国会質問

質問日:2016年 4月 19日 第190国会 本会議

障害者総合支援法改定案

給付抑制は裏切り / 障害者総合支援法 改定案審議入り

 サービス給付を抑制する障害者総合支援法改定案が19日の衆院本会議で審議入りしました。日本共産党の高橋千鶴子議員が質問し、障害者に負担増を課した障害者自立支援法を改める新法として総合支援法を制定したにもかかわらず、給付抑制を押し付ける国の裏切りを告発して抜本的転換を求めました。
 改定案は、障害が重いほど負担が重くなる「応益負担」を継続。障害者を65歳で障害福祉サービスから介護保険に移行する介護保険優先原則は「一定の合理性がある」と正当化しています。
 高橋氏は、自立支援法違憲訴訟が終結した2010年4月21日は「多くの障害者が決して忘れられない日だ」と切り出し、同法制定前の自己負担額を上回らないとした原告と国の「基本合意」と、それを土台とした厚労省部会の「骨格提言」の実現に向けた見直しが「改定の本来の目的だ」とただしました。
 障害者福祉予算が国際水準より少なすぎることも示し、財政抑制を進めるのは「論外だ」と批判。塩崎恭久厚労相は「制度の持続可能性が重要だ」と言い訳に終始しました。
 介護保険への移行原則について、高橋氏は「65歳になると障害者としての支援も権利も奪われる。どこに“合理性”があるのか」と追及しました。
 「(支援は)市町村が利用者の個別の状況を把握して判断する」と責任逃れを続けた塩崎厚労相に対し、「自治体での利用抑制の余地をなくすためにも、原則規定を廃止すべきだ」と強調しました。
(2016年4月21日付より)

 

