国会質問

質問日:2015年 3月 30日 第189国会 予算委員会

大企業にも労働移動支援金 まるでリストラ支援

大企業にも労働移動支援金/まるでリストラ支援
衆院予算委で高橋氏が追及

 日本共産党の高橋千鶴子議員は30日の衆院予算委員会で、雇用調整助成金と労働移動支援金の問題を取り上げました。
 雇用調整助成金は東日本大震災の被災地で雇用維持に大きな役割を果たしてきました。2011年度の支給は3万7362件、のべ81万人にのぼります。
 一方、安倍内閣が増額を進める労働移動支援金は、離職をよぎなくされる労働者の再就職援助のためのもの。派遣大手パソナの竹中平蔵会長が「雇用調整助成金との予算規模を一気に逆転すると信じている」とハッパをかけ、実際に15年度予算は雇用調整助成金を上回る額となりました。中小業者のみ対象だったのが、昨年度から大企業に支給できるようになり、再就職支援会社などに委託すれば委託料として10万円支払う制度を追加しました。
 高橋氏は、労働者を「追い出し部屋」へ配転し、パソナで出向会社を探させる勤務を強いる大手電機メーカー日立を告発。こうした会社に委託料を支払うようなことは「政府によるリストラ支援だ」と批判しました。
(しんぶん赤旗2015年4月1日付より)

