国会質問

質問日:2015年 5月 20日 第189国会 厚生労働委員会

労働者派遣法改悪案

派遣「みなし雇用」つぶし/厚労省 5種類文書で工作
派遣法改悪案撤回せよ 衆院委で高橋議員要求

 厚労省が、違法派遣に対する「労働契約申し込みみなし制度(派遣労働者の直接雇用)」の施行前に派遣法改悪案を成立させるよう与党側に工作していた問題で、同省は、5種類もの内部文書を作って工作していたことを20日の衆院厚生労働委員会で明らかにしました。日本共産党の高橋千鶴子衆院議員は「相手によって使い分けていた。国会審議を形骸化するものだ。法案は撤回して審議をやり直すべきだ」と求めました。
 高橋氏の質問には、いすゞ自動車「派遣切り」裁判の原告らが傍聴に駆けつけました。
 厚労省は、議員向け文書のほかにもマスコミ向けの文書を作って工作していたことを明らかにしました。経済界からの「訴訟につながる」などとして、「みなし」制度を発動させないために施行前に派遣法改悪案成立をけしかける内容です。
 高橋氏が9月1日施行では周知期間が短すぎると指摘すると、塩崎恭久厚労相は「10月1日にみなし制度施行ということを踏まえ、9月1日施行で派遣法改正案をお願いしたい」と答弁。高橋氏は「みなし制度があるから早く施行したいと認めたのと同じだ」と批判しました。
 高橋氏が「大臣の了解を得ずに記者への説明に使っていた」とただしても、塩崎氏は問題にしない態度をとりました。
 高橋氏は、「みなし制度」を盛り込んだ2012年の派遣法改正時に、自民・公明両党の国会議員が「(派遣労働者によって)派遣法違反が恣意(しい)的につくられる」「みなし規定を削除すべき」と言って同制度の削除を迫り、施行を3年先延ばしにさせた経過を指摘し、内部文書問題は「みなし制度をなきものにしようというのが核心だ」と批判しました。
 また高橋氏は、「みなし制度」によって派遣労働者を派遣先の直接雇用とする場合、短期雇用を繰り返して何年も働いていたらどうなるのかと質問。坂口卓厚労省派遣・有期労働対策部長は「実質的に判断する」として、形式的に有期雇用にすることはふさわしくないとの考えを示しました。
(しんぶん赤旗2015年5月21日付より)

 

――議事録――

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 まず冒頭、きょうの委員会が委員長職権で開催されたことに強く抗議をいたします。
 そもそも、本法案は二度も廃案になっております。それにはそれなりの理由があります。厚労省の説明不足や単純ミスも、そして国民の世論も、いろいろな問題があってこうした経過をたどっている。それを粛々と審議入りする、そのこと自体が問題なんです。廃案にすべきだ、冒頭強く訴えたいと思います。
 そもそも、十二日の本会議で、我が党の堀内議員に対し総理は、施行日については、円滑に施行するため、周知期間等を踏まえたものであり、みなし規定を実質発動させないためとの指摘は当たりませんと答弁をしました。
 十五日の本委員会で、同じ答弁を大臣がされたわけですけれども、さらに堀内議員から、では周知期間が要るというんだったら九月一日となぜ急ぐのか、もう目の前に迫っていると問われて、ちゃんと答弁していないんですね。
 誰が考えたって、もう間に合わないじゃないか、そう思うじゃないですか。間もなく六月になろうという。これは幾ら何でも早過ぎるし、言うように、周知期間が全く足りないのではありませんか。
○塩崎国務大臣 今、周知期間が足りないのではないかという御指摘でございました。
 今回の労働者派遣法の改正案は、計画的な教育訓練を新たに派遣元に義務づけるなど、派遣で働く方の保護を図るための法案であるため、できる限り早く施行することが私どもとしても望ましいのではないかというふうに考えておるところでございます。
 また、今回の改正案では、平成二十四年改正の際の自公民三党の附帯決議を踏まえまして、期間制限をわかりやすいものとすることで、本年十月一日施行の労働契約申し込みみなし制度が円滑に施行できる環境を整備していくための見直しを行うこととしており、この観点から、十月一日より前に改正案を施行することが必要であると考えているところでございます。
 改正案が成立した場合には、労働政策審議会に速やかな政労使による御審議に御協力をいただいた上で、全国の都道府県労働局に加えて関係団体等にも周知に御協力をいただくことを予定しておりまして、改正案の円滑な施行に努めてまいりたい、このように考えているところでございます。
○高橋(千)委員 とても答えになっていないどころか、一〇・一、結局、みなし規定があるから、これを早く施行しなければならないということをお認めになったと思うんですね。
 これまでは関係ないと言っておきながら、結局、みなし規定がそのままこの法案が通る前に発動してもらっては困る、そう認めたと同じじゃありませんか。
