国会質問

質問日:2014年 4月 1日 第186国会 本会議

医療・介護総合確保法案

医療・介護改悪法案 / 増税の日 審議入り

 消費税増税と社会保障切り捨ての「一体改悪」を具体化する医療・介護総合法案が1日の衆院本会議で審議入りしました。「地域包括」という名のもとに、国民を医療からも介護からも締め出すものです。日本共産党の高橋ちづ子議員は、1日からの消費税増税について「社会保障改悪とあわせ、史上空前の10兆円もの負担増で国民生活にはかり知れない打撃を与える」と批判しました。
 高橋氏は、医師不足による地域医療の崩壊や特別養護老人ホームの待機者が52万人を超える実態を告発。安倍晋三首相も「課題があることは認識している」と答弁しました。
 医療では、看護体制が最も手厚い病棟(患者7人に対し看護師1人の「7対1」病床、36万床)を18万床に半減する計画に、高橋氏は「後方支援がないままの追い出しになる」と批判。介護では、特別養護老人ホームの入所を要介護3以上に制限することを、「高齢者が行き場を失うことがあってはならない」と強調しました。
 高橋氏はまた、日本共産党など野党6党が共同提出した、介護や障害者福祉労働者の賃上げ(平均月1万円)に助成金を支給する法案の実施を求めました。

 

――議事録――

○高橋千鶴子君 私は、日本共産党を代表し、医療・介護の総合確保法案について質問します。(拍手)
 きょう四月一日、消費税が十七年ぶりに増税されます。社会保障改悪とあわせ、史上空前の十兆円もの負担増となり、国民生活にはかり知れない打撃を与えるもので、強く抗議します。
 本法案は、効率的かつ質の高い医療提供体制や、地域包括ケアシステムの構築を通じ、地域における医療、介護の総合的な確保を推進するとしています。
 一九七四年から、寝たきりゼロを目指し、予防、介護、医療、生活と住まいのサービスを総合的に取り組んだ広島県御調町が地域包括ケアの原点とされていますが、本法案は似て非なるものです。
 地元で子供が産めない、妊婦健診に通うのも片道二時間など、地域医療は壊れています。片や、特養ホームの待機者は五十二万人を超え、あちらこちらと行き先を探しているのが現実ではありませんか。
 総理は、こうした現状をどう認識していますか。成長戦略で描く医療、介護は打開策になるのですか。お答えください。
 二〇一一年版厚労白書は、国民皆保険について、日本の医療はフリーアクセスであり、誰もが安心して医療を受けることができる医療制度を実現し、世界最長の平均寿命や高い保健医療水準を達成したと述べています。
 法案は、国民は、医療に関する選択を適切に行い、医療を適切に受けなければならないとしていますが、つまりは、フリーアクセス、皆保険ではないということですか。総理の答弁を求めます。
 以下、法案の中身について質問します。
 まず、医療法について。
 地域医療構想の策定に当たっては、医療関係者等との協議の場を設け、都道府県知事は、療養病床及び一般病床の数が基準病床数を超えている場合、民間医療機関に対し、病床数削減の措置を要請、勧告することができるとしています。
 どのような医療機関が対象なのか、その勧告などに従わない場合はどのような措置をとるのか、お答えください。
 一方、公立病院は、医療圏の病床数削減の調整弁とされるのでしょうか。不採算医療、地域医療を担ってきた自治体病院の意義と、本法案における位置づけについて、総務大臣にお伺いします。
 今般の診療報酬改定では、現在の高度急性期三十六万床を、二〇一四年度から二年間で九万床削減し、最終的に十八万床とする方針が示されました。
 医師不足のため病棟を閉鎖している地域もありますが、稼働していない病床は、ばっさり削減するのですか。入院した途端に次の入院先をどうするか悩まなければならないのが現実です。後方支援がないままの追い出しになりませんか。お答えください。
 次に、介護保険制度は、その受け皿となるのでしょうか。
 現在、特養ホームに入所している要介護一、二の高齢者の六割は、その理由が、介護者不在、介護困難、住居問題となっています。法案では、介護度三以上に入所が制限されますが、これでは、特養ホームの入所を待っている五十二万人の三人に一人は、待機者にさえなれません。病床削減の受け皿づくりとコスト削減のために、高齢者が行き場を失うことがあってはなりません。
 特養の抜本的増設、低所得高齢者の住宅問題の解決、地域での暮らしを支える多様な介護基盤の充実こそが必要ではないですか。
 いわゆる介護予防についてです。
 要支援者の六割が利用する訪問介護、通所介護を、介護給付から切り離し、地域支援事業に移行させます。
 要支援者は、軽度者ではありません。精神疾患、認知症、がんの末期患者等、専門的な支援が必要な高齢者も多数います。
 介護ヘルパーは、利用者と時間をかけて関係をつくり、ともに料理などをして、その人らしい生活を支えるとともに、関係機関と連携しながら、利用者の状態変化にも早期に対応ができます。重度化を防ぎ、尊厳を保ち、本当の意味での自立した生活の維持に、大きな役割を果たしているのです。
 このようなヘルパーの役割、専門性を、どう評価していますか。初期の段階での手厚い支援こそ重要と考えますが、見解を伺います。
 利用料二割負担の導入は、介護保険部会でも、基準の二百八十万円は低過ぎるとの批判が出されました。年収二百八十万円ぎりぎりの層など、利用抑制が進むのではありませんか。利用料二倍化は、きっぱりやめるべきです。
 第三に、医療、介護の担い手の問題です。
 看護師は、二百万人必要とされています。最も手厚いとされる七対一基準でさえ、業務に追われ、余裕はないというのが現場の声です。七対一基準病床の削減によって看護師配置を後退させてはならないと考えますが、見解を伺います。
 さらに、特定行為を指定し、医行為を看護師に移すことは、医師、看護師確保の抜本対策にならないばかりか、安全を脅かすことにもなりかねません。
 介護従事者は、全産業者平均の六、七割にとどまる給与水準、高い離職率など、慢性的な人手不足が続いています。社会的に評価され、安心して働き続けられるよう、劣悪な待遇を一刻も早く改善すべきです。
 利用者負担に結びつかない形で平均一万円の賃上げを求めた六野党提案は最低限実施すべきと考えますが、答弁を求めます。
 最後に。
 介護保険制度開始から十四年、老老介護、介護心中など、介護の社会化の理想とはほど遠く、制度からはじき出され、無料・低額宿泊所等を漂流している高齢者が社会問題となっています。十万人を超す介護離職、十代、二十代の青年までが、家族介護のために学業や就職を諦めている実態もあります。
 今問われているのは、社会を支える世代が、介護に追われ、未来が閉ざされることがないよう、公的介護制度を抜本的に充実させることです。それこそが本物の好循環ではありませんか。
 総理の見解を伺って、質問を終わります。(拍手)

