国会質問

質問日:2014年 6月 13日 第186国会 厚生労働委員会

労働安全衛生法の一部改定案―参考人質疑

ストレス対応優先に / 高橋氏 職場の体制で参考人

 衆院厚生労働委員会は13日、労働安全衛生法改正案の参考人質疑を行いました。近畿大学の三柴丈典(たけのり)教授、全国過労死を考える家族の会の寺西笑子(えみこ)代表世話人、日本産業衛生学会の圓藤吟史(えんどう・ぎんじ)理事長が陳述しました。日本共産党の高橋ちづ子議員が質問しました。
 職場で増加している「パワハラ」の定義や防止策を法律に明記すべきではとの問いに、三柴氏はフランスなどの例を引き、「人格否定などストレス性が強い事例については法定化の条件を満たしている」と述べました。
 寺西氏は「残業代ゼロ」など安倍政権が狙う労働時間の規制緩和に関し「労働時間の正確な把握すらされていない事業所もある。当事者任せではなく、使用者側(企業)はきちんとした労働管理をしてもらいたい」と指摘しました。
 高橋氏は、ストレスチェックが努力義務とされた小規模事業所でとりくむ上で、産業医と他業種との連携や地域産業保健センターのかかえる課題について質問。圓藤氏は「ストレスチェックを受けた後の対応ができてはじめて完結する。その体制づくりを優先してとりくんでほしい」と話しました。
(しんぶん赤旗 2014年6月26日付より)

 

