国会質問

質問日:2014年 4月 16日 第186国会 厚生労働委員会

難病法案

難病対策理念生かせ / 高橋氏 新法案の後退を指摘

 日本共産党の高橋ちづ子議員は16日の衆院厚生労働委員会で難病対策の新法案について、政府が法案に盛り込むとして患者団体も支持してきた難病対策の「基本理念」が法案の条文では後退したと指摘し、この基本理念を今後策定される基本方針に入れることを求めました。
 厚生科学審議会の難病対策委員会は昨年1月の提言で、対策の基本理念を「難病の克服を目指すとともに、難病患者の社会参加を支援し、難病にかかっても地域で尊厳を持って生きられる共生社会の実現を目指す」としました。田村憲久厚労相も「新法のなかに盛り込む」と述べていました。
 高橋氏は、提言と法案の条文を比較し「理念が非常に後退している」と批判。厚労相は「(提言と法案の)思いは同じ。基本方針は患者の方々のご意見をうかがってつくりたい」と答えました。
 また高橋氏は、筋痛性脳脊髄炎(慢性疲労症候群)や線維筋痛症などは難病医療費助成の「希少要件」を満たさず、診断基準の確立を要件とする障害福祉サービスも受けられないと指摘。「障害でも難病でもないと制度の外に置かれるのはおかしい」と訴え、救済の道が開かれるように改善を求めました。
(しんぶん赤旗 2014年4月18日付より)

 

――議事録――

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 まず、十一日の本委員会の質問ではっきりしなかった部分から始めたいと思います。
 昨日の参考人の質疑においても、NPO法人線維筋痛症友の会代表の橋本裕子さんが、本法案の第一条で希少疾患というものに限定している、このことを指摘されました。やはり、第一条から難病対策の範囲をここで狭めてしまうということでは、対象にならないのではないかと思っている多くの患者の皆さんが非常に失望されるわけであります。
 しかし、一昨年の中間取りまとめの中でも、難病対策要綱も参考にしつつ、できるだけ幅広く捉えると明記をされているわけですし、第一条に、「難病(発病の機構が明らかでなく、かつ、治療方法が確立していない希少な疾病」と、いきなり希少性が出てきたのはなぜなのか。そのときに、局長の答弁は、疾病を三百くらいにふやしてさらに治療研究を進め、福祉的要素も加えていくと言いつつも、希少性を改めて書き込んだとわざわざ強調されたわけです。
 そこで、確認をしたいと思うんですが、第一条で言うところの希少とは、医療費助成の対象となる難病、〇・一%とは違うことを確認したい。その上で、ここで言う希少の意味を具体的にお伺いしたい。大臣に。

○田村国務大臣 指定難病に関しましての希少性というのは、これは人口の〇・一%程度というようなことを申し上げておるわけでありまして、その希少性とは違うわけであります。
 しかしながら、なぜ希少性というものがあるかというと、それは、例えば、がんでありますとか、まあ、がんにも希少性のあるものはありますけれども、がんでありますとか、あと生活習慣病のように、多くの患者の方々がおられて、それに対して治療研究等々が行われやすい環境であるわけではないわけでありまして、そういう意味では、希少性というものは、一定程度、症例等が少ない中において、そういうものに対して、やはりいろいろな調査研究等々に対して支援をしっかりとやっていかなければならないという部分があるわけでございますので、そのような意味合いも含めて、希少性というところに難病の一つの要件としての着目をしておるところであります。

○高橋(千)委員 まず言っておきますが、〇・一%をいいと思っているわけではない。これは前回の質問のときに指摘をしたので確認をしたいわけですが、その上で、ここで言う希少性とはそういう意味ではないのだということをまず確認させていただきました。
 これは、実は、二〇一三年十月二十九日の第三十四回の難病対策委員会で、小沢疾病対策課長補佐が説明をしているんですね、難病の定義について。それで、「原因不明で、治療法が未確立であり、生活面で長期にわたり支障が生じる疾病のうち、がん、生活習慣病等別個の対策の体系がないものとして、希少なものに限定せず、」と言っているんですね。「限定せず、その代わりほかで体系立って対策をしているものについては除いてる」「これは昭和四十七年の難病対策要綱を参考に作成させていただいた」というふうに説明しているんです。そう言ってくだされば、まだわかったんですよ。
 つまり、前回の局長の答弁は、がん、生活習慣病は除いている、要綱も除いていると言いながら、だけれども希少ですよと言うから、それを除くだけで希少というのかと、物すごい距離感があったわけです。そういう意味ではないのだということをきょうは改めて整理させていただきました。よろしいですよね。

