国会質問

質問日:2014年 5月 7日 第186国会 厚生労働委員会

医療・介護総合確保法案―参考人質疑

給付削減、命を奪う / 医療・介護総合法案 参考人が批判・懸念 / 高橋議員が質問

 入院医療と介護保険サービスを切り捨てる医療・介護総合法案について、7日の衆院厚生労働委員会で参考人の意見陳述が行われ、批判や懸念が相次ぎました。日本共産党の高橋ちづ子議員が質問に立ちました。
 埼玉県済生会栗橋病院の本田宏院長補佐は、OECD(経済協力開発機構)諸国と比べて日本の医師数が絶対的に不足し、異常な長時間勤務を強いられていることが救急患者の受け入れ不能や医療事故につながっていると強調し、「医学部定員を抜本的に増やすべきだ」と主張しました。看護師配置の最も手厚い「7対1病床」を削減する厚労省の計画について「看護師の待遇が悪化する」と批判しました。
 介護保険から要支援者向けサービスが外されることについて利用者の指宿八洲夫氏(東京都渋谷区)は「サービスを継続してほしい」と発言。「要支援は要介護にならないための防波堤」であり「プロのヘルパーの知識、訓練、責任の持ち方はボランティアとは全然違う」と訴えました。
 日本医師会の中川俊男副会長は、病床削減の権限を都道府県に与えることについて、従わない病院へのペナルティーは「ルールを無視するような悪質な場合に限定すべきだ。強権的に発動してはならない」とくぎを刺しました。都道府県が定める病床数などのビジョンについても「拙速に策定せず、地域の医師会と真摯(しんし)に協議する」よう求めました。
 東京医科歯科大学の川渕孝一教授は「病床の機能分化はなかなか難しい」と強調。「地域包括ケア」による在宅復帰の推進について「無理やり押し通すと、入退院を繰り返し、(家に)行ってみたら亡くなっていたということになりかねない」と述べました。
(しんぶん赤旗 2014年5月9日付より)

 

――議事録――

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 きょうは、五人の参考人の皆さん、お忙しい中、出席をいただいて、また、貴重な御意見をいただきました。ありがとうございました。
 早速質問に入りたいと思います。
 まず、病床機能報告制度と地域医療ビジョンについて、最初に中川参考人に伺いたいと思います。
 先ほどの報告の中で、病床機能の区分について医師会の意見が通ったんだということと、また、報告制度においても、自主的に選択をして都道府県に報告する仕組みということで、よかったんだというような趣旨の発言があったと思うんです。
 確かに、これは形は手挙げ方式ではあるんですけれども、補助金が出ないとか融資が受けられないとか、要するに、あるべき姿に従わなかった病院に対してのかなりのペナルティーがあったりとか、七対一病床の削減に対しての診療報酬のかなりの動機づけがあったりですとか、そういうことがあるわけです。ですから、手を挙げたからといってそうなるわけではない。また、医師が不足していて病棟をやむなく閉鎖している、そういう実態もあるわけですよね。
 そうしたところに対して、見た目の数ですとかそうしたことで病床削減とか、そういうことにつながっていかないのかという危惧を持っておりますが、いかがでしょうか。

○中川参考人 高橋先生、ありがとうございます。
 措置を、例えば、私の資料の五ページのところで、「従わなかったときには次の措置が挙げられている。」三項目ございますが、これは、協議の場の結果、それから都道府県医療審議会の意見、これを無視した形で病床を転換するんだ、申請するんだというときに、特に悪質な場合に限ってこれが措置されるという意味です。
 ですから、地域で長年地道に患者さんの医療を展開していた医療機関が、地域医療ビジョンの必要量に合わない病床を持っていたからといって、その病床の転換を強制されるわけではないんです。既得病床機能は担保されるというふうな仕組みだというふうに私は理解しています。そういう意味では、協議の場をつくったことは、私は高く評価したいなと思っています。
 しかし、幾ら自分の病院がずっと急性期でやっていくんだと思っても、地域医療ビジョンは将来の疾患別患者数の推計も行いますから、患者さんがいないところで幾ら急性期医療を展開しようといっても、だんだんこれは必要がなくなってきますよね。そういうことを踏まえながら、年々、自分の病院はどういうふうに進むべきかを考えながら進んでいくというのが地域医療ビジョンの策定、地域医療提供体制の構築だというふうに理解しております。

○高橋(千)委員 医政局長は、私の質問に対して、懐に武器を隠しているという表現をされたわけで、ペナルティーを使うわけではないのだと言ったわけですけれども、本当にそうだろうかと、実態を見れば非常に危惧を持っているわけです。
 そこで、本田参考人に伺いたいと思うんですが、地域医療の現場を、先生、さまざま全国を歩いていらっしゃいます。そうした中で、やはり、患者さんがいないとかではなくて医師が不足しているがために病棟を閉鎖している、あるべき姿と残念ながら今の姿が違うんだという実態がある中で、こうした数をやっていくことが、実際に、例えば医療過疎に拍車をかけるとかそうしたことにならないのかという心配をしておりますが、いかがでしょうか。