○塩崎国務大臣 今申し上げたとおりでございまして、さまざまなことを総合的に判断して、タイミングとして、十月一日からのみなし制度の施行も踏まえた上で、九月の施行ということをこの法案についてはお願いを申し上げているところでございます。
○高橋(千)委員 本当に重大な答弁だと思いますよね、お認めになったと。
 昨年の通常国会提出の際は、ことし四月一日施行、それ自体も私は相当急いでいるなと思ったんです。そのときも、だけれども一年あるからと多分思っていたんだと思うんですね。臨時国会でも、十一月まで議論したにもかかわらず、やはり四月一日施行を目指している。全てが、今大臣がおっしゃった一〇・一に向かっていたのだと明らかになったと思います。
 そもそも、労政審の建議が出されたのは昨年の一月二十九日、そして翌月の二月二十一日には、要綱を取りまとめ、労政審に諮問して、二十八日にはおおむね妥当と。そして、三月十一日には法案が提出されるというスピード処理でした。だからこそ条文ミスを招いたのではありませんか。
 しかし、労政審そのものは、派遣業界の代表がオブザーバー参加して、発言も許された。内容は業界はよく理解していると言えなくもないんですね、これは皮肉ですが。業界の意見が大分尊重されているんです。なので、労政審の建議には、労働者委員からは、「当部会の運営について、直接の利害関係を有する派遣元事業主が非常に多くの発言を行う等、委員以外の構成員と委員の発言機会のバランスに懸念があった」とされ、今後は慎重にと明記されたところです。
 改めて伺いますが、こうした経過をたどった法案だからこそ、もっと慎重に審議し、施行日も急ぐ必要がないのではありませんか。
○塩崎国務大臣 もう先ほど申し上げたとおり、今変わり行く経済情勢も踏まえ、一日も早くこの法案を御審議いただいて、御成立をお願いした上で、九月一日の施行をよろしくお願い申し上げたいというふうに考えます。
○高橋(千)委員 今、大臣、経済情勢も踏まえとおっしゃったのは、多分、そういう業界のいろいろな要望もあり、早くやらなくちゃなという思いがにじんでいる答弁だったのではないかと思いますね。
 それで、一〇・一ペーパーについて議論をしていきたいと思うんですが、中身の議論もしたいんですが、まずその前に、余りにもこの間の経過は不誠実だ。後世に残る委員会での議事録で、答えたことが全く信用できない、ゆゆしき事態ではないでしょうか。
 一〇・一問題のペーパーが何種類あるのかという問いを用意していたんですが、午前の部で、阿部委員の質問、それから西村委員の質問に対して、五種類であるということを答弁されたと思います。大きく分けて三種類、理事会にはそういう説明だったんです。それが、後から後から出てきまして、きのう数えたら五枚。
 ただ、五枚なんだけれども、厳密に言いますと、足立委員が予算委員会で配ったものと、民主党の部門会議に出されたものは、二十六年冬に厚生労働省内において作成という文字が入っているということでは、厳密に言うと違います。でも、わかりやすくするため、五種類で進めていきたいと思うんです。
 確認をしたいと思うんですが、まず最初は、ちょっとおさらいをしますよ、昨年の冬、経済界の懸念を書いたものである。西村さんの資料、お許しを得て皆さんと確認をしたいと思うんですが、経済界の懸念を書いたものが昨年の冬である。
 二枚目は、一月ごろに民主党議員に示された内部的な文書である。経済界の懸念という言葉は取れていますけれども、ほぼ内容は同じであります。
 また、三枚目は、二月ごろにまた同じように配られた紙である。ここでは、今度は、「予想される問題」「大量の派遣労働者が失業」などという囲みの部分が取れているわけであります。
 そして四枚目が、三月十七日、記者レク用のものである。
 そして最後が、各部屋に配付されたもので、五月になってから大臣の了解を得たもの。
 伺いますけれども、この経過が間違いないか。そして、大臣が見たものは一枚目だけである、了解をとったのは五枚目だけである。確認をしたい。
○塩崎国務大臣 今先生がお話しになった中で、基本的には、五種類というか、大きく分けて三種類で、最初に担当課がつくって配り始めたものが少しリバイスをされているのが二種類あった、一月と二月に配られたものとしてあったということで、それに加えて記者レクのためのもの、そして最後が民主党の部門会議からの要請でつくらせていただいたもの、こういうことであります。
 今、さっき、五月に入ってとお話がありましたが、これは正確ではなく、民主党の部門会議で出たのは四月の二十八日の火曜日でございまして、正式な厚労省の見解を紙にして十七時までに持ってこい、こういうことでございました。そこで、私の了承を得て、同時に、私から局長、部長、課長には厳重注意をしたということで、四月の二十八日が最後のペーパーの、作成をせいということで、厚生労働省としての見解としてまとめさせていただいたものでございます。
○高橋(千)委員 大臣、ここは事務方でよかったんです、きちんと確認をしたかったので。大臣にこの後もう一回質問します。