――議事録――

○高橋千鶴子君 質問に先立ちまして、熊本県を中心とした九州地方地震によって犠牲になられた方々に心から哀悼の意を表し、被災された皆様にお見舞いを申し上げます。
 強い余震が続く中、心身ともに疲労を深めていることと思います。避難環境の改善が急がれます。日本共産党としても全力を尽くしてまいります。
 私は、日本共産党を代表して、障害者総合支援法案について質問します。(拍手)
 多くの障害者にとって、四月二十一日は決して忘れることができない日です。
 六年前のこの日、障害者自立支援法は憲法違反だと提訴した原告七十一名と国が基本合意を締結、和解に至り、全国十四カ所での裁判が終結しました。生きるための支援さえ利益として応益負担を課す障害者自立支援法を廃止し、障害者が権利主体となる新しい総合福祉法をつくることを国は約束したのです。
 ところが、ことし二月、滋賀県で開かれたフォーラムで、現行法の見直しを検討してきた障害者部会の委員が、政権交代したのだから和解に縛られる必要はないと発言、関係者は耳を疑いました。
 塩崎厚労大臣、基本合意は、国が司法の場で約束したものです。たとえ政権がかわろうと、遵守すべきものではないのか、認識を伺います。
 二〇一〇年、新法制定に向け政府が立ち上げた総合福祉部会は、障害当事者が参加し、一年四カ月の議論を経て、基本合意と障害者権利条約を土台とした骨格提言をまとめました。
 しかし、提出された障害者総合支援法案、いわゆる現行法は、看板のかけかえにすぎないと言わざるを得ないものでした。
 今回の見直しは、このときの附則による三年後の見直し規定によるものです。骨格提言の実現に向け、残された課題を解決することが、本来の目的ではなかったでしょうか。
 本案は、障害が重いほど負担が重くなる応益負担の仕組みも、配偶者や障害児の保護者の収入により負担が課せられる仕組みも残しています。自立支援医療の低所得者無償化は検討すらされていません。
 制度の谷間のない障害の範囲、支給決定のあり方、報酬支払い方式、国庫負担基準の廃止など、骨格提言が掲げた諸課題は全く顧みられていないのです。
 昨年十一月、財政審建議は障害福祉について、サービス供給、需要の伸びが見込まれるとして、サービス提供、財源、利用者負担のあり方を幅広く検討すべきと提言しました。
 もともと、我が国の障害福祉予算の水準は余りに少なく、OECD諸国の対GDP比平均の半分でしかありません。また、障害者権利条約がうたう、障害のない人との平等、地域の中で尊厳を持ち生きる権利の実現という理念から見ても、財政の壁を持ち出すことが論外なことは明らかなことではありませんか。
 法案の土台となる社会保障審議会障害者部会の議論は、財政審の影響を強く受けたものとなりました。団体の要望を聞くヒアリングの場でも、委員らは、予算が膨らむがどうかなど、要求するなら財源を示せとでも言わんばかりの質問を浴びせたのです。
 障害者部会報告は、利用者負担について引き続き検討するとし、現在、通所施設の食費や自立支援医療などの負担を軽減している経過措置は、廃止を検討すべきとしました。
 食費の実費負担は軽減されてもなお重く、育成医療の負担軽減は、収入の少ない若い世代の保護者にとって死活問題です。高額な医療費に加え、遠く離れた専門医療機関への交通費や付添費用など多くの費用が重なります。治療、受診の抑制は、生命の危機、障害の悪化を招きます。負担軽減は恒久化すべきではありませんか。
 本案では、グループホーム等からひとり暮らしに移行する際、定期的な巡回訪問を行う自立生活援助を創設します。他方、障害者部会報告では、グループホームを中重度者に重点化することが打ち出されています。
 本人の意に反して、軽度者がグループホームを利用できなくなることはありませんか。自立生活援助は、週に一、二度の訪問で、他のサービスの利用制限も検討されています。貧しい所得保障のままで地域生活が維持できるのですか。
 また、重度訪問介護を入院時にも使えるようにとの長年の要望がありました。しかし、今回盛り込まれたのは、最重度に限定し、介助方法等を伝達することしかできません。重度の知的障害の方など、体位交換、コミュニケーションにもなれた介助者が必要です。制限はやめるべきです。
 介護保険優先原則のもと、六十五歳となった障害者が、半強制的に障害福祉サービスから介護保険に移行させられています。無料だった利用料も一割負担となり、サービスが打ち切りまたは縮小されますが、法案は、これを一定の合理性があると正当化しました。
 電動車椅子生活で、週五日、一日二、三時間の居宅介護を受けてきた脳性麻痺の男性は、介護保険の申請をしなかったというだけで障害福祉サービスは全て停止されました。
 六十五歳になったら障害者としての支援も権利も奪う、生存を脅かし重い負担を課す、そのどこに合理性があると言えるのですか。
 本案は、低所得者に利用料軽減の仕組みを設けるとしていますが、どれだけの障害者が無料となるのか、お答えください。
 障害支援区分等の線引きがあるため、六十五歳を境に利用料が発生する人が出てきます。自治体のローカルルールによる利用抑制の余地をなくすためにも、介護保険優先原則の規定自体を廃止すべきではありませんか。
 障害者部会報告は、障害福祉制度と介護保険制度との関係や長期的な財源確保の方策を含めた議論を行うと明記しました。この趣旨は、いずれ障害福祉制度と介護保険を統合するということですか。明確にお答えください。
 介護保険制度は、たび重なる改悪によって保険料も利用料も重くなり、制度創設以来指摘されてきた、保険あって介護なしが現実になっています。統合は財政ありきであり、障害福祉に対する国の責任を後退させ、公助より共助、自助を迫るもので、絶対にやるべきではないと指摘をして、質問を終わります。(拍手)

