国会質問

質問日:2014年 5月 28日 第186国会 厚生労働委員会

JAL不当解雇問題

日航の解雇問題で高橋議員 / 人員不足で離職率高める

 日本共産党の高橋ちづ子議員は5月28日の衆院厚生労働委員会で、日本航空が会社更生手続き中の2010年末にパイロット、客室乗務員165人を整理解雇した問題について質問しました。
 高橋氏は、日航の経営再建を支援した企業再生支援機構の「支援の前提条件」や「支援決定基準」で、安全運航や労働組合との協議が明記されているとして、会社更生法による法的手続きのなかでも「解雇回避努力が求められていた」と強調。西村康稔内閣府副大臣もそれを認めました。
 高橋氏は、強引な人減らしによる人員不足と過密労働が若年層の離職率を高め、労災や航空法に基づく安全性にかかわる報告の増加をもたらしている実態をデータを示して指摘しました。
 高橋氏は、日航が「(原告の計算は)間違っている」「人員削減目標が達成された実態はない」と主張しながら、その根拠となる数字を示していないことを指摘し、政府の責任で明らかにせよと要求しました。
(しんぶん赤旗 2014年6月4日付より)

 

――議事録――

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 きょうは、JALの整理解雇問題について質問いたします。
 日本航空は、一万六千人のリストラなどを条件として、二〇一〇年一月十九日、企業再生支援機構による支援と会社更生手続の開始が決定されました。
 この年の大みそかに、JALのパイロット八十一名、客室乗務員八十四名、計百六十五名が解雇されました。百四十六名が東京地裁に提訴。一審は敗訴しましたが、原告らは控訴。そして、六月三日に客室乗務員、五日にパイロットの高裁判決を迎えます。
 きょうは、内閣府の西村副大臣に最初、端的にお願いしたいと思うんですが、伺います。
 このときの企業再生支援委員会による支援決定の前提条件においては、安全性のさらなる向上、機材の小型化、効率性向上、三つ目に不採算路線の大胆撤退などが求められています。いわゆる人員削減は、あくまで供給量減少に応じた人員調整でしかないこと。資料の一にあるように、支援決定基準というのがございますけれども、その中で、最後に書いてあるように、労働組合等との話し合いを行うことと明記をされております。つまり、会社更生法による法的手続の中においても、解雇回避のための努力を行うことを求めていたと思いますけれども、確認をさせてください。

○西村副大臣 お答えを申し上げます。
 御案内のとおり、日本航空は、平成二十二年当時、債務超過となりまして、経営破綻に陥りました。事業や雇用の継続は危機的な状況にあり、同社の再建のためには、安全な運航の確保を大前提としつつ、当時の判断として、人員削減を含む更生計画全体についての確実な実施が不可欠であったと考えております。
 このような日本航空の再建の過程で、日本航空が多くの方々に自主的な退職をお願いせざるを得ない中で、最終的に整理解雇という事態になったと承知をしておりますが、具体的な人員削減の進め方については、日本航空において当時の状況の中で判断をされたものと考えております。
 御指摘の支援決定基準においては、「申込事業者が、労働組合等と事業再生計画の内容等について話合いを行ったこと又は行う予定であること。」とされておりまして、日本航空においては、支援決定後、労働組合等との話し合いに努めてきたものと承知をいたしております。
 いずれにしましても、日本航空の整理解雇の問題につきましては、御指摘もありましたけれども、現在係争中でありますので、これ以上のコメントは差し控えたいと思います。

○高橋(千)委員 基本的な当時のことを確認させていただきましたので、今、係争についてあれこれということを言っているのではありません。
 今、副大臣の答弁は、まさに再生支援を政府が決定するに当たって、今言った安全性の問題、不採算路線の大胆撤退、あくまでもリストラありきではなくて、きちんとした、そこが条件であって、かつ、あくまでも供給量が減ったからこそ減らすのであって、しかし、そのために、解雇ありきではなく、労働組合との話し合いを行うこと、また、解雇回避の努力を行うということが前提にあったということだと思うんですね。そこを確認したかっただけですので、まず一つ確認をさせていただきました。
 その上で、厚労大臣は当時、一月十九日、同じ日に、主務大臣の一人でありました。そこで、「事業再生計画の実施につき助言・指導するに当たっては、関係法令の遵守及び労働者との協議の状況への配慮をお願いする。」と意見を述べています。この意見は尊重されたと思いますか。また、その理由についても伺います。

