国会質問

質問日:2013年 5月 29日 第183国会 厚生労働委員会

“水際作戦”合法化許されない

(写真)質問する高橋ちづ子議員=29日、衆院厚生労働委

(写真)質問する高橋ちづ子議員=29日、衆院厚生労働委

 日本共産党の高橋ちづ子衆院議員は29日の厚生労働委員会で、生活保護改悪法案の質疑に立ち、申請者を締め出す“水際作戦”の合法化をやめよと追及しました。田村憲久厚労相は「生活保護の本来の趣旨にのっとって運用していく」などと答弁しました。(論戦ハイライト)

 法案は▽申請者に書類提出を義務付ける▽「扶養照会」の強化―などが盛り込まれています。
 このなかで高橋氏は、いまでも半分以上が申請にたどり着けないのが現実だと言及。申請者の書類提出義務にかかわって、年金受給年齢にも達しない50代の男性に「年金記録を調べてから来い」と言って申請用紙を渡さないなど、窓口で申請をはねつける水際作戦が横行している事例を示しながら、「書類を見ることもできない人は、申請と扱ってもらえない。『水際作戦』の合法化といわれてもやむをえない」と指摘しました。田村厚労相は「あってはいけない。不適当な対応だ」と答弁しました。
 高橋氏はまた、必要であれば扶養義務者が「報告」を求められる規定について、家族関係を壊すような扶養義務の強化がおこなわれていると追及し、国会で取り上げただけで申請をためらうケースが出ているとただしました。厚労省の村木厚子社会・援護局長は「家族の問題に立ち入ること、本来保護を受けられる人が受けにくくならないようケースを限定したい」と答えました。
 高橋氏は、不正受給の罰則強化や家計管理など、市民同士の監視が強まり萎縮する社会にしてはならないと主張しました。
(しんぶん赤旗 2013年5月30日より)

 

――― 議事録 ――――

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 昨年の税と社会保障の一体改革議論において、最終盤に三党合意で一気に成立してしまいました社会保障制度改革推進法附則として、唯一名指しをされたのが、生活保護制度の見直しでありました。いわゆる社会保障とは、医療、介護、年金、子育てという四分野なのだという議論をずっとしてきたにもかかわらず、いきなりこの生活保護制度の見直しだけが名指しをされた。非常に不本意なやり方であったのではないか。
 ですから、これは現在の与党のみならず三党に責任があるということをまず言わなければならないわけですけれども、本法案は、一九五〇年以来の大幅改正とも言える内容であるにもかかわらず、本法案を議員立法とあわせて、四本もまとめて審議をし、今週中にも採決をと提案されていることは、非常に重大であります。十分な審議を行うことを強く求めたいと思います。
 まず、最初の問いは、大臣にお答えをお願いいたします。当たり前のことを聞きますので。
 生活保護法第一条、「この法律は、日本国憲法第二十五条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。」また、第三条には、「この法律により保障される最低限度の生活は、健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならない。」と書かれております。
 この基本理念は、今回、何もさわっておりません。変わらないことを確認し、また、改めて、この意義について大臣に伺いたいと思います。

○田村国務大臣 委員おっしゃられましたとおり、憲法で規定いたしております健康で文化的な最低限度の生活を営む権利、これをしっかりと日本国民は持っておるわけでございまして、これが具現化できるセーフティーネットといたしまして、この生活保護制度があるわけでございます。
 そのような意味からいたしますと、今般、大幅改正ではありますけれども、まず総則、さらに保護の原則等々、これは一切手を入れているわけではございません。変えておりません。
 そのような意味からいたしますと、生活保護制度の根幹、基本をなしている部分は、これは変えていないわけでございますので、おっしゃられるとおり、中身、目指すべきものというものは全く変わっていないということでございます。

