国会質問

質問日:2013年 4月 25日 第183国会 東日本大震災復興特別委員会

浜の漁師の声尊重を

 日本共産党の高橋ちづ子衆院議員は4月25日の東日本大震災復興特別委員会で、復興庁が宮城県の「水産業復興特区」計画を認定したことを批判し、国の責任をただしました。
 「特区」は漁業権を民間企業に開放するもの。高橋氏は、「浜の漁師の声をもっと聞いてほしかった」という県漁協の声を示し、紛争回避や資源管理など浜の秩序を維持するために歴史的につくられてきたのが漁業権であり、漁業者の声を尊重すべきだと指摘しました。
 特区法をめぐって、日本共産党が水産特区の削除を求める修正案を提出した経緯とともに、「国は浜全体の資源・漁場の管理に責任をもち、万全を期した措置を講ずる」とした同法の付帯決議(2011年11月29日)にふれ、「国の責任は非常に重い」と強調しました。
 根本匠復興相は「国として水産業の復興をサポートし、地域一体となった取り組みを応援したい」と述べました。
(しんぶん赤旗 2013年5月2日より)

 

――― 議事録 ――――

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 初めに、先ほどの発言とは全く逆の立場で質問を、水産特区の問題で一問、大臣に伺います。
 復興庁は二十三日、宮城県が申請していた水産業復興特区の計画を認定しました。地元漁協は、拙速で憤りを覚える、浜の漁師の声をもっと聞いてほしかったと述べております。もともと、紛争回避や資源管理など、浜の秩序を維持するために歴史的につくられてきた漁業法の特例でありますから、当然、こうした意見は尊重されるべきと考えます。
 復興庁としてどのような審査を行ったのか、大臣に伺います。

○根本国務大臣 宮城県から申請のあった漁業法の特例に関する復興推進計画、これにつきましては、認定に必要な三つの要件、すなわち、復興特別区域基本方針に適合するものであること、二点目、当該復興推進計画の実施が当該復興推進計画の区域における復興の円滑かつ迅速な推進と当該復興推進計画の区域の活力の再生に寄与するものであると認められること、三点目、円滑かつ確実に実施されると見込まれるものであること、この三つの要件を満たすものと認められ、農林水産大臣の同意も得られたので、二十三日に認定したところであります。
 この復興推進計画については、昨年秋以降、宮城復興局、復興庁が宮城県と意見交換や計画の事前調整を行ってきたほか、宮城県漁協や桃浦かき生産者合同会社などの関係者が集まった地域協議会へのオブザーバーとしての参加や、あるいは職員の現地派遣などを通じて収集した情報などをもとに、認定基準を満たすと判断したものであります。
 被災地の漁業の復興のためには、県などの行政、地域の漁業者が一体となった取り組みが必要であると考えております。関係者それぞれの思いがあって簡単ではないことは理解しておりますが、国としても引き続き宮城の水産業の復興をサポートしていくので、地域一体となった取り組みをぜひお願いしたいと考えているところであります。

○高橋(千)委員 やはり農水省がいろいろかかわってきたということが今の説明にあったと思うんですが、復興庁自身はほとんど農水省の見解を追認しただけではないか。大臣は、もちろん漁協とお会いになったということで、会見で述べているのも拝見をしていますけれども、復興庁自身が審議をしたということであれば、申請を受けてから一週間程度の、判断の基準はなかったわけで、そこは全然今の答弁にはにじんでいないと思います。
 私は、特区法には、全体が被災者の要望に応えるものとして、法案自体には賛成をしました。しかし、漁業法の特例を削除する修正案を出しました。さすがに賛同はいただけなかったんですけれども、全漁連の強い要望もあったり、各党各会派の皆さんの賛同をいただいて、この趣旨が附帯決議に盛り込まれたと思っております。隣に谷先生もいらっしゃるので、よく御存じだと思います。
 その決議の第一に、「地域の漁業者などが一体となった取組に国が十分な支援策を講ずることが基本であること」、これを踏まえた上で、「国は浜全体の資源・漁場の管理に責任を持ち、万全を期した措置を講ずること。」このように書いています。つまり、国が主語なのであります。
 既に桃浦地区の法人は漁協に加入をして三月からカキ養殖を始めており、何の問題もありません。一方、合同会社に参加せず頑張っている漁業者も同じ地域にいるわけです。石巻市も意見書で、震災からの復興に向け、漁村のコミュニティーを守り、生業の維持や海面の総合的利用に支障がないようにしていただきたい、このように要望しています。ですから、国の責任、これから非常に重いと思いますけれども、大臣、もう一言お願いできますか。

