国会質問

質問日:2015年 6月 17日 第189国会 厚生労働委員会

労働者派遣法改悪案

派遣法改悪案 禁止行為誘発の欠陥
高橋議員追及 派遣先が労働者を選別 

 日本共産党の高橋千鶴子議員は17日の衆院厚生労働委員会で、労働者派遣法改悪案で、期間制限(3年まで)に達した派遣労働者でも、別の部署に移せば使い続けられることについて、派遣先が派遣労働者を選別する「特定目的行為」につながると追及しました。
 特定目的行為は、派遣先が派遣労働者を採用するに等しく、労働者供給業に該当するとして、派遣法で禁止されています。
 高橋氏の質問に坂口卓派遣・有期労働対策部長は、「派遣先の要請にもとづいて、派遣先が決定される場合は特定目的行為があったものと判断される」と認めた上で、どこの課に誰を移すかについては「派遣労働者の評価が高いことをふまえて、派遣元の判断で派遣する」と説明しました。
 高橋氏が「どうやって評価を得るのか」とただすと坂口氏は、派遣労働者の業務遂行状況などの情報を派遣先が派遣会社に提供すると定めていると答弁。
 これに対し高橋氏が「派遣労働者の選別につながる通信簿だ。個人単位の期間制限と一体となって、派遣労働者の特定につながる」と指摘すると、坂口氏は「情報提供は処遇や教育訓練を考えるためだ」というだけで禁止行為につながることを否定できませんでした。
 高橋氏は、マツダの「派遣切り」裁判で、同じ労働者が請負社員から派遣労働者、サポート社員と形を変えて使われ、山口地裁が「もはや派遣と評価できない」と断罪したことを示し、特定目的行為は派遣制度の根幹を揺るがすものだと指摘。塩崎恭久厚労相は、「誰を派遣するか、派遣元が決めるものだ」と、根拠もなく繰り返しました。高橋氏は、「これは法改正が禁止行為をよびこむという法案の欠陥だ。廃案にするしかない」と強調しました。
(しんぶん赤旗2015年6月18日付より)

 

