国会質問

質問日:2014年 10月 17日 第187国会 厚生労働委員会

危険ドラッグ問題

危険ドラッグ “薬事監視員の増員図る” / 衆院厚労委 高橋議員に厚労省

衆院厚生労働委員会は17日、危険ドラッグ対策に関する参考人の意見陳述と質疑を行いました。
 参考人として発言した民間の薬物依存症回復施設「東京ダルク」の秋元恵一郎さんは、危険ドラッグ使用者が覚せい剤など従来の違法薬物よりも短期間で中毒症状に陥る傾向にあることを説明。早期に治療・回復プログラムへつなげる必要を指摘しました。
 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所・薬物依存研究部長の和田清さんは、検査・医療体制が現状に追いついていない問題を指摘。多くの危険ドラッグに含まれる合成カンナビノイドの簡易検出システムの導入とともに、薬物依存症からの回復に有効である認知行動療法の普及、入院治療の際の診療報酬引き上げなどを求めました。
 日本共産党の高橋ちづ子衆院議員は、麻薬取締部と連携して、危険ドラッグ販売店の取り締まりに大きな役割を果たしている薬事監視員の増員を求めました。厚労省の神田裕二医薬食品局長は「危険ドラッグ専任の薬事監視員は東京の3人だけ。専任の職員の増員要求をしている」と答えました。
 また、医療機関が薬物依存症者を入院治療で受け入れる際の診療報酬の加算措置を求めました。
(しんぶん赤旗 2014年10月19日付より)

 

――議事録――

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 本日は、午前中に危険ドラッグ問題での参考人質疑がございました。当事者による依存症回復施設、医療の現場、そして自治体の努力、それぞれの努力を伺うことができました。また、発言ではなく、傍聴席で見守っていられる二組の御遺族、私も朝、お話を伺いましたけれども、もし自分の子供が突然命を奪われる、そういうことになったら、本当にどういう気持ちになるか、私たちはやはりそういう立場で取り組んでいかなければならない。それぞれの意見を本当に生かしていきたいということを改めて思っております。
 そこで、最初に大臣に決意を伺いたいと思うんです。
 先ほど来、少しずつお話をされているところですけれども、厚労省は、来年度の概算要求で、麻薬取締部の今年度定員二百六十七名から三十三名純増、検査費を十倍など、体制強化を要求しております。やはり、この間の事故や議論を踏まえて、厚労省としても強化に向けていくんだと。もちろん、十分だとは言えません。でも、私たちは、やはりそれも、今度の議員立法を通して、本当に国会の決意として後押しをしたいんだ、そういう気持ちでいるわけです。
 絶対、危険ドラッグの横行を許さない、犠牲者は出さない、そういう大臣の決意を伺いたいと思います。

○塩崎国務大臣 高橋先生から今御指摘いただいたように、概算要求で、危険ドラッグの取り締まりに係る麻薬取締部の体制について、指定薬物事犯の捜査体制の強化、それから、押収した薬物の鑑定体制の強化をするために、増員、先ほどお話があったとおり三十三名行っているわけであります。
 また、危険ドラッグの分析についても、今年度、民間検査機関への委託の活用を積極的に進めておりまして、今後、危険ドラッグの成分特定や指定薬物への迅速な指定を推進するために、分析機器の整備等の体制強化を図ってまいりたいということでございます。
 先ほど来、この指定に当たって、特定するのにまず検査をしないといけないということがあって、できる限りスピーディーなことができるようにということでやっているわけでございます。
 それから、危険ドラッグを容易に買うことができない状況を一日も早く実現しなければいけないという、先ほど来先生方からいろいろ御指摘をいただいているとおりであって、私としても、私のリーダーシップのもとで、厚生労働省を挙げて、危険ドラッグの根絶に向けた体制確保のあり方について、しっかりと実現に向けて全力を挙げていきたいというふうに思います。