――議事録――

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 本日は、三人の参考人の皆さん、本委員会に出席をいただき、また、貴重な御意見をいただきました。ありがとうございました。
 最初に、三柴参考人に伺いたいと思います。
 精神障害の労災認定数が増加している中で、上司の嫌がらせなどのパワハラと思われる案件もふえてございます。ただ、そのパワハラの定義がないために、正確につかまれていない。
 嫌がらせ、いじめとかというのは一応パワハラに入れるということで、政府のパンフレットにも載っているんですけれども、ただ、例えば、上司とのトラブルとか、いわゆる仕事の無理な指導とか、そういう中にもパワハラというのはあるんじゃないかと、私、実はこの間の委員会で質問したんですけれども、そういうところまではまだまだ分析されていないということがあるかと思うんですね。なので、現実はもっと大きいのではないかという御意見もございます。
 そういう意味で、パワハラの定義や防止策について、やはり何らかの法定化を目指すべきだと考えますけれども、先生の御意見を伺います。
○三柴参考人 お尋ねいただいてありがとうございます。
 現状、精神障害の労災認定基準では、業務の範囲内にあるか範囲外にあるかというところで一応項目を分けていまして、少なくとも、業務の正当な範囲外にあるものを、あえて言うならハラスメント、嫌がらせということに説明上なっておりますけれども、そう呼べるのかなというのが一点。
 そして、ポイントは、人格を否定するようなとか、しかも繰り返しとかいうようなところに、特にストレス度が強度と認められるところについてはそういうキーワードが入っておりますので、その辺が鍵になるわけですけれども、その辺については、私個人は、立法適性をそろそろ満たしているのかな、予防のための立法適性を満たしているのかなという感じがしております。
 ただ、これは社会的なコンセンサスが要ることなので手続が必要だと思いますけれども、諸外国では、ヨーロッパを中心に、そうしたハラスメントにはもう明文で規定が置かれ、フランスなんかは、刑法とか労働法とか両方で規制を置いているところもあります。本当に悪質なハラスメントというのは本当に悲惨な結果をもたらすものですので、私個人は、そのあたりが先に進んでいってもいいかなというふうには思っております。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。
 難しい表現をされましたが、立法適性を満たしているというのは、法制化の時期ではないかという趣旨でおっしゃっているのではないか。先生がそのように書かれたものもございましたので、ぜひもう一歩進めていきたい、現実にかなり起こっていることであるということかなと思っております。
 もう一問、三柴参考人に伺いたいと思うんですけれども、労働法の専門でもあるということで、厚労省の委託事業で、ストレス症状を有する者に対する面接指導等に関する研修事業、先生は講師をされていらっしゃいます。企業の中で、例えば、連絡がなかなかとれない社員とか、産業医の面談を拒否する社員、こうした社員に対してどういう扱いをすればいいのかというふうな、企業側のさまざまな悩みに対して研修をされているのを雑誌で読ませていただきました。
 その中で、先生はこんなふうにおっしゃっています。就業規則にあらかじめ産業医面談や産業医の受診について根拠規定がある場合、その定めと適用に合理性、相当性が認められる場合には、受診等の指示に反する者への懲戒処分等が認められる場合もあり得る、このようにおっしゃっております。
 やはり就業規則にどのように書くのかということが、非常に影響があるのかなというふうに思ったわけですね。
 つまり、今回の法案は、労働者のストレスチェックを義務化はしておりませんし、面接の申し出を理由とした不利益取り扱いはしないことを認めております。ただ、その逆はないわけですよね。つまり、会社にしてみれば、例えば、面接指導を受けたらいいのではないかとか、チェックを受けましたかとか、そういうことに対して、聞かないけれども、実際に不調があって休みがちじゃないかとか、そういうことを自己責任とされて、懲戒の対象となるようなことがあり得るのでしょうか。
○三柴参考人 今回の予定された新制度について申し上げれば、あくまで自発性重視、要は、本人がストレスに自覚的に気づいて、それ以後のプロセスを経ていくということが前提になっているので、当然、労働者に対して会社側がするものであっても、原則、不利益措置をとるというようなことは予定されていないというふうに理解できます。
 ただ、メンタル対応というのは、基本、個別性が非常に高いので、この労働者はどうだろうか、会社側に特に背景がない理由で、事例性といいますけれども、周りにかなり問題を引き起こしてしまっているというような方については、立場を問わず困られているという事情もありますので、そういう意味で現実的に対応する。しかも、現実的に、公正妥当に対応するために就業規則というのが鍵になるというのは、おっしゃるとおりかと思っております。
○高橋(千)委員 そのことがまた実際の運用の中でやはり労働者の不利益になることにならないか、今のパワハラとも関連すると思うんですが、そういう問題意識を持って質問させていただきました。
 時間があればまた補足して、次の質問をさせていただきたいんです。
 次に、寺西参考人に伺いたいと思います。
 過労死防止対策推進法成立まで、あと一歩まで来たと思います。本当に御苦労さまでございます。また、先日の本委員会での意見陳述には強く心を動かされました。きょうもまた、経験者の立場からの提案に、本当に感謝を申し上げたいと思います。
 何人かの方から企業名の公表について質問が出ておりますけれども、これは私自身も、大分前に、やはり家族の会の皆さんがこれを強く求めているということで、質問もしたこともございますし、もう当然だと思っておりますので、あえて質問しないで、そのとおりだと思いますということだけにしたいと思います。
