国会質問

質問日:2014年 11月 13日 第187国会 厚生労働委員会

感染症法一部改正案

感染症法改定案 全会一致可決
高橋議員要求 専門家養成に支援を

 衆院厚生労働委員会は13日、感染症の発生・まん延を予防するため検査体制を強化する感染症法改定案を全会一致で可決しました。
 採決に先立つ質疑で日本共産党の高橋ちづ子議員は、エボラ出血熱について医療従事者への感染防止が重要だと指摘。高い専門性を有する看護師養成への支援を求めました。厚労省の二川一男医政局長は、感染管理認定看護師は2070人、教育ができる感染症看護専門看護師は30人であり、研修体制の充実に取り組みたいと答えました。
 高橋氏は、感染症の封じ込めに関し、検疫業務と、国際基準である国際保健規則にもとづく情報の交流と、出入国規制が円滑にいくことが必要だとのべました。
 塩崎恭久厚労相は、「国内外の関係機関と連携し、感染症情報を積極的に入手・発信し、海外渡航者が感染症に罹患(りかん)することなく安全に過ごせるよう努めたい」と答えました。
 高橋氏は、感染症がまん延した場合、指定病床だけでは対応できないと指摘。「結局は地域保健活動がどう対応するかが問われる。(まん延する前から)行政と各機関が連携して訓練やシミュレーション(模擬実験)を重ねていくことが重要だ」と主張しました。
 高橋氏は、罹患率が10万人当たり16・1人と諸外国と比べても高い日本の結核対策に言及。2006年に結核予防法が感染症法に統合された際、「対策は後退させない」とした柳沢伯夫厚労相(当時)の答弁に触れ、「しっかり取り組んでほしい」と改めて求めました。
(しんぶん赤旗 2014年11月14日付より)

 

――議事録――

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 国会が緊急事態ということで、十分な審議ができないことは大変残念ではあります。
 参考人質疑を初め、参議院での議論は大変勉強になりました。本当に、こういう機会はさらに深めていく必要があるかな、このように思います。
 私が今一番関心を持っているのは、エボラ出血熱について、医療従事者への感染防止が非常に重要な鍵となっているのではないか、危険と隣り合わせの過酷な業務でありながら、感染したことで非常に責めを受けている、こういうことでは、やはり医療従事者がもうついていけない、国際社会がエボラを克服することは到底困難だと言わなければならないと思います。
 国境なき医師団、MSFの一員としてシエラレオネで医療活動に従事した看護師の大滝潤子さんが、帰国後、記者会見を行って生々しい現場の実態を訴えたことが、多くのメディアで報道されました。例えば、重い患者さんを一人で抱えると防護服が破れて感染してしまうので、必ずペアでなければならない、患者を番号で呼び、弔いも十分にできなかったこと、許される作業時間がとても短いために、スタッフが到底不足していることなども報告されていました。
 また、四日の参議院の参考人質疑では、リベリアでの医療支援にかかわった元国立感染研の岡部信彦さんが、なぜ医療従事者に感染が起こるのかというプレゼンを行っています。延べ一日百人のスタッフ、つまり、短い期間なので、何度もかわらなきゃいけない。防護服を着てケアをするけれども、ある意味恐怖の中で働くという点で、心理面のケアも重要だと指摘されていらっしゃいます。
 そこで伺いたいのは、やはり最前線、国際支援として看護師の派遣がどのように今されているのか把握されているでしょうか。また、日本における感染症専門の看護師の養成などはどのように取り組まれているのか伺います。

○二川政府参考人 国際派遣の問題と、国内における専門の看護師の養成の件かと思います。
 まず、国立国際医療研究センターにおきましては、アジア、アフリカ等の開発途上国における感染症対策を含む保健システムの強化を図るために、昨年度、平成二十五年度は、医師、看護師等の専門家九十三名を派遣しているところでございます。毎年百名前後の派遣となっているところでございます。
 また、国内におきます、感染症に関して高い専門性を有する看護師を認定する仕組みといたしましては、感染管理認定看護師及び感染症看護専門看護師の認定制度がございます。
 感染管理認定看護師の方は、十二の都道府県看護協会研修センター等で行っておりますし、また、感染症看護専門看護師は、十三の大学院で教育が行われておりまして、いずれも、日本看護協会がその修了を確認した上で認定を行っている、こういったものでございます。
 まず、感染管理認定看護師につきましては、パンデミック等の緊急事態を想定した準備とか緊急時の対応等の知識、技術を有する者が認定をされておりまして、現在、平成二十六年十一月現在で、二千七十名の人が認定を受けております。
 また、感染症看護専門看護師につきましては、パンデミック等の緊急事態を想定した準備、緊急時の対応のみならず、ほかの保健医療福祉関係者とのコーディネーションあるいは教育的機能を果たす、そういった人が認定されているというものでございまして、こちらの方は、平成二十六年十一月現在で、三十名となってございます。
 これらの認定制度は、看護実践の実績等を踏まえ、五年ごとに更新という仕組みでございまして、常に専門性の維持、確保が図られているという仕組みになってございます。
 今後も、感染症に関し高い専門性を有する看護師の充実に向けて取り組んでまいりたいというふうに考えております。

