国会質問

質問日:2014年 5月 13日 第186国会 厚生労働委員会

医療・介護総合確保法案―参考人質疑

医療・介護総合法案を批判 / 参考人 撤回や徹底審議求める

 医療・介護総合法案について13日の衆院厚生労働委員会で参考人質疑が行われ、参考人からは法案撤回や徹底審議を求める声が相次ぎました。日本共産党から高橋ちづ子議員が質問しました。
 京都ヘルパー連絡会の浦野喜代美代表世話人は、要支援者向け訪問・通所介護を介護保険給付から外すことについて「要支援者ほど、専門家の丁寧なケアが必要だ」と批判。ホームヘルパーに代わりボランティアの活用が狙われていることには「ヘルパーは単なる家事代行ではない。頭の後ろの目、体すべてで(利用者の)状況を見ている」と指摘し、「この法案をこのまま通してしまうつもりですか。現場の声を聞いてください」と訴えました。
 立教大学の服部万里子講師も「利用者の実態にあわせて必要な支援をしている」とホームヘルパーの役割を強調。新制度で要支援者へのサービスが移行される側の市町村も、「利用者の健康状態の悪化を招く」など不安を抱えている実態を示しました。
 認知症の人と家族の会の田部井康夫理事は「消費税増税で新たな負担が増えさらに給付が削減されるのは道理に合わない」と指摘。「新たな制度では、チェックリストによる選別で認知症患者はますます適切なサービスが受けられなくなる。これ以上不安に陥れないでください」と述べ、法案撤回を求めました。
 高橋議員はホームヘルパーの専門性について質問しました。浦野氏は、利用者の複雑な心境に配慮しながら観察し、状況を判断する力をあげました。そのためには長く働けることができ、人間の尊厳を理解できる「人間性」が重要と指摘したうえで、多くの有資格者がいながらなぜ働けないのかを考えるべきだと述べました。
(しんぶん赤旗 2014年5月14日付より)

 