――議事録――

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 先週金曜日、十二日の委員会は、理事会での合意が得られないまま派遣法案の質疑が終局とされたこと、極めて残念に思います。
 本日、補充的質疑の機会をいただいた、このことを多として、派遣法案について、機会を生かし、質疑をさせていただきたい、このように思いますけれども、ぜひ、今後、やはり与野党合意を追求しながら、引き続き議論は深めていった方がよい、きょうの議論を見ても、強くそのことを求めたい、このように思います。
 質問に入りますけれども、きょうは一枚だけ資料をお配りしております。これは、私が五月二十九日に本委員会で質問したのに対して、資料を要求いたしました。厚労省が、六月二日の理事会に提出をいただいたものであります。タイトルが「個人単位の期間制限が特定目的行為につながらない理由について」。
 これはどういうことかといいますと、私の質問の趣旨は、今回新しく導入される個人単位の期間制限、最大三年までとして、課を移すとすればずっと同じ派遣労働者を受け入れることができるというものであります。これは、三年ごとにキャリアの見直しができるんだなどという説明がされたと思うんですけれども、しかし、やはりAさんは総務課がよいというように誰が決めるんですかと質問しました。そして、これは派遣法で禁止されている特定行為につながるのではないかと指摘したのに対しての答えであります。
 丸が五つあるわけですけれども、まず、丸の一つ目、当たり前のことを言ってあります。「派遣先にどの派遣労働者を派遣するかを決定するのは、派遣労働者と雇用関係にある派遣元である。」
 確かに、派遣法第二条第一号には「自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させること」と書いてあるわけですから、雇用主は派遣元、派遣会社であるわけです。だから、決定するのは派遣元であるということがまず一つ目の確認だったと思います。
 かつ、丸の四つ目です。こんなふうに書いてあります。「例えば、派遣先が、個人単位の期間制限に達した派遣労働者を別の部署に派遣して欲しいと派遣元に要請し、当該要請に基づいて派遣元が当該派遣労働者を派遣した場合は、特定目的行為となることから指導の対象となる。」
 つまり、何度も指摘をしたように、Aさん、Bさんと決め打ちすること、それは特定目的行為になるからだめなんだということを再確認したいと思います。
○坂口政府参考人 今委員の方から御指摘ございました、今回の改正で個人単位の期間制限を創設いたしますけれども、この特定目的行為に関する法律の規定というのは変わりませんので、特定目的行為が行われた場合には指導の対象となります。
 今委員の方から御紹介いただきましたとおり、派遣労働者が個人単位の期間制限に達した際に、派遣先が当該派遣労働者を別の部署に派遣してほしいと派遣元に要請する、それを受けて、派遣先の要請に基づいて派遣労働者が決定されるという場合につきましては、いわゆる特定目的行為があったものということで判断されますので、私どもとして、指導の対象となるものでございます。
○高橋(千)委員 まず確認いたしました。
 そこで、私は、やはりこの問題、大変こだわるんですけれども、制度の根幹にかかわる問題だと思っているからであります。
 大臣に伺いますが、丸の二つ目、「派遣先は、」「特定目的行為をしないように努めなければならないこととされている。」と、当たり前のことを書いているんです。労働者派遣法第二十六条七項、今、部長もお認めになりました。
 では、改めて基本を伺いたいと思うんですが、なぜ派遣が特定目的行為をしてはならないのか、お答えください。
○塩崎国務大臣 現行の労働者派遣法では、いわゆる事前面接などの特定目的行為を禁止している趣旨というものは、雇用関係のない派遣先が派遣労働者の就業に影響を及ぼすことが、職業安定法で禁止されている労働者供給事業につながるおそれがある、それから、派遣労働者の就業機会が不当に狭められるおそれがある、この二つの理由があるためだというふうに理解をしております。
 労働者派遣制度が労働者供給事業の禁止の例外として位置づけられている趣旨からも、特定目的行為の禁止は重要な考え方であるというふうに考えております。
○高橋(千)委員 正確に答えていただきました。労働者供給事業の例外である。
 結局これは、誰を続けてほしいのよみたいに特定をしてしまうと、これはもう派遣先と派遣労働者の間で雇用関係が成立するということになってしまうわけですよね。だから、これは、労働者供給事業を職安法四十四条で禁止されているにもかかわらず、そこに該当する可能性があるということと、就業機会がその結果として不当に狭められる可能性があるということを確認させていただきました。
 その上で、今回、三つ目には、「今回の改正により個人単位の期間制限を創設するが、特定目的行為に関する法の規定は変わらず、仮に特定目的行為が行われた場合には、指導の対象となる。」ということを書いていただいています。
