をするというだけであれば、それは当然なことだと思うんですよ。だけれども、そうじゃないから、同時に重点化ということが議論されているから聞いているわけです。
 では、伺いますが、現在、施設入所の利用数は幾らで、これに対して削減の目安はどう考えていますか。

○藤井政府参考人 現在の施設入所支援の利用者数で申しますと、約十三万人でございます。
 また、第四期の障害福祉計画、これは平成二十七年度から二十九年度でございますが、これの策定に当たりまして国が示します基本指針におきましては、地域移行に向けた目標の設定につきましては、平成二十九年度末までに平成二十五年度末時点の施設入所者数から四%以上を削減するということとしてございます。
 また、サービス基盤の整備につきましては、市町村及び都道府県が地域に居住する障害のある方の意見を聞きつつ、それぞれの地域の実情を把握した上で、サービスの必要量を見込んだ障害福祉計画に基づき整備を行っているところでございます。
 今後とも引き続き、利用者のニーズに即した居住支援の提供が行われるように、私どもとしても尽力をしてまいりたいと考えております。

○高橋(千)委員 四%以上、きのうは五千人以上というふうに数字では聞いておりますが、目標をまず持っている、そこに当然リンクしていくわけですよね。
 資料の四に、その第四期障害福祉計画の地域生活への移行、都道府県別のをつけておきました。削減目標の合計、ここでは四千五百二十二人というトータルが出されているわけです。
 それで、これはちょっとよく見ていただきたいんですが、下の方に、各県によってばらばらですけれども、この目標値を設定していない県が四つあります。宮城、茨城、埼玉、奈良。
 これを読んでいきますと、例えば茨城、「多くの入所待機者がいることを踏まえ、施設利用者が退所しても、その代わりに新たな入所者が発生することから、削減目標を設定することは、地域の実情にそぐわないため。」「埼玉県では、入所待機者が年々増加しており、特に強度行動障害や重度障害などによる地域生活が困難な方が多数入所待ちをしている状況であり、地域生活移行による入所者数の削減が見込まれる一方で、新たな入所者が増加することから、」「削減目標については設定しない。」このように答えているわけですよね。
 これは、審議会ではほとんどスルーされております。待機の実態をつかんでいるのか。こうした自治体に対しても、目標を持てと言う。つまり、地域生活に行きたいという人がいても、そこにまた待機者がいると言っているわけですよね。それを踏まえてもさらに減らせ、そういうことですか。

○藤井政府参考人 施設入所支援の利用者数につきましては、これは各都道府県におきましてさまざまな状況にあるものというふうに理解をしております。
 この施設入所に係る待機の状況につきましては、これはいろいろなケースがございます。例えば、今後の重度化等に備えて将来的に入所を希望している方ですとか、あるいは複数の施設に申し込みをしている方等々、必ずしも現在、施設入所支援が必要でないという方もおられるのではないかと思いますので、なかなか実態の把握は難しいものと考えております。
 私どもいたしましては、今後、関係者等の御意見を聞きながら、今度、第五期の障害福祉計画に係る施設入所者数の削減についてはどうするか、必要な対応をまた検討してまいりたいと考えております。

○高橋(千)委員 こういうときだけ把握は難しいと言って、数字を出せ出せと言いながら実際に待機の実態はつかまない、これはおかしいですよ。実際、待機があるんだと言っている自治体に対してどうするのかと私は聞きました。

○藤井政府参考人 実際に待機があるというふうにおっしゃっている自治体におかれましても、今度、次期、第五期の障害福祉計画に係る検討におきまして、それぞれの県の実情を踏まえて御検討いただけるものと考えております。

○高橋(千)委員 では、当然、その地域に望んで、追い出しではなくて望んで生活したいという方は応援する。だけれども、入所が実際に待機がある、その実態をちゃんとつかんで、必要であれば、当然施設をつくることを応援していくということをお答えください。

○藤井政府参考人 私どもも、基本的な障害福祉施策のここ十数年の動向といたしましては、施設から地域生活への移行というのを強く進めてきてございますけれども、決して施設の役割を否定するというようなことはございません。
 もちろん、これは、施設で生活をされてしかるべき方々がいらっしゃることも間違いございませんので、入所施設につきましても整備が必要なケースもあろうかと思います。

○高橋(千)委員 確認をしました。
 では、大臣に伺います。
 資料の五枚目。きょうされんが、障害のある人の地域生活実態調査の結果報告というものを出していただきました。
 これはまだ概要版なんですけれども、見出しがもう答えを言っているように、障害のある人の貧困率は、障害のない人のおよそ五倍であるということです。年収百二十二万円、いわゆる貧困線以下の割合が八一・六%、障害のない方は一六・一%。年収二百万円、いわゆるワーキングプア以下の割合が九八・一%、ない人は二四%。
 もちろん、ない人も問題ですけれども、これだけの格差が実際にある、これはまず認識していただけるかということと、地域で暮らしたいといっても、この現実、この低収入で本当にやっていけるのか、そこはちゃんと配慮しなければならない。大臣、いかがですか。