 それで、質問をしたいのは、今、政府が労働時間規制緩和についてさまざまな議論をしております。法案自体が出てきたわけではないので、それに対する意見を聞くのではなくて、現実に今、過労死された家族や、あるいは過労死寸前までいっている家族の状況というのは、単に時間だけではないのではないか。
 つまり、よく裁判でも問題になるのは、例えば百時間働いていれば文句なしに労災認定されますよね。でも、百時間も働いていないことが現実には多くて、だけれども、それプラス、ノルマであったりとか、結局、成果ですよね、成果を求められることによって非常に追い詰められる、あるいはそのために長時間勤務を強いられる、非常に複合的なといいますか、そういうことがやはりあるんだと思うんですね。
 なので、成果で評価されるから時間と賃金が一緒じゃなくてもいいんだということではなくて、やはり最低でも時間規制を設けることによって、そこを未然に防いでいく力になるんじゃないかな、そういうことが起こっているんじゃないかなというふうに問題意識として私は持っているんですけれども、相談されている事案なども含めて、ぜひアドバイスをいただければと思います。
○寺西参考人 先ほども少し触れさせていただきましたが、やはり、果たして何時間働いているのかということが一番家族にとってはわからないところでして、相談者の中からいろいろな事情を伺うところによりますと、例えば、会社では残業規制をしているというところで、決まって夜七時になればタイムカードを押してくださいとかいう形で、正しい労働時間が把握されていないというケースが多い、そういったところで労災申請の条件には合わない、そういうことも申請する側にとっては一番の大きな問題だというふうに聞いております。
 ですから、本人任せの労働管理ではなくて、やはり使用者側がきちっと労働管理をしていただきたいなというのが、私たち働いている側としては考えているところです。
○高橋(千)委員 ありがとうございました。
 その点でのきちっとした管理を、規制をしていくということがやはり必要ではないかなというふうに私は思っております。
 次に、圓藤参考人に伺いたいと思います。
 日本産業衛生学会の意見は、前の政府案のときからさまざま拝見をしているところであります。
 そこで、指摘をされていた第六十六条、健康診断についてなんですけれども、事業者は、「厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断を行なわなければならない。」という条文がございます。そこに、「第六十六条の十第一項に規定する検査を除く。」とされました。つまり、これがストレスチェックを健診と別建てにするという意味を持っております。
 衛生学会は、やはりこれを除く規定を削除するべきと主張していたのではないかなと思います。
 義務化をすべきではないということと、健診と一体で行うべきだとするというのは、一見矛盾するかのように聞こえるんですけれども、やはり私はそうではなくて、健診のあり方というのは、体と心を別々ではなく、一体として見るということの趣旨があったのではないかと思いますので、ぜひこの趣旨を御説明いただければと思います。
○圓藤参考人 おっしゃるとおりでございまして、心と体を一体として捉える、健康診断はそれを担保するものとして非常に重要なものでございます。
 それが、前回の法律の場合には大きく分断された形になりましたので、これは大変困るというふうな意見を述べた経緯がございます。今回は、ストレスチェックということに関しまして、それの項目のみを別にしております。
 今回の法律にありますように、全ての労働者に義務化されていないというふうな状況がございますので、別の項目立てにされたのではないかというふうに思っています。また、ストレスそのものが必ずしも健康情報とは限らない、いろいろな状況を聞くものでありますので、必ずしも健康診断と同一というふうには至らないと思っております。
 ただし、運用面で健康診断と一体として捉えて我々は対応していきたいと考えておりますので、やむを得ないのではないかというふうに思っております。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。非常に重要な御提言だったと思います。
 それで、ストレスチェックの活用は、五十人未満の小規模事業場には努力義務とされているんですが、一方、長時間労働の場合の医師の面接指導については、平成二十年から既に適用となっていると思うんですね。ですから、小規模企業といえども、これはやらなければならないことになっているわけです。
 その経験を通して、やはり今回の活用の面でも総合的にやっていく必要があると思うんですけれども、産業医等、多職種との連携、あるいは地域産業保健センターの活用などが非常に求められると思っているんですけれども、人手の不足ですとか、体制ですとか、あるいは研修など、さまざま課題があると思いますが、どのようにお考えか、伺いたいと思います。
○圓藤参考人 ストレスチェックの項目を行ったけれどもその後の事後措置ができないということは、むしろ弊害に近いと思っております。事後措置ができて初めて完結するものというふうに思いますので、それを適切にできる体制づくりをすることを優先したいというふうに考えております。
 したがいまして、先生おっしゃるように、地域産業保健センター事業等で十分できるというふうな状況が生まれましたら、ぜひ、小規模事業場におきましても同じような体制にしていただくということをしたいと思いますので、これから体制づくりをしていただきますようお願いしたいというふうに考えております。
○高橋(千)委員 ありがとうございました。
 もっと伺いたいことがありましたが、時間になりましたので、これで終わります。
 三人の方、ありがとうございました。

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