○高橋(千)委員 ありがとうございました。
 ゆうべ通告したときは数字がなかなか出てこなかったので、具体的な答弁をいただいて助かったと思っております。ぜひ、本当に医療従事者を守れなければ次の対策はやはりないだろうと思っておりますので、しっかりとこの支援をお願いしたいと思っております。
 次に、日本においても、辛うじてこの間、疑いがあった帰国者の結果は陰性であったわけですが、感染者の発生というのは時間の問題かもしれない。最初の患者を確実に発見し、ウイルスを封じ込める対策をどうするかが問われていると思います。
 私は、平成二十年、二〇〇八年のこの委員会の参考人質疑で、成田空港の検疫所長だった藤井紀男さんに次のような質問をしたことがあります。このときは、新型インフルエンザの水際対策について、発生国からの出入国規制や在外邦人の帰国についての方策を政府が検討していました。ですから、規制をしながら在外邦人だけ帰すというのはどうやってやるのというふうな、そういう議論をしたときなんですね。
 そのときに私が指摘をしたのは、検疫に関する業務というのは、国際保健規則、IHRによって各国共通だと思うんだけれども、その国際スタンダードと比べて国内の対策がどうだと思いますかという質問に対して、藤井参考人は、感染症法とIHRがきちんと整合性がとれているということは非常に重要だと述べた上で、しかし、検疫業務というのは入国者に対する対応をするところなんだ、ですから、出国に対しては権限がないということをおっしゃいました。ただ、実際に情報をよく交流する中で、命令するとかではなくて、出国を取りやめるとか、そういうような運用上のいろいろな工夫ができるのではないかと発言されたことが非常に重要かなと思っております。
 IHRの目的というのは、国際交通及び取引に対する不要な阻害を回避し、つまり余りにも規制が強くてはいけない、あるいは、公衆の保健上の危険に応じた制限的な仕方で、しかし、疾病の国際的拡大を防止、防護、管理し、及びそのための公衆保健対策を提供することであると明記をしております。
 また、第三条の原則について、原則の実施は、人間の尊厳、人権及び基本的自由を完全に尊重して行わなければならないということで、旅行者に対する検査などについては、当然その人権の配慮とインフォームド・コンセントが必要である、前提であると書いていることを、そこは当然考慮しなければならないと思っているわけです。
 その上で、この国際保健規則に基づく情報の交流と出入国に当たって、やはり円滑にやっていくことが必要ではないかと思っておりますけれども、大臣に伺いたいと思います。

○塩崎国務大臣 かつてこのIHRが対象としていたのは、コレラと黄熱病とペスト、この三つだけだったということでありますけれども、SARSとか鳥インフルエンザ等々、言ってみれば、新たなリスクが高まってきたということで、二〇〇五年に改正をされたというふうに認識をしております。
 現在、検疫所では、入国者に対しまして、ギニア、リベリア、シエラレオネへの二十一日以内の滞在歴が把握された方について健康監視を行うとともに、可能な限り、過去二十一日の流行国の滞在歴を確認することができるよう検疫体制の一層の強化を行って、各空港における検疫所と入国管理局の連携を強化して、縦割りを排除した上で、水際を強化するということをやってきているわけであります。
 また、今先生御指摘の、こっちから行く海外渡航者に対しましては、外務省が西アフリカ三カ国に関しては感染症危険情報を発出し、不要不急の渡航を延期するように呼びかけているほか、厚生労働省においては、WHOがIHRに基づいて情報収集したエボラ出血熱の発生状況等、必要な情報をホームページやポスター等を通じて提供することで注意喚起を行っているわけでございます。
 私ども厚労省としては、今後とも、国内外の関係機関等と緊密に連携をしながら、感染症の流行情報を積極的に入手して、海外渡航者が感染症に罹患することなく安全に過ごしていけるように、必要な情報提供に努めてまいりたいと思っております。

