国会質問

質問日:2013年 6月 5日 第183国会 厚生労働委員会

ハンセン病療養所の療養体制拡充を

(写真)質問する高橋ちづ子議員=5日、衆院厚生労働委

(写真)質問する高橋ちづ子議員=5日、衆院厚生労働委

 日本共産党の高橋ちづ子議員は5日の衆院厚生労働委員会で、国立ハンセン病療養所の療養体制充実を求めました。
 高橋氏は、誤った国の隔離政策によって起こされた問題であり、解決に向けて全力をあげる責任が政府にあると強調。田村憲久厚労相は「政府に課せられた責任であることを認識し、適切に対応していく」と答えました。
 高橋氏は今年度に79人の賃金職員が定員化(正規雇用への転換)されたことを評価しつつ、定員については、減員分と同数を増員しただけのつじつまあわせで、実質増えていないと指摘。秋葉賢也厚労副大臣は「現場での実質的なマンパワー強化につながるように検討しなければならない」と答弁しました。
 高橋氏は、看護師の欠員が99人にのぼることを指摘。多磨全生園の付属看護学校の卒業生への待遇改善などの支援による働きかけなどを提案しました。田村厚労相は「一つの提案として、調査したい」とのべました。
 高橋氏は、入所者の平均年齢が82歳となりハンセン病後遺症で、一般の高齢者より介護の必要性が高いことを指摘。「入所者の数が減っても介護の人手は増えている。入所者の声に応えてほしい」と強調しました。
(しんぶん赤旗 2013年6月11日より)

 

――― 議事録 ――――

○高橋(千)委員 おはようございます。日本共産党の高橋千鶴子です。
 委員各位の皆さんに、今回、順番のことで御協力いただきましたこと、お礼を申し上げます。
 きょうは、ハンセン病療養所の療養体制の問題について質問をしたいと思います。
 資料の一枚目に、国立ハンセン病療養所における療養体制の充実に関する決議、これは平成二十一年の七月九日に全会一致で上げられたものであります。私の地元青森県出身の津島雄二元厚労大臣が、議員懇談会の会長として、この決議の提出者として趣旨を読みました。まさに、全会一致で、超党派で本当に一緒に力を合わせて進めてきた問題であります。
 アンダーラインのところに書いてありますけれども、
  国は、平成二十年六月に成立したハンセン病問題の解決の促進に関する法律の趣旨も踏まえ、国立ハンセン病療養所における入所者の療養の質の向上を図り、入所者が良好かつ平穏な療養生活を営むことができるようにするため、その責任を果たす必要がある。
  政府においては、国の事務及び事業の合理化及び効率化の必要性は理解しつつ、入所者の実情に応じた定員の在り方及び療養体制の充実に万全を期すべきである。
これは前にもこの委員会で言ったんですけれども、「合理化及び効率化の必要性は理解しつつ、」というこの一文が入ったことを、私、実は議懇で発言しまして、これがあるとなかなか後で響くよということだったんですが、何とか全会一致にするために理解をしてほしいと。しかし、その思いは、やはりハンセン病療養所は定員削減の国の計画から除外してほしいんだという趣旨が込められて、みんなで決議をしたという経過がございました。
 きょう、改めてこの問題を取り上げる理由は、六月二十一日に、下に書いてあります「らい予防法による被害者の名誉回復及び追悼の碑」、これの記念日がまたやってくるということがあるのと、五月三十日の総務委員会で、維新の会の議員の方がハンセン病問題について発言をされました。入所者が減っているのだから、介助者、介護員は現状以上の定員を維持しても、事務職員の削減とかは、影響はないのではないか、コスト削減になるんだというふうな質問があったわけです。
 同じ委員会の中で、我が党の塩川議員が、この問題についての経緯など、詳しく取り上げておりましたので、御理解いただけたのかなと思いますけれども、やはり新しい方、若い方がたくさんいらっしゃっている国会ですので、改めて、その意義を投げかけていく必要があるのではないかと思ったからであります。
 らい予防法という国の誤った隔離政策のもとで、どれだけの人生が狂わされ、人間の尊厳が奪われたのか。二万五千七百八名の物故者のうち、亡くなっても、ふるさとに帰れず、納骨堂におさめられている御遺骨は一万六千二百三十体もあるということ、また、当初は、その火葬ですら入所者自身がみずからの手で行っておりました。
 併設されている資料館、これは多磨全生園に四月に行ってまいったんですけれども、そこでたくさんのリアルな資料、たくさんあったんですけれども、その中にあった本当にシンプルな言葉が一番胸に響きました。それは、取り戻せていないもの、四つある、家族とのきずな、入所前の生活、人生の選択肢、社会との共生。この言葉は大変胸に響きました。どれも取り戻せていないのが実態ではないか、このように思っています。
 二〇〇九年から、六月二十二日は、先ほど紹介したように、名誉回復及び追悼の日として、前庭で式典を行っています。しかし、昨年の式典においても、原告団代表の谺雄二さん、これで勝訴したと言えるのかと発言されました。大臣を目の前にしてです。また、全療協の神美知宏会長も、基本法や決議がされたのに何も変わっていないと怒りの声を上げました。
 なぜ当事者たちはそのように述べているのでしょうか。改めて、大臣に、ハンセン病問題の残された課題について認識を伺いたいと思います。