○高橋(千)委員 基本となるところは一切変わっていないという答弁だったと思います。
 何か、解釈改憲ではないんだけれども、理念は変わっていないが、中身が、どうも解釈が変わってきているのではないか、非常にそぐわなくなってきている、今度の法案はそういう中身ではないかということをあえて指摘したいと思います。
 次の問いは、まさに生活保護の現場にいらっしゃった桝屋副大臣にお願いをしたいと思います。
 第二条の無差別平等の原則、「すべて国民は、この法律の定める要件を満たす限り、この法律による保護を、無差別平等に受けることができる。」並びに、第九条、「保護は、要保護者の年齢別、性別、健康状態等その個人又は世帯の実際の必要の相違を考慮して、有効且つ適切に行うものとする。」必要即応の原則と呼ばれておりますけれども、私は、これもやはり非常に基本的な、重要な原則だと思っておりますし、ここも変わっていないはずですよね。
 やはり、真に保護の必要な方ということが繰り返し言われるんだけれども、その真に必要なという範囲が、何か国会の議論の中でやけにしぼめられてしまうのではないかということに大変危惧をしているわけです。
 ですから、大原則として、無差別平等、誰にでも権利はある。もちろん、要件はありますよ。だけれども、権利は誰にでもあるんだということを、そして、働ける年齢だから却下というような、個々の事情を顧みない機械的な対応をしてはならない、こういうことではないかと思いますが、改めてこの二つの原則の意義についてお聞かせください。

○桝屋副大臣 今おっしゃった生活保護上の大原則は、何ら今回の見直しで変わることはない、無差別平等の原則、必要即応の原則、いずれも生活保護の根幹をなす大事な原理だ。
 同時に、保護の補足性、持てる能力は十分に使っていただく、そして、保護世帯みずからが受けられる支援はしっかり受けていただいて、なお必要足らざるところは生活保護を適用する、こういう原則も同時に変わっていないというふうに理解しております。

○高橋(千)委員 ありがとうございます。
 補足性のことを御説明されたと思うんですけれども、まず自分が権利があるということ、そして、そこに差別がないんだということを気づいていない方、気づいていなくて、保護を受けていること自体を何かとても恥ずかしいことだと思っているとか、そういう方が非常に多い、また、そういう社会になってはいけないという立場で、あえて質問させていただきました。やはりこれは、繰り返し確認をしていく必要があるのではないかなと思っています。
 今でさえ、二〇一一年の数字で、相談件数に対する申請件数の割合は、四九・七%。ですから、窓口に相談に行って申請にたどり着くまでに五割を切るという実態がございます。日弁連も、むしろ機械的な対応で水際作戦を合法化させるという強い指摘をしているということは重要かと思います。
 そこで、本法案で、第二十四条、「申請書を」「提出してしなければならない。」と書いてあります。申請書並びに内容を証明する書類の提出を義務づけたことになるんですね。
 そこで、まず伺うんですが、局長にお願いしますが、現行法の第二十四条は、これは改正案でも変わっていませんけれども、「保護の実施機関は、」「保護の要否、種類、程度及び方法を決定し、申請者に対して書面をもつて、これを通知しなければならない。」とあります。つまり、保護の実施機関は書面を義務づけています、もともと。そうですね。だけれども、要保護申請については、あえて法律には盛り込まずに、これまでは厚生省令で定められていた。この違いはなぜでしょうか。

○村木政府参考人 古い書物を読み解いて、このときにどうしてこういう形になったかというところまで理解しているわけではございませんが、この法律全体を見ますと、やはり非常に古い法律でございますので、措置という性格が非常に強いものだろうと思います。
 そういう意味で、申請のところの手続が法律にないまま、今度は決定のところがまずあり、そして後ろで、もう調査をして、立入調査とか、そういったかなり厳しい規定が後ろにあるということでございます。そういう意味では、最近福祉の分野で多い、利用契約を結んでやるとか、権利性があって申請をすればこういうものが受けられるとか、そういう、仕組みに対する感覚がこの当時は余りなかったのではないかと私は個人的には想像をしているところでございます。
 そういう意味で、今回、少し形式張っているので御不安を与えたというところは大変申しわけなく思っておりますが、申請のいろいろな手続を明確に定める、法令上見える形にしたということであるというふうに理解をしているところでございます。