○佐藤政府参考人 ちょっとお手洗いに行っておりましたので、最後のところしか聞き取れなかったんですけれども。
 要するに、難病の定義というのは、これまで御説明しましたような四要件と、それから医療費助成については二要件、あえて言えば二要件ということになるんでしょうか。
 それから、がんについては、これまでるるいろいろな議員からの御指摘にもお答えをしてまいりましたように、患者のデータベースの部分とか、あるいは就労支援だとか生活の支援だとか、そういったところ、それから研究それ自体も進めている、こういうことで、別個の体系として実施をしているということでございますので、この中では、がんや心臓病、脳卒中のような生活習慣病は、一応、別個の体系として進めていくということになっております。

○高橋(千)委員 幅広くとるという趣旨はそういう意味だったと思うんです。体系があるものは除くというだけの話だった。それが、その説明が十分でなく希少ということを使ったから誤解をされるんだということで、整理をさせていただきました。これは本当に重大な問題で、賛否にかかわる重大な問題でありますので、確認をさせていただきました。
 そこで、次にもう一つ、くどいようで申しわけないんですけれども、理念の問題が本当に重要だし、関係者の苦労がにじむものなので、曖昧にできないと思って、もう一度質問させていただきます。
 資料の一に、この間の難病対策委員会の到達というんでしょうか、まとめさせていただいたんですけれども、二〇一二年八月十六日の「今後の難病対策の在り方」、ここでは、難病対策の必要性と理念について、「まれではあるが国民の中に一定の割合で発症する可能性のあるものである。」「治療方法が確立していない疾患に罹患し、往々にして生涯にわたる長期間の療養を必要とすることから、生活面における制約や経済的な負担が大きい。」と。
 こういう認識のもとに、昨年、下にありますけれども、一月二十五日の「難病対策の改革について(提言)」にある基本理念に、難病の克服を目指すとともに、難病にかかっても地域で尊厳を持って生きられる共生社会の実現を目指すということが書き込まれたと思います。
 このことについて、昨年の十一月十三日に私が質問したのに対して大臣は、これをしっかりと新法の中にも盛り込んでまいりたいという答弁をされているかと思います。
 ただ、実際の条文を見ますと、下に書いてあるんですが、第二条「基本理念」については、「難病の患者に対する医療等は、」が主語になり、「社会参加の機会が確保されること及び地域社会において尊厳を保持しつつ他の人々と共生することを妨げられない」とあって、何か理念が非常に後退しているように思うんですけれども、どうなのか。また、基本方針の中でこの理念はきちんと据えられるべきと思いますけれども、どうか。

○田村国務大臣 昨年十二月の難病対策委員会の報告書は、今言われましたとおり、「難病の治療研究を進め、疾患の克服を目指すとともに、難病患者の社会参加を支援し、難病にかかっても地域で尊厳を持って生きられる共生社会の実現を目指すこと」、こういう文言でありました。
 一方で、この法律の二条でありますけれども、難病の克服を目指し、難病の患者の社会参加の機会が確保され、難病の患者が地域社会において尊厳を保持しつつ他の人々と共生することを妨げられないことを旨としてということで、主語が「難病の患者が」、つまり、主語がこうなものでありますからこういう書き方になっておるわけでありまして、上の思いと同じであるわけであります。
 なぜこういう書き方になっているかというと、これは、総合支援法がやはり障害者、障害児がというような書きっぷりになっておるものでありますから、それに合わせた結果がこのような形になっておるということであります。
 基本方針に関しましては、厚生科学審議会のお話をいろいろとお聞きをさせていただく話になるわけでありますが、その過程で患者の方々の御意見もしっかりとお聞かせをいただきながらつくってまいりたい、このように考えております。