 つまり、丸五つのうち四つまでは、特定目的行為というのはいかぬのだということをるる説明しているわけですね。これは、私がずっと言い続けてきたことをちゃんと厚労省は認めていただいている。
 ですから、私が質問したのは、個人の期間制限を設けることによって特定目的行為につながるおそれがないかということを聞いたわけです。イコール目的行為だと言ったのではなくて、つながるおそれがないかということを指摘したんです。
 ですから、これは、場合によっては、行われた場合は指導の対象となると言っているわけですから、つながることもある、だから、そうしちゃいけないよということを、私が指摘したとおりである、これは確認してよろしいですね、部長。
○坂口政府参考人 お答え申し上げます。
 今委員御指摘のように、個人単位の期間制限を設けたということで、個人単位の三年の期間制限の後に、同じ派遣労働者を同じ派遣先の異なる組織単位に派遣するかどうかということは、新たな派遣契約に基づきまして、誰が判断するかというと、派遣元事業主である派遣会社が判断するということになりますので、今ここも委員おっしゃったとおりで、個人単位の期間制限そのものが特定目的行為の禁止への抵触ということはないということかと思いますが、今議員は、つながるおそれがあるのではないかという御質問かと思います。
 直ちにそれがつながるということではないですけれども、理事会協議事項でも、ペーパーの方にも出させていただいたとおり、先ほども御答弁しましたとおり、派遣先が、個人単位の期間制限に達した際に、別の部署に当該労働者を派遣してほしいということを派遣元に要請しまして、派遣先の要請に基づいて派遣先が決定される場合は、いわゆる特定目的行為があったものと判断されて、私どもとしては、指導するということでございますので、そういった案件にならないように、私どもとしては、しっかり注視をした上で、そういった場合が出てくるということであれば、必要な指導をしっかり行ってまいりたいと考えております。
○高橋(千)委員 つながるおそれがある、即ではないけれども、おそれがあるということをお認めになったと思います。
 六月二日の参考人質疑でも、全労連副議長であり全日本金属情報機器労組中央執行委員長の生熊茂実参考人が次のように述べておられます。「派遣労働は業務の遂行能力だけが必要とされています。派遣先による個別の労働者の特定は許されません。それは、派遣先による雇用と同じことになるからです。 ところが、人を単位にし、課をかえて派遣労働を続けさせるということになれば、それは必ず個別労働者の特定、選別につながる、」と指摘をしています。これは当然、現場を知っている方は、当たり前だ、特定になるじゃないか、つながるじゃないかとおっしゃっている、そういうことだと思うんですね。
 では、特定しないでどうやって個人単位の期間制限を運用できるのか。厚労省の答えは、最後の丸であります。「一方、派遣先においてある派遣労働者の評価が高いこと等を踏まえ、当該派遣労働者が個人単位の期間制限に達した後に、派遣元の判断で、当該派遣労働者を派遣先の別の部署へ派遣した場合は、特定目的行為とはならない。」
 全く意味がわかりません。評価が高いというのは、ひょっとして、風のうわさですか。
○坂口政府参考人 お答え申し上げます。
 この六月二日付のペーパー、委員が配付していただいておりますペーパーの一番下の丸のところでございますけれども、これは、派遣先において派遣労働者の評価が高いこと等を踏まえということでございますが、今回、実は派遣法の改正の四十条の第六項におきまして、派遣先に対して、派遣労働者の業務の遂行の状況でありましたり、その情報で一定のものについては必要な協力をということで、派遣元に対して、派遣会社に対してそういった情報の提供に努めるという努力義務を課しております。
 これは、心は、どういう趣旨かといいますと、派遣会社の方で、派遣労働者の方が派遣先でちゃんと仕事ができているかということについての情報を得て、派遣労働者の評価、処遇でありましたり、さらに、どういった教育訓練をできるようにするかということを派遣会社にしっかり考えてもらうために、情報の提供の努力義務を設けているということでございます。
 そういったものを通じて、派遣会社が派遣労働者について、どういったところが向いているかということについて判断するということについて考えるということで、先ほど申し上げたような、派遣先がこの派遣労働者がいいということを言っているという趣旨とは異なるということを述べておるということでございます。
○高橋(千)委員 やはりそれを出してきましたね。それしか答えが出ないと絶対思いました。
 これは、昨年私が、四十条の六項、「派遣労働者の業務の遂行の状況その他の情報であつて当該措置に必要なものを提供する等必要な協力をするように努めなければならない。」これは派遣労働者の要するに選別につながる、通信簿だ、そういうことにならないかということを指摘しています。だって、派遣先が、この人はどうやって働いている、働きぶりがいいよということを派遣元に情報提供するということでしょう。
 これは、今の期間制限のあれと一体となって、結局、特定につながるじゃないですか。違いますか。