○高橋(千)委員 今局長が、古い書物を読み解いたわけではないがとおっしゃいましたが、何か古い書物が今ちまたでとてもはやっておりまして、一九五〇年初版、当時の保護課長だった小山進次郎氏による、改訂増補版「生活保護法の解釈と運用」、もう書店では求めることができなくて、国会図書館で改めて読ませていただきましたけれども、やはり、保護の実施機関の処理手続を法規として定めた理由について、本法の保護は個人の生活や生存に重大な関係を有するものであるからと。そして、要保護者に対して実際に行われる場合の個々の具体的手続までを詳細、明確に規定するのでなければ、本法上において認められたとする個人の権利や利益が十分に保障され、実現されることとはならないというふうに明記をされています。
 ですから、後でおっしゃったように、不服申し立ての権利などもあるわけですから、なぜ却下をされたのか、なぜ、どういうことに理由があるのかということをきちんと書面で出さないと個人の権利が行使できないということを主張しているんだと思うんですね。
 でも、逆の意味もありまして、では個人の側から見ると、なぜそれを書いていなかったかということに対しては、保護の決定及び不服の申し立ての処理などの重要な資料ではあるけれども、同時に、それを全部書かなきゃだめよというのは、酷に失する場合というふうな表現をされています。
 ですから、申請が保護開始に法定の要件を欠くとしてその受理を拒絶して却下すべきではなく、記載漏れがあったとしても、その場で補正をさせたり、あるいは事務所の職員が進んで調査して補完すべきである、こういうふうな解釈をきちっとされているので、やはり、保護を受ける側の人の権利と、それを行使する実施機関のあれを明確に分けているということがあったのではないかなと。
 やはり、さっきの議論、調査の権限が強化をされるからバランスをとったんだという、法制局のアドバイスがあったというお話がありましたけれども、私は違うと思う。わざわざそれが、分けていたものの意味をきちっと考えて、まして、これは、運用でやってきたとはいえ、義務化ですから、全く意味が違うことになるんだということを指摘したいと思います。
 そこで、二十四条、この省令で定める事項というのと定める書類というのはどのようなものが考えられるのかというのと、これらがそろわないと保護は受け付けないのか。お願いします。

○村木政府参考人 今回の二十四条の改正は、入り口のところの手続を明確に定めたものでございますが、これは、法律的な位置づけを条文上明確にしたということであって、実際の運用を変えるということは一切ございません。
 したがいまして、必要な書類は、保護を決定するには出していただかないと、実際の額や扶助の種類等々が決められないということがあるので、書面を出していただくことにはなろうかと思いますが、いずれにしても、それがそろわないと保護を受け付けないとかいう問題ではなく、職員とのやりとりの中で一つずつ書類をそろえていく、それから、書類を書くことができないときは職員が書き取って、よく説明をして、御本人にサインをしていただく、そういった、きちんと今までどおりの運用をしたいというふうに考えているところでございます。
 ですから、必要な書類の数、提出時期等々に変更はございません。

○高橋(千)委員 先ほど来、この答弁を聞いて、本当にわからない。
 なぜかというと、変わらないんだったら書かなきゃいいと思うわけですね。だけれども、明確に違うんですよ。だって、省令で運用していたものと、それは運用のやり方は同じだといっても、法律に書いたわけですから、義務になるわけでしょう。これが争われたとき、どうなるんですか。これを明確に答えていただきたい。
 おにぎり食べたいで象徴的な事件となった二〇〇七年の小倉北区の自殺事件、これは、二〇一一年三月二十九日、地裁で判決が出て、市が控訴を断念して確定をしています。水際作戦という言葉が随分言われたわけです。保護の開始率を過去三年間の平均以下に抑える努力目標を持っていた。これは、まさにその実態が、全国から弁護士さんなどが集まって検証を行って明らかになった。それを基本的に裁判は認めたことになると思うんですね。
 申請行為があったと言えないとしても、つまり、一応、形上は申請を自分で取り下げている、そういう形になっているんだけれども、説明が虚偽であった、二週間求職活動をしなければ保護の適用を受けられないかのような誤った助言をしたということでは、国賠法上違法である、このように明確に判決に書いてあります。ただ、自殺との因果関係は肯定はしないけれども、しかし、申請意思を正しく確認されなかったことにより受給権を侵害されたということを認めて、精神的損害に対して百五十万円を払えと。大した額ではないですけれども、そういう判決が出たというのは非常に大きいわけですね。
 これは、だから、口頭による申請を認めて、形上は申請はしていない、だけれども、意思があったことと違法なやりとりだということを認めた。こういう形で、判決が揺るがないということで、これからも影響がないというふうに断じていただけますか。