 私が聞いているのは、一枚目のペーパー、つまり、「厚生労働省内において作成」というクレジットが入ったものが四月二十八日の民主党部門会議に出されたものであって、最後の紙は五月一日である、私は、きのう説明を受けて、そういうふうに聞いています。また虚偽の説明になるんですか。もう一回整理をして、そして、大臣が了解したものは最後の紙だけであると。いいですか。確認。
○坂口政府参考人 ちょっと資料が、西村先生の資料ということでよろしゅうございますでしょうか。(高橋(千)委員「はい、同じものですから」と呼ぶ)
 西村先生の資料の一枚目につきましては、これは、先ほど大臣が御答弁しましたように、事務方の方で二十六年の冬ごろ作成したものについて、二十七年二月二十三日の衆議院予算委員会の維新の足立康史先生の質疑の際に問題ペーパーが配付されたということで、大臣がその時点でごらんになったということでございます。
 それから、五枚目のペーパーでございますけれども、このペーパーにつきましては、大臣の指示により最終的につくった正式な厚生労働省の見解ということでございますけれども、経緯につきましては、今大臣が申し上げたとおりで、二十七年の四月二十八日の火曜日に、朝の民主党の部門会議で正式な厚労省の見解を紙にして提出するように御要求がございまして、その後、資料をつくった上で、同日の夕方の民主党の非正規雇用・ワーキングプア対策チームにおいて御提出をした上で、衆参の厚労委のメンバーの方々に四月三十日、五月一日に配付をさせていただいたということで、議員の方から五月一日という御指摘が出たんだと理解しております。
○高橋(千)委員 そういうことなんですよ。だから、各部屋に配られたけれども、それは部門会議と同時ではないわけですから、なので、私が最後の紙は五月一日と言ったのは当然なわけですよね。
 それで、私はここで二つ問題を指摘したいなと思うんです。
 一つは、午前中に阿部委員からも指摘をされたように、相手によって表現を使い分けている。きのう、記者に対して説明することと議員に対して説明することとは違うのでと。どう違うんだろうというのがわからないんですね。
 それで、例えば山井委員から資料をくれと言われて、山井委員がいつも大量の派遣労働者が失業するじゃないかと指摘するから、そこを取った資料を配った、だけれども、ほかの人にはちゃんと書いているものを配っている。そうすると、山井さんにしか通用しない資料を配ったら意味がないじゃないですか。全く国会の審議を形骸化させるものになる。違いますか。
○坂口政府参考人 まずもって、当初のペーパーにつきまして、補足資料として作成したものでございましたが、説明に必要ではない表現、あるいは客観性を欠いた表現などがあったということであるにもかかわらず精査等をしなかったということで、私自身、担当部長として、まことに申しわけございません。真摯におわびを申し上げます。
 今委員の方から御指摘ありましたペーパーにつきましては、全体としては、先ほど大臣の方からも御答弁させていただきましたような、時系列的に、当初の西村先生の配付資料の一番のペーパーがあり、それで、これも午前中大臣の方からも御答弁させていただきましたけれども、私ども事務方として配付する補足資料について、わかりやすく適宜リバイスを加えるというようなことは、これは本資料に限らずかとは思いますけれども、そういった形でリバイスしてきたということで、西村先生の、大きく分けての三種類目の二ページ目と三ページ目というようなことがあったということで、私どもとすると、そういう時系列的な形で適宜リバイスをさせて資料を作成していたということでございます。
 四枚目の、記者の方々に御説明をさせていただくという形でつくりました資料は、先ほども、時系列のときにも出ました、二月二十三日の足立議員の資料の配付ということで大臣の目にもとまり、大臣からも、この内容について、内容が不適切ということでの御指摘等もあったということで、その後は使用していなかったということでございますけれども、その後、三月十七日ごろでございますけれども、全体の派遣法の改正法案について記者の方に説明する資料の一つとして、そのときの指摘等も反映した上で作成したという資料でございます。
○高橋(千)委員 まず、謝罪するときくらい原稿から目を離したらいかがですか。何度も同じことを繰り返しているんでしょうからね。そのこと自体が誠意がありませんよ。
 それでは、大臣に伺いますけれども、何で大臣は、この経緯について、まるで理解を示しているようなことを言うんですか。逆じゃないですか。本当にこんなことをやらせてはいけないという、もっと怒ってもいいんじゃないですか。
 大体にして、四月二十三日に参議院の厚労委員会で小池議員がこの問題を指摘したときに、二月二十三日の予算委員会で気がついた、後、不適切だと思ったから使わないようにと言ったと言っているわけでしょう。なのに、三月十七日に記者レクをやっているわけですよ。それについては、大臣、知らないでしょう。記者にレクをするということは、それで報道されるわけですよ。不特定多数の膨大な国民に情報が行くわけですよ。
