国会質問

質問日:2014年 5月 30日 第186国会 厚生労働委員会

労働時間規制の緩和は過労死防止に逆行する

過労死防止逆行する / 衆院厚労委 高橋議員が追及

 日本共産党の高橋ちづ子議員は30日の衆院厚生労働委員会で、「残業代ゼロ」ともいわれる労働時間規制の緩和について「過労死防止に逆行する」とのべ撤回を求めました。
 高橋氏が、過労死等防止対策推進法案が全会派一致で衆院通過したことに言及したのに対し、田村憲久厚労相は「働く方々が健康を損なって命を落とされることはあってはならない」とし、法施行に向けて準備していくと述べました。
 高橋氏は「政府が向かっているのは逆だ」と強調し、「残業代ゼロ」導入に踏み出したことを追及しました。田村厚労相は「時間ではなく成果で評価される働き方」があると言って、「高度な専門職」から導入する考えを改めて示しました。
 高橋氏は「1割の企業で裁量労働制が採用されており、労働者も事業場も『今のままでよい』が大勢」と指摘。それでも導入を狙うのは「裁量労働制や管理職でも対象になる深夜割増賃金などに切り込むのが狙いだ」と迫りました。2012年のサービス残業の是正は1277社、104億円にのぼることをあげ、「労働時間規制が緩和されれば働きすぎが見えなくなる。過労死防止とは矛盾する」と述べました。
 高橋氏は、財界は適用対象を事務職や営業職などにも広げるよう主張していることをあげ、「入り口はレアケースだが、出口は違う」と批判しました。
(しんぶん赤旗 2014年5月31日付より)

 

――議事録――

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 きょうは、まず資料の一枚目に、大変笑顔の写真が気に入りましたので、毎日新聞の記事をつけました。
 過労死等防止対策推進法案が、二十三日の本委員会、また、二十七日、衆議院の本会議を通過して、あとは参議院での成立を待つばかりとなっております。
 全国過労死を考える家族の会の寺西笑子代表は、これからの日本社会を背負っていく若者が過酷な労働環境に追いやられ、優秀な人材を亡くすことは、日本の未来をなくすことと発言をされ、この日本に初めて過労死という文言の入った法律をつくり、国を挙げて過労死を防ぐ対策を進めてくださるよう、切にお願いしますと訴えました。
 働いて死ぬなんてあってはならないという共通のスローガンのもと全会派の一致を見たことは、貴重な成果であり、寺西さんが呼びかけたように、あすにも過労死で亡くなるかもしれない、そういう命を救うために、私たち政治の責任は大きいと感じております。
 大臣も家族の会の皆さんと面会されたと承知をしておりますが、本法案成立に当たっての大臣の感想と決意を伺いたいと思います。

○田村国務大臣 働く方々が健康を損なって命を落とされるということは、あってはならないことであります。
 そのような意味で、今委員がおっしゃられました過労死等防止対策推進法案、これは五月二十七日、全会一致で衆議院で可決をされたわけでありまして、これから参議院で審議をいただくものだというふうに思います。これを我々も見守っていきたいというふうに思います。
 これは、施行される前でも、例えば協議会の設置、それから大綱、こういうものの準備はできていけるわけでございますので、こういうものは、施行等々をしっかりと見据えながら、我々としては準備をさせていただきたい、このように考えております。

○高橋(千)委員 ありがとうございます。
 私自身も議連の世話人の一人として議論を重ねてきたわけですけれども、自民党のPTにも本当に審議を重ねていただく中で、やはり、強化月間の、最初は週間という案だったのが月間になったりですとか、厚労白書に毎年位置づけて調査の実態を発表する、こうしたことによって、本当に国が責任を果たしていく。
 残念ながら、この過労死の範囲は非常に狭いものだったんですけれども、しかし、調査の対象としては大きく入るんだ、しかも公務員も入りますから、国家公務員も入るという形で盛り込んでくれたということは非常に大きな意義があったかと思っております。実効あるものにしていきたい、このことを重ねて確認をしたいと思います。
 ただ、残念ながら、政府が向かっているのが真逆ではないかということを本当に指摘したいと思うんですね。しかも、総理は、働き過ぎを防止するのだということをあえておっしゃっている、その名目で今議論されているのが、きょう朝から話題となっている労働時間規制緩和が産業競争力会議で議論されていることであります。非常に残念に思っているんです。
 資料の二枚目に、「緩和職種で対立」ということで、これは読売新聞の二十九日付の記事をつけておきました。
 これは、同会議の様子を報道して非常にわかりやすいなと思ったんですが、厚労大臣は、田村大臣は、為替ディーラーなどの世界で活躍する限定的な専門職に対応するのだとおっしゃっていて、それでは狭過ぎる、幹部候補まで入れるべきだという民間議員の声が上がっていることが紹介をされております。
 総理は、長時間労働が強いられると言われるのは誤解だと述べているわけですが、この真ん中の顔写真のところを見ていただければわかるように、甘利大臣は、残業代ゼロではなく、残業代込みだ、こういうふうに答えているわけで、何のこっちゃと思ったわけです。
 そこで、ここの構図だけを見ると、何か田村大臣が孤軍奮闘して守っているように見えるわけですけれども、実際はどうなのか。基本は、時間ではなく成果で評価できる仕事に関して残業代などとは違う制度をつくる、これは、枠がどうなのかというだけであって、基本の考え方は一緒でしょうということを確認したい。