○塩崎国務大臣 お配りをいただいたきょうされんの調査の結果につきましては拝見をしているところでございますけれども、厚生労働省において実施をいたしました平成二十三年生活のしづらさなどに関する調査というのがございますが、ここにおいても、障害のある方、これは十八歳から六十五歳までの方々でありますが、一カ月当たりの収入は、六万円以上九万円未満の割合が二四・三%と最も多く、次いで九万円以上十二万円未満が一一・二%となっており、やはり必ずしも高いわけではないというふうに認識をしております。
 障害のある方につきまして、低所得の場合には福祉サービスの利用者負担をゼロ円にするなど配慮をしているほか、障害年金や特別障害者手当等の支給、それから、障害福祉サービスによる一般就労への移行支援やハローワークによる職業紹介、障害者就労施設への発注促進や工賃向上等によります収入の確保方策に取り組んでいるところでございまして、今後とも、これらを推進してまいらなければならないというふうに考えております。

○高橋(千)委員 今、数字を大臣がおっしゃってくださったんですが、やはり地域で暮らすときに、就労しながら自立するんだということを念頭に描いているんだと思うんですよね。だけれども、就労支援A型だと工賃の平均月額は六万九千円、B型は一万四千円にすぎないわけです。日に四百九十六円しかないんだ、わかっていますかという声がきのうも届いておりました。負担の方が断然多い。ずっと言われてきた議論なわけですね。
 だから、就労支援はもちろん大事ですけれども、やはり負担軽減と所得保障をあわせてやっていかなければ、ここは指摘にしますけれども、障害年金や無年金、低年金などの所得保障の問題は、自立支援法の一年目の見直し、つまり二〇〇七年、あのときに、自民党さんが今後の検討課題の中に盛り込まれていらっしゃいました。あれは非常に高く評価をし、期待をしておりましたが、いまだに実現せず、それどころか、スライドがかかっておりますので減るばかりであります。
 本当にこれを真剣にやっていかなければならないということを重ねて指摘して、またそういう検討する機会を設けていただきたいなと思っております。
 それで、先ほど来、重度訪問介護の利用者の入院の問題が出されていましたので、これは同じことになるので、簡単に一言、大臣に思いを答えていただきたいなと思うんですが、長年の要望であって、喜んでいただいているわけですけれども、やはり対象者は極めて限定的です。しかも、やはり伝達だけで実際のサービスを行うことができない、これでは本当の望んだ方向ではないだろう、さらに踏み込まなければならないと思います。
 昨日の参考人の陳述に立ったALS協会の資料を見ますと、自由記述欄があって、みんな人手不足のことを指摘している。ナースが忙しいということを指摘している。本当に切なくなりますよね。ナースは忙しい。便意を催したのでナースコールをしたが、すぐ来てもらえない、間に合わなかった。人手不足のため、吸引してほしいのにされずにつらい思いをした。気管切開、呼吸器をつけるための入院だったので文字盤の使い方もわからず、いきなりで困った。そもそも、目ではナースコールできない。そういう深刻な訴えが寄せられています。
 みんなが人手不足を言っている。結局、伝達ですから、看護師さんにかかるわけですよね。本当に、お互いに、ヘルパーの側も、そして利用する当事者も、そして入院された先の看護師さんも、みんなが物理的にも精神的にも負担なんですね。そのことをしっかり受けとめて、思い切って見直すべきだと思いますが、大臣、一言。

○塩崎国務大臣 重度訪問介護のサービスにつきましてお話を今頂戴いたしましたけれども、今般の見直しによって、入院前から重度訪問介護を利用している方について、御本人の状態等を熟知したなじみのヘルパーによって、入院中も引き続き重度訪問介護の支援を受けられるようにするということにしたわけであります。
 今御指摘のような御要望があるということについては十分認識をしているわけでございますけれども、厳しい財政事情のもとで、病院との役割分担も整理をしないといけない。最重度の障害のある方に対する支援について最大限配慮をするというのが基本でございました。対象者やサービス内容を拡大することはそう簡単ではないというふうに思っております。
 先ほどお話がありましたけれども、入院前に重度訪問介護を利用していない方などにつきましては、今の制度の枠組みでいけば、やはり病院というのは看護補助者の配置が行われているので、これをどう充実していくかということがまずあること、それから、意思疎通支援事業は入院中においても利用可能な旨を明確にするといったことで、入院中の支援の充実を図っていくこととしているわけであります。
 午前中の審議でも申し上げたように、バランスを考えた上でこういう形にし、財政が厳しい中にあっての最大限のことをやっているわけでありますが、実態がどういうふうになるのかはよく見てまいらなければならないというふうに思っております。