○村木政府参考人 今回の法律の改正をもって、入り口のところで今まで以上の条件をつけたり、取り扱いが変更になるということはございません。
 それから、念のためでございますが、いわゆる水際作戦という言葉がきょう何度も出てきております。私どもも、そういったことがないように、必要な方が必ず保護を受けられるように、窓口での注意、そういったことを疑われるようなこともないようにということで、徹底を一生懸命図っているところでございます。
 申請に来て、必要な方が受けられないようなことが起こらないように、最大限の努力をしてまいりたいと考えております。

○高橋(千)委員 削除すべきだということは重ねて指摘をしたいと思うんですが、今までどおりといっても、はっきり言って、今までどおりでもだめなんですよ。そうですよね、だって、水際作戦、今でもやられているんですもの。その実態をやはりちゃんと見なければ、まして、それで法定をされたときにどんな影響があるかということなんですね。
 例えば、申請書を手にするところまで行くのが大変だというのが実態ですよね。例えば、青森県内の事例でいいますと、ある方は、障害年金だけで四年間暮らしてきて、もうとてもじゃないが保険料の支払いなどが大変になって、保護の相談に行ったんですけれども、収入があるのでそれでやりなさいということで、話も聞かないで帰そうとした。ですから、申請書を見ることができなかったわけであります。
 また、ある方は、まだ五十代ですけれども、ハローワークに通っても仕事がなく、何度も何度もそういうことを繰り返した上で、悩んだ末に市役所に行って保護を申請したわけです。しかし、年金記録を調べてから来いと言われて、まだ五十代だから年金をもらえるはずもないのに、申請用紙もくれなかったということです。
 また、都内でひとり暮らしの男性は、精神を病んで通院。二回役所に行ったけれども、電気、ガス、電話、預金通帳などの提出を求められ、三回目でようやく申請書を受け取った。
 ですから、申請書そのものを窓口にちゃんと置きなさいとずっとやってきたんだけれども、それを見ることさえ、一度も見てもいませんという方がいっぱいいるんですね。それが、実際にはそこにたどり着いていないですから、そもそも受け付けて拒否したわけではないという話に整理されちゃうわけですよ。これではだめでしょう。
 書類の提出を義務づければ、こうした事例は逆になくなるんでしょうか。書類を見ることもできなかった人が、やはり相談として、申請に扱ってもらえないとなれば、これではやはり水際作戦の合法化と言われてもやむを得ないわけですから。
 この点について、大臣、いかがでしょうか。

○田村国務大臣 個別具体的な話なので、どこで、どういうような状況のもとでそのような話があったのか、私は認識しておりませんが、今お聞かせをいただいておる情報だけの客観的な判断といいますか、私の感想を述べさせていただければ、そんなことはあってはいけないことでございます。
 年金がもらえるもらえないと、言われるとおり、そんなものは六十過ぎてからじゃないともらえないわけでありますから、五十代でどうするのという話でございますし、収入でやりなさいといっても、その収入をちゃんと調査した上でじゃないと、そもそもその収入で生活できるかどうかというのはわからないわけでありますから、非常に、今の話だけを純粋にお聞かせをいただいて思うことは、それは不適当な対応であるというふうに認識いたします。