○田村国務大臣 各党の立ち位置をよく理解させていただきながら答弁をさせていただくわけであります。どちらからもお叱りをいただくということでございまして、つらい立場で答弁をさせていただくわけでありますけれども。
 これは、成果を評価するという形でございますので、基本的には、残業代込みというよりか残業というような概念がないわけでありまして、成果というものを評価する。ただし、そのときに、我々が申し上げているのは、やはり一定の労働契約の交渉力がなければ、そこはおっしゃるとおり、むちゃな成果という話になれば、本来できないような成果を強いられれば大変なことになるわけでありますから、そういうところを念頭に我々は提案をさせていただいたわけでございます。
 よくよく、全く世界にこういう働き方がないかといえば、ヨーロッパやアメリカにもあるわけで、ヨーロッパとアメリカは若干違いますけれども、あるわけでございまして、ヨーロッパ等々では、やはりジョブ型で、交渉力のある方々がこのような形の中で働いておられるということでございますから、それを念頭に置きながら、我々としては今般このような提案をさせていただいたわけでありまして、逆に言えば、それによってワーク・ライフ・バランスがしっかり保てるというような考え方もあるわけでございますので、御理解をいただければありがたいというふうに思います。

○高橋(千)委員 率直に言って、ILOの労働時間条約さえ批准をしていないのに、こういうときだけヨーロッパのまねをするという議論はやはり違うんだ、土台ができていないじゃないかと言わせていただきます。
 大臣が言うように、成果で評価できる世界レベルの高度専門職、そういう方たちというのは、もともと残業代に縛られない、そういう世界で生きているのではないんでしょうか。そもそも、厚労省の調査では、変形労働制を採用している事業所というのはもう五割に達していますよね。みなし労働時間制は一〇・八%、年俸制でも一三・三%なんですね。ですから、そういう裁量労働制とか年俸制とか、もともとある制度の中で十分対応できることなのではないんですか。

○中野政府参考人 年俸制は労働時間制度そのものではございませんけれども、裁量労働制のもとでは、みなし労働時間が一日八時間を超える場合、三六協定の監督署長への届け出が必要でありまして、みなし時間、今申し上げたように、八時間を超える場合は割り増し賃金の支払い義務がございます。また、深夜、休日の割り増し賃金支払い義務や、休日規制があることから、専ら成果で評価され、交渉力のある労働者であっても、裁量労働制のもとでは完全に労働時間規制から自由にはならない仕組みであります。
 五月二十八日の産業競争力会議で、時間ではなく成果で評価できる仕事に適する労働時間制度について大臣から御説明いたしたところでございますが、成果のみで評価できない労働者も幅広く労働時間規制の適用を除外され、労働者保護にもとることのないよう、新たな制度の対象は、成果で評価できる世界レベルの高度専門職に絞る必要があるというふうに考えているところでございます。