○高橋(千)委員 ぜひ、年末に向けての財政当局の査定にも絶対屈しないで頑張っていただきたい、このように思います。
 そこで、八月二十七から三十日に、東京、愛知、大阪、福岡の四地域の危険ドラッグ販売店に対し、地方厚生局、都府県、警察が合同で立入検査を実施、指定薬物である疑いのある物品に対し、薬事法第七十六条の六に基づく検査命令及び販売停止命令を初めて発動しました。なぜ初めてだったのかと思うわけですが。
 もう一つは、無承認医薬品としての取り締まりについても、八月二十九日、都道府県に対して通知が出されています。
 もともと、薬事法における無承認、無許可医薬品という考え方はあって、もちろんドラッグだけではなくて健康食品などが非常に多かったわけですけれども、ただ、脱法ドラッグもこの仕組みの中で取り締まることは本来できたわけですが、これまでできなかった理由は何でしょうか。簡潔に。

○神田政府参考人 御指摘の無承認医薬品の販売につきます罰則につきましては、これは直接罰というふうになってございます。それから、医薬品の該当性につきましては、薬事監視員がその成分、形状、名称等から総合的に判断するということになってございますので、直接罰がかかるということを現場の薬事監視員が自分で判断しなければならないということで、この適用に慎重であった点があったのではないかというふうに思っております。
 そういったことから、先ほど申し上げたような検査命令とか販売停止命令を実施してきたわけでございますけれども、さらにその取り締まりを強化するという観点から、ことしの八月に、総合的な判断の基準でありますとか、取り締まりの手順を明確化することによって、無承認医薬品としての取り締まりを現場で的確に行うことができるように、その明確化を図ったというところでございます。

○高橋(千)委員 これは、私自身も勉強不足を反省しなければならないなと思うんですが、前回の質問のときに、やはり無承認医薬品として取り締まることも検討していくんだとおっしゃって通知を出したわけです。
 ただ、この通知は初めてではないわけですよね。それも、平成十七年、もう九年前に同様の趣旨の通知が出されています。「「人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼす」目的があると判断可能である脱法ドラッグの事例について」というものが出されています。「使用目的の標榜ぶり如何に関わらず、事実上、経口、吸入、塗布等、人体への摂取を目的として販売されていれば、薬事法第二条第一項第三号の医薬品に該当する」と。医薬品なんだと。結局、実際に吸う形になっているでしょう、塗る形になっているでしょう、それはもう医薬品なんだよと言えば、それは無承認ですよというふうに取り締まれるという趣旨だったと思うんですね。
 これは、平成十九年十月十一日の東京高裁判決でも、これは医薬品であると明確に判決が下されているわけです。そのことを思えば、余りにも遅かったなと言わなければならないと思います。
 当時のあり方検討会の資料を見ますと、脱法ドラッグの一部が麻薬として規制される直前の駆け込み販売を防ごうと、横浜市と厚労省が立入検査を行った、そのときに、制服姿の高校生もたくさんいた、そういう記事があるんですね。神奈川新聞、平成十七年ですよ。そして、四月十七日まで休業します、十八日から通常どおり営業いたしますと張り紙がされていた。
 こういうことを、結局、前回の委員会で議論になった、駆け込みセールをやっているじゃないかということが、当時も同じように議論された。だとすれば、もっと早く手だてが打てたのではないか。国として、やはり閣法で法改正を出すとか、その他、必要な体制が足りないのであればもっとふやすとかできたのではないか。率直に伺います。

○神田政府参考人 御指摘のような解釈というのは、前も出ているわけでございます。
 ただ、危険ドラッグを無承認医薬品で取り締まることが非常に難しかったことの一つは、先ほどから御指摘ございますように、絶対に摂取しないでくださいと、要は人体摂取を目的にしていないんだということをあえて明示してうたっておりますので、医薬品の定義というのは、人の身体またはその構造、機能に影響を与えることを目的とするということですので、摂取することを前提にしているということでございます。
 今回、御指摘のようなことを踏まえて、仮にそういったことをうたっていたとしても、形状等から見て、これは明らかに摂取しやすい形態で売っているではないかということを捉えて、我々としては積極的に取り締まりをしていくという方針を今回示したところでございます。