○坂口政府参考人 先ほども申し上げましたとおり、この四十条の第六項の情報の提供についての努力義務というものについては、派遣会社が派遣労働者の方の処遇であったり教育訓練ということについてどう考えるかというために行っていただくということでありまして、あくまで派遣会社が決定する、派遣労働者をどこに派遣するか、あるいは誰を派遣するかということに資するようにという趣旨で設けているというものでございまして、委員御指摘のような、派遣先が派遣労働者を特定するための材料ということではありませんし、情報提供すること自体が特定をするという趣旨ではないということでございます。
○高橋(千)委員 だから言ってるじゃないですか。これは、去年私が、派遣先が通信簿をつけて選ぶことになるんだと指摘したときに、今おっしゃったように、教育訓練を適切にやるための情報提供なんだとおっしゃったんですよ。それがどうして、「派遣労働者の評価が高いこと等を踏まえ、」このことにつながるんですか。特定行為を避けるためにこれを利用する、そういう趣旨ではなかったはずです。
 答弁をもう一回整理してください。できなければ、理事会にもう一度出してください。
○坂口政府参考人 お答え申し上げます。
 あくまで、今申し上げたとおり、最終的に、期間制限に達した後にどの部署に誰を派遣するかということは、派遣会社、派遣元の判断であるということでございますし、その点について、個人単位の期間制限との関係で特定目的行為につながらないということを申し上げているということでございます。
 繰り返しになりますが、四十条の六項というのは、そういったことを派遣先が特定するということではなくて、あくまで情報の提供ということで、派遣会社における処遇の改善、教育訓練のためということでございますので、その観点は違うということでございます。
○高橋(千)委員 これは詭弁でしかありません。断じて認められません。
 同じ論点ですが、少し違う角度から質問します。
 例えば、期間制限のある中で、派遣先が一定期間クーリングを置いた、その後に再度同じ派遣労働者を受け入れることをあらかじめ決めておいた、これも特定行為ですね。
○坂口政府参考人 お答え申し上げます。
 今の点につきましては、まさに委員御指摘のとおり、一定のクーリング期間の経過後に同一の業務に同一の派遣労働者の派遣の受け入れということを、今委員の御指摘ではあらかじめ決めておくという御趣旨でございますので、その点につきましては、特定目的行為に該当するということで考えております。
○高橋(千)委員 確認いたしました。
 これは、山口県防府市のマツダ防府工場を雇いどめされた元派遣社員十五名がマツダを相手取り地位確認を求めた訴訟、これで確定をしております。二〇一四年七月二十二日、広島高裁で和解が成立をしています。
 これは、山口地裁で、二〇一三年三月なんですけれども、要するに、クーリング期間が三カ月なので、三カ月と一日だけ、サポート社員と呼んで直雇用をして、またもとに戻すんですね、同じところに。これは、常用雇用の代替防止に触れるということで、実質的にもはや労働者派遣と評価できないということを判決に明確に書いて、黙示の労働契約を認める判決をいたしました。
 また、この訴訟に先立って、労働局が動いています。山口労働局が、本件について、職安法四十四条違反、労働者派遣法四十条の二違反を指摘する是正指導を行ったわけです。
 これは、結局、これを争ったときに、特定行為が一つの鍵になるわけですよね。つまり、特定しているからこそ、わざわざクーリング期間を置いて同じ派遣先に雇用されるわけですよね。次また戻ってくるからねということをお互いに約束しているわけですよ。
 もともと彼らは請負社員でした。それが、製造業への解禁を契機に派遣労働者となり、三年で期間が来るので、苦肉の策として出されたサポート社員。しかも、それを、単に直雇用するだけではなくて、ランク制度を設けて、パフォーマンス評価制度と名乗るんですけれども、派遣料金に差をつけていた。明確に派遣労働者をそうやって選別していた。だから、もはや派遣とは言えないという評価にうなずけると私は思うんですね。
 こういう事例に照らしても、やはり、今の厚労省の見解は非常に逸脱していると言わなければなりません。
 大臣は、これから大臣に伺いますけれども、やはり率直に派遣先企業の思いを代弁していると思うんですね。
 五月二十九日の委員会で、井坂議員に対する大臣答弁。全体として、ほかの手だても含めて、その方の価値を上げること、この人だったら長くてもいいかなと思ってもらえるようにするとか、この方に来てもらいたいということであれば、やはりそれなりの手当とか、無期にするために、むしろこの人が絶対に欲しいんだということであれば云々ということで、これは要するに、派遣先が長くこの人には働いてもらいたいという気持ちを大臣は代弁して、何らかのことができないかということを言っているんです。
 これは、質問者が井坂さんなので、翻訳してくれているんですね。大臣がおっしゃったように、派遣元業者に働きかけて、ちょっと、無期でやってくれたらずっとうちに引き続き来られるから無期で雇ってやってよということもあると思うと共感して述べていらっしゃる。