○高橋(千)委員 寝たきりではないけれども居宅介護を受けている方がどんな、いろいろな理由があるんですよね、入院というのは。例えば眼科で入院した方が、本当に看護の方が扱い方がよくわからなくて、体を動かすのに足を思い切り引っ張ってしまって、脱臼してしまった。その後、残念ながら亡くなった。それが直接の原因ではないと思いますけれども、そういう事例もございます。
 ですから、絞り込む、それはやはり財源がということが最終的には理由になっているんだろうけれども、実態に即して必要なサービスをやっていかなければ、やはり大変な、命にもかかわる大事なことになっている。そして、もともと言っていた移動の自由だとかコミュニケーションの権利だとかということすらもやはりなかなか難しい実態になっているということですので、しっかりと検討を重ねていただきたいというふうに思います。
 次に、六ページの自立支援医療についてなんですが、これは残念ながら、今回も手つかずでした。
 この資料の上段は、所得区分における利用料です。これは上限になっていますが、ゼロ円は生活保護世帯のみなんですね。低所得一が二千五百円、低所得二は五千円という形で負担が発生しています。その下の方には支給決定件数というのがありまして、低所得一と二で合わせると三五%を超えている。生活保護、つまりゼロ円の方はまだ一八・八%にすぎないわけです。
 そうすると、やはり障害福祉サービスは、いろいろあって見直しをしていただいて、実質応能負担だと言っていただいて、九割以上がゼロ円です、だけれども、医療の負担はゼロ円の人は二割を切っている。これはやはり、せめて低所得一、二の方は無料にすべきだと思います。
 ここで、通告していませんが一つ、きのう聞いているので伺いますが、そうした場合の財政影響額はどのくらいか、お答えください。
 その上で、育成医療は、子供なので、この下の段を見ていただきたいと思うんですが、当然のことながら、中間所得の方が多いわけです。それは親の収入で見るからなんですよね。でも、それでよいのか。
 全国心臓病の子どもを守る会によれば、会員の四人に一人は県外に通院しております。通院費とか付き添いの滞在費、あるいは残された兄弟姉妹がどうしているか、こうしたことを考えると、ここに出てくる医療費だけではないわけですよね。非常に重い負担がのしかかっている、この実態をつかんでいるのか、つかむべきではないのか、伺います。

○藤井政府参考人 自立支援医療の利用者負担につきましても、今回の障害者総合支援法の見直しの中では、障害福祉サービスの利用者負担とあわせまして、審議会において御議論をいただいたところでございます。
 お尋ねいただきました財政影響額は、百二十億円ぐらいというふうに理解をしております。
 この審議会の報告書では、障害者総合支援法の趣旨、あるいはこれまでの利用者負担の見直しの経緯、障害者等の家計の負担能力、他制度の利用者負担とのバランス等を踏まえまして、これらの制度の持続可能性を確保する観点、あるいは障害福祉制度に対する国民の理解や納得を得られるかどうかというような点、利用抑制や家計への影響といった懸念にも留意しつつ、引き続き検討すべきとされております。
 この報告書を受けまして、私ども、今後の検討に当たってまいりたいと考えております。

○高橋(千)委員 実態調査をするということではないんですか。

○藤井政府参考人 まだ具体的な検討に入ってございませんので、その中でまた、必要に応じてどのようなことができるのか考えていきたいと思っております。

○高橋(千)委員 ちょっとこれは残念に思います。
 大臣に伺いますが、きのうお答えいただいたんですね。実態調査は全然やってこなかった、それをせめてやるつもりであると、きのう説明を受けています。それぐらい答えたっていいと思うんですよ。十年たっても何にも調べていない。今言ったような、医療費の負担がどのぐらいになっているのか、医療費だけでない負担、それが暮らしにどんな影響を与えているのか、調べていただきたい。
 そして、そういうことを考えれば、皆さんが一番今望んでいること、せめてと言っていること、それは、二年後までの経過措置、これを今やめるなんということは言わないでほしい、継続してほしいと言っていらっしゃいますが、大臣、これはお答えいただきたい。

○塩崎国務大臣 いずれにしても大事な医療でありますので、実態把握をさせたいというふうに思います。

○高橋(千)委員 済みません、今ちょっとよく聞き取れなかったので、もう一度言っていただけますか。実態をつかんでいただけますかということと、経過措置を取りやめて負担を上げるなんということはしないと言っていただきたい。