 だけれども、発端は、不適切だと大臣が思ったものなんです。幾ら見直しをしたとしても、それを大臣に断りもなく使っている、そういう事態を何とも思わないんですか。官僚の言いわけを大臣が言うのではなくて、絶対にこんなことがあってはならない、そういう立場に立つべきではありませんか。
○塩崎国務大臣 足立先生が二月の二十三日の予算委員会でお使いになって私は初めて気がついたわけでありますが、その際に、ポイントとなる問題箇所については指摘をしておったわけであります。要するに、今まで皆さんにお配りをしたわけではないけれども適宜使っていたということで、こういう形で足立先生がお使いになられたわけですから、そういう意味で問題点を指摘しました。
 その後、使わないようにということになっていたわけですが、その問題点指摘を受けて、局長まで上げて決裁をしたものとして、記者の皆さん方に御説明を申し上げるときの追加資料の一つとしてこれを加えたということでございまして、おっしゃるとおり、最初の、大量の派遣労働者が失業とか訴訟が乱発するとか、余りにも大げさで不正確で誤解を招くようなことを書いていたものですから、そういうところを直すということで、三月の記者レクの際にはそれを直したものとして出したということだろうというふうに、私は、この点については直すべきところを直しているというふうに思っておりますし、それは当然、私の指示には従うものだというふうに思っておりましたので、そういうことで、これについては特に、怒れということでありますが、なかなか怒れない性格でありますので、怒っていないということであります。
○高橋(千)委員 ちょっと、本当にいいんですか。参議院での答弁もおかしいことになっちゃうわけですよ。だって、三・一七に使っていたのを知らないんでしょう。
○塩崎国務大臣 だから、問題を指摘したわけでありまして、それを直して使っているということでありますから、その範囲においては問題はないのではないかというふうに思います。
○高橋(千)委員 はっきり言って、大臣の資質を問いますよ。
 国会の会議録を何だと思っているんですか。
 私は、国会の会議録は本当に大切にしているんですよ。何年たっても、やはり振り返って、そのときこういう指摘をした、こういう答弁をした、それがこうやって前進している、そう思いますよ。
 だけれども、今振り返っても、うそばかりじゃないですか。知らなかったと言っていたけれども知っていたとか、幾ら何だって、かばんに入れていたが示したかどうかは記憶にないとか、よみがえりましたとか、そんなこと言わせていいんですか。そういう議事録が次から次へと積み上がっていって、これで法案の審議をやりましたと。
 大臣、本当にそれでいいんですか。もう一度振り出しに戻るべきではありませんか。(発言する者あり)
○渡辺委員長 静粛にお願いします。
○塩崎国務大臣 このペーパーについての中身が不適切であったということは率直に認めて、二度とないようにということで局長以下にも指摘をしているわけでございますし、また、ここで繰り返し、私も、まことに申しわけないということで皆様方におわびを申し上げてきているわけでありますので、そのことについては、そのとおりでございます。
 しかし、法案そのものについては、ぜひこの審議をお進めいただいて、中身の議論を深めていただくと大変ありがたいというふうに思っております。
○高橋(千)委員 中身の議論が深まらないと言っているんですよ、資料が違うんだから。
 委員長、それを踏まえて、これまでの質疑は、単純に、法案質疑を何時間やりましたとカウントしない、そのことを踏まえていただきたい。お願いします。
○渡辺委員長 理事会で協議いたします。
○高橋(千)委員 それでは、一〇・一ペーパーの中身について議論したいと思います。
 私は、はっきり言って、この五枚目の……(発言する者あり)中身じゃないですか。何を言っているの。法案そのものでしょう。施行日は法案ですよ。ごめんなさい、こんなことを言っている場合じゃない。
 五枚目は統一見解なわけですから、私は、そのこと自体に非常に問題があると思っております。
 一つ一つ聞きますけれども、違法派遣には、ここの囲みにあるように、禁止業務、無許可派遣、期間制限、そしていわゆる偽装請負の四種類があるわけですけれども、これはわざわざ点々をしていますよね、なぜ二十六業務だけが一〇・一問題なんですか。
○坂口政府参考人 お答え申し上げます。
 今議員御指摘のように、労働契約申し込みみなし制度の対象となる違法派遣の類型、この四種類あるわけでございますけれども、平成二十四年の改正法の国会審議の附帯決議にありますように、この類型の中の一つとしてある派遣可能期間にかかわる部分につきましては、いわゆる専門二十六業務に該当するかどうかということで派遣可能期間の制限が制度的に成り立っているということで、わかりにくいという指摘がありました。