○高橋(千)委員 ありがとうございます。
 さっき言ったように、入り口、申請書にたどり着くまでに五割を切るという実態からいっても、こうしたことが非常に多いのだということを改めて御認識していただいて、そこが現場で逆に強まるということがあってはならない、しっかりと対応していただきたいと思っております。
 そこで、第二十四条の八項の扶養義務者の問題ですね。
 「知れたる扶養義務者が民法の規定による扶養義務を履行していないと認められる場合において、保護の開始の決定をしようとするときは、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ、当該扶養義務者に対して書面をもつて厚生労働省令で定める事項を通知しなければならない。」
 法律用語だと思うんですが、この「知れたる」とは、どういう方をいうのか。また、どのようにして、扶養能力があるのにその義務を履行していないというのを判断するのか。お願いいたします。

○村木政府参考人 大変古い言い回しになっておりますが、「知れたる」というのは、わかっているというようなことでございます。
 申請にいらっしゃった方々に、家族の状況とか扶養ができる方がいらっしゃらないかとかいうことを私どももお聞きをして調査をいたしますので、そういった御本人等々から得た情報の中で、扶養が可能ではないかと思われるような方々に御連絡をするというようなことでございます。
 今、扶養の照会はそういう形でやっておりますが、今回新しく規定をしたものについては、もう既に扶養照会はやっているわけでございますので、この通知については、例えば家庭裁判所を活用した費用徴収等々の対象になるような、特に限られた方に対して行うということを考えているところでございます。ですから、一般の扶養照会よりももっと限定をされたものというふうにお考えをいただければと思います。

○高橋(千)委員 今のは、家裁で争っているとか、そういう意味でおっしゃったんですか。ちょっと今、もう少し。

○村木政府参考人 失礼しました。
 保護の費用徴収の規定がこの法律の中にございます。それで、家事審判等を使って金額を決めて費用徴収をするというようなことが扶養義務者に対して行われることがございます、現在の法律でありますので、そういったようなことが将来起こり得るような、扶養が必ずできるはずで、また、そういう関係にあるというような方に限って通知をあらかじめ行おうということでございます。

○高橋(千)委員 そういう意味の限定だということですね。そこが非常に曖昧だったわけです。
 扶養義務、明らかに能力があるでしょうといったときに、その方が、例えば息子さんがタレントでしょうとか、極めてレアケースなわけですよね。だけれども、それを一旦書いちゃうということは、何か物すごい調査をするんですかということになるわけです。
 だけれども、実際に今現場でやられていることも、かなりのことですよね。例えば、ことし二月十一日の朝日新聞に書いていますが、大阪市内の実家を離れて奈良県の大学に通う十九歳の学生に、姉の扶養の照会が来た、あなたの資力に応じてどの程度払えますかと。こういうことをやられちゃうと、本当に、指摘されているのは、家族のきずな、親族の関係もみんな壊れちゃうよねと。そして、勤務先まで問い合わせするんですかということも指摘をされています。
 第二十八条の二項には、「必要があると認めるときは、」「報告を求めることができる。」こういうことも書かれてありますので、もう少し具体的に伺います。

○村木政府参考人 この報告を求める条文、二十八条も、今回新設をしたものでございます。
 扶養義務者について、実際に扶養の責任を一定程度明らかに果たせるということがわかっているような方については、やはりその責任を果たしていただくことが適当ではないかということで、審議会等でも御議論をいただきましたので、この報告を盛り込んだところでございます。
 ただ、これにつきましても、家族の問題に行政が踏み込んでいくことというのはやはり相当慎重にしなければならない、それから、家族の関係を壊すということは私どもの本意ではないわけでございますから、これも先ほど申し上げましたように、特に福祉事務所が後々家事審判手続を活用してまで費用徴収を行いたいと思うような、そういったことが想定されるようなことに限定をしたいというふうに思っております。
 いずれにしましても、今回新しく扶養義務者の関係の規定が入りましたが、これについては、必要なことはしっかりやりたいと思いますが、先ほど申し上げたように、家族の問題に立ち入ること、それから、本来保護を受けられる人が受けにくくなるようなことにならないように、ケースをしっかり限定したいというふうに考えているところでございます。