○高橋(千)委員 これは、実は、きのう説明を受けたときは、障害者基本法の中に、「共生することを妨げられない」、こういう書きぶりがありますよと教えていただいたのでわざわざ基本法をもう一度読んだんですけれども、それは「妨げられない」の前に来ているものが全然違うわけなんですね。
 「個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有することを前提としつつ、」「全て障害者は、可能な限り、どこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され、」なので、社会参加の機会ではないんですよ。どこで誰と、それは自由なんだよという意味で大きな前提があって、「妨げられない」というふうな書きぶりになっている。そこから見て、非常に何か後退するのではないかということをあえて指摘させていただいた。
 でも、大臣は、その方針は方針の中に盛り込むんだということで言っていただいたと思うので、改めて、今、後段でおっしゃったように、関係者の皆さんの気持ちを酌みながらとおっしゃっていただいたので、そこにしっかりと盛り込んでいただきたい、このように思っております。
 そこで、次に行きます。
 筋痛性脳脊髄炎、ME、あるいは慢性疲労症候群、CFS、あるいは線維筋痛症のように、希少要件、患者数〇・一%には当たらず、診断基準が確立していない疾患などは、医療費助成も福祉サービスの対象にもなりません。しかし、その療養生活は余りにも過酷です。
 NPO法人筋痛性脳脊髄炎の会の、患者と家族の実態についてのアンケート結果を、理事長の篠原さんが雑誌「難病と在宅ケア」十九号にまとめていらっしゃいました。少し紹介したいんです。
 三十七歳の女性。一番症状が重いときは、筋肉を動かすことができず、話すことが難しく、呼吸も苦しく、食事、排せつ、入浴、起居動作全て介助が必要であった。このまま進行すれば死んでしまうと、毎日恐怖であった。
 三十六歳女性の家族。長女は、小五の秋に、風邪を引いた後、激しい頭痛、倦怠感などを訴えて発病。対症療法だけで十六年来たが、症状は徐々に進み、生活の質はほぼ五年ごとに大きく退化している。遠くて体力的に行けないため、専門医にかかっていない。患者本人はもちろん、私も非常に孤独な思いをしている。
 二十八歳女性。十年ほど前に診断され、起きていられないほどの倦怠感、脱力感、筋肉痛、頭痛、その他の症状を抱えて、生活上、本当に困難をきわめている。行政に相談に行っても、CFSの患者が使える制度は皆無と言われ、家族の自助努力で生活をしてほしいとの一点張りで、全く公的支援が受けられないなどなど。
 介助がなければ日常生活が送れないのに、障害でも難病でもないと制度の外に置かれるのはおかしいのではありませんか。医師の診断書など、介護の必要性が認められるものは、病名によらず認めるべきではないでしょうか。

○蒲原政府参考人 お答え申し上げます。
 障害福祉サービスの対象となる難病の範囲につきましては、障害者総合支援法がサービス給付法であるという性質を持っておりますので、利用者間の公平性の観点だとか、あるいは、いろいろな実務の関係で給付対象を明確にする必要がある、こういう状況にございまして、疾病名というものを使って定めている、こういう状況になっているところでございます。
 お話のことがございましたけれども、今後、客観的な指標に基づく一定の診断基準が確立されるということを前提にした上で、具体的な障害福祉サービスの対象にするかどうかについて検討していきたい、このように考えております。

○高橋(千)委員 もちろん検討するとおっしゃっていただいたわけですけれども、この問題を公平性で片づけるには、余りにも過酷です。共生社会の実現とは到底言えないのではないか。
 さまざまな疾患の違いを乗り越え、難病対策の基本理念を積み上げてきた、そういう過程を思いますと、寝たきりだとか重症であったり、理解されない苦しみをずっと訴え続けてきたにもかかわらず、新法の効果が何ら波及されない、そういう方たちが残されることがよいのでしょうか。
 治療方法の実用化に向けて、難病患者データの収集と治療研究、効果的な治療方法が確立されるまでの間、長期の療養による医療費の経済的な負担を支援するという福祉的な目的、この医療助成というのは二つの側面があると説明されています。
 私は、これは、どちらかに重点ではなく、どちらかで、あるいはどこかで救済の道が開かれるべきだと思う。福祉的な目的とあえて言っているわけですから、それが医療でなければ、介護でもいいのではないか。そういう形で、どこかで救済される道を模索するべきだと思いますが、大臣、いかがですか。