○田村国務大臣 今、高橋委員から、本当に、このハンセン病という、大変な、国が反省しなきゃいけない、そういう問題に対して、経緯も含めてお話をいただいたわけであります。
 国によるハンセン病隔離政策でありますとか、さらには、らい予防法等々によって、ハンセン病患者の方々、被害者の方々ですね、被害者の方々に対して、大変な偏見、差別、これはもう筆舌に尽くせぬ苦難、苦痛、そういうものを与えてきたわけでございます。これに対しては、本当に国は真摯に反省をしておるわけでありますし、これからも反省をしなければならない、このように思っております。
 謝罪をしていくわけでありますけれども、ハンセン病問題の解決の促進に関する法律、これ等々の趣旨を踏まえて、今委員がおっしゃられたとおり、しっかり対応していかなければならないというわけであります。
 ハンセン病患者であった方々などの福祉の増進でありますとか、それから名誉の回復など、本当に、まだまだ解決をしていかなきゃいけない課題があるわけでありまして、その促進に向かって、我々、その認識というものを新たにしていかなければならないわけでありますが、今お話がございました、国のいろいろな、合理化等々、財政的な問題もあるのは確かでございます。
 しかし一方で、このような入所者の方々、今、まだまだ、国立ハンセン病療養所の中には入所しておられる方々がたくさんおられるわけでございまして、そのような意味で、この後遺障害でありますとか、そもそも、高齢化の中で平穏な療養生活をなされるために、いろいろな対応が必要なわけでございまして、その体制等々、これは介護等々の体制も含めてでありますけれども、整備をしていく、そんな必要があるというふうに我々も認識をいたしておるわけであります。
 いずれにいたしましても、この国立ハンセン病療養所の療養体制でありますとか、そもそもの生活の保障、社会復帰の支援、日常生活や社会生活の援助、さらには名誉回復、そしてまた、お亡くなりになられた方々の追悼、そして親族の方々に対する援護、こういう問題に対してこれからも適切に対応していくということが、我々、国、政府に課せられた大きな課題であるということは認識をいたしておるわけでございますので、その趣旨も踏まえて、しっかりとした対応をさせていただきたい、このように思っておるような次第でございます。

○高橋(千)委員 ありがとうございます。
 資料館に行ったときに、桝屋副大臣の大きな写真がありまして、坂口大臣、そして小泉総理大臣のときに、熊本地裁判決を終わらせる、そういう決断をされました。まさにその当時の副大臣であったということで、きょうは無理を言って答弁をお願いしたわけであります。
 多くの人は、その地裁判決が終わったことで、ハンセン病問題は終わっていると思っている方もたくさんいらっしゃるわけですよね。だけれども、その後も、改めて基本法があり、さらに決議をするということをやってきました。それでもまだ変わっていないと原告団がおっしゃっているのは、どういうことなのか。
 大臣は、先ほど、本当に心のこもった答弁をしていただきましたけれども、二枚目にあるように、昨年と同数の定員の確保ということで、両議懇の意図も酌んで努力をしてくださったことには大変感謝をしたいと思います。
 ただ、それでもまだ現実は足りない。なぜか。そのことについて御認識をいただきたいと思うのと、昭和五十八年の閣議決定で、技能職はもう不補充なんだということがあるんだということが、ずっと言われてきたんですよね。だけれども、やはり、介護の現場は今三十人ふやしました。それは、真に必要な場合は除くんだということで、厚労省としても意識をしてやってきたということで理解をしてよろしいのか、確認をさせていただきたいと思います。