○高橋(千)委員 同意についてはどうですか、調査の同意。

○村木政府参考人 済みません、同意というのは……(高橋(千)委員「調査を受ける人の」と呼ぶ)その同意ということでございますか。
 扶養義務者につきましては、報告を求めることができるということと、それから、規定上は官公署から情報がとれるということになりますが、特に扶養義務者については保護の要件ではないわけでございますので、そこまで幅広に、御本人が同意がない中で官公署から自動的に回答義務をかけて情報をいただくということは、余り適切でないのではないかというふうに思っております。
 これは、後々、政省令等、細かい規則をつくっていく中で決めることでございますが、そこまでのことはやらない方がよいのではというふうに考えているところでございます。

○高橋(千)委員 改めて、保護の要件ではないのだという立場でお答えをいただいたことは、非常に大事だと思っております。
 ただ、大臣に改めて聞くんですけれども、この問題、やはりアナウンス効果が抜群なんですね。要するに、某議員が国会で取り上げたことで起こった波及がどれだけ大きかったかというのは、もう十分わかっていらっしゃると思うんですけれども、実際にはそこまでやらないよとおっしゃっています。だけれども、もうそのニュースが流れている、そのことだけでも相当な大きなアナウンス効果になっているのではないか。それ自体が狙いになっては困るわけですよね。
 例えば、札幌で、生活苦から心中を図って、同居の母親七十歳を殺害したとして承諾殺人罪に問われた四十二歳の方が、十六日に、懲役三年、保護観察つき執行猶予五年の判決を言い渡されました。
 この方は二〇〇六年から生活保護を受けていたんですけれども、ところが、二〇一一年四月に辞退をしたんですね。状況は何も変わっていないんですよ、だけれども、保護費をちょっとずつためて百万円ためて、それで一年間暮らして、もう無理だというので、母親からおしまいにしようと呼びかけられた、それで心中を決意したけれども、自分は死に切れなかったということでした。
 この人が言っているのは、お金だけもらうのが心苦しかったと言っている。だから、最初にお話ししたように、保護を受けていることが非常に負い目になっている、監視されているような気がしている、そういうことを裁判の中で指摘をしているわけなんですね。そして、裁判の中で言っているんですが、ニュースを見て、簡単にはもう受給できない、これからもしやはり保護に戻ろうとしても受給できない、門前払いになると言っていると思って悲観をしたということが指摘をされている。
 やはり、こういうことを思わせちゃっている、もう書いただけでそういう効果が出ちゃっているということを、どのように受けとめますか。

○田村国務大臣 いろいろなことを今まで御質問された中身が含まれての今の御質問だというふうに思うんです。
 生活保護に至る方々は、いろいろな方々がおられると思います。その中には、まだ若くして自立ができる可能性のある方々もおられるわけでありまして、そういう方々にはしっかりと、自立に向かっての対応というものを今般の法改正の中にも入れさせていただいておるわけでありますから、もちろん、そのためにいろいろなお手伝いを我々していかなきゃいけないわけでありますけれども、自立に向かって頑張っていただかなきゃならないと思います。
 一方で、若くても自立できずに、いろいろな病を持って働けないという方々もおられます。一方で、御年配の方の中に、もう自立ができるようなお年じゃない方々もおられるわけでありまして、そのような方がそれぞれの事情がある中において、それぞれの方に適したような形でこの生活保護制度というものが、やはりその方々の生活を守らなきゃいけないわけでありますから、適用されていかなきゃならない。
 今般の法改正の中で、いろいろな意味で御心配をいただくような文面があったこと、それは本意ではございませんけれども、そのようなイメージであったという意味で誤解をされた皆様方がおられるということに関しましては、真摯に我々、そうではないということをさらにお伝えさせていただきながら、御心配いただいたことには申しわけないというふうに思っておるわけでありますけれども、決してそのような意味合いの法改正ではないわけでございます。
 もちろん、不正受給をしておられる方々に対しては、これは厳正なる対応をしていくわけでございますけれども、真面目に生活保護を受けられて、そして自立に向かって頑張る方々、そしてまた、自立ができずに、それは、いろいろな病や御年齢や、いろいろな問題があると思います、そういう中において、生活保護を使われて幸せな生活を送っていただくという方々がおられるわけであります。
 そのような意味からいたしますれば、生活保護制度の本来の趣旨にのっとって、我々は法改正があったといたしましてもしっかりと運用をしていくわけでございますので、御心配のないような形で、さらなる御心配がある点は各自治体に通知もさせていただきながら、御懸念のないような形で、法改正という中においての生活保護制度を進めてまいりたいというふうに思っております。