――議事録――

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 今国会では、政府が岩盤規制と呼ぶ雇用の問題について、るる議論をされてきました。労働時間法制や派遣法について、あるいは規制改革会議から既に解雇の金銭解決の問題も俎上に上っております。今、世界で一番企業が活動しやすい国にするために、安定した雇用、労働というのは望めない国になるのかな、こう指摘しなければなりません。
 短い時間ですので、端的にお伺いします。
 日本再興戦略に明記されている失業なき労働移動とは何か、総理は何を目指しているのでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 安倍内閣においては、成熟産業から成長産業に円滑に人材が移動していく、失業なき労働移動の実現を基本方針としています。これまでの行き過ぎた雇用維持型から労働移動支援型への政策転換を図り、働く人が能力を発揮し、経済成長の担い手として活躍できるよう取り組んでいるところでございます。
 こうした方針のもとに、平成二十五年度以降、労働者の再就職を支援した事業主に対する労働移動支援助成金を拡充し、出向や移籍による失業なき労働移動を支援するため産業雇用安定センターの機能を強化し、そして、教育訓練給付の拡充により労働者の中長期的なキャリア形成を支援していくなどに取り組んできているところであります。
 今後、マッチング機能の強化や能力開発への支援等を通じ外部労働市場の活性化を進めることによって、成長分野への円滑な労働移動を図り、経済成長へとつなげていきたいと考えています。
○高橋(千)委員 例えば、失業しても半年しないで次の転職先を見つけられたり、本人が成長分野に行きたい、再就職したい、そういう転職をみずから希望して、それがかなえられるのであれば悪いことではないと思います。しかし、それを上から言うから意味が大きく違ってくると思うんですね。
 二〇一三年六月の日本再興戦略では、「行き過ぎた雇用維持型から労働移動支援型への政策転換」として、雇用調整助成金と労働移動支援助成金の予算規模を二〇一五年度までに逆転させると言いました。
 そもそも、何が行き過ぎなんでしょうか。二〇一三年度の雇用調整助成金は一千百七十五億円、労働移動支援助成金は五億七千万円でした。来年度予算案、逆転したのですか、大臣。
○塩崎国務大臣 数字をお配りいただきましたけれども、御指摘のとおり、日本再興戦略に沿って行き過ぎた雇用維持型から労働移動支援型への政策転換を行うということで、今総理からその考え方を申し上げたところでございまして、労働移動型に移るという意味で、逆転というか、数字の上でこのような結果になって、労働移動支援助成金の平成二十七年度予算は三百四十九億円で、雇用調整助成金は百九十三億円で計上しているところでございます。
 ですから、そういう形で、方向としては、雇用調整助成金に重きを置いてきたものから労働移動支援型にウエートを高めているということであります。
○高橋(千)委員 パネルにしてみたんですけれども、四捨五入して六億円だったものが、見事に逆転をいたしまして三百四十九億円になっているということを今大臣もお認めになったと思います。
 当時、産業競争力会議議員の竹中平蔵氏などが、雇用調整助成金と労働移動への助成金の予算規模が一千対五だが、まさにここを指しておりますけれども、二〇一三年の、これを一気に逆転するようなイメージでやっていただけると信じているとハッパをかけておりました。さすがにこの一千というのは、大震災対応での予算規模だったので、そこまでの極端ではないですけれども、労働移動への支援が一気に数百倍になったということは明らかだと思います。
 これがどういうことを意味するのかということを考えたいと思います。
 今年度の雇用調整助成金は、五百四十五億円余りで、二万五千百五十七件支給決定をされております。対象労働者数にすると、延べ二十四万七千三百九十九人になるということです。
 では、二〇一一年、東日本大震災を契機に要件を緩和したわけですが、この年、被災三県で見ると、何万件支給され、ざくっと言って何万人の雇用が維持されたと言えるでしょうか、数字だけお答えください。
○塩崎国務大臣 二〇一一年度の被災三県におきます雇用調整助成金の支給決定件数というのは約三万七千件ございまして、対象労働者数は延べ八十一万人でございました。
 どれだけの雇用が維持されたか、正確な数字を把握するのは大変難しいわけでありますけれども、仮に全ての方が十二カ月分支給されたと仮定をいたしますと、約六万七千人分ということで、少なくともこれ以上の人数の雇用が維持されたということができるのではないかと考えております。
○高橋(千)委員 延べだからというので、わざわざ十二カ月で割ってくださって計算をしたわけですが、十二カ月丸々とは限らないので、延べで八十一万人もの方の雇用を維持することができたということだと思っております。
 本当に、震災でラインが壊れた、部品が届かない、あるいは浜自体が壊れた水産加工業など、そうした中で再起を目指して雇用を確保しながら頑張ってきた、その点での大きな支えになったのではないかと思います。
 同時に、このときは社会保険料、労働保険料の免除も取り組みました。時間の関係で社会保険料だけ答えていただきたいと思うんですけれども、免除になった自治体数、事業所数、総額幾らでしょうか。
○塩崎国務大臣 社会保障ということで、厚生年金それから健康保険などの社会保険料の免除の実績は、延べ二万三千八百十七事業所、総額約五十八億円というふうになっております。
○高橋(千)委員 自治体数も聞いていたんですけれども。
○塩崎国務大臣 失礼しました。十三自治体であります。
○高橋(千)委員 一都一道十一県なんですね。