○田村国務大臣 国立ハンセン病療養所の二十五年度の定員に関しましては、昨年七月に、入所者の皆様方の協議会において、この療養所の定員削減が続いているということに対して、強い抗議、これは、それこそ実力行使といいますか、ハンガーストライキも辞さないというような、そんな強い思いの中で決議がなされたわけであります。
 これを受けて、昨年八月に、超党派で議員懇談会という形で、これに対して官房長官への申し入れが行われた、そのように認識いたしております。
 その後、真摯な検討を行われたということでございまして、大幅減少している現状に歯どめをかける必要があるということでございまして、今般、このような形になったわけでございます。充実した介護体制を確保するという意味では、今委員がおっしゃられた、そんな中での今回の決定ということでございます。
 実は、私のところにも、本年一月二十四日、皆様方にお越しをいただきまして、いろいろと御意見をいただきました。私の方からは、今般の体制、定員自体は、削減した上で補充という形で、変わらないというお話をさせていただきました。
 それでもまだ十分に御理解をいただけない点があることも、重々我々も承知をいたしておるわけでございますが、一方、合理化、効率化に配慮しつつといいますか、そういうような、しつつという言葉が委員は気に入らないというお話でございましたが、まさにそのような中においての、今回の、定員数というもの自体は、減らしてふやすという何かわけのわからないいびつな形ではありますけれども、一定の確保をさせていただきながら、一方で、賃金職員に関しても、必要なものに関してはしっかりと対応させていただきたいというような思いも申し上げる中において、十分には納得はしていないけれども、一生懸命頑張っている、その姿勢は理解はする、そのような形の中でのお話でございました。
 こういうようないろいろな問題に関して、これからも、今おっしゃられた国会決議、こういうものもあるわけでございまして、このような形を踏まえつつ、入所者の方々の良好な生活というものを我々はしっかりと確保していかなければならないわけでございまして、二十六年度に関してのことも大分そのときに御要望をいただきました。
 二十六年度でございますから、私の方からはまだ確約的なことは言えないわけでございますけれども、精いっぱい努力はさせていただきますというような御返答をさせていただいたわけでございまして、我々は、この国会での決議を含めて、いろいろな経緯、こういうものをしっかりと認識しながら対応してまいりたい、このように思っておるような次第でございます。

○高橋(千)委員 いろいろ突っ込みどころ満載なんですが、ちょっと個別具体の話で進めていきたいなと思います。
 今お話しいただいたように、努力をしていただいて、資料の二枚目にあるように、四十九名の増員に対して定員削減は四十九名、これは欠員の不補充などで削減枠をとったんだということなどがありまして、プラマイ・ゼロではあります。
 それをめくっていただきますと、全国の十三の療養所の定員に対してのプラマイがありまして、行政職(二)のところが、三十プラスで、減ったのも三十ということで、見事につじつまが合っているということになるわけです。
 さらに、今大臣がおっしゃってくださった賃金職員、それから期間業務職員、これは同じことを言っていますけれども、呼び方が変わっただけであります。これが、定員化をお願いしたいということをずっと私は言ってきまして、七百名近い方がまだ残されているんだ。二十四年度が二十六名定員になった、二十五年度は七十九名定員化になった。この点では、田村大臣になってから大きくふえたという点では、大変ありがたいと思っています。
 ただ、大臣自身が一月二十四日に約束をされましたように、賃金職員が定員化して、その後補充をしなければ頭数は変わっていない、そういうことになるわけですよね。この点で、やはりもう一息頑張らないと全体が変わらないよということになりますけれども、いかがですか。

○秋葉副大臣 今、田村大臣から答弁させていただきましたとおり、大変厳しい財政状況、定員管理の状況下ではありますけれども、田村大臣のリーダーシップのもと、昨年の二倍に当たる七十九名の賃金職員の定員化を図ったところでございます。
 これからも、先生のお気持ちは本当にそのとおりだと思いますし、私の地元にも施設がございます、入所者の高齢化の進展に伴う介護ニーズというものを十分に勘案しながら、しっかりと対応してまいりたいと考えております。

○高橋(千)委員 しっかりとの中身なんですね。このテンポでいきますと、やはり十年ぐらいかかっちゃうわけですよ。
 それと、これまで長い間、賃金職員として本当に低賃金のもとで患者さんの全てを支えてきたという、まさに、当初は強制労働、全てを入所者自身が行っていた、それをこの賃金職員の皆さんが補ってきたという歴史があるわけですよね。そこもきちんと見てあげて、待遇の面でも、全く新採用と同じではなくて、そういう面でもちゃんと見てあげなければならないし、定員になった分だけ人手がふえたよというのが目に見えないと効果も上がらない、この点でも認識は一致してよろしいでしょうか。