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 高橋千鶴子議員にお答えをいたします。
 地域における医療・介護ニーズの認識と対応に関するお尋ねがありました。
 急速な少子高齢化のもと、地域によっては産婦人科医の不足や特別養護老人ホームへの入所待機等の課題があることは認識しています。
 今回の法案は、こうしたニーズに対応し、地域で医療や介護を安心して受けられるようにするため、救急医療などの急性期の医療から、退院後の生活を支える在宅医療・介護まで、一連のサービスを総合的に整備することとしており、そのための新たな財政支援制度も創設することとしております。
 さらに、成長戦略や健康・医療戦略で描く先端医療の分野での取り組み等は、地域医療の確保に向けた取り組みとあわせて、国民に質の高い医療を提供することにつながると考えています。
 医療のフリーアクセス等についてお尋ねがありました。
 今回の法案では、各医療機関において、急性期、慢性期、回復期など、どのような医療機能を提供しているかについて、都道府県に報告する仕組みを創設することとしています。
 御指摘の法案の規定は、こうした情報に基づき、患者の方々にその状態に合った医療機関を適切に利用していただき、医療機能の分化を進め、良質かつ適切な医療の効率的な提供をしていくという趣旨を明らかにするものです。
 政府としては、こうした取り組みを含め、世界に冠たる社会保障制度をしっかりと次世代に引き渡していくための改革を進めることとしており、我が国の医療の根幹である国民皆保険、フリーアクセスを変えるものではありません。
 公的介護制度の抜本的な充実についてお尋ねがありました。
 今回の法案においては、介護保険制度について、受益と負担の均衡を図り、制度の持続可能性を高めつつ、介護が必要となっても住みなれた地域での暮らしを継続できる体制を整備することで、必要な方には適切な介護サービスの提供の確保を図ることとしております。
 この改革は、社会を支える世代の、仕事と介護の両立などにも資するものと考えています。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)