――議事録――

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 きょうは、六人の参考人の皆さん、本当にありがとうございました。貴重な御意見を生かしていきたいと思います。
 特に、田部井参考人の御意見については全くそのとおりで、認知症の問題がこれほど社会でも話題になり、委員会でも随分議論をされてきました。なのに粛々と法案が通るというか、直しもしないというのはやはり絶対おかしいと思っておりますので、頑張りたいと思っております。ありがとうございました。
 まず最初に、浦野参考人に伺いたいと思うんですけれども、利用者さんの思いと、また、頭の後ろに目をつけて奮闘しているヘルパーさんの頑張りが伝わってきたと思います。
 さっきの井坂さんの質問は大変難しい質問だったと思うんですが、直球で素直に聞きたいと思うんですけれども、ヘルパーさんの専門性について、ヘルパーさんが関与することによって利用者さんが変化をする、こういう実例、具体的な役割について簡潔にお願いしたいと思います。
○浦野参考人 難しい質問でございます。
 ヘルパーの専門性といいますのは、まず第一に、生活の場に介入したときに、その人の状況をある程度見ることができるということです。ただし、利用者の状況によっては、思いは言いません。ですから、一つには観察の仕方ですね。
 それは、ただじいっと見るのではなくて、看護師の場合はじっと見るなんです、しっかり見るなんです。けれども、ヘルパーの場合は、じっとじゃないんです。それとなく見るという観察の仕方が、やはり医療の専門職とはちょっと違います。じっと見ると認知症の方はそれだけで萎縮してしまいますから、そういうとこら辺で、観察の仕方。
 どうしてそういう観察をするかという点では、やはり利用者の状況がどのようなものか理解する。それは人間性とか尊厳とかいうことを基本的に理解しているということだと思いますし、まず、観察をどういうふうにするかというところに一つは専門性があります。
 それと、次に、その人がする行動について、それがどのような意味を持っているかということを見た上で判断できるということです。それは、非常に専門分化されているような医療の場では難しいんです。非常に総合的に判断できるということです。そこに一つは専門性があります。
 ですから、その人自身がやはり文化的な生活をしているというのが影響してきます。ですから、その人自身がやはりより人間らしい人であるということが問われるわけですから、判断するときの、人を人として見る、そこにやはり大切なポイントがあって、そこに専門性があります。
 ただし、専門性を育てる場合には、続けないと専門性は育ちません。どうやって見るかには個別性がありますから、働き続ける、そしてチームで共有するということなしには専門性が続かないわけです。
 私が経験したのは、認知症の初期の方です。非常に不安定でした。汗をびっしょりかいているんです。不安定ですけれども、よく考えたら、汗をびっしょりかいているけれども、どうしたらいいかわからない。
 そのようなときにどのように判断するかというふうな点ですね。暑いんだけれども、どう判断したらいいかわからないときに、どのような声をかけるか。着がえましょうだけでは、その方はできません。私も暑くてねというふうな感じで、まずその思いを共有するところから始まるわけですが、なかなか、現場では直球でいかないわけです。
 ですから、観察の仕方と判断、それをするその人の人間性というところに育つ専門性があるというふうに私は思っています。
○高橋(千)委員 貴重な御意見、ありがとうございました。後でもう一度伺いたいと思いますので、お願いします。
 先に山崎参考人に伺いたいと思うんですが、きょうの陳述では、介護保険成立の経過も含めてお話をいただきました。あえて介護が保険でスタートした、これはやはり持続性ということに注目したということだと思うんです。
 ただ、今回は、そもそも保険料は収入に応じた形になっているんですけれども、しかし、保険の事故に当たる給付、利用料について、今回、収入で差をつける、このことが保険の原理に反するのではないか。また、現役並み所得が三百八十五万などに対して、今回は二百八十万円が一定の収入ということでラインになっている。これは非常に低過ぎるのではないかと思いますが、いかがお考えでしょうか。
○山崎参考人 研究者の世界でもいろいろ議論があるところでございまして、保険原理からすると、応能負担でサービスは同じように利用できるというのが保険の本来のあり方だというわけでございます。
 ただ、そうはいいましても、民間保険と違って介護保険は、あるいは医療保険もそうでございますが、相当税財源が入っていて、介護保険の場合は二分の一入っているわけでございますから、純粋な意味の個々人の給付と負担の均衡ということもまた貫けない財政の仕組みになっているということで、一割を二割という程度のことは、公費が相当入っていることを考えると許容される範囲かなというふうに部会でも認識したんだろうというふうに思います。
 それから、上位所得者として二〇%、年金収入でいうと二百八十万円ということが政府の提案ですが、介護保険部会では、この点は意見が全く分かれまして、ですから、両論ではなくて各論併記になっております。
 ただ、二百八十万円というのは、現役とのバランスという御指摘ですが、もう一つ大事なのは、高齢者の中で公的年金収入が二百八十万円という方は、かつては公務員の世界にはおりましたが、最近の退職者では公務員OBでもそうはいない。ですから、同じ世代で、特に後期高齢者になりまして、ほとんどみんな年金のみというような生活になりますと、かなり高い、相対的に高い水準。
 ですから、めり張りをつけるといったときに、低所得者には思い切って軽減をする、しかし、ある程度負担できる方には負担をお願いするという中での、これは国民会議でも、年齢別から負担能力別へという大きな提案をしたわけでございますが、そういう考え方のもとでの提案でございます。
○高橋(千)委員 高齢者の中では相対的に高いとおっしゃいましたけれども、ちょっとそれはとても受け入れがたい議論であるかなと思っております。ずっとこれから介護のお世話になる人に対して、それはどうなのかということと、これが一里塚でまた広がるのではないかという危惧を持っているということを指摘しておきたいなと思っております。
 それから、武藤参考人に伺いたいと思うんです。