○秋葉副大臣 今後とも、高橋委員御指摘のとおり、現場での実質的なマンパワーの強化につながるように検討していかなければならない課題だと認識しております。

○高橋(千)委員 時間がなかなかないので、続けて言いますけれども、資料の五を見ていただきますと、さっき私が言ったように、減らすというのは、欠員をそのまま、要するに削減のカウントにしているということなんですよね。それが全国でこんなになってしまっていて、欠員数、看護職員の場合は九十九名にもなっております。そして、育児休業が現在二十五名、病気休職八名。
 ですから、欠員が補えないだけではなくて、年度の途中で退職をされたり休まれたりする人たちに対して、何の手当てもできていない。これでは、プラス、マイナスにしただけでは、つじつまが合わない、まるっきり合わない、こういう現状があるのです。
 ちょっと時間の関係で提案を含めて言いますけれども、例えば、多磨全生園には附属の看護学校があります。看護師さんというのは、不足している、不足していると全国的によく言いますけれども、でも、せっかく附属の看護学校があるんですね。定員が二十名で、昨年度までに八百五十四名の卒業生を出しています。ところが、残念なことに、去年は三名の卒業生が就職しました、ことしはゼロだったんです。
 せっかく附属の看護学校があって、専門の仕事をやっておきながら、そこに残ってくださらない。やはり、それは、残念ながら、待遇の問題ですとか、専門性を磨く魅力の点でもなかなか不十分なものがある。しかし、意義ある仕事なんだという点で、頑張ってほしいという思いがあるんです。
 だから、道はあるんですから、そこにもうちょっと支援をしてあげて、人が残るような手だてをとっていくという点で提案をさせていただきますが、どうでしょうか。

○田村国務大臣 どういう状況なのか、よくよく調査してみなきゃわからないわけでありますけれども、一つの提案だということでございます。もちろん、それぞれ、看護学校があるといっても、御自身の意思というものもあるわけでございますので、それを確認しつつ、今いただいた提案というものをいろいろとこちらの方でも精査をさせていただきたいというふうに思います。

○高橋(千)委員 よろしくお願いいたします。
 昨年五月一日のハンセン病療養所入所者数は二千百三十四名で、平均年齢八十二・一歳でした。ところが、ことし五月では千九百七十九名になり、八十二・六歳。本当に、残された時間は少ないです。
 全療協の神会長は、毎年の国会請願にも出てこれない自治会長さんがふえたと大変に危機感を感じて、昨年、十三園全部を回り、実態を調査いたしました。そこで浮き彫りになった実態は、寝たきり不自由者が百七十四名、要食事介助者が六百九十八名、失禁やおむつ介助者が四百七十名、認知症は五百二十二名にも上ります。
 なぜハンセン病元患者が一般の高齢者より介護の必要性が高いのか。これは、邑久光明園の青木副園長が解説をしておりますが、ハンセン病後遺症には二つ特徴があるんだ、目、手、足と後遺症が複数の部位に生じている、また、神経の麻痺が、運動麻痺だけではなくて、知覚麻痺や自律神経麻痺も生じるんだと。だから、目が見えなくて食事が不便だというだけじゃなくて、手も使えない、だから皿を動かして介助してあげることが必要なんだ。自律神経の麻痺のために汗が出にくくなって、乾燥しやすいために、お風呂が週三回ではだめだし、逆に、夏になると、麻痺が残っていないところからは大量に汗が出てくるので、頻回の入浴が必要なんだ。あるいは、徘回する認知症患者に対しては、人手がなくて、精神安定剤を多量に投与されて眠らされている、こういう実態がございます。
 だから、本当に入所者の皆さんが繰り返し述べている、たとえ減っていても介護の人手がふえているというのは、そういう実態があるのだということを重ねて指摘したいと思います。
 きょうは、残念ながら、もう一度答弁をお願いしたかったんですが、時間になりましたので。
 しっかり対応していただくという答弁はありました。しかし、そのしっかりの中身を本当に具体的なものにしていただかなければ、本当にもう時間がないんだ、もう誰も国会に出てきて訴えることさえできないんだと言われている現状なんだということで、そこを踏まえていただいて、六月二十一日の記念日を、大臣、しっかりと応えていただけるようにしていただきたいということを要望して、終わりたいと思います。
 ありがとうございました。

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