○高橋(千)委員 資料の二枚目を見ていただきたいと思うんです。
 「国内における餓死者の推移」、これは厚生労働省の数字を拾って、図書館で作成をしていただいたものですけれども、二〇〇〇年が栄養失調と食料不足合わせて千三百十四人から、今、二〇一一年が千七百四十六人にも上っています。まさに、経済大国と言われる日本で餓死者がこれだけの人数がいるということは、非常に重大な重みがあるのではないかと思います。午前の部から議論されている大阪の三歳の子供の案件も、まさにそうした中の一つではなかったかと思っています。やはり、これが保護に結びついているかどうか、あるいは却下とかそういうことがあったのかどうか、そういうことも含めてもっと調査をして、こうしたことが本当に起こらないようにする。
 そして、既に、ライフラインが、例えば水道、ガスがとまっていたら通知をするなんということは、もう十年も前から通知はしているわけですよ。だけれども、なかなか、同じようなことが繰り返されるのは何なのかということは、やはりそれはさっき言ったアナウンス効果の問題もありますし、私は、保護のハードルをもっと下げて、下げた後で不正の問題とかいろいろあればそれは正していく、そういう、姿勢を転換するというのが一つ求められるんじゃないかなと思いますが、いかがでしょうか。

○桝屋副大臣 今のこのお配りいただいた資料については、いろいろな分析があるんだろうと思います。
 ただ、保護のハードルを低くするということだけではない、やはり地域のそういう方々を、要援護あるいは保護を必要とされる方々を見守るという体制、こうした地域福祉の体制をしっかり広げていくということが同時に大事なことではないかと思っております。

○高橋(千)委員 私は別にばらまけと言っているわけではなくて、その後できちっとやればいいということなんですよ。いろいろなことよりも、命を救うことというのはやはり最優先じゃないですかと。本当にもう死にかけたところに行って初めて保護になるというのでは、立ち上がることも、脱却することもできないんですよ。そういうことも言わなければならない。
 ちょっと飛ばしますけれども、一枚目に、「不正受給の状況」というデータもあります。
 これも、やはり保護費に占める不正受給の割合というのは〇・五%にすぎません。そして、その内訳は、稼働収入の無申告が四五・一%とか、過少申告が九・六%とかが圧倒的に多いですよね。だから、どちらかというと、うっかりだとか、あるいはよく制度を知らなかったということが多いのではないかと思うんです。ですから、悪意のあるものがあるとすれば、「その他」の部分かなと思うんですが、そこら辺を一緒くたにしてはならないと思うんです。
 その分析と、まさかそこに対しても全部厳しく罰金ということはないと思いますが、確認をさせてください。

○桝屋副大臣 きょう、ずっと不正受給の話もこの委員会で出ておりますけれども、今回の制度見直しにおいて、罰則の引き上げでありますとか、あるいは不正受給に係る返還金の加算とか、かなり厳しい内容もあるわけでありますが、今委員からお話がございましたように、不正受給の中には、単に申告を忘れた、失念をした、あるいはちょっとおくれたとか、必ずしも悪質とは言えないものもあることは承知をしてございます。そういうケースを未然に防ぐため、収入申告義務の周知の徹底などに取り組んでいかなきゃならぬというふうに思っております。
 今申し上げましたように、こうした全てのケースに今回の制度見直し、罰則強化を適用する、一律機械的な適用を行うということを考えているわけではありません。あくまでも不正受給事案の内容に応じて適用を、それぞれ福祉事務所長の判断で行ってまいりたいと思っているところでございます。