 私は、同じ日の質問で、大臣の今の答弁は特定でしょうと言ったときに、指定するということを申し上げているわけではなくて、そういう心意気があるということは認めてくださいと。こんなので答弁になりますか。心意気、ふざけないでくださいよ。
 一方では禁止だと言っていながら、一方では違います、これはどう考えても無理があるんです。つまり、法律が、それは厚労省が禁止だと言っているものを、最初から織り込み済みみたいな、そういう法律をつくっちゃいけないでしょう。
○塩崎国務大臣 御指摘の私の発言は、一般論として、非常に高い能力の、派遣で働く方がおられた場合には、派遣先は、このような人であれば長く使いたい、こう思うだろうということであって、また、一般に、長く派遣で受け入れるには無期雇用派遣でないとできないという制度論を述べているわけでございまして、御指摘のような、特定の人を長期間受け入れるために無期雇用にしてほしいということを派遣先が派遣元に要請することについて述べたものではなく、それは、今さっきから問題になっている特定目的行為ということに当たるわけでございますので、私が申し上げたのはそういう意味ではございません。
○高橋(千)委員 では、井坂さんが解釈してくれた、派遣元業者に働きかけて、ちょっと、無期でやってくれたら、つまり、派遣元が無期で雇ってくれたらずっとうちに雇うことができるから無期で雇ってやってよと働きかける、これはありですか。
○塩崎国務大臣 派遣先からそういうことを働きかけることはできないということでございまして、あくまでも、誰を派遣するかというのは派遣元が決めるということでございます。
○高橋(千)委員 では、井坂議員が理解しちゃっているわけですよ、大臣が答弁したことはそういうことだと意を解して言っている、お互いに理解し合っている。訂正されますか。
○塩崎国務大臣 申し上げているように、派遣元が誰を派遣するかを決めるのであって、私が申し上げたのは、先ほどの一般論を申し上げたところでございます。
○高橋(千)委員 一般論では絶対済まないです。これは絶対法律の欠陥です。こうなることがわかっていて、普通に一般論ですと言って法律をつくっちゃう。完全に論理が破綻していると思います。これは、重ねて、廃案にするしかないと指摘したい。
 派遣労働者の皆さんのお話を聞くと、どこどこの課へ行きなさいと当たり前に特定されていた。多いです。先日も、お話を伺った派遣労働者の女性の方、全て事前面接を受けましたと言っていました。落ちたのも入れると二十社ですとおっしゃっていました。
 さっき、大臣はあえておっしゃいました、事前面接を初めとした特定行為とおっしゃいました。それも日常茶飯事にやられているという。
 これは本来、必要な業務に派遣会社がマッチングするんだから、派遣法という法律の仕組みはそうなんですよね。だから、選考で落とされるということ自体が本当はおかしいわけなんです。キャリアアップのために派遣会社が何かしてくれるのではなくて、自前で資格を取ってスキルを磨いている、派遣社員の皆さんは、みんなそうやって努力をしているんです。そのことを結局事前面接で見ているわけじゃないですか。
 これは、当初は労政審の案には解禁が入っていました。でも、最終案で労働側の反対を踏まえて落とされて、今も禁止なんです。せっかく踏みとどまって禁止にしたんですよ。これを、全く目をつぶっていいんでしょうか。禁止にしていることが現実に起こっていますよという訴え、どうされますか。
○坂口政府参考人 今委員の御指摘の点につきましては、先ほど大臣の方からも御答弁申し上げましたとおり、審議会でも御議論があったのは事実でございますけれども、現行の派遣法の第二十六条で、この特定目的行為について、「しないように努めなければならない。」とした上で、派遣先が講ずべき措置に関する指針のところで、派遣先というものは、「労働者派遣に先立って面接すること、派遣先に対して当該労働者に係る履歴書を送付させることのほか、若年者に限ることとすること等派遣労働者を特定することを目的とする行為を行わないこと。」ということで明確に書いておりますし、また、派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針におきましても、派遣元事業主は、「派遣先による派遣労働者を特定することを目的とする行為に協力してはならないこと。」ということも明確に書いております。
 ですので、私どもとしては、個別の事案でそういった事案が明確になったということであれば、適切に、しっかり指導もしてまいりたいということで考えております。
○高橋(千)委員 私が心配しているのは、個人の特定というのは、生涯派遣と私たちは指摘しましたけれども、その逆もあるんですね。つまり、長く働いてもらいたい人は課をかえてずっと働いてもらうけれども、そうでない人、意に沿わない人は短い契約を結んで、これで終わりですということもあり得るじゃないか。本当にそういう仕組みをつくっちゃったということなんですよ。