 地域包括ケアシステムがまさに本法案の中心課題だということで、多職種協働の議論をされました。ただ、川上はどうかということで、先生は中医協の診療報酬調査専門組織・入院医療等の調査・評価分科会の会長をされておるわけですけれども、その中で、例えば七対一基本料の見直しで、在院日数の短縮ですとか、特定除外制度を見直して長期の入院の方はカウントするということになると、かなり厳しくなってくるわけですよね。
 そういう中で、今考えているのは、例えば、病床を削減するから、そこで看護師さんが地域包括ケアの支え手になるからいいのだというふうに計算をされているのか、また、実は七対一であっても十分ではない、もっと手厚い看護が必要なんだという議論も当然あるし、私たちはそう思っていますけれども、その点についてはどうお考えでしょうか。
○武藤参考人 御質問ありがとうございます。
 中医協の入院医療分科会の中では、今おっしゃったような議論はされておりません。
 というのは、あくまでも、今回の診療報酬改定の確かに一丁目一番地、七対一の削減及びその受け皿としての地域包括ケア病棟の創設、これが非常に大きな課題でした。ですから、今までのやはり七対一、厳密に評価をさせていただくと、必ずしも七対一にふさわしい患者さんがいたとは思えない部分はありました。そうしたことを踏まえて、要するに、急性期からいわゆる亜急性期への移行を進めたところです。
 それと、今回の在宅に関しては、必ずしも、七対一によって、余剰になった看護師さんをそのままそっくり在宅へというような、そうした乱暴な議論は、実際、議論したことはありませんでした。
 先ほど言いましたように、看護師さんに関しては、例えば出向制度というような形で、急性期の看護師さんに地域で不足している在宅へ出向していただく、その中で経験を積んでいただく、そしてまた病院の方へ戻っていただく。それによって、相互の理解、特に、急性期の看護師さんはなかなか在宅のことを知らないこともありますものですから、そうした看護師さんがふえていけば、今後の退院支援にも役に立つんじゃないか、そうしたことは考えられると思います。
 以上ですが、よろしいでしょうか。
○高橋(千)委員 はい。ぜひ、先生がおっしゃったように、乱暴な議論ではないということで、施設の中、病院の中でもやはり手厚い看護が必要なんだということを改めて申し上げていきたいなと思っております。
 なぜ私がこういう質問をしたかというと、そういうことを言ったのは前の老健局長でございますので、要するに、ベッドが減るから看護師さんはそっちに行けるよというふうなことを言っていたから、そうじゃないということをあえて言いたい、むしろ、もっと手厚くしてほしいということを言いたいと思いました。
 改めて浦野参考人に伺いたいと思うんですが、医療の現場でも勤めていた経験がございますので、例えば、さっきの武藤参考人の資料の中にもあったように、特定行為を在宅でやるというふうな議論がございました。そういうことで、医行為が看護に、そうすると、その先の看護の医行為が介護にというふうな形で、当然、この包括ケアを進めていく中でそういう移動というのが起こるのではないかということに対して、やはり介護が医行為を担わなければならない現状、あるいはそういうふうになっていくことに対して、どのようにお考えか、伺いたいと思います。
○浦野参考人 医療と介護の連携という問題だろうというふうに思います。
 私は、かつては看護のプロでありました。今、介護の現場ではどういうことが起こっていますかと。
 私は、身体介護はやめて、できるだけ生活援助をということでやっているわけですが、実は、三十分の身体ケアの中に、何カ所かの褥瘡です、一、二、足と腰の褥瘡。体位変換して、衣服交換ですね。褥瘡ケアは決められたパッドを当てるわけです。それから、ありますのは、酸素をしている人の携帯用酸素の交換です。
 それから、確認という名前の服薬介助です。これは日常茶飯事です。あるところからは、利用者さんの血圧が高いし、薬をちゃんと飲ませているのかと。週一回訪問に行っているだけであります。血圧のお薬。家族が置いているけれども、認知症の人が飲んでいるかどうかわからない。
 そういう状況の中で、川上から川下ということで、私どもは川下です。あふれてあふれて、洪水を起こして、もう死者が出そうです。
 そういう状況の中で、褥瘡ケア一つとっても、栄養状態、亜鉛とか食事状態をきちっとしたら改善していった例があります。認知症の方の酸素療法をしているわけですが、酸素業者がきちっと入ってやっていけば、もっと看護師さんが入っていけばきちっとできるわけですが、医療が入ることが、上限にかかわって、上限を超過するからできなくなっているわけです。
 ですから、私たちがせざるを得ないというふうなとこら辺に問題があるわけですから、訪問看護の分については介護の中に入れないでほしい。医療です。医療は医療としてやってほしい。
 けれども、当面、現実的にはやらざるを得ない人がいます。そういう方にはきちっと研修をして、事業所の責任においてきちっと行うということをしてほしいわけです。けれども、登録型のヘルパーはなかなかできないわけですから、常勤者がやる。常勤者は大変です。当面の問題については、きちっと研修をする。
 ただし、大事なのは、医療行為は医療です。医療と介護の連携をとる場合に私が強調したいのは、それぞれの役割、専門性を理解することの前提抜きに、医療と介護の連携を叫ばないでほしい。肩がわりだけをさせている、私たちに。そうすることによって、看護師さんたちもやりがいを持ちます。
 看護師はいません。一人の職場の中で判断するのはとても難しいんです。ですから、幾ら病院からかわって行っても、人材はなかなか、訪問看護のところには行く自信がないというふうに言っておりました。
 人材の問題をあわせて言わせていただきます。
 ヘルパーが百万人必要と言われていますが、訪問介護員の養成研修二級修了者の実態で、これは厚生労働省の委託を受けた日本総研の調査です。実に二百二十八万人の潜在ヘルパーがいます。現役ヘルパーは、その当時ですけれども、四十万人弱。その中で、就業意向が強い人は百万人近くいます。
 そのことを抜きにして、人がいないからどうのこうの言わないでいただきたい。本当は働きたいが働けない、その内容を調査してから言っていただきたいと思います。人はいるんです。隠れているだけ、出られないだけです。そのことをお願いして、最後に返答とさせていただきます。
○高橋(千)委員 ありがとうございました。
 もっともっとこういう機会が必要だということを改めて訴えて、終わりたいと思います。
 本当に、きょうは皆さん、ありがとうございました。

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