○高橋(千)委員 ありがとうございます。
 そこで、問いをもとに戻しますが、生活保護のことが繰り返しテレビで取り上げられるようになって、私が昨年、一体特の委員会で質問したときに紹介をしたんですが、買い物に行くにも、買い物かごの中を見られているような気がする、肩身が狭いという声がありました。
 今回、家計の支援ということが盛り込まれたわけですけれども、保護課が、見せなさい、それも家計の管理の一環ですよとなったら、いよいよもって、見られているじゃなくて見せなきゃいけないのかと。領収書をとっておきなさいということもありますので、どこまでやるということなのか、具体的にお願いします。

○村木政府参考人 今回、健康管理、それから適切な支出等々の把握ということをぜひ御本人にやっていただこうというふうに思って、法律に書き込んだところでございます。そういう意味では、このことの目的は、最後は自分で家計管理ができるようになっていただく、それから、お金の使い方を、上手に使っていただけるようになるということが今回の改正の目的でございます。
 収入、支出その他の生計の状況をきちんと把握するために、では、レシートをとっておきましょう、領収書を保存しましょう、それで家計簿をつけてみましょうというようなことを助言することでよりよく家計運営ができる人、もともとそういうところに課題を抱えていて、そこを指導すれば御本人の自立につながると思う方に限ってやっていきたいというふうに思っております。
 そういう意味では、全ての人に全部家計の状況を見せなさいということでやるということは考えていないところでございます。

○高橋(千)委員 基本的には保護費を何に使うかというのは自由だということでよろしいですよね。
 やはりそれは、アルコール依存症ですとか、買い物依存症ですとか、病的に何か支援をやらなければならないということに対して支援をするというのはいろいろな仕組みをつくる必要があると思うんですけれども、何かそれが、本当にわずかな保護費の中でのささやかな楽しみまで全部管理をされるのかということがあってはならないわけです。
 しかし、現実にそれが条例になったのが、兵庫県の小野市の条例でありますけれども、ここは私は三つ問題があると思っています。
 それは、生活保護費だけではなくて、児童扶養手当とかその他福祉制度についての金銭給付についても対象になっている。もう一つは、パチンコ、競輪、競馬その他ということで、何か、範囲がどこまで広がるんだろうということ。そして三つ目が、市民に通報の責務を与えている。
 こうなるとさすがに、ささやかな楽しみどころか、パチンコをやる人は皆通報しなさいではないですけれども、そういう極端なことになってはならない。
 しかし、これは、別に、小野市が条例をつくったのが最初ですけれども、ホットラインということで、寝屋川などでも市民に通報を呼びかけていますし、不正受給を、やりますよということが余り強くなりますと、結局、監視社会ということに、市民が市民を監視する、そういう肩身の狭い社会になっていくおそれもあるわけですね。
 やはりそこは違うんじゃないかというふうに思うんですけれども、大臣に一言見解を伺いたいと思います。

○田村国務大臣 適切でない生活保護費の使い方ということで事例を挙げられて、一定の見守りというような形でお考えになられたということだと思います。
 地方自治の中でそのようなお考え方、趣旨等々は、市長さんに話をお聞きしますと、見守りであるというようなお話でございますので、注目をしながら拝見をさせていただいております。

○高橋(千)委員 見守りが監視にならないように、本当に、みんなで足を引っ張り合ってしまうというつらい社会には絶対ならないように、重ねて指摘をして、終わりたいと思います。

質問の映像へのリンク

http://www.youtube.com/watch?v=hljcXRgJs0w&list=PLrB7SAgyEZKKxdYAFtF3dzau-ftYrJhVk&index=3

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