○田村国務大臣 当時は私は大臣じゃなかったんですけれども、当時の大臣の話でありますが、企業再生支援機構が日本航空に支援を決定する、これに際して、厚生労働省の方に意見の照会があったわけであります。今委員が言われたとおり、厚生労働大臣として、「事業再生計画の実施につき助言・指導するに当たっては、関係法令の遵守及び労働者との協議の状況への配慮をお願いする。」このような意見を述べたわけであります。
 機構は、この意見も踏まえた上で再生支援を行ったものである、このように考えております。

○高橋(千)委員 私は大臣に対して聞いています。もちろん、そのころは民主党政権だったとおっしゃるかもしれませんが、行政の継続というものがあります。ここは、主務大臣として厚労大臣が意見を述べております。
 株式会社企業再生支援機構法の第四十五条に、「機構は、主務大臣がこの法律の定めるところに従い監督する。」となっておりまして、厚労大臣というのは、四十五条と四十六条、立ち入りとかの、そこの部分だけ主務大臣なんですよ。その中で、きちんとした監督など、「必要な命令をすることができる。」と明記をされています。その立場に立って厚労相がこの意見を述べたのに対して、その後どうなったかということを、評価していますかと聞いています。

○田村国務大臣 意見照会をされて、厚生労働省、大臣としての立場、考えを述べさせていただきました。それにのっとって再生支援機構が再生支援を行ったわけでございますので、そのような意味で、私は、適切に行われたというふうに認識をいたしておるということであります。

○高橋(千)委員 もう一回最後に大臣に聞きますからね。これは主語が違うんですよ。最初に副大臣に聞いたように、再生機構が、労働組合との話し合いをきちっと見てくれましたかということで確認をしました。しかし、今のは、主語は厚労大臣であります。その主語にのっとって必要なことをやりましたかということを聞いているわけでありますから、意見を言ったからいいんだということではないのだということを重ねて指摘したい。最後にもう一度聞きますので、話を、その後の展開を見ていただきたいと思います。
 それで、実際に、こうして支援が決まってから、その後の状況がどうなっているのか。
 成田空港が安全・衛生管理特別指導事業場として四度目の指定を受けたのはなぜでしょうか。労災の発生率が高いとして改善が求められているということは、経験者不足も指摘されていますけれども、認識を伺いたい。

○半田政府参考人 大変申しわけございませんが、個別特定の事業場が安全・衛生管理特別指導事業場に指定されたかどうか、あるいは、指定されている場合でありましても、国がどのような指導内容を行っているのかといったことにつきましては、個別の事案に係るものでございますので、お答えすることは差し控えさせていただきたいと存じます。
 なお、一般論として申し上げれば、安全・衛生管理特別指導というものは、事業場における安全衛生管理水準の向上を図るために、都道府県労働局長が管内の事業場を指定し、安全衛生改善計画を作成させ、継続的な安全衛生指導を行う、こういう仕組みでございます。

○高橋(千)委員 一般論だと言われたので、資料の二枚目を見ていただきたいと思うんです。
 これはJALに限ったことではありません。航空業の死傷災害の件数ということで、全産業との比較があるんですけれども、百万人当たりの労働災害による死傷者数を度数率というんですけれども、二十三年と二十五年を比較していただければ、全産業は、一・六二から比率だけは一・五八に下がっているんですが、航空業は、一・四五から一・八一に上がっています。そして、実数でいいますと百十六人から百六十一人ということで、労災がふえているわけなんですね。そういう中で、お認めにはならなかったけれども、こうした四度目の指定ということがあったんだろう。
 どうしてこうなるんですかということを聞いたときに、一般論としてお答えになったのは、空の上ですから、乱気流になったときに立っていて、それで転んでいることもあるんです、だから空の上というのは事故が多いんですよなんという説明をしたんです。これはとんでもないと思うんですよね。だって、ふえているんですから、なぜですかということを言わなければならないし、それだけ余裕がないということでしょう。
 委員の皆さんもたくさんふだんも飛行機に乗られると思いますけれども、本来であれば、機長から、これから乱気流に入りますからということでアナウンスがあって、乗務員も席に着きます、サービスを停止しますと言うじゃないですか。そういう当たり前のことができていない、大変な混乱がある、あるいは新人さんに対しての教育も十分できていない中でこういうことが起こっているんだということを指摘しなければならないと思います。
 では、次に国交省に伺いますけれども、こっちはJALそのものについてのことを伺いたいと思いますが、航空法第百十一条の四に基づく安全上の支障を及ぼす事態は、一体どのくらい報告されていますか。