 つまり、被災三県と私たちはよく言うんですけれども、たとえ東京に本社があっても、工場が沿岸部にあって丸々破壊をされてしまった、そういったところにも適用になったということで、約五十八億円の免除があったと思います。本当にこれは、他の制度と比べても額自体は決して多くはないかと思うんですが、それが雇用維持に大きな役割を果たしたことは明らかだったと思います。わずか一年間の制度でありましたけれども、大いにこれは今後の考え方として使えるのではないかと思っております。
 同時に、きょう言いたいのは雇用の維持、今話したのは雇用の維持です。労働移動とは全く趣旨が違います。
 労働移動支援助成金は、離職を余儀なくされる労働者の再就職援助のための措置を講じる事業主に対して助成するものであります。
 中小企業のみだった対象が、昨年から大企業にも支給できるようになりました。再就職支援会社などに支援を委託した時点で十万円支給するという制度が加わった。いわば手付金のようなものでありますけれども、幾ら昨年は払われましたか。大企業、中小企業を分けてお答えください。
○塩崎国務大臣 労働移動支援助成金につきましては、平成二十六年三月から再就職支援奨励金の支給対象を大企業にも拡充するということといたしまして、平成二十六年度の支給実績は、委託開始時に支払われる分が、平成二十六年四月から、平成二十七年の、ことしの一月までで、大企業は一億四千四百八十一万円、中小企業は一億一千百七十五万円となっております。
○高橋(千)委員 件数も聞いたわけですけれども、本当は百一件なわけですね。
 件数自体は、中小企業の方が若干多いんですね。だけれども、今答弁されたように、額は当然大企業の方が多い、一億四千四百八十一万四千円という額でありました。当然、抱えている労働者の数が多いからこういうことになるんだと思うんですね。
 私は、この問題について、再就職支援委託料、派遣会社に委託した時点で、結果はどうあれ手付金を払うのはおかしいんじゃないかと厚労委員会で指摘したことがございました。
 実は、これまでも、追い出し部屋という言葉が随分話題になってきたわけですけれども、再就職支援とかさまざま名前を変えて、大手の電機産業などで横行している実態があります。
 既に電機・情報ユニオンの調べによれば、この間二十五万人リストラがされているわけですけれども、例えば日立グループでは、早期退職や出向命令などをはね返して復職をかち取った社員に転職支援会社パソナで自分たちの出向先を探させるという、いわば追い出し部屋に配属をしたわけであります。パソナといったら、さっき指摘をしましたが、産業競争力会議で労働移動支援を逆転させよと政府にハッパをかけた御本人ではないでしょうか。
 総理は、問題なしとするのか。政府によるリストラ支援にはならないでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 労働移動支援助成金については、行き過ぎた雇用維持型から労働移動支援型への政策転換の方針を踏まえて、その内容を見直しをし、平成二十五年度から拡充を行ったところであります。
 この助成金は、事業規模の縮小等に伴い離職を余儀なくされる労働者の方々に対し再就職を支援する企業に助成するものでありまして、送り出し企業については、労働者本人の希望に沿って再就職支援を行うこと、そして受け入れ企業については、再就職をした労働者に当該職場で必要な知識、技能等を習得するための訓練を実施することを要件としています。
 このように、再就職する労働者の方の視点に立った助成金となっておりまして、リストラ支援といった指摘は当たらないと考えています。
 なお、産業競争力会議には、日本の産業競争力強化や国際展開に深い問題意識を持っている経営者等に参加をいただいているところでございます。
○高橋(千)委員 当たらないという答弁をしましたけれども、何をもって当たらないというのかわからないんですね。
 さっき紹介したのは東京・立川に本社のある日立超LSIの場合ですけれども、この名称は、日立グループ出向先開拓支援サービスと名乗っているわけです。もちろん、我々が言うところの追い出し部屋などということは表現はしておりません。開拓先です。
 それは、午前中は本社で前日のパソナでの日報の書き込みをさせる、午後はパソナでの出向会社を探す。出向ですよ、再就職支援ではないんです。もちろん、本人が望んだのではありません。望まなかったからここに配属をされているんです。子供に何の仕事をしているのと聞かれて胸を張って答えられないのが悔しい、こういう思いをさせられている。
 ここに事実上、再就職支援会社でありますから、お金を払って国が応援することができるようになるのではありませんか。
○塩崎国務大臣 冒頭総理から申し上げたように、産業構造を変えていくためにも、生産性の高い産業や企業に移っていかなきゃいけない、当然労働も一緒に移っていかなきゃいけないということで、今まで以上に移動に力点を置いた支援をやっていこうじゃないか、こういうことで、再就職を支援する送り出し企業とそれから受け入れ企業側のオフJTとかOJTとか、そういうことをやることによって再就職がスムーズにいくようにということでございまして、今先生が御指摘のようなリストラ支援とか、そういうようなことでもございません。
 新しい日本の産業構造に向けて、働く人たちがどういうふうに移っていくべきかというときに、政府が支援をできるバックアップ策の一つということでございまして、離職を余儀なくされる方の円滑な再就職実現というのは非常に大事だというふうに考えて、進めていかなければいけないと思っております。
○高橋(千)委員 全く答えになっていないと思うんですね。
 生産性の高いとかいろいろおっしゃいましたけれども、この会社は、最初に社員に命じられたのは、派遣会社への出向なんです。そもそも、派遣会社への出向。当然それでも、余儀なくされて、行きましたよ。行ったけれども、余りにも処遇が変わってしまった。その上で、団交して復職をかち取って、配属された先が結局パソナによる出向先探しという、これが実態なんですね。そのツールになるんじゃないかということを重ねて指摘しておきます。全く答えになっていないけれども、しかし、そうじゃないと言っている以上は、それを担保しなければならないんです。