○本田参考人 御質問ありがとうございます。
 埼玉にいると、それを非常に強く感じます。というのは、先ほど御紹介した三十六回たらい回し、二十五病院ということがあった埼玉ですけれども、お一人、開業で救急をやっていらっしゃる先生がいらっしゃいます。川越の救急クリニックというところですが、その先生は、九州で働いていたときに、救急車を断るなんて考えられなかった。ところが、埼玉は三十六回たらい回し、二十五病院なんですね。
 つまり、全国でこれだけ、先ほど埼玉県は一万人少ないと申しましたが、医療の本当に絶対数不足を基盤にした偏在があるんですよ。そうすると、我々の地域だとよく見えるのは、完全に、勝ち組地域と負け組地域、勝ち組病院と負け組病院。例えば、同じ済生会でも、人が多いところは研修もできるし休ませられる、少ないと研修も教育もできないし休ませられない。皆さん、もし自分とか自分の子供が医者だったら、いい環境で働いて研修させたいと思いませんか。ですよね、人間だもの。
 ですから、本当に、その地域偏在を医師不足、看護師不足という絶対数不足がどんどんどんどん加速させているという現状が、勝ち組の地域の人はわからないんですよ。だから、私は何回も言われたことがあります、おまえ、何でそんなに医師不足と騒いでいるんだ、俺はわからないんだよとか。
 例えば、東京の大きな病院の先生に医師不足ですかと聞いてください。不足じゃないよ、研修医が断るぐらい来ているからと答えるはずです。そういう方が団体の偉い方になるんですね。負け組病院の院長は、余り病院会でも偉くなれないんですよ。
 ですから、皆さんも、きょう私が出した現場の実情を正しく知らないと、正しく認識しないと、正しい判断は絶対できません。そのために、きょう、恐らく二度と呼ばれることがない私が出てきたわけでございます。
 よろしくお願いします。どうもありがとうございました。

○高橋(千)委員 医師不足について、年齢の問題や偏在の問題など、具体的な資料で、本田参考人、先ほど紹介をしていただきました。
 そこで、解決策のところで時間切れになったと思いますので、もう一言お願いいたします。

○本田参考人 先ほど言いましたように、アメリカだけじゃなくてヨーロッパとも比べて、ただ、一つだけ言えることは、ヨーロッパの勤務医の勤務時間は少ないですから、絶対日本より医師が多いことは間違いないんですよね。ですので、ちゃんとグローバルスタンダードを見ながら、医師不足を解消する。
 そのときに、先ほど申しましたように、メディカルスクール型、大きな建物をつくらなくても、Eラーニングを活用してきちっと、なぜアメリカでメディカルスクールをしたかというと、高校卒業の時点で自分に医師の適性があるかどうかを判断させるのは酷だというのが基本にあるんです。私もそう思います。大学を卒業した学士がコンパクトに四年できちんとよき臨床医になる学びをするメディカルスクール型。アメリカでは、一旦できた医学部が潰れたりもしています。日本でも小学校が潰れたりしていますよね。一回つくったら潰れちゃいけないからつくらなくちゃいけないという理屈は、日本の医療崩壊を加速させるだけです。
 あと、もう一つ申しました。アメリカとかヨーロッパでも既に、フィジシャンアシスタント、ナースプラクティショナー、医療秘書などの医師補助職が入っております。先進国で一番医師不足の日本こそ、医師補助職を大至急で入れることは喫緊の課題です。
 アメリカでフィジシャンアシスタントが入ったところは、医師不足の地域から、一九七〇年代から入っています。だけれども、これも、困っていない人が集まって厚生省で相談すると、そういう人を入れてもしようがないんじゃないかとか危険じゃないかということで、いつまでも話が進まないんですね。
 医師不足の地域に、せめてフィジシャンアシスタント導入を認めてください。そうじゃないと、埼玉の医療は救われません。今埼玉県が考えていることは、医師不足だから、全国から引退した人を集めてこようと言っているんですよ。引退した人が救急医療を担えますか。現場では、何だ、これと思うようなことが真面目に討論されているというのが今の日本の医療界で、残念でございます。
 メディカルスクールと医師補助職を、導入をぜひ心からお願いいたします。