 ある女性派遣社員はこんなことを指摘していました。かつて、役員に派遣には退職金がないと訴えたときに、役員から、派遣は正規の雇用の調整弁だ、そんな派遣の老後のことなど知ったことかと言われたと言います。課長に部長から受けているパワハラを訴えたら、そんなにつらいんなら死ぬという方法もあると自殺を勧められたこともあったそうです。ところが、そのパワハラ部長は何と言っているのか。あなたは長くこの職場にいるのだから何でも知っているはずだ、だから、上司のミス、新たに入ってきた者のミスはあなたのミスだとむちゃぶりされたと。
 人間扱いされない働き方の中で、意見を言えばすぐにやめろと言われる。現実に、個人単位の期間制限を口実に雇いどめが合理化されることにならないですか。
○坂口政府参考人 今委員の方の御指摘があった事例そのものについてはちょっとお答えするあれではないですけれども、ただ、お聞きする範囲で、非常にひどい言い方であると私も思っております。
 ただ、個人単位の期間制限そのものにつきましては、従前申し上げていますとおり、派遣労働への固定化ということを防ぎ、やはり派遣労働者にそういった個人単位の期間制限に達するごとにキャリアの見詰め直し、キャリアアップに努めていただくというきっかけにしていただくということでありますので、私どもとしては、そういった生涯派遣というようなことにつながらないように、この個人単位の期間制限という趣旨についてもしっかり派遣会社あるいは派遣先の方にも御理解をいただいて、しっかり運用してまいりたいと思っております。
○高橋(千)委員 キャリアの見詰め直しという答弁がいかに空疎なものか、現場に全然合っていないということが、どなたも御理解いただけていると思います。
 派遣労働者は雇用の調整弁として活用されてきたころ、まあ、今も言われていますけれども、リーマン・ショックがあり、紙切れ一枚で雇いどめされ、仕事も、住まいまで失うという派遣労働の実態が世に問われました。
 そのときに、さすがに政府・自民党も、これではまずい、安易な派遣切りは許さないと、わずかですけれども規制強化と労働者保護へ踏み出したと言えるのではないでしょうか。保護という言葉が法律に入ったきっかけはリーマン・ショックだった、やはりここを私は改めて考える必要があると思うんですね。
 二〇〇八年十一月二十八日、職安局長の通知では、次のように書いています。「昨今の経済情勢による企業業績の悪化等に伴い雇用失業情勢は厳しさが増しており、」「労働者派遣契約の期間満了に伴う契約の不更新や契約期間満了前の契約解除等により受け入れる派遣労働者の数を削減する動きも見られる。」つまり、派遣切りのことをこういうふうに表現しているわけですよね。
 期間満了というのは、派遣法の体裁からいうと、それ自体は違法ではありません。でも、雇用の安定が損なわれるおそれがあるということをきちんと指摘して、その上で、私が注目したいのは、この通知は非常に特徴があります。
 「今般、国会に提出された労働者派遣法改正案においては、適用除外業務への派遣労働者の受入、派遣可能期間の制限や偽装請負等に違反した役務の提供を受ける者に対しては、当該派遣労働者に対して労働契約の申込みをするよう勧告することができるとされているところであり、」この改正案の趣旨も踏まえて、「派遣先又は発注者に対して対象労働者の直接雇用を推奨すること。」と言っているんです。
 つまり、これは、法律は実はこの国会で廃案になっています。でも、今言うみなし雇用の前身とも呼べる、単なる勧告ではあるんだけれども、労働契約の申し込みをせよ、そういう法案をつくるから、その趣旨を踏まえて直接雇用をやってくれよ、そこまで踏み込んだんですよ、あのときは。だから、それが出発点なんです。それが今は、労働者のためなんだか誰のためなんだかわからないという声が出るようになっている。これはやはり違うんだ。原点に返らなければならない。
 時間が来ましたが、大臣、一言でもあったら、ぜひお願いします。これで終わりますから。
○塩崎国務大臣 今、平成二十年のリーマン・ショック時の通知についてお触れをいただきました。
 今回の期間制限の見直しによって雇いどめが生じないように努めていきたいと考えておりますけれども、そもそも、今回の改正は、派遣元に、何度も申し上げてまいりましたけれども、雇用安定措置を初めて義務づけるとともに、許可制によってさまざまな義務を履行させる、それを担保するということで、全体として、リーマン・ショックの際よりも雇用を維持するための措置を強化しているというふうに私どもは考えております。
 厚労省としても、改正法成立後、施行に当たっては、改正法の趣旨、目的や遵守すべき事項を明らかにした通知を発出するとともに、事業主に対しても、説明会やリーフレットの作成等によって、改正法の内容を丁寧に説明してまいらなければならないというふうに考えておるところでございます。
○高橋(千)委員 いっぱいしゃべりたいことがあります。また続けてお願いしたいと思います。
 終わります。

 

――資料――

【資料】個人単位の期間制限が特定目的行為につながらない理由について

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