○田村国務大臣 前回も申し上げたわけでありますが、もちろん福祉的な意味合いというものは、以前から比べると、今般の法律の中においては強くなっておるのは間違いないわけでありますけれども、しかし一方で、難病という対象であるからには、それはやはり調査研究とは切り離せないわけでありまして、治療法というものを開発することが患者の皆様方にとっては一番であることは間違いないわけであります。
 そのような意味合いから、やはりここは研究というものが外せないわけでございまして、その中において今の基準があるわけでございます。御理解はいただけないんだと思いますけれども、そのような状況でございます。

○高橋(千)委員 さっきも言ったように、難病でも障害でもない、どちらにも置かれない、こういう方たちの実態を本当に受けとめなければ、せっかくそういう方たちも含めて議論を積み重ねてきた中でのこうした改革の理念だったということを最初にお話をしていますので、そういうことを重ねて指摘をしたいなと思うんです。
 それで、きのうの質疑でも、ちょっと局長にお答えいただきたいと思うんですが、研究班の成果について紹介がありました。先ほど来の質問の中でも、薬、全然ないのかとか、そういう議論をされていました。本当はそうではなくて、やはり研究班の成果というのは積み重ねられてきたものがあるわけですよね。
 資料の三枚目につけておきましたけれども、痛みセンター、きのう、線維筋痛症のところで紹介をいたしました。厚生労働科学研究の枠組みで、大学病院などに慢性疼痛対策の痛みセンターの整備が広がっている。これは線維筋痛症だけではなくて、原因不明も含めて、そういうセンターの体制をつくっている。ただ、まだまだ少ないので、もっと広がることを期待したい。
 また、四月七日のマイナビニュースでは、今、話題にちょっとしにくいんですが、理研のライフサイエンス技術基盤研究センターと大阪市立大学、関西福祉科学大学の共同研究で、今お話しした慢性疲労症候群の患者が脳内炎症が広い領域で生じている、発症メカニズムの手がかりが得られた、こういう報道もありました。
 こういうデータの蓄積と研究、やはりそういうものはすごく大事な意味合いを持っているんですよね。治療方法が確立されるまでの支援という目的にも非常に合致をすると思うんですね。
 ですから、最初の指定難病で限定される、それだけではなくて、やはり広く捉えた疾患が治療に結びついていく上での、こうした分野についてもしっかりと拡充していかなければならないと思うんです。一言、局長、お願いします。

○佐藤政府参考人 お答えをいたします。
 線維筋痛症と慢性疲労症候群に関連する御質問でございました。
 もう先生も既に御存じのことと思いますけれども、線維筋痛症についてはまだ不明なところが多いんですが、難病の難治性疾患克服研究事業の外側にはなりますけれども、痛みという観点から研究を進めておりますし、また、慢性疲労症候群は慢性疲労症候群で、大阪大学、あるいは大阪を中心に、倉恒先生なんかの班でもう本当に長年にわたって研究を進めていただいているということと理解しております。
 まだこの中では不明なところが多く、診断基準を初め、なかなか研究が進んでいない部分もありますけれども、今後は、難病は難病ということで、今般の難病それから指定難病という形で、難病法案にのっとってスキームができ上がるわけですけれども、こうした必ずしも難病の枠組みでもなければ生活習慣病という枠組みにも入らないというものも、広く国民の皆様や学界の先生方の御意見を聞きながら対応はしていきたいと思います。
 なお、治療法に関しましても、先ほども御質問がありましたし今も御質問がありましたが、なかなか難病という言葉が、一言で語るように、治療法が開発されました、ないしは治療法らしきものがありますといっても、本当の意味での根治というのはなかなか難しかったり、ないしは、先ほど大臣の方からお話がありましたように、ペンタサとかアサコールみたいなものについても、ある患者さんには効くけれどもある患者さんには効かないとか、さまざまな複雑な個人差のようなものもあるようでございます。
 それから、繰り返しになりますけれども、治療法として出てきているものも、多くは対症療法にとどまっているというものもあるようでございます。
 いずれにしましても、地道ではございますけれども、この間、金曜日に御説明しましたように、ステロイドの治療方法、とりわけ投与方法とか投与期間とかを変えることによって、あるいは通常の免疫抑制剤みたいなものを効果的に、治療、投与方法等を変えることによって相当程度の効果を生んだこともあると聞いておりますので、そうした成果も踏まえつつ、今後も引き続き、治療法の開発、研究に努めてまいりたいと考えます。