 そういったわかりにくいということに端緒を発してこういった状況が生ずるということで、他の分野ということになりますと、港湾、建設業務というようなものであったり、無許可かどうかというような形である程度わかりやすいという形で、この二十六業務の該当の有無についてはわかりにくいということでこういった問題が生ずるということで、このような記載にしておるというところでございます。
○高橋(千)委員 二十六業務というのは政令事項なんですよね。
 そもそも、何でそれを期間だけの話にしちゃうんですか。もともとは、出発点は十三業務でしたよね。それから十六、九六年に二十六になりました。それから、もともと期間制限はありました。九カ月だった。それが九〇年に一年になって、二〇〇三年には期間制限がなくなった。そういう経過をたどっているわけですよね。
 業務の内容は、確かに時代によって、とても専門とは呼べない状態になる。当たり前ですよ。三十年前だったら、パソコンどころかワープロでもなく、タイプの時代だったから、タイピストが専門業務だったりとか。そういうことがあって、だったら、この政令事項の中でわかりやすくちゃんと議論すればよかったのではないでしょうか。
○坂口政府参考人 今委員御指摘のように、いわゆる専門二十六業務につきましては、期間制限ともども、今議員が御指摘のような変遷を経てきたということでございます。
 ただ、午前中も大臣等から御答弁させていただきましたように、また、二十四年の改正時の附帯決議にありますように、やはりこの二十六業務については、専門性というものが変わってくるというようなこと、あるいは、二十六業務の該当業務とあるいはそれに付随する業務というようなもの、二十六業務以外の業務をあわせてやるというようなことも含めて、わかりにくさがあるということで、午前中も御答弁を申し上げましたように、政令であるいわゆる二十六業務という部分についての法の施行ということについても私どもも努力はしておるところでございますが、やはり非常に、そういった部分では、政令の規定の上で、現場現場での労使の御理解としてこの二十六業務の該当についてのわかりにくさがあるのではないかということで、このような取り扱いということにさせていただいたということでございます。
○高橋(千)委員 見直しは言われていたけれども、廃止しろとまでは言っていないということなんですよね。
 私は、専門業務の問題は何回も質問をしているし、その業務を限定化ということも言ってきました。期間制限の問題だけに、そして一〇・一でみなしが発生したら困る、そこにぐっと集約されていくのは、結局、もともと専門業務なんかではない働き方を、専門業務をかたって働かせていた偽装専門業務があったからこそなんですよ。これだって、結局、業界の都合じゃないですか。それをちゃんと、ごっちゃにしちゃいけないと重ねて指摘をしたいと思っております。
 それで、そもそも現行の、平成二十四年法と言われておりますけれども、本当にこれも大変ないわくつきな経緯をたどりました。
 審議入りは平成二十二年四月十六日の本会議、長妻大臣のときでありました。初めて派遣労働者保護を冠した名称に変えたのもこのときです。しかし、成立したのは、二年たっているんですね、平成二十四年の三月二十八日。自公民三党修正で、登録型派遣、製造業派遣の原則禁止を削除、日雇い派遣の禁止の緩和、そして、申し込みみなし規定の施行を三年先延ばしするという修正案が成立し、まさに政権交代の成果は自公によって打ち消されてしまったのです。絶対に忘れることはできません。
 そのとき、あえてお名前は言いませんが、今与党の、当時は野党の議員の方たちが、労働者が自分の雇用主は派遣先だと主張すればそのようになってしまう、違反が恣意的につくられるおそれがある、使用者代表委員から、そもそもみなし規定は企業の採用の自由や労働契約の合意原則を侵害することからも反対だなどと反対意見が相次ぎ、この規定を削除せよと迫りました。みなし規定そのものを削除せよと。
 修正案の提出者だった田村前大臣も、特に、不意打ちで、急にだめだからといってみなし雇用という話になれば、もう怖くて派遣という一つの形態を選べないというような話も我々も聞いてまいりましたと繰り返し答えているわけですね。
 ですから、一〇・一ペーパーに書かれていることは、当時、現在の与党議員が業界の意向を代弁して述べたことにすぎないのです。その後も経団連などが述べているところです。
 しかし、みなし規定は、派遣先が違法だと知らなかったらみなしは成立しないと書いてあるではありませんか。ここで言われているような、前大臣が言っているような、不意打ちを食らって大変だなんということがやたらと起きると厚労省は考えているんですか。
○坂口政府参考人 今委員御指摘のような形の経過を踏まえまして、平成二十四年の改正法の審議の際に一定の修正が加えられて、この労働契約申し込みみなし制度というものについて施行日を三年おくらせて二十七年十月一日ということでございますけれども、その経過についての詳細は、議員間での御修正の協議ということであったかと承知しております。