○国務大臣(田村憲久君) 高橋議員からは、八問ほど御質問をいただきました。
 まず、病床数削減の要請や勧告についてのお尋ねがございました。
 今回の法案では、病院関係者等による協議によって地域医療構想を達成していくこととしており、また、こうした協議を踏まえつつ、都道府県知事は、医療審議会の意見を聞いて、過剰な医療機能への転換の中止の要請、命令や、稼働していない病床の削減要請等ができることといたしております。
 また、医療機関がこれらの都道府県知事の要請に従わない場合には、都道府県知事は勧告を行い、その勧告や命令にも従わない場合には、医療機関名の公表等の措置を行うことができることといたしております。
 続きまして、診療報酬改定による急性期病床の見直しについてのお尋ねでございました。
 今後の高齢化の進展に伴う医療ニーズの増加に対応するため、急性期から回復期、慢性期、在宅医療まで、患者の状態に応じた適切な医療を受けられるよう、病床の機能分化と連携を進める必要があります。
 このため、平成二十六年度診療報酬改定においては、急性期医療を担う七対一入院基本料について、患者の重症度や医療と看護の必要性を十分踏まえた要件に見直すとともに、急性期後の患者の受け入れや、在宅復帰への取り組み等の評価を充実したところであります。
 これらの見直しにより、急性期後の受け皿となる病床の充実を促しているところであり、今回の診療報酬改定は、稼働していない病床の削減や後方支援のないままの患者の追い出しにつながるものではないと考えております。
 特別養護老人ホームなどの多様な介護基盤の充実についてのお尋ねがございました。
 地域包括ケアシステムの構築に向け、住まいが基盤となって、必要な医療や介護などが受けられる環境を整えることが重要であります。
 厚生労働省といたしましては、在宅サービスの充実に取り組むだけではなく、特別養護老人ホームやサービスつき高齢者向け住宅等の整備を促進するとともに、軽費老人ホーム等の活用や空き家等を活用した低廉な家賃の住まいの確保と生活支援をあわせた取り組みを推進するなど、高齢者のニーズに応じた多様な住まいの確保に努めてまいります。
 また、特別養護老人ホームについては、入所の必要性の高い方々に対応するため、今回の法案では、中重度の要介護者を支える施設としての機能に重点化することといたしております。
 予防給付の見直しについてのお尋ねがございました。
 要支援の方々の状態像や置かれている環境はさまざまであるため、ケアマネジメントを通じて、ホームヘルパー等による専門的なサービスを必要とする人には専門的なサービスの提供につなげていくことを考えております。
 一方、軽度の方々の多様な生活上の困り事については、自分の力を最大限に生かしていただきながら支援を受けられるよう、高齢者も支援の担い手となった支え合いのサービスを充実していくことが重要と考えており、そのための基盤整備に努めてまいります。
 続きまして、介護保険の利用者負担についてのお尋ねがございました。
 今後、介護費用の増大が見込まれる中、保険料の上昇を可能な限り抑え、介護保険制度の持続可能性を高めるとともに、高齢者世代における世代内の負担の公平化を図っていくことが必要であります。
 このため、これまで一律一割であった利用者負担について、一定以上の所得のある方は二割とすることといたしております。
 その基準については、高齢者の消費支出等を考慮して、負担可能と考えられる被保険者の上位二割を基本とし、また、利用者負担の月額上限額は基本的に据え置くこととしていることから、必要なサービスの抑制にはつながらないと考えております。
 次に、七対一病床の看護師配置についてのお尋ねがございました。
 急性期医療を担う七対一病床については、必ずしも急性期の患者を受け入れていない病床もあると指摘されている一方で、急性期後の病床は十分でなく、高齢社会に対応した病床構成となっていないのが現状であります。
 このため、平成二十六年度診療報酬改定においては、七対一入院基本料について、急性期の患者に対応する病床の評価となるよう、患者の重症度や医療と看護の必要性を十分に踏まえた要件に見直すとともに、急性期後の患者の受け入れや在宅復帰への取り組みなどの評価を充実したところであります。
 また、これまでも、病床の機能に応じて、夜間の看護職員や看護補助者の配置の評価を行ってきたところであり、引き続き、看護職員の負担軽減に努めてまいります。
 次に、看護師の特定行為についてのお尋ねがございました。
 今回の法案では、在宅医療等の推進を図るため、看護師が、診療の補助のうち、一定の行為を手順書により行う場合には、研修を義務づけることとしています。これにより、標準化された研修が行われ、医療安全に資するとともに、医師の判断を待つ必要がなくなる面があることから、医師の負担軽減にもつながると考えております。
 最後に、介護職員の処遇改善についてのお尋ねがございました。
 御党などが提出した法案については、今後、国会において御議論がなされるものと考えておりますが、厚生労働省といたしましては、介護職員の処遇改善は人材確保の上で重要な課題であると認識いたしておりますが、今回提出された法案は、財源の確保策が明らかとなっていないなどの点で問題があると考えております。
 処遇改善は、サービスの対価を報酬という形で支払うという本来の制度の仕組みを踏まえれば、報酬の改定で行うのが適当であり、厚生労働省といたしましては、平成二十七年度の介護報酬改定に向けて、今後、社会保障・税一体改革の中で、必要な財源を確保し、さらなる処遇改善に取り組むなど、必要な人材を安定的に確保していきたいと考えております。
 以上でございます。(拍手)

○国務大臣(新藤義孝君) 高橋議員から、本法案における自治体病院の意義と位置づけについてお尋ねがありました。
 自治体病院は、民間病院の立地が困難である僻地等における医療や、救急、周産期、災害などの不採算・特殊部門に係る医療などを提供する役目を担っており、今後も、こうした役割を適切に果たしていくことが必要と考えております。
 本法案は、自治体病院だけではなく、民間病院、国立病院機構などあらゆる設立主体の病院が、医療機能のあり方を検討し、連携協力して地域における効率的で質の高い医療提供体制の構築を目指すものと認識しております。(拍手)

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