 そもそも竹中氏が、私が今紹介した話は、二〇一三年の三月十五日の産業競争力会議で指摘をしているんですけれども、どういう文脈の中で出されてきたかといいますと、労働移動型の解雇ルールへのシフトは大変重要だ、判例に委ねているのはルールとして不明確であり、明文化すべきだ、金銭解決を含む手続の明確化をすることが必要だ、この中でこの発言をしているんですね、労働移動と雇用調整を逆転させようと。つまり、解雇をもっともっとしやすくするべきだ、金銭解決すべきだと。そういう中で、まず、その一つのツールとしてこの問題が出された、これは明らかであります。
 この解雇の金銭解決については、国会内外でも強い批判を受けて、すぐには議論はできませんでした。まずは特区という形で、雇用指針を今さまざまやっているわけですよね。福岡でもやられています。次は、労働者が志願をしたらという形で、規制改革会議が今提案をした。そういう流れの中で、失業なき労働移動という名で、結局、リストラ支援に、国が支援をしているということが明らかではないかと思うんですね。
 総理にもう一回伺いたいと思うんですが、そもそも大企業であれば、大量雇用変動届に基づく再就職援助計画などというのは、もともと持っていた制度なわけですよね。政府が支援をしなくても、ルールにのっとって責任を果たせばよいわけです。今までだって再就職支援会社に、残念ですが派遣会社が多いですけれども、お金を払って再就職支援をやってきました。だから、それを、何もお金で国が制度をつくる必要はないわけなんですよ。
 さらに、来年度予算の中でキャリアアップ助成金も拡充されました。派遣先が派遣労働者を直接雇用する場合、派遣先に対する助成金、一人八十万円。有期労働者を正社員にする場合、五十万円。こういう支給が拡充されています。しかし、これらも、本来だったら、正社員と同等に働く社員だったら、最初から正社員として雇用すべきであって、そういうルールをきちんと確立すればいいんです。
 国がお金を出すから正社員にしてくださいね、こんなことをする必要はないんじゃないですか。総理にお伺いします。
○安倍内閣総理大臣 非正規雇用で働く方々の中には、仕事と育児や介護の両立のため、勤務時間の自由度が比較的高いパートや契約社員といった雇用形態を選択している方々もいます。また、景気回復局面においては、全く仕事についていなかった方々が、まず非正規という形で仕事を得る場合もあります。こうした方々の処遇改善を図っていく一方で、正社員を希望する方には、キャリアアップ助成金の拡充、計画的な教育訓練を推進する労働者派遣法の改正などにより、正社員への道が開かれるようにしていくことになります。
 こうした取り組みを通じまして、一人一人が、それぞれの希望する働き方の中において、それを実現できる、生きがいを持って働くことができる社会をつくっていきたいと考えております。
 なお、再就職援助計画は、雇用対策法に基づき、事業規模の縮小等に伴い離職者を発生させる企業に対し作成を義務づけているものでございます。労働移動支援助成金は、この計画を作成した企業が実際に再就職支援を行った場合に、その経費の一部を助成するものであり、計画を作成しただけで助成がなされるわけではないということである、このように承知をしております。
○高橋(千)委員 ですから、まず今、後の方の答弁ですけれども、計画を策定しただけで払うお金ではないとおっしゃいました。でも、それをおっしゃるんでしたら、再就職支援会社、パソナのような派遣会社に再就職支援を委託しただけで、結果が出なくても手付金を払うんですよ、十万円。それを国がやる必要はないでしょうと言っているんです。制度としてあるんです。もともとやっていることをやる必要はないでしょう。もともと力のある企業にそれをさせる必要はないということを私は指摘しています。
 それから、生きがいでパートや契約社員、そういう働き方を選んでいる人がいるということは、決して否定はしません。そういう方たちが、例えばみずから選んで、短時間だけれども正社員とか、そういう道があるのは、それは今だって開かれているんです。だけれども、正社員の道がありますよ、派遣法だって、それを努力義務とかやっていますよといいながら、そこに何でお金を出すんですか。ちゃんとルールを守れば、きちんと責任を果たせば、やれることなのに、なぜ国がお金を払ってお願いしますと言うのか、そのことが問題だと言っているんです。
 一言ありますか。
○塩崎国務大臣 今、計画に基づいてということを総理からも申し上げたとおりでありますけれども、この計画自体が、実は、労働組合の同意を得て、離職を余儀なくされる方の再就職支援のための計画を作成し、民間の再就職支援会社への委託によって、同計画の対象となった離職される方御本人のマッチング支援とかキャリアカウンセリング、それから訓練などの再就職の支援を行うということでありまして、この計画にのっとって行われる今の仕組みで国が支援をしていくということは、次の職場の開発のために重要な役割を果たせるのではないかというふうに思っております。
○高橋(千)委員 余りにも大企業支援が過ぎるということを指摘して、次の委員会に譲りたいと思います。
 終わりに、本暫定予算三案に対する日本共産党の態度は反対であります。
 本暫定予算のうち、生活保護費などの社会保障費、災害復旧事業費、地方交付税交付金などは当然計上するべきものであります。
 しかし、暫定予算案は、消費税八兆円増税と社会保障削減、軍事費増を前提とした二〇一五年度予算と一体をなすものであり、賛成できません。
 以上、表明して、質問を終わります。

 

――資料――

【資料】労働移動支援助成金と雇用調整助成金が逆転(予算額)

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