○高橋(千)委員 そうしたまだ難病に入れない方たちの望みをしっかりと確保していくと同時に、やはりそのための療養生活を支えていくということも重ねて要望したいと思います。
 そこで、関連する話なんですけれども、脳脊髄液減少症の先進医療となっているブラッドパッチ治療について、保険導入についてはどのように判断されたのか。また、その理由について伺いたい。

○木倉政府参考人 お答えをいたします。
 医療保険におきます診療の技術の収載でございますけれども、もちろん、その有効性、安全性が確立されておりましたらば、全国で普及してできるものとして、それは保険適用を速やかに行うわけでございますが、将来的に技術の有効性、安全性を確立していただく段階にあるもの、こういうものにつきましては、その安全性、有効性を確認して、一定の体制の整った医療機関で評価を行いながら、二年ごとの診療報酬改定の際に、そのデータに基づきまして保険収載の判断をしておるところでございます。
 御指摘のブラッドパッチ療法でございますけれども、二十三年にこの診断基準が研究班から示されまして、それに沿って先進医療として評価を行うということで、二十四年七月から実施がされてまいりました。
 この間のデータで今回の診療報酬改定において先進医療会議でも議論をいただき、中医協でも御審議をいただいたわけでございますが、実施件数は、今、二十病院から三十八病院ということでふえてきておりますが、確実に診断を行って確実に有効性を示せておるというところについてばらつきがございました。
 やはりそこのところをきちんと、データに基づいて、こういうやり方でやれば確実に治療ができるということのやり方をきちんと確立すべきであるということで、また次の改定に向けてもう少しデータをきちんと集めていただいて、確立していただいた上で判断をするということで、今回は、評価療養として引き続き評価を続けていくという判断になったものでございます。

○高橋(千)委員 まだデータがばらつきがあるというお話でありました。五百例くらい積み上がっているということで、ただ、まだ十分ではないということも説明を受けています。これが非常にネックになっていると思うんですね。患者団体は、十八歳未満の子供の画像診断などが難しく、やはり症例の中に全くないんですね、このこと自体を非常に問題にしております。これは要望にしておきたいと思います。
 そこで、きょう聞きたいのは、二〇一二年の十一月七日の本委員会で、先進医療を生保の受給者が受けられるようにすべきだと質問をいたしました。これは誤解のないように言っておきますが、先進医療というのは、保険の部分と、まだ保険ではない自由診療の部分があるんですが、ここで私が指摘をしたのは、患者の方が自己負担はする、だけれども、保険の部分は本来生保で見られるんじゃなかったのかという、保険の部分だけは見られるようにしていただけないのかという要望だったんですね。だけれども、丸ごと生保の受給者には受けられないということが答弁であったわけです。
 それで、病気がきっかけで生保に入る人は多いです。生保患者なら受けられない治療だ、だけれども、治療を受ければ生保を受けて社会に復帰できる人もいるんだから、保険部分だけでもできるようにすべきではないか、こういう質問をしたわけです。検討するという答弁をいただいたんですが、即その後、政権がかわってしまいまして、宿題になっておりました。
 改めて、検討していただきたい、このように思いますが、いかがでしょうか。

○岡田政府参考人 生活保護制度は、利用できる資産、能力、その他あらゆるものを全て活用した上でなお生活に困窮される方に対して、最低限度の生活を保障するということを目的として行っている事業でございます。
 医療扶助につきましては、そういった観点から、診療方針及び診療報酬につきましては国民健康保険の例によるものとしておりまして、先進医療などの保険外併用療法などにつきましては、原則として医療扶助の給付対象とはしていないところでございます。
 なお、一部、生命の維持に直接関係があるものと認められることなど一定の要件に当てはまるものにつきまして、例外的に特別基準を設定して、医療扶助を給付することは可能にさせていただいているところでございます。
 先進医療につきましては、将来の保険導入のための評価を行っている治療法でございますので、最低生活の保障というような観点の生活保護制度の医療扶助の対象にすることは適当でないということで考えているところでございます。
 御指摘の、二〇一二年十一月七日の衆議院厚生労働委員会での質問のことでございますが、先ほど言いました、生命の維持などに直接関係あるものについて一定の要件に該当するものは例外的に認めているところでございますが、この要件といたしまして、生命の維持に直接関係があると認められること、ほかに代替できる治療法がないなど、それから研究的に用いられることではないというような、三つの要件がございます。
 この三つの要件いずれにも該当するということが例外的に医療扶助を給付することの要件でございまして、このうちの二番目の、代替できる治療法がないということについて御議論がございましたけれども、この三つの要件全て当てはまるという場合に特別基準を設定することが可能だということにさせていただいていますので、先進医療につきましては、先ほど言いましたように、医療扶助の対象としていないということで取り扱いをさせていただきたいと考えているところでございます。