○高橋(千)委員 済みません、ちょっと補足的にもう一問だけ本田参考人に伺いたいと思うんですが、メディカルスクールやフィジシャンアシスタントの導入について、医師の勤務環境の改善のために提案をいただきました。
 一方では、今の法案の中では、医行為を特定行為として医師の手順書によって看護師に移すというふうなことが提案をされています。
 私は、これは、医師をふやさない中で、看護師もふやさない中でただ移すだけでは全く趣旨が違うと思って、当初言われていた特定看護師とか、そういう世界とは全く趣旨の違うものであって、慎重であるべきだと思っておりますが、一言だけ伺いたいと思います。

○本田参考人 どちらかというと、今現在の特定看護師さんは、恐らくアメリカ型のナースプラクティショナーということをイメージしているんだと思いますけれども、実際、特定看護師さんで、私たちのところでも、感染症関係、ストマ関係、栄養関係で、そういうなれた方がいると本当に助かっています。ちょっと恥ずかしい話ですけれども、若手の医者、私も含めて、感染症をちゃんと半年間勉強してきた看護師さんに相談してやっている、まさにチーム医療が行われているわけですね。
 ですから、専門性を高めてチーム医療をするという意味では重要ですけれども、ただ、看護師さんたちの意見を聞くと、今おっしゃったように、さらに忙しくなるのではないかという危惧がある。ただし、中には、ある意味キャリアアップして、そういうふうな上をやりたいという人もいますから、その両方をきちんと考えていただく。
 ただ、そういう意味では、日本の場合には、ナースプラクティショナーに余りこだわるのではなくて、フィジシャンアシスタント、MEさんという職種が前に出たようですから、フィジシャンアシスタントを導入した方が結果的には早く進むのではないかというのが私の見解で、循環器外科その他のところでもそういうことは非常に推しておりますので、ぜひフィジシャンアシスタントの導入は進めていただいた方が話が早いのではないかと思っております。
 ありがとうございました。

○高橋(千)委員 ありがとうございます。
 板倉参考人に伺いたいんですけれども、そういう意味で、地域医療支援センターの山梨の取り組みを紹介いただきました。
 これは法的に位置づけられるということで期待をされていると思うんですが、一方で、都道府県の枠での限界というものがあるんじゃないかと思いますが、もしあったら伺いたいと思います。

○板倉参考人 御質問ありがとうございます。
 先ほども申し上げましたように、私が今一番懸念しておりますのは、地域医療支援センターが単なる医師の派遣業務を担う組織というふうな位置づけで考えられる部分があります。特に、自治体の行政レベルではそういうふうな位置づけをしている部分があります。
 それでは本質的な医師不足の対策、解決にはならないというふうに考えておりますので、そういった意味で、先ほど中川先生がおっしゃられたように、国として全面的なバックアップをして、永続的な機関として存続させていただくということが必要だろうというふうに考えております。

○高橋(千)委員 ありがとうございます。
 最後に、中川参考人にもう一度伺いたいんですが、五月二日付の産経新聞の紙上討論において、混合診療について規制改革会議の岡氏と討論しているのを大変興味深く読みました。
 きょうも最後のまとめの中で発言がされたと思いますけれども、やはり、規制改革会議が提案する選択療養というのは、混合診療を定着させて保険診療を目指すというものとは全く違うものではないかというふうに思っております。
 そこで、中川参考人は、その紙上の中で、保険診療を目指す評価療養でいいんじゃないか、また、その評価療養のあり方についても、患者側からも申請できるようにするとか、改善のことはあるんだというふうな提案をされているのは非常に重要かなと思っていますけれども、一言御意見をいただければと思います。

○中川参考人 御質問ありがとうございます。
 私の資料の十五番をごらんいただきたいのですが、選択療養という提案をされた理由に、患者さんからのニーズがあるんだとおっしゃるんですね。それは、外国で承認されているが国内で承認されていない薬が使えなくて困っている人がいるんだとおっしゃるんですよ。
 ところが、厚生労働省の先進医療会議で専門家三人に私はお聞きしました、がん研究センターとがん研有明病院と聖路加病院の先生に、がんの患者さんで日本国内で承認されていない薬が使えなくて困っているんでしょうかと。現在はほとんどない、むしろ、アメリカで使えない薬が日本で使える場合もあるんだと。ある先生は、十年前の診療ガイドラインでは、海外承認、国内未承認薬をガイドラインに書いたけれども、最近はほとんど書く必要がない。それだけ改善されているんです。
 ですから、保険外併用療養の中の評価療養の中の先進医療A、B、それから新薬の治験その他を機動性を高めれば、十分に患者さんの不安は解消できるし、対応できると私は思っているんです。我々が何よりも大事にしなければならないのは、安全性と有効性、これに尽きるというふうに思います。
 以上でございます。

○高橋(千)委員 ありがとうございました。
 お金のある人だけが結びつける、そういう医療であってはならないという思いがありますので、今の貴重な御意見、本当にありがとうございました。
 また、五人の皆さん、改めてお礼を申し上げます。
 終わります。

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