○高橋(千)委員 国内対策、水際対策だけではやはり限界があるということがこの間も議論されてきた。また、潜伏期間というものがございますので、発症前のどれだけの規制ができるかというのも非常に難しい問題でもあります。しかし、そういう中だからこそ、やはり国際機関での情報の交流と統一した対策というのが非常に重要ではないかということで議論をしてまいりましたので、ぜひ、重ねて、そこが協力して高まっていくようにお願いをしたい、このように思っております。
 それで、感染症指定医療機関の不足については、これまでも随分指摘をされてきました。私自身も何度も取り上げているわけなんですけれども、例えば、国立国際医療センターに私も視察に行って、特定感染症病床と渡航者外来というのがありまして、視察をしたことがあります。
 そのときに、陰圧室、特別な設備が必要で、ただ、それを維持するのはとてもコストもかかります、そういう率直なお話も聞きながら、しかし、私が一番大事だなと思ったことは、専門の病床が、幾らあってもと言えば大変語弊がありますけれども、初動の封じ込めに大変重要ではありますけれども、本格的に蔓延してしまった場合はそれどころじゃないんだと。つまり、廊下にもベッドを敷かなくちゃいけない。指定病床だけでは当然対応できませんということをおっしゃられたこと、非常に印象に残っております。
 ですから、肝心なところをしっかりと確保しておくことは当然大事ですけれども、それとあわせて、結局は、地域保健活動がどう対応していくかということが問われているのではないのか。行政と各機関が連携しての訓練、シミュレーションを重ねていくこと、そして、そのための国による指導が不可欠だと考えますが、大臣の考えを伺います。

○塩崎国務大臣 先生御指摘のように、保健所等の行政機関と感染症指定医療機関等の関係機関が連携して準備に当たるということは極めて重要だというふうに私たちも認識をしております。
 この観点から、本年十月から厚生労働科学研究班が感染症指定医療機関で行っている感染防御策の研修会では、より実践的な研修となるように、地域の保健所や自治体職員等と合同で訓練を行っているわけでございます。
 この研修を通じまして、実際にエボラ出血熱に感染した疑いのある患者の搬送を受け入れる際には、医療従事者と自治体担当者との連携体制を確立させる、これが不可欠であることが明らかになったと聞いております。
 厚労省においては、先ほど来出ておりますように、本日、全国の自治体の担当者、課長さんレベルでありますが、担当者会議を開催いたしますけれども、その中で、エボラ出血熱の発生時における搬送等の体制において、医療従事者と自治体担当者が連携する重要性についても改めて強調することとしておりまして、各自治体において再確認した対応方針に基づいて実地訓練を行っていただくことを私どもから要請することとしております。
 今後とも、自治体におけるエボラ出血熱への対応が関係機関の密接な連携のもとで行われるよう、今後ともしっかりと支援をしてまいりたいと思います。

○高橋(千)委員 先ほどの専門の看護師のところで、教育に回る人が今三十名という答弁があったと思うんですが、それも本当に同じで、少数のとき、あるいは初動のときは本当に専門家が必要です。だけれども、本当に多数になったときは、みんなで、いろいろな人が対応しなければなりませんので、まだ蔓延していない今の瞬間にその訓練を積み重ねていって、その専門家による教育を重ねていって準備をしておく、あるいは、どんなものを備えていくかということを整えていくことが決定的に大事だと思いますので、重ねてよろしくお願いしたいと思います。
 最後に私、もう一つ、きょうどうしても質問したいのは、結核の問題なんですね。
 日本の結核罹患率は、今、人口十万人当たり十六・一人で、依然として諸外国と比べても大変高いです。また、死亡者も、かつてに比べれば減っているとはいえ、毎年二千人を超えています。
 こうした中、結核の診断の経験がないために、診断がとても難しいという指摘があります。
 結核を、レントゲンで撮ったら、がんと誤っちゃった、それで抗がん剤を投与してしまった、そういう事例もかつて取り上げたことがありますけれども、そのときに、難しいから研修をちゃんとやっていくという答弁がありましたけれども、その後の取り組み状況を伺いたいと思います。

○新村政府参考人 結核につきましては、この五十年間で罹患率が約二十分の一に減っているというものの、御指摘ありましたように、年間二万人の新たな患者が発生し、年間二千人が亡くなるという我が国の主要な感染症でございます。
 厚生労働省といたしましては、公益財団法人結核予防会結核研究所の協力のもとで、これまで、結核の臨床及び結核対策に必要な知識の習得を目的として、医師等に対してさまざまな研修を実施しております。御指摘のレントゲンにつきましては、放射線学科の研修も行っているところでございます。
 引き続き、こうした取り組みを実施することによりまして、医療従事者の結核に関する知識、あるいは診断技術の向上を図り、結核対策を推進してまいりたいと考えております。

○高橋(千)委員 二〇〇六年に結核予防法が感染症法に統合されました。対策は後退させないというのが当時の大臣の答弁でありましたけれども、それがないようにしっかりと求めて、終わりたいと思います。

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