○塩崎国務大臣 先ほど申し上げたのは、実態の調査をさせたいと思いますということを申し上げました。

○高橋(千)委員 後ろの方はお答えがなかったということですね。そういうことですね。うなずいておられます。
 実態をつかんで、当然、一定それにも時間がかかるでしょうし、やはりそこから、今負担をそれでも抑えている経過措置をやめるなんということはとてもできないだろうということを重ねて指摘したいと思うんです。
 先ほど荒井委員が、医療的ケアの必要な障害児について、実際に人工呼吸器をつけたお子さんの写真を示しながら訴えをされました。荒井委員の取り組みに応えて大臣自身が決断をされたと指摘をされていましたね。厚労省が今回の法案に盛り込んだ、これは歓迎したいと思います。我々は何でも反対とか、何でもだめだ、だめだと言っているわけじゃないんです。
 でも、在宅の人工呼吸器をつけているお子さんは今二千百二十六件、在学中の、特別支援学校と通級の学校と行っている方で医療的ケアが必要なお子さんは八千七百五十人と聞いています。ここに今回初めて光が当たった、これは大事なことです。
 だけれども、だったら、親御さんが結局二十四時間付き添っているのよという今指摘だったでしょう。それに本当に応えるためには、親御さんの負担をやはり軽減していかなければなりません。同時に、今回の法案によって、やはり福祉サービスの利用がきちんとできるように整えていかなければならないと思いますが、これは部長、一言お答えいただけますか。

○藤井政府参考人 医療的ケア児に対するサービスの提供につきまして、今回、まさにこの医療的ケア児が児童福祉法の障害児に関するサービスの対象になるということが明確化されるような条文を一つ入れさせていただいております。私ども、これを根拠にして、自治体に対しまして、医療的ケア児の子供たちに対しましても必要なサービスがしっかり行き届くようになるように、サービス基盤の整備に努めていただくような、そういう流れをつくっていきたいというふうに考えております。

○高橋(千)委員 ですから、サービス基盤とおっしゃいましたが、相談事業だとか連携だとか、それは当然必要です。でも、それと同時に、福祉サービスを受けられるように、そこにきちんと位置づけていかなければ、やはりそういうふうに発展していかなければ、本当の意味にはならないと思うんですね。
 ぜひ検討するでもいいし、何とかおっしゃっていただけますか。

○藤井政府参考人 先生、自立支援医療の利用者負担の関係のお尋ねで、サービスの基盤であるというふうに私は理解しておりましたのですけれども……(高橋(千)委員「福祉も受けられるように。両方受けなきゃいけないでしょう」と呼ぶ)
 自立支援医療につきましては、先ほどもう私申し上げたとおりでございまして、これから、経過措置につきましてどのようにしていくかということを検討してまいるところでございますが、サービスの基盤整備につきましては、基盤整備もそうですが、また、障害報酬上もしっかりしたサービスが提供できるような検討をこれからしていきたいというふうに考えております。

○高橋(千)委員 小児慢性疾患の問題ですとか、今、自立支援医療と二つのことを言ったんですよ、福祉サービスの方でもきちんと利用できるようにということを指摘したということで。済みません、ここだけはちょっと通告していなかったので、指摘にとどめたい、今後にしたいと思います。
 それで、時間になりましたので、もう質問はやめて、最後に一言だけ言わせていただきたいと思います。
 審議会のまとめでは、わざわざ財政審を書き込んで、さっき何度も大臣が答弁されたように、サービス提供のあり方や財源、利用者負担のあり方について幅広く検討を行うとされて、わざわざ障害福祉予算が十年間で二倍以上に伸びていることを指摘されました。ですが、議論されているように、先進諸国の中でもGDP比率はまだまだ低い。そして、確かに予算がふえているのは、もともとおくれていた分野だからであって、決してよそよりうんと使い過ぎているということではないと私は思うんです。
 それで、一言言いたいのは、先ほど言った障害者権利条約に対する政府の報告案の最初のところにこう書いてあるんですね。「条約上の権利実現のための資源及び費用対効果の高い方法の追求」。費用対効果、大変驚きました。高邁な理想をいろいろ書いているんです。法のもとに平等だ、だけれども、それだけでは障害のある方は平等とならないから合理的配慮が必要だとか、いろいろ書いているけれども、そう言っておきながら、費用対効果と。生きるために必要なサービス、ここに費用対効果を求めるなんてとんでもないと、この件に対して強く抗議をして、終わりたいと思います。
 以上です。

 

――資料――

【資料1】「障害福祉サービス 65歳で打ち切り 134自治体」(毎日新聞)

【資料2】65歳以上の障害福祉サービス利用者の支援区分別人数について

【資料3】地域生活を支援する新たなサービス(自立生活援助)の創設

【資料4】施設入所者の地域生活への移行(都道府県別)

【資料5】「障害のある人の地域生活実態調査の結果報告」(きょうされん)

【資料6】自立支援医療の患者負担の基本的な枠組み

【資料7】放課後等デイサービスの現状

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