 この雇用申し込みみなし制度につきましては、今委員御指摘のように、派遣先が善意無過失の場合については、ただし書きによって、みなし制度が適用にならないということでございますが、ただ、単に派遣先の事業者が例えば法律を知らない、二十六業務が何か知らなかったというようなこととか、そういったことも含めて、意図せずに二十六業務でないというようなことというのは善意無過失ということには認められないかと思料いたしますので、派遣先が意図せずに二十六業務でないという形での善意無過失でないようなケースというのは、いわゆる二十六業務にかかわる派遣可能期間制限の違反の事象としてはやはり起こり得る、あるいは、こういったわかりにくさということで想定される状況があるということかと承知しております。
○高橋(千)委員 例えば、これから許可制になるわけですから、無許可の派遣業者がいかにも許可業であるかのように装って、違法派遣だということが発覚した、そんなこと全然、だまされたという形で派遣先が訴えたり、そういうことはあると思うんですよ。まさにそれは善意の過失である。
 だけれども、今の部長がおっしゃったことは矛盾していると思うんですよ。二十六業務が何か知らなかった、何か知らなかったら二十六業務で採用するわけないじゃないですか。知っているから二十六業務で採用するんです、契約するんですよ。まして、今盛んに疑義解釈が来ていると言っているじゃないですか。疑義解釈して、あなたのところは大丈夫ですよと言われたら、こんなこと、不意打ちを食らうわけないでしょう。違いますか。
○坂口政府参考人 今委員御指摘のように、いわゆる二十六業務等々につきましても、当時、あるいは二十四年以前から、いろいろ適正化ということについても努力をしてきたわけでございますけれども、先ほども申し上げましたとおり、二十六業務というものについては政令で定められ、あるいはその中身についても要領等でも定めているわけでございますけれども、やはりその幅という部分ではわかりにくいという部分であったり、先ほど申し上げたように、二十六業務以外の付随的な業務を行わせているというようなケースも含めて、こういった善意無過失との関係も出てくる可能性もあり得るということもありまして、非常にわかりにくいという状況になっているということも考えられ、こういった形でのわかりにくい部分があるということで申し上げます。
○高橋(千)委員 もうこれは言い返す必要はないと思う。さっきのと同じことですよ。わかっていてやっているんですから、わからない人は疑義解釈をやっているんですから。本当に善意だったら無過失でいいんですから。それを理由に一〇・一を大騒ぎしている、このこと自体が非常に問題だと言わなければならないと思います。
 それで、実は、さっき紹介したのは、平成二十三年、二〇一一年十二月七日の同じ本委員会なんですけれども、当時、柿沢未途委員に対して、田村提出者、そのときは大臣じゃなくて提出者ですよね、野党ですが、こんなふうに言っているんですね。「この三年の間に、このみなし規定自体がなくなるということも含めて、労政審の方でしっかりと議論をいただければありがたい」、つまり、修正案を出して施行を三年延ばしたことは、なくなることを期待していると正直に言っているんですよ。
 それを受けて柿沢委員は、「自民党の修正案提出の真の意図というのは、事実上、これまで継続審議を重ねてきた政府提出の派遣法改正案というのを極めて廃案に近い状況に持ち込む、」と指摘をして、うなずいておられますねとまで言っているんです。
 極めて廃案に近い状態、施行日を延ばし、検討規定を設け、結局それは廃案にする、それが狙いだと言った。まさに私はそのとおりだ、本当にこの評価は正しいと思っております。
 今回の一〇・一問題、まさに同じじゃないですか。みなし規定を事実上なきものにする、それが一〇・一問題の核心だ。大臣、違いますか。
○塩崎国務大臣 そのようなことは、私ども、全く考えていることではございません。
○高橋(千)委員 では、そういうことを考えていないと言うんだったら、少しでもみなし規定が施行されてから、状況を見て、問題があれば整理する、こういう立場でいいんじゃないでしょうか。
 昨年、労働契約法の審議がありましたよね。あのときに、実は労働契約法の無期転換ルール、これは平成二十五年四月に契約法自体は成立しているんですが、無期転換ルールは平成三十年なんですね。まだ効果が、これから施行になる。そのときに、いわゆる高度専門業務の有期の場合は最大十年までということで改正がされた。
 そのときに、我が党の小池議員が、法律の効果が及ぶ前に新しくその部分を改正した前例はありますかという質問をしました。それに対して、前例はありませんと答え、強いて言えば、今審議されている派遣法がそうですとお答えになっている。でも、その派遣法は廃案になって今にあるわけですから、結局、前例のないことをやったんです。
 本当に、一度やったら何度でもやっていくという立場ですか。まずは、施行日を見て、施行させて状況を見る、そういう立場に立ってもいいじゃないですか。今、みなしをなくすのが問題だとは言っていないわけですから。大臣。