○高橋(千)委員 あえて明示をしている、しかし、吸ってはいけないと明示をしているんだけれども、効能をうたっているから明らかにおかしいよねということを、やはり思い切って今回踏み切ったんだというお話だったと思うんです。
 ですから、私たちは、危険ドラッグの法案、野党でみんなで提案しました。これを本当に実効性あるものに、与党の知恵もかりながら、成立させたいと思っています。でも、成立させる前に、できることをやっていくんだと答弁をしているわけですから、それを本当にやっていただきたいと思っているんです。
 そのためにも、さっきの検査命令の、どうやってやったんですかと。総理が予算委員会で山井委員に質問されて、ドラッグの販売店は縮小しました、インターネットでも削除しましたとおっしゃいました。
 でも、その準備をするに当たって、全国の都道府県の薬事監視員がやはり日常的に見ていて、何でこんな看板がこの店にあるんだと、そういうところから体制を整えていった。ただし、薬事監視員が一人で踏み込むわけにはいかないわけですね、身の危険があるわけです。だから、当日はちゃんと警察や麻薬取締部との協働の体制をつくってやったというふうに聞いております。そういう意味で、十分な体制が都道府県に対しても必要だと思いますが、いかがでしょうか。

○神田政府参考人 御指摘のとおり、危険ドラッグの取り締まりについては、都道府県の薬事監視員だけではなかなか難しいということがございます。麻薬取締部と都道府県の警察とが協力をして、立入検査ですとか取り締まりを行っているところでございます。
 御指摘のように、都道府県において危険ドラッグに専従する職員というのは、今非常に少ない。東京都で三名いるということでありますけれども、ほかの都道府県では他の業務と兼務しているというのが実態でございますので、私どもとしては、現在、地方交付税交付金の積算基礎に、都道府県ごとに専任の職員を置いていただくよう増員要求をしているところでございます。

○高橋(千)委員 ありがとうございます。ぜひ、ここはお願いをしたいと思います。
 そこで、八月四日の委員会の中でも、薬物依存症対策として、医療機関の体制や回復施設について質問いたしました。きょうは、医療機関の和田参考人と回復施設の秋元参考人から直接お話を聞くことができて本当によかったなと思っているわけです。
 問題は、厚労省は、その後、認知行動療法に基づく再乱用防止プログラムを全国全ての精神保健福祉センターに一斉導入するということで、概算要求に専門職員の人件費や研修費約一億四千万円を盛り込みました。ただ、実際には、人材が圧倒的に足りませんし、民間団体に依拠せざるを得ないというのが明らかだと思うんですね。そういう点では、医療の現場でのバックアップが絶対必要だ。
 そのときに、きょうも和田先生に改めて確認をしたんですけれども、やはり入院治療の際の診療報酬で加算措置をするなど、適正な評価をするべきだと思いますが、これはぜひ大臣に伺います。

○塩崎国務大臣 危険ドラッグを含みます薬物依存症については、今先生からお話ございました専門医療機関の不足などの問題から、地域の精神保健業務の中心的役割を果たします精神保健福祉センターで認知行動療法を用いた治療回復プログラムを実施するための予算を、平成二十七年度の概算要求で新たに盛り込んでいるところでございます。
 また、専門医療機関の拡充のために、認知行動療法を用いた治療回復プログラムの医療機関への普及、それとともに、全国五カ所の依存症治療拠点機関による専門的な相談、そして、治療及び回復支援に取り組みを進めているところでございます。
 こうした取り組みを通じまして、ダルク等の民間団体だけではなくて、医療機関それから行政機関等と適切に連携をしながら、重層的な医療提供体制の確保に努めてまいりたいというふうに思っております。
 なお、御指摘の診療報酬でありますけれども、これについては、いろいろな御議論があろうかと思いますので、中央社会保険医療協議会の方での議論を踏まえて適切な評価に努めてまいりたいというふうに思っております。

○高橋(千)委員 午前の議論で、アルコール中毒は診療報酬の対象になるんだけれども、薬物はならないということなんですね。それに対して、和田参考人は、自分たちにとっては一緒なんだ、患者は一緒なんだということ、どうしてここで差をつけるのかと言っています。本当に全国で今体制をそろえようとしたら、絶対にここを突破しなければなりません。
 昨年二月十三日付で、全国薬物依存症者家族連合会、いわゆる薬家連が検討会宛てに要望書を出しています。「医療機関に於いて薬物依存症者を入院治療で受ける際の診療報酬について加算をつけるよう求めます。また、医療機関でスマープ等のプログラムが積極的に行われるよう、国の指導を求めます。」
 本当にようやっとここに光が当たって、全国でやろうと始まったところです。それを担保するのがこの診療報酬の問題であると思いますので、ぜひ大臣として強い決意で臨んでいただきたいということを重ねて指摘して、ちょうど時間になりましたので、終わりたいと思います。よろしくお願いいたします。

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