○根本国務大臣 繰り返しになりますが、今回の認定については、三つの要件、これを満たすかどうか、そこがポイントで、そこは農林水産大臣の同意も得られたので、二十三日に認定しました。
 それから、この復興推進計画、先ほど答弁申し上げましたが、昨年秋以降、宮城復興局、復興庁が宮城県と意見交換、あるいは計画の事前調整、これをずっとやってきましたから、その積み重ねの上で、認定基準を満たすと判断したものであります。
 いずれにしても、これから国としても引き続き宮城の水産業の復興をサポートしていきますし、地域一体となった取り組みをお願いしたいと考えております。

○高橋(千)委員 我々が質問したときに、基準があるからそう簡単ではないのだ、厳密にやるんだというのが農水省の答弁だったんです。だけれども、それでも心配が残るという趣旨がさっき紹介した決議に込められました。そこに対する答えがないから、私は繰り返し質問したんです。でも、同じ答弁なので、もう一度指摘をして、次に行きますから。
 国が主語になっているんですね。宮城県全体のと大臣おっしゃいましたけれども、やはり、同じ地域に、合同会社とそうではない漁業者がいるんだ、そこで秩序を乱さずにコミュニティーを守っていきたいというのがみんなの思いなんですから、そこに国が責任を果たすべきだということで、しっかりと見ていただきたい、場合によっては撤退も含めて決断をしていただきたい、ここは要望して、きょうは指摘にとどめたいと思います。
 次に、きょうは、東北メディカル・メガバンク構想について質問します。
 東北大学と岩手医大の連携で、宮城、岩手の被災地住民を対象に、健康調査、それから十五万人規模のゲノムデータでバイオバンクを構築して、個別、オーダーメード医療を目指すというわけであります。
 二〇一〇年六月に閣議決定された新成長戦略で示された、ライフイノベーションによる健康大国の実現、この中で、ゲノム解析を組み込んだ新しいコホート研究の推進が提言されたと承知をしています。
 そこで、こうしたゲノムコホート研究やオーダーメード医療などは、震災があるなしにかかわらず、政府の成長戦略に位置づけられていくものという理解でよろしいでしょうか。内閣府に。

○山際大臣政務官 今、ゲノム研究の話であったと思いますが、もちろん、今、産業競争力会議の中で、健康長寿社会の実現に向けて何が成長戦略になるのか、これは、新たな戦略市場の創出であったり産業競争力強化に資するかどうかという観点から議論しているわけでございますけれども、そういう文脈の中では、ゲノム研究というのも広い意味では入ってくるかもしれませんが、委員が今御指摘になられました東北メディカル・メガバンクに関して、具体的なものとして、今活発に議論されているわけではございません。

○高橋(千)委員 済みません。ですから、質問は、メディカル・メガバンク構想の前段として、このゲノムコホート研究などが成長戦略の、民主党政権のときでしたけれども議論がありましたよねということを確認して、今後も当然そういうことが位置づけられていくんですよねと聞いただけですので、成長戦略は六月を目途としているんでしょうから、メガバンクがということで聞いたわけではございません。そういう意味です。

○山際大臣政務官 そういう意味では、広い意味では入っていると思います。

○高橋(千)委員 そういうことなんです。いきなりメガバンクの話になるわけがないですよね。
 昨年八月の日本学術会議、「ヒト生命情報統合研究の拠点構築」ということで、大規模コホート研究という提言が出されておりますけれども、先進諸国においても数十万規模の大規模なコホート研究が実施されている。それで、日本では、さまざまあるんだけれども、規模、内容においても不十分だということで、百万人規模のバイオバンクの構築を提言しております。ですから、そういう文脈で、やはり大規模なコホート研究、バイオ研究が必要だと思っていたところに震災が来た、そういうイメージも持たれるわけです。
 それで、なぜ被災者をその対象とするのか伺います。簡潔に。

○吉田政府参考人 お答えいたします。
 この東北メディカル・メガバンク計画は、平成二十三年六月に開催されました東日本大震災復興構想会議におきまして、村井宮城県知事からの提言を受けまして、被災地を対象とした事業として、平成二十三年度から開始をしたものでございます。
 この事業におきましては、被災地域を対象とした健康調査を実施し、住民の健康不安を解消するとともに、意欲の高い医療関係人材の派遣を通じて地域に貢献することを目的としております。また、住民からいただきました生体試料を用いましたゲノム解析研究を行うことで、東北発の次世代医療の実現を目指しております。
 これらの取り組みを通じて、東北の復興に貢献していく、こういったものでございます。
 事業実施に当たりましては、これまでも、実施主体でございます東北大学などが、被災地の住民はもとより、県、市町村、医師会、病院などに対しまして計画の説明などを行ってきているところであります。
 今後とも、被災地の皆様の御理解と御協力を丁寧に得ながら事業を進める、こういったことにしております。