○高橋(千)委員 全く答弁が進展しないのでちょっと衝撃を受けているんですけれども、大臣にもう一回よく考えていただきたいと思うんです。きょう、いきなりいい答弁をとるつもりはないですので、本当に検討していただきたいと思うんですね。
 生保の中でも、先進医療を受けられる、未承認薬を使えるとか、そういう特別基準というのがあります、今局長が答弁をしたように。だけれども、本当にそれを使わなければ生命の維持ができない、死ななきゃ治らないみたいな、そういう基準なんですよ。本当にそれでいいんですか。
 それを使うことによって、ブラッドパッチは良好になった方たちが七割くらいいるわけですよね。それを使って、もしかしたら社会に出られるかもしれないじゃないですか。そうしたら生保から抜け出すことができるかもしれないにもかかわらず、それは言ってみればぜいたくだという話ですよね。そういって、対症療法で、痛みどめでも飲んでおけ、ただ休んでおけということは、社会にとって損失じゃないですか。だったら、復帰できる見通しを、やはりそこを応援していくということで、認めてあげる必要があるのではないか。
 また、最初に、先進医療の評価はどうでしたか、保険を目指していきますよと言ってきたんだけれども、なかなかデータが積み上がらないんですよ。それはそうですよ。だって、生保になっちゃった人たちのデータは、治療に結びついていないからデータがないんですね。そういう意味でも、データを積み上げていくという点でも効果的な考え方なんです。
 そういう視点で、特別基準を若干見直しするとか、前向きに考えてもよろしいんじゃないでしょうか。大臣に。

○田村国務大臣 答弁を求めないという話でございましたのですけれども……(高橋(千)委員「いや、ちゃんと通告していますよ」と呼ぶ)
 いただいておる質問に関しましては、生活保護の中において難病の医療を受けてこられた方々に関しては、我々は把握はいたしておりません。それは、今までは対象になっていませんでしたから。
 ただ、これからは対象になりますので、そういう意味からいたしますと、その方々にデータ登録をしていただいて、その上で、そのデータ等々も利用させていただきながら治療方法等を開発していくわけでありまして、その結果、保険収載をするということになれば、それはまた生活保護受給者の方々にフィードバックされていくわけでございますので、新しい制度の中においてしっかりと、データ提供を含めて、医療の助成制度の中に加わっていただけるという話であります。

○高橋(千)委員 だから、加わるためにも、今これは見直しをすべきだ、検討すべきだということを何度も指摘しています。先進医療の保険の部分ですよ、保険の部分を生保でもいいじゃないかということを言っているだけなんです。
 もう時間なので要望だけにしますけれども、これは未承認薬もそうなんですよね。生保の人は受けられません。未承認薬を使ったことで何とか日常生活を送られるという人は、あなたはぜいたくです、最低限度の生活を超えていますということで生保を受けられないんですよ。それでたちまち破綻してしまうわけですよね。そういうことで、生保にも結びつかない。さっき井坂さんが生保の話をしていましたけれども、入れないんですよ、入り口で。
 そういう形で、最低限度の生活ということを言っていることによって物すごく矛盾が起きているというこの実態をもっとしっかりと捉えていただいて、前向きに検討していただきたい。重ねて要望して、終わりたいと思います。

 

――資料――

【資料1】2012年8月16日「今後の難病対策の在り方(中間報告)」、2013年1月25日「難病対策の改革について(提言)」

【資料2】補助金実績報告から見た難病相談・支援センターの都道府県別事業規模

【資料3】慢性疼痛に対する「痛みセンター」構築の推進についてのお願い

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