○高橋(千)委員 例えば、政府の企画業務型裁量労働制の適用労働者の満足度でいっても、やや満足、満足しているが合わせて七六・四%。また、事業場でいったって、今のままでよいと答えているのが六八・六%。そういう実態の中で、一体誰のニーズなのかということになるわけですよ。結局、限定だ限定だと言うのであれば、そこまで限定するなら、あえてこの制度を持ち出す意味がないということなんですね。
 つまり、二十八日の会議でも、出席した民間議員や閣僚からは、一握りでは意味がないと言われているわけですね。労働政策が変わるというメッセージを出すべきだと再考を迫ったと。甘利大臣の記者会見もそういう意味だと思うんですね。
 やはり、あえて法改正が必要だと言っているのは、今の裁量労働制の中であっても、あるいは管理職であっても対象となる深夜業、この割り増し残業代、こうしたものも取っ払いたい、切り込みたい、そういう狙いがあるからではないでしょうか。
 いわゆるサービス残業根絶のための通達が出されたのは、二〇〇一年、平成十三年四月でありました。この間、この一片の通達が出されたことによって、労働者と、あるいは監督官の仕事の中で、十一年間で二千三十七億円の不払い賃金が是正をされています。最新の報告を見ますと、是正企業が千二百七十七。前よりは減ってきておりますけれども、百四億五千六百九十三万円。十万人を超す労働者に不払い賃金が戻っているんですね。
 着目したいのは、一千万円以上の割り増し賃金を払った企業は、全体の一三・九%ですが、合計額は七割近いわけです。それで、二十四年度で、一社で支払った最高額は幾らかといいますと、卸売業で五億四百八万円。一社でそれだけの不払い賃金を払った。超有名なあそこかなと思ったわけですけれども。
 結局、この問題というのは、単に賃金を不払いだから払えというだけではなくて、それだけの長時間労働、サービス残業をしているんだということを明らかにすること、それも役割を果たしていると思うんですね。
 これが、まさか是正対象から払わなくてもよいものになっては大変なわけでありまして、結局、言いたいことは、働き過ぎ防止を建前はうたっているけれども、働き過ぎが見えなくなるのではないか。これは、残業ゼロだったら残業代ゼロですから、それならいいんですよ。そうじゃないんでしょう。働き過ぎていることが表に出てこなくなる。これでは、過労死防止とは絶対矛盾すると思います。大臣、どうですか。

○田村国務大臣 前回の改正を提案した際において、自己管理型の労働制というような形でございましたが、これは、健康、福祉の確保策をしっかりとった上で、週休二日分の休みをとるというような、そういうものであったわけでありますが、今般のは違っておりまして、先ほど来言っておりますとおり、成果というものを評価する、こういうような提案であるわけであります。
 働き過ぎというのは、今委員がおっしゃられたのは、我々が言っているのとは多分違う話なんだというふうに思いますが、我々は、高度な専門職という意味で、そもそも時間でははかれないようなそういう働き方の方でありますから、その方々が、自由な働き方の中において、自分のワーク・ライフ・バランスをとっていただきながら仕事をしていただくという話であります。
 ホワイトカラーという意味からすれば、日本は労働生産性が余り高くないというふうに言われておりますので、そういう意味からすると、我々は、裁量労働制というものを提案する中において、裁量労働制であれば、早く仕事を済ませれば早く帰れる、もしくは残りの余った時間はさらに違う仕事をして給料が上がる、こういう話になって、生産性が上がるわけでありますから、そのような提案をするのがより合理的であろうということで提案をさせていただいたわけでありまして、残業をして、サービス残業をしてというのとは全く違う。時間に合わせて、ちゃんとみなしという形で仕事量をはかるということでございますので、その点は、賢明な高橋議員は御理解をいただいているというふうに思います。

○高橋(千)委員 効率よく、かつ成果を出す人の話をしているんじゃないんですよ。時間でははかれないと言っているだけであって、それは、みんなが短時間で仕事を終わらせるという意味ではないわけでしょう。
 だから、資料の最後にあるように、改革の大前提は働き過ぎ防止、ブラック企業撲滅と書いているんじゃないですか。これをわざわざ書かなきゃいけないのは、そういう働き過ぎの人も含めて検討しているということを意味しているんですよ。
 これは最後のページですけれども、その間に、競争力会議で配られた資料をつけておきましたけれども、財界の皆さんがどんなことを言っているかということを集めた資料なんですね。
 これを見ますと、例えば、一月十五日の経団連は、「労働時間・深夜労働の規制の適用を除外する制度を創設すべき」とあります。私が今言った深夜労働の規制ですよ。これが真っ先に出てくるじゃないですか。
 つまり、幾ら裁量労働制であっても、包括で時間をもともと決めておって、その中に残業代も入っている、そういう働き方でも、深夜というのは特別なんだ、人間のライフサイクルにとって、やはりそれはきちんと規制をしなければ過労死につながることなんだということで、あえてこれはやってきたことじゃないですか。そういうことを取っ払えということを言っているわけですよ。
 その後の、下の人などのを見ていくと、結局、「高度な裁量を持って働く」と言いながら、「一部の事務職や営業職、研究職等を対象に、」ということで、イメージしているのは、大臣が言っているような限定的なものではなくて、もっと広い人たちをイメージしているということがわかるわけなんですね。
 改めて最後のページに戻りますけれども、御丁寧に、いやいや、働き過ぎをちゃんと規制するために労働基準監督官をふやすんだ、諸外国から比べても監督官の数は少ない、まあ一番少ないのはアメリカ、当たり前ですが、そういう表までつけてくださっているんですよ。
 共産党は、何度も何度もこの問題を取り上げてきたじゃないですか、監督官が少な過ぎると。これを倍にしたくらいでは焼け石に水というのが実態です。
 でも、何で民間議員がこういうことまで言ったのかということをたどっていきますと、四月二十二日に長谷川氏のペーパーが出ています。何と言っていますか。「ハローワーク機能の一部地方・民間開放等を大幅に進めている現在の政策の方向性を鑑み、労働行政全体の人員配置を見直すことで、諸外国に比べ大幅に不足している労働基準監督のための人員を強化すべき」。
 早い話が、ハローワークを派遣会社に任せて、余った職員を監督署に回せと言っているだけじゃないですか。非常に乱暴な議論です。こんな議論には乗らない、きっぱり拒否しますということは言っていただけますね。