○塩崎国務大臣 それは先ほど申し上げたとおり、みなしの制度について、これをなきものにしようだのようなことは全く考えていないということを申し上げているわけです。
 先生がおっしゃるように、施行してからもちゃんと見ておけということは、それは間違いないわけで、施行になってからその施行状況を見ていくことも当然必要なことだと思っておりますが、それと、施行を九月一日でこの派遣法の改正をお願いするということとはまた別問題で、それはもう先ほど御答弁申し上げたとおりでございますので、何とぞひとつよろしくお願い申し上げたいというふうに思います。
○高橋(千)委員 よろしくと言われても、承服できません。やはりもとに戻すべきだと思います。
 一方では、本委員会でこうして三度目の派遣法案が議論されている。我々は審議入りするべきではないと議論しています。その最中に、四月二十四日、五月十八日と、労政審労働力需給制度部会が開催されております。議題は何か、また、この部会でこの一〇・一ペーパーについて意見があったと聞いておりますが、具体的に教えてください。
○坂口政府参考人 お答え申し上げます。
 本年の四月の二十四日と五月の十八日に、労働政策審議会の職業安定分科会需給制度部会というものを開催しております。その際に、この労働契約申し込みみなし制度について御報告を申し上げたところでございます。その内容につきましては、労働契約申し込みみなし制度について行政解釈を示すというものでございます。
 労働契約申し込みみなし制度につきましては、いわゆる民事的な効力を有する規定ということでございますので、最終的には司法の判断によるというものでございますが、やはり現場での理解、混乱の防止のために、先ほど申し上げましたような形で、労使双方からも、一定の範囲での行政解釈を早目に示してほしいということもございまして、この両日に、議論も含め、御意見等も承りながらでございますけれども、この行政解釈についての一定の御報告をしたものでございます。
 それから二点目の、先ほどの一〇・一問題にかかわるあのペーパーにつきましても、労働側の委員の方から、そういったペーパーについて配付されたことの不適切さ等についての非常に厳しい御発言があったということでございます。
○高橋(千)委員 今、労働側からも厳しい意見があったということをお認めいただいたと思います。
 山井委員が質問主意書を出して、みなし規定の行政解釈をいつ出すのだというのに対して、早く出しますと言って審議会が始まったということは聞いておりますが、しかし、これは本来は、多分、皆さんにしてみると、昨年成立していれば、こんな時期がまるっきり重なるということは考えていなかったのかもしれません。
 しかし、そうはいっても、今議論されているのは、昨年の法案に対して、一月三十日の与党政調会長合意なる修正を入れ込んだ法案であります。ですから、その入れ込んだ法案の部分については労政審を通していないじゃないかという指摘に対して、労政審の枠内だからと答えているわけですよね。一方では、その労政審を粛々とやっている。どういうことなんでしょうか。
 疑義解釈だとか、一〇・一問題で指摘されていることもきちんと議論して整理するべきではないんでしょうか。それとも、法案成立はもう決まったことだから、前提だから、そういう形で審議しているんですか。
○坂口政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど御答弁させていただきました労働政策審議会需給制度部会に対しての行政解釈の御報告というものでございますけれども、これにつきましては、派遣先が違法行為を行った場合について、どのような労働条件で申し込みが行われたとみなされるかというようなことについて解釈を示すという形での御報告をしたということでございまして、内容的には、労使からも求められていたということでございます。
 という状況でございますので、この御議論につきましては、違法の類型について、どのような行為が違法ということを解釈を示したものではなく、かつ、現在、この改正法案について期間制限の見直しも含めて御審議いただいておりますので、当日の配付資料におきましても、違法行為の類型につきましては現行制度をもとに記載をして、法改正を前提としたというものではなく、先ほど申し上げましたような、どのような労働条件で申し込みが行われたとみなされるか等についての行政解釈について御報告し、御意見を賜ったというものでございます。
○高橋(千)委員 しかし、国会の議論がどういうふうに着地するかはわからないわけですよね。廃案になるかもしれないし、修正がまたかかるかもしれないし。違いますか。
○坂口政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど申し上げましたとおり、委員御指摘のように、違法類型そのものについては、今回の、御提出し、現在御審議いただいておる法案にかかわることでございますので、その点について、法改正を前提にした御議論は審議会の方ではしていただいていないということで先ほど御答弁をさせていただきました。