○高橋(千)委員 なぜ被災者を対象とするのかという質問に対して、具体的にお答えがなかったと思います。
 資料の二枚目に、今紹介がありました二〇一一年六月のイノベーション会議に、東北大学がメガバンク構想として提出した資料の一部をつけておきました。
 それで、沿岸部の地域をイメージして、父、母、本人と、二歳、三カ月の子供、兄弟などといって、要するに、医療過疎化が進行しており慢性的に医師不足である、沿岸地域は三世代同居家族が多い、人口の移動が比較的少ないという特徴を書いています。
 ですから、まれである、要するに、三世代がそろって、しかも移動がなく、ずっと同じところに暮らしているというのは、サンプルとしてはもう絶好のといえばあれですけれども、そういう動機があったということが、説明があったと思うんですね。
 だけれども、コホート研究というのは、基本的には健常者を相手に行う研究のはずであります。被災者の健康不安に応えるということと遺伝子研究とはリンクする必要はない。むしろ、もしそういう研究をやりたいのであれば、平時の、被災地ではないところで実施するべきではないでしょうか。

○高橋(千)委員 なぜ被災者を対象とするのかという質問に対して、具体的にお答えがなかったと思います。
 資料の二枚目に、今紹介がありました二〇一一年六月のイノベーション会議に、東北大学がメガバンク構想として提出した資料の一部をつけておきました。
 それで、沿岸部の地域をイメージして、父、母、本人と、二歳、三カ月の子供、兄弟などといって、要するに、医療過疎化が進行しており慢性的に医師不足である、沿岸地域は三世代同居家族が多い、人口の移動が比較的少ないという特徴を書いています。
 ですから、まれである、要するに、三世代がそろって、しかも移動がなく、ずっと同じところに暮らしているというのは、サンプルとしてはもう絶好のといえばあれですけれども、そういう動機があったということが、説明があったと思うんですね。
 だけれども、コホート研究というのは、基本的には健常者を相手に行う研究のはずであります。被災者の健康不安に応えるということと遺伝子研究とはリンクする必要はない。むしろ、もしそういう研究をやりたいのであれば、平時の、被災地ではないところで実施するべきではないでしょうか。

○高橋(千)委員 検討会の中でも、やはり健常者ではないという前提から考えなくちゃいけない、そこで、さっき言ったように、健康診断と遺伝子のコホート研究というのがあって、健診の結果を本人に返すという形で介入があると、やはりそれは影響があるだろうと。
 つまり、当たり前だと思うんですよね。疾患というのは、遺伝子だけではなくて、環境とかさまざまな要素があるんだということはもう当たり前のことで、まして被災地だからそれは当然考えなくちゃいけないということで、やはりそこは分けてやるべきだということは重ねて指摘をしたいと思うんです。
 これが宮城で大きな問題になっているのは、それはショックドクトリンだ、要するに惨事便乗型じゃないかという指摘があるんです。健診データとカルテ情報の集積、あるいは、五年後にまたゲノム情報を再取得して個人の情報に確実に統合する、かつ、長期に保存するということは、非常に困難な事業であり、もちろん日本では初めての事業であります。
 現在審議中のマイナンバーとのリンクも当然考えているということですね。

○吉田政府参考人 東北メディカル・メガバンク計画では、平成二十八年度までに十五万人規模のゲノム情報を含めたバイオバンクを構築することとしております。
 本計画で収集しました個人情報につきましては、東北大学内で万全のセキュリティーを講じつつ管理しておりまして、その利用に当たっては連結可能匿名化の処理をしており、健診データやカルテ情報と五年後のデータを突合することは可能でございます。
 御指摘のマイナンバー法案との関係でございますけれども、ただいま国会において審議をされておられるかと思いますが、現時点では、これは社会保障、税制、災害対策等の行政分野での利用を想定しておられるということでございまして、この東北メディカル・メガバンクとの対応については、当面想定をしていないところでございます。

○高橋(千)委員 決まらないうちに想定しているとは答えられないと思うんですね。
 だけれども、さっき紹介した学術会議の中にも、検討会の中にも、あるいは、メガバンク機構長である山本氏が各雑誌のインタビューなどに答えても、当然これの活用が必要だとおっしゃっている。当然それを念頭に置いているんだろうということなんですね。
 そこで、時間がないのでちょっと質問を飛ばしますけれども、メディカル・メガバンク計画の全体計画は、「生体試料、データ、成果の共有と公開」という項目で、あらゆるチャネルを通し、研究コミュニティーに限らず原則として広く公開する、生体試料は限りのある貴重な資源であることから、さまざまな活用法について十分に時間をかけて検討するとあります。
 これは、検討会の中ではもっとはっきり言っていまして、民間とか国内外へ広く分配していく、このようなことを言っているわけです。
 情報の活用は、どこまで、どの範囲で考えているのか、伺います。