○甲斐政府参考人 お答えいたします。
 日本航空による航空法第百十一条の四に基づきます安全上の支障を及ぼす事態の報告件数ということでございますけれども、二〇一〇年度、百九十四件、二〇一一年度、百五十七件、二〇一二年度、百三十七件、二〇一三年度、これは上期だけでございますが、五十件となっております。
 また、二〇一〇年度以降、日本航空に対して文書による厳重注意を行っておりますけれども、その内容は、一つは、整備委託先で適正に整備されておらず、適正に使用ができない脱出用のスライドを装着したまま運航していた事案、これは厳重注意の日付が二〇一一年一月三十一日でございます。もう一つが、運航乗務員が運航中に不適切な行為を行っていた事案、これは二〇一一年八月十七日付で文書注意しております。この二件でございます。

○高橋(千)委員 今の航空法第百十一条の四に基づく報告件数、JALの分ですけれども、資料の三枚目につけておきました。
 決して軽視できない報告がたくさんあるということが今あったし、その中でも厳重注意があったということが報告されたと思うんですね。
 私は、安全と雇用の問題は非常に関係があるということを指摘したいなと思うんです。
 ILOの結社の自由委員会の第二千八百四十四号案件に関して、政府は重ねて勧告を受けているわけですけれども、厚労省はJALの意見書を二〇一一年十月十四日付で添付しています。その中でJALが何と言っているか。路便、路線の変更に伴い、原告らが乗務対象でなくなった後も、JALIにおいては支障なく運航を継続することができている。本当でしょうか、今の議論を聞いていて。整理解雇対象者数は業務上の必要数を上回っており、労働の対価たる賃金を支払う対象となるべき業務が存在していない、そこまで言ってのけているんですね。
 本当にそういうことが言えるのか。これは本当に、質の面でも量の面でも全く逆さまなことになっているじゃないかと指摘をしなければならないと思うんです。
 そこで、資料の四枚目につけておきましたが、厚労省は来春から、いわゆるブラック企業が社会問題化する中で、来春卒業予定の大学生や大学院生の求人をする企業に対して、過去三年間の採用者数と離職者数を求人票に明示するよう要請すると決めたといいます。これは離職率が高いことがやはり一つのキーワードになるでしょうし、これを発表しなければ発表しないだけ、何か問題があるのかなということを思わせる、そういう大きな効果があると思うんですね。
 では、日航のこの三年間の離職者数、離職率はどうなっていますか。

○宮川政府参考人 お答えいたします。
 若者の適切な職業選択に資するように、平成二十七年三月新規大学等卒業予定者用のハローワーク求人票に過去三年間の新規大卒者等の採用者数と離職者数の記入欄を設けまして、任意に記載できるようにしたところでございます。
 そのハローワークで受理して公開しております学卒等求人の中に日本航空の求人はございませんので、お尋ねの過去三年間の離職者数、離職率については承知していないところでございます。

○高橋(千)委員 別に、今、これから起こる制度について、書いていないのは当たり前なんですよね。だけれども、離職者数を把握しているかということを聞いているわけですよ。だから、どういう実態になっているのかを厚労省がつかまなきゃだめでしょうということを言っています。
 さっき私が言ったように、JALの参考意見というのは、厚労省に対して返事が来ているんですよね。そうでしょう。ILOに対して出した文書でありますけれども、厚労省課長宛てに返事が来ているんですよ。それをILOに出しているんですから、本当にそうなんですかということを聞いているわけなんです。
 原告団の調査だけでも、二〇一二年三月の一審判決後、客室乗務員の採用は再開され、今年度までに千五百名の新人採用がありました。余っているわけがないわけです。足りないということをあらわしているじゃないですか。
 一方、解雇を強行した後も百二十名以上の運航乗務員が自主退社し、社外への流出がとまらないんです。これはそうですね、今パイロットが不足して大変なことになっていますからね。人員不足が顕在化して、年間乗務時間が制限ある九百時間に到達する者が出ている。深刻な過密労働になっているわけですね。そうした中で、さっき言った労災ですとか、安全に支障がある事態が起こっているのではないでしょうか。
 さっき言った意見書の中で、JALは、年齢の高い者ほど定年が近いんだ、だから、将来の貢献度を考慮に入れて、将来の再建に向けた原動力となる若年層を残す、ここまで言っているんですね。だけれども、もう一方では、高裁に対する準備書面の中では、客室乗務員のうち二十代、三十代の若年層は、四十代以上の層に比べて自己都合による退職率が高く、年齢制限を設けなければ将来的に若年層の十分な確保が危ぶまれる、ここまで書いているわけですね。
 一方では若年層の自主退社がふえている、一方では将来のために高齢者を切っていくんだ、こんな理屈が通りますか。これで本当に安全なことができるかと指摘をしなければならない。
 まず、大臣に行く前にもう一回国交省に聞きますけれども、二〇一二年八月に、「日本航空の企業再生への対応について」、再上場に向けてですね、航空局は、JALグループの中期経営計画、二〇一六年度までですが、その期間中に、状況を監視し、必要に応じ指導助言を行うとあります。その中で言っているのは、国民生活に不可欠な路線の維持として、地方路線の復活を求めています。これは、再生のために不採算路線を削減するよう指導してきたことと矛盾しないでしょうか。
 もう一つ。中期計画の中では、「事業規模の増加に対して、必要人員数は本計画期間を通じ、現行の三万二千人レベルを維持します。」とあります。つまり、増便もするし、事業規模が増加するのはわかっているのに、現行の人員レベル維持、これはどういうことですか。意味がわかりません。