○田村国務大臣 今、産業競争力会議で、民間議員の方々がおっしゃられたような御意見は御意見として提案があったわけでありますが、我々の提案は、先ほど来申し上げておりますとおり、そもそも、夜働かなきゃいけない方々がおられますよね、専門職の中で。そういう方々は、深夜割り増しというよりかは、それはもともと入った中において、成果という形に評価する中で報酬が決まっておるわけでありまして、そういう方々は、やはりこのような形で対応するというのは我々としては適当であると考えるわけであります。
 そうでない人たちに関して、いろいろな御意見もあるわけでありますので、これはまた大臣としてのいろいろな協議をさせていただきたいと思います。
 労働基準監督官をふやしていただけることは大変うれしいわけでありますけれども、いろいろなことを勘案しながら、我々としては要望はしてまいりたいというふうに思います。

○高橋(千)委員 済みません。今ちょっと重要なことをおっしゃったなと思うんですが、局長に確認をしますが、夜働く人は深夜割り増しを含んでいる、これでいいんですか。

○中野政府参考人 これはよく高橋委員からもこれまで何回か御質問いただいたことですが、残業についても一定の定額を渡して、実際に残業時間がそれを超えたら、ちゃんとそれを支払う形は合法であるという形で我々は解釈を示しております。
 それと同じような意味で、深夜に対する割り増しも基本的に同じでありますので、考え方としては同じような趣旨でただいまの大臣は発言だったというふうに理解しております。

○高橋(千)委員 そうなってくると、深夜でも昼でも総枠だから一緒なんだ、入っているんだ、そういう世界でやるんだという議論では全然話にならないんですよ。いやいや、大臣、そう言っていますけれども、きのうそういう説明を、私、厚労省から受けたんです。
 つまり、裁量労働制の世界であっても、あるいは管理職であっても、きちんと深夜業というのは手当てをしなきゃいけない。今がそう。だから、そこを取っ払えと経団連からも言われているんじゃないですか。そこを丸めてやっていくというのではだめなんだということを、最初の趣旨とは違うということを指摘しているわけです。
 大臣、まだ弁解されるんですか。

○田村国務大臣 深夜というのは、適用除外になれば、それは適用除外になるわけであります。
 ただ、夜働かないとそもそも成果を出せない人というのは、もともと、そういうことが前提の中において成果に対して報酬をもらっているわけでありますから、昼間働いても成果が出ない人は夜しか、例えば為替ディーラーで、どうしても時間が逆転するところは、夜働かなきゃできませんよね。そういうところは、そもそもが深夜とかいうような概念ではなくて、その成果の中として入っておるんだということを申し上げたわけであります。
 言われるとおり、深夜割り増しが適用除外になれば、それは当然のごとく、そういう概念では入りませんけれども、私の言っている意味は先ほど申し上げたような意味で、入っているというか、概念としてあるということを申し上げたわけであります。

○高橋(千)委員 残念ながら時間が来ましたので、続きはまた来週にしたいと思うんですが、入り口はレアケースであって、出口は全然違うんだというところ、やはりそういうところに立って議論をしていかなければ話にならない。最初に言った過労死を本当になくすんだという決意からいうと、本当にこれは重大な法案だ、法案になるのかどうかも含めてですけれども、重大な中身だと指摘をしなければならないと思います。
 有期については次にやりたいと思います。終わります。

 

――資料――

【資料1】2014年5月24日毎日新聞「過労死防止法案成立へ 衆院通過 国に実態調査促す」

【資料2】2014年5月29日読売新聞「緩和職種で対立 厚労省と民間議員 労働時間規制」

【資料3】新しい労働時間制度の創設を求める経済界の提言・発言

【資料4】資料3の続き

【資料5】資料3の続き

【資料6】改革の大前提:「働き過ぎ防止」「ブラック企業撲滅」

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