○吉田政府参考人 お答えいたします。
 東北メディカル・メガバンク計画におきまして収集いたしました試料、情報、それから得られた研究成果は、次世代医療の実現を目指す研究者に適切に提供することによりまして、疾患の原因となります環境要因、これは生活習慣などでございます、それから遺伝的な要因を特定する研究開発を促進いたしまして、将来的に、病気の早期の診断や副作用の低減、将来なりやすい病気の予測などにつなげていくことを期待しておるわけでございます。
 本事業では、事業に参画いただいた方から御提供いただいた試料、情報につきましては、創薬メーカーなどを含めまして外部の研究機関から利用申請があった場合には、その研究機関の実態、あるいは申請されている研究計画、情報の取り扱い体制などにつきまして、東北大学と岩手医科大学が共同で設置をいたします試料・情報分譲審査委員会というところで厳正な審査を経た上で提供するかどうかを決定する、こういった仕組みを講じているところでございます。

○高橋(千)委員 ですから、創薬メーカーも含めて、当然将来の利用を検討しているというお答えだったと思うんです。ですから、そこの問題なんですよね。
 個人の同意はどこまでとるんですか。将来のことはわからないわけですよね。だから包括同意じゃなきゃだめなんだと、東北大学のメガバンク検討会の中でそういう発言があるわけですよね。
 今回は、ヒトゲノム倫理指針の中で、そこの部分が、結局、将来も含めて同意できるという形で包括同意になっている、そういうふうな理解でよろしいですか。

○吉田政府参考人 御本人からの同意のとり方でございますけれども、東北メディカル・メガバンク計画では、住民の方々から生体試料の提供をいただく際には、本事業や研究の目的、あるいは生体試料や個人情報の管理方法、解析結果から得られた成果の取り扱い、外部研究機関への試料、情報の分譲の取り扱いなどにつきまして、文書を用いまして丁寧に御説明をし、御本人の同意を得るという形になっております。
 包括同意というお話がございましたけれども、ここのところは、何でも使っても構わないという形での同意のとり方ではなくて、将来利用されることが予想されております方法について、それを明確に文書で示した上で同意をとる、こういった方法をとっております。

○高橋(千)委員 ことし四月からその倫理指針が改定されたんですね。その中で、前文にあった、ユネスコのヒトゲノムと人権に関する世界宣言が削除されました。「あらゆる場合において、当事者から事前の、自由意志による、説明に基づく同意を得なければならない。」こう書いているんですね。ここは削除をされて、結局、何に使うかわからないんだけれども、将来的なものを含める同意になってしまった。やはりこれは、面倒でもきちんと説明をしなきゃいけない、一つ一つしなきゃいけないという精神が、それほどヒトゲノムというのは大切なものなんだ、人類の遺産なんだという出発点からあるものですので、そこを絶対ないがしろにしてはならないと思います。
 そこで、もう時間がないので指摘にとどめたいと思うんですが、その前文の中に、改定後も残されているものが、こういう表現があります。「世界医師会によるヘルシンキ宣言等に示された倫理規範を踏まえ、」という文章であります。
 ヘルシンキ宣言、一九六四年、人を対象とする医学研究の倫理的原則ですが、これは、「不利な立場または脆弱な人々あるいは地域社会を対象とする医学研究は、研究がその集団または地域の健康上の必要性と優先事項に応えるものであり、かつその集団または地域が研究結果から利益を得る可能性がある場合に限り正当化される。」ナチスの人体実験の反省から出発したという宣言だと聞いています。
 私は、ここに、最初に読み上げた、不利な立場または脆弱な人々、地域、これが今の被災地を指すのではないか。そういうときにやはりやるべきではないんだということ。全部、ゲノムコホートを否定しているわけではありません。でも、最初に言ったように、正常な形でやるべきだということを指摘したい。
 最初の資料にあるように、宮城も岩手も、被災医療機関、まだ大変残っています。廃止が、岩手二十、宮城八十一という形で、非常に大きく影響がありました。
 ですから、メガバンクとセットで医師派遣をするんだとか、地域医療に貢献するんだというようなやり方ではなくて、今やるべきことは、地域医療の再生そのものに人と金を使うべきだということを指摘して、終わりたいと思います。

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