○坂井大臣政務官 日本航空の再生は、同社が我が国の発展基盤である航空ネットワークの重要な部分を担っているからこそ実施をされているものでございますが、日本航空の再生過程では、地方路線の大幅な削減が行われてきております。同時に、機材の小型化などのダウンサイジングも実施されてきておりまして、路線ごとの運航コストが低減を図られてきております。
 これにより、過去には不採算という形で撤退した路線であっても、採算確保が可能となった路線もあると見込まれるところから、日本航空の経営判断によっては運航を再開できる路線もあると認識をいたしております。
 また、後段の御質問でございますけれども、八・一〇ペーパー、先ほど御指摘がありましたペーパーにおきましては、企業再生が適切かつ確実に行われているか、また、公的支援によって航空会社間の競争環境が不適切にゆがめられていないかを確認するために、このペーパーはあります。
 一方で、日本航空の必要人員数につきましては、同社がその事業規模に応じて適正な人員規模を決めているものと承知しておりまして、実際、日本航空からは、人材育成や各部門における生産性向上等によりまして、事業規模の増加に対しましても必要人員数は維持できるということを聞いております。
 以上でございます。

○高橋(千)委員 結局、運航コストとおっしゃったけれども、それは、安全に対するコストを削るということじゃないですか。それで今までの問題が指摘されているのに、何も反省をしていない。最初に確認した、安全性を前提にということがないわけですよ。
 そこで、西村副大臣にもう一回戻りますけれども、原告の皆さんは、皆さんはというか、法廷の中でも稲盛和夫前会長も指摘をしているように、本当は整理解雇は必要なかった、人の上では足りていた、解雇しなくてもよかったということを言っているんですね。その議論をしているときに、結局、いやいや、計算が間違っているんだということを会社側は言うわけです、書類の中で。
 だったら、ちゃんとした数字を出してくれと。当時、何人いたのか、一体、一般退職は幾らだったのか、それを出してもらわなければ話にならない、土台にならないんですよ。そのことを政府として迫るべきだと思いますが、いかがですか。

○西村副大臣 まさに、御質問の点は、今現在係争中の訴訟にかかわるものでありますので、具体的な言及は、これはもう本当に差し控えたいと思います。
 ちなみに、稲盛和夫会長が必要なかったという言い方、私もちょっと議事録も読みましたけれども、これは、数字の上からすれば整理解雇を避けることは不可能ではなかったということを説明したものですが、整理解雇実施そのものは、一時的に数字がよい状況になってもなお、この更生計画というものを実現するためにはやむを得ないものというふうに考えていたという趣旨の発言もされていますので、その点、私どもはそういうふうに理解をいたしております。

○高橋(千)委員 時間になりました。
 そのための前提を出せということを重ねて指摘をして、大臣にもその要望をしておいて、終わりたいと思います。残念ながら時間が来ました。

 

――資料――

【資料1】支援決定基準(株式会社企業再生支援機構支援基準 告示)

【資料2】航空業の死傷災害の件数、安全・衛生管理特別指導(安全衛生改善計画の作成)について

【資料3】航空法第111条の4に基づく報告件数

【資料4】2013年12月14日日本経済新聞「求人票に離職者数明示 ブラック企業対策 厚労省が要請」

 

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