○国務大臣(塩崎恭久君) 高橋千鶴子議員にお答えを申し上げます。
 障害者自立支援法に関する訴訟の際の基本合意についてのお尋ねがございました。
 基本合意は訴訟の解決に向けて締結されたものであり、この合意の内容に基づき、当時の障がい者制度改革推進本部等の議論を踏まえ、現在の障害者総合支援法が制定をされました。
 基本合意は、障害のある方を初め当事者の皆様の思いが込められたものであるとの認識は変わりません。こうした認識のもと、今後も障害福祉政策を実施してまいります。
 今回の見直しの目的についてのお尋ねがございました。
 今回の見直しは、障害者総合支援法の附則の検討規定に基づいて行ったものであり、社会保障審議会障害者部会において、平成二十三年の総合福祉部会による骨格提言の内容を含め、制度全般にわたり御議論いただきました。
 その議論を踏まえ、今回の改正法案では、例えば、高齢の障害のある方の介護保険サービスの利用者負担を軽減する仕組みを創設すること、入院中も重度訪問介護による支援を可能とすることなどの内容が含まれております。
 今後とも、今般の改正法案の施行状況等を踏まえつつ、障害福祉制度について必要な検討を行ってまいります。
 育成医療と食費の負担軽減の恒久化についてのお尋ねがございました。
 障害のあるお子さんの身体の障害を軽減する育成医療については、障害者自立支援法制定時に、医療費を負担する保護者が若年であり蓄えが少ないことに配慮をし、中間的な所得層についても負担額の軽減を行っています。
 また、通所サービス事業所において、所得が一定額以下の利用者に食事の提供を行った場合に、事業所に対する報酬を加算することを通じて利用者の負担軽減を図っております。
 これらの措置は、平成三十年三月三十一日までの経過的特例になっており、昨年度末で施行後十年を経過したことや他制度とのバランスや公平性等を踏まえ、今後その見直しについて検討してまいります。
 軽度の障害のある方のグループホームの利用と、障害のある方の地域生活についてのお尋ねがございました。
 障害のある方の住まいとしてグループホームは重要な役割を担っており、障害者の状態やニーズを踏まえ、必要な方が適切に利用できるよう、また、現在入居している者に配慮しつつ、次期障害福祉サービス等報酬改定に向け、グループホームの利用者を検討してまいります。
 また、障害者支援施設を利用していた者など、アパート等でのひとり暮らしを希望する方には、支援者が障害のある方の自宅を訪問し、生活状況の確認などを行う自立生活援助を新設し、障害基礎年金等の所得保障制度も活用しつつ、その地域生活を支えてまいります。
 重度訪問介護についてのお尋ねがございました。
 現在、最重度の障害がある方が入院される場合、それまで受けていたヘルパーの支援が受けられず、体位交換の際に御本人に合った姿勢を看護師に伝えられず苦痛を感じる方や、環境や生活習慣へのこだわりに応じた支援がなされず強い不安を感じる方がおられるとの指摘がございます。
 こうした指摘に対応するため、厳しい財政事情のもと、最重度の障害がある方について最大限配慮するため、今般の改正法案によって、入院中も御本人の状態等を熟知されたヘルパーが、例えば、御本人の事情を医療従事者に伝達し、医療機関内での適切な対応につなげるという支援を新たに行えるようにするものでございます。
 介護保険の利用者負担軽減についてのお尋ねがございました。
 今回の軽減措置によって介護保険の利用者負担が軽減される方については、今後精査が必要であり、現時点で確たることは申し上げられませんが、平成三十年の制度施行時点でおよそ三万人程度と見込んでおります。
 介護保険優先原則についてのお尋ねがございました。
 昨年の社会保障審議会障害者部会においては、障害福祉制度と介護保険制度の関係についてさまざまな御意見がありましたが、我が国の社会保障の基本からは、現行の介護保険優先原則には一定の合理性があるとされました。
 障害福祉サービスを利用してきた方が高齢になったときに、介護保険サービスにより適切な支援が受けられるかどうかは、市町村において、利用者の個別の状況について把握した上で判断いただくこととしており、市町村が介護保険サービスにより適切な支援が受けられないと判断する場合は、引き続き障害福祉サービスを受けることも可能となっています。
 今後とも、障害のある方が高齢期にも必要なサービスを受けられるよう、適切な運用に努めてまいります。
 障害福祉制度と介護保険制度の関係についてのお尋ねがございました。
 社会保障審議会障害者部会においてはさまざまな御意見があり、その結果、報告書では、障害福祉制度と介護保険制度との関係や長期的な財源確保の方策を含めた今後のあり方を見据えた議論を行うべきであるとされました。
 このように、報告書では、障害福祉制度と介護保険制度の関係について何らかの結論が示されたわけではございません。
 以上でございます。(拍手)

○国務大臣(麻生太郎君) 障害福祉予算についてのお尋ねがあっております。
 障害福祉予算につきましては、近年、その伸びが社会保障関係費の中でも大きく、今後も伸びが見込まれているところであります。
 こうした中で、真に支援を必要とする方に必要な支援を確実に行き届かせるとともに、サービス提供を効率的なものとすることなどにより、制度の持続可能性を確保していくことは極めて重要な課題だと考えております。(拍手)

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