 具体的には、今議員の方から、先ほど来、一〇・一問題との関係では期間制限違反の部分もございますけれども、今回の改正法案におきましては、先ほども別の方のときの御議論にありましたように、届け出制について許可制に一本化するということもございまして、現行法では、違法行為の類型については無許可、無届けの派遣の受け入れということでございますけれども、そういった点についても変更になるということもございますが、御議論いただいたのは、あくまで先ほど申し上げたような点についての行政解釈についての御報告をし、御意見を賜ったというものでございます。
○高橋(千)委員 やはり、こういうプロセスの一つ一つが余りにも誠実でないと言わなければならない。労政審をこれまでは三者構成でやってきたんだと議論をしておきながら、肝心のところで、別にもう十分足りている、そして、あとは行政解釈だけやればいいんだ、お任せすると。
 でも、そうじゃないと思うんですよ。今議論をしていることは、だって今、私はまだ専門業務の中身だってしゃべっているわけじゃないし、まだこれからいろいろな議論があるわけですよ。そこと大きくかかわっていくんだというときに、もう決まっちゃったわけでしょう、これは。これで終わったというわけですよ。そういうやり方が不誠実だと思うんです。
 そこで、この中身について一つ質問します。
 労政審で決まったみなし規定の行政解釈、これは、申し込んだとみなされる労働条件の内容です。これは、前の、つまり、みなしが発生する直近の労働条件、それを直接雇用という形に当てはめるわけですよね。そして、労働契約の期間は、労働契約に含まれる内容がそのまま適用される。つまり、直近の契約が一年なら一年、三カ月なら三カ月。後は切られるんですよ。そういうことが、この解釈を見ると書いてあります。
 だけれども、これは長妻大臣、小宮山大臣に対して私は同じことを繰り返し質問し、確認をしました。反復雇用を繰り返して、実質、期間の定めのない雇用と同じように働いていた労働者が、直近が三カ月の雇用契約では、直接雇用となっても三カ月で切られるのかという問いに対して、実質的なことも判断していく、つまり、三カ月がずっと続いていて何年ですよ、そういうことをちゃんと認めるということを答弁しているんです。
 何にも反映されていない。どうですか。
○坂口政府参考人 今、委員の方から御指摘ございましたように、この労働契約申し込みみなし制度による、みなされる労働契約の申し込みの内容でございますけれども、これにつきましては、違法派遣のあった時点における派遣元と派遣で働く方の労働条件と同一の労働条件になるということでございます。
 今、当時の国会の審議等も踏まえて議員の方から御指摘がございましたけれども、そういった御指摘の場合については、例えば、自動更新とすることが合意されているかどうかによっても異なるということでありますから、まさに委員が今おっしゃったように、実質的な判断ということで判断されることになるということでございます。
○高橋(千)委員 それをどこにも書いていないんですが、どこで担保してくださいますか。
○坂口政府参考人 こういった考え方については、当時ないし私も先ほど答弁をさせていただいたということでございますが、行政解釈として示させていただいたものについてということになりますと、先ほど来申し上げましたように、今回、この労働契約申し込みみなし制度につきましては、本質的には民事的な効力を有する制度ということで、最終的には司法の判断になるということでございます。
 今回、労使からの御意向もあって、できるだけ、司法判断に最終的にはなるんだけれども、基本的な部分について、一定の行政としての考え方というものも明らかにしてもらいたいということで、させていただいたということでございます。
 今の点につきましては、先ほど申し上げましたように、実質的な判断ということで、個別具体的に実態に応じてまさに実質的な判断がなされるということではあるわけでございますが、そういった性格からいくと、最終的には司法の判断ということになりますので、行政解釈としてします通知の中身からは割愛をさせていただいたというものでございます。
○高橋(千)委員 実質的なことで判断していくということを重ねて答弁されましたので、そこを確認したいと思う。
 ですから、本当にこれは言えば切りがないくらいいろいろな問題があって、全然この先、問いが残ったんです。だけれども、その中でも、貴重に残してきた大事なものを本当に乱暴に打ち消されるのではないか、そういう、何といいましょうか、怒りでいっぱいであります。
 改めて、さっき言ったように、審議をし直して、今のみなし規定をしっかりと生かしてやってみる、そういうことを訴えて、終わりたいと思います。

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