国会質問

質問日:2013年 11月 14日 第185国会 災害対策特別委員会

首都直下地震対策 ―参考人質疑

「液状化対策の強化を」 / 参考人質疑 高橋氏の質問に答え

(写真)質問する高橋ちづ子議員=14日、衆院災害特別委

(写真)質問する高橋ちづ子議員=14日、衆院災害特別委

 「東日本大震災での揺れと、将来起こりうる首都直下型地震の揺れは数倍ちがう」―早稲田大学理工学術院の濱田政則教授は14日の衆院災害対策特別委員会での参考人質疑で、液状化対策の強化を訴えました。日本共産党の高橋ちづ子議員が「東日本大震災での液状化被害を踏まえ、長周期振動での液状化にどう備えるべきか」と質問したのに対し答えたもの。
 濱田氏は、東日本大震災の液状化被害は、臨海部コンビナート地帯など、民間事業者の土地を政府が調査していないため、十分なデータが得られていないと指摘。「調査をして終わりではなく、地盤をいかに補強するのか、政府がどのように補助していくのかなどの制度設計も重要だ」と政府による取り組み強化の必要性を説きました。
 東京大学地震研究センター長の平田直氏は「測候所の廃止や観測機器の高性能化が進むなかで、人の役割をどう考えるか」との高橋氏の質問に「(長い間隔で発生する自然災害に備えて)研究者、技術者、行政の防災担当者の技術や知見を継承することが重要だ」と答えました。
(しんぶん赤旗 2013年11月18日付より)

 

――議事録――

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 きょうは、四人の参考人の皆さん、貴重なお時間をいただきまして御意見をいただきましたこと、お礼を申し上げます。
 早速質問に入らせていただきたいと思います。
 まず平田参考人に伺いますけれども、先ほどの資料の一番最後のまとめの中で、このように先生はおっしゃっていらっしゃいます。日本には、世界トップレベルの地震観測網があり、災害の軽減に貢献している。その中でも、先ほど詳細なデータの積み上げの経験などを紹介していただいたわけです。
 私たちも、例えば海底地震計を、私は東北ですので、宮城県沖地震に備えてもっとふやしてほしいとか、そういう要望をやってきたなということを考えてさっき聞いていたんですけれども、実際、今求められる観測網、観測網の体制というものがトップレベルだとおっしゃるんですけれども、十分なのか、あるいはもっとこういう分野が必要なのではないかとか、そうした御意見を伺いたいと思います。

○平田参考人 お答えいたします。
 私が例示した地震の観測網、地殻変動の観測網というのは、実は阪神・淡路大震災の後に国として非常に力を入れてつくった観測網でございまして、これは掛け値なく世界のトップレベルと思います。ただ、問題は、地震の調査研究は長期にわたってデータをとり続けるということが必要で、なかなかそれは難しい状況です。新しい研究をするとか新しい施策をするということで次々とつくっていくのは我が国では比較的、地震の後にできていますけれども、それを継続して、例えば、国土地理院は明治から測量を繰り返して、百年、二百年とデータをとっていますから、そういうことをやはり続けていくということが、かなり地味ではございますけれども、必要なことだと思います。
 もう一つは、御指摘がございましたように、日本では海域で大きな地震が起きて、東北でも引き続き、おととしの地震があったからもう安全ということはなくて、津波の起きるような大きな地震が起きる可能性は依然として高いと私は思いますので、海底のケーブルの整備を着実に進めていく。東北だけではなくて、西南日本であるとか、あるいは日本海側でもやはりそういうことは必要で、ただ、お金が非常にかかることでございますから、優先順位を確かにつけて、着実に進めていくことが必要ではないかというふうに思います。
 以上です。

○高橋(千)委員 今のお話は、技術的にはトップレベルのものを持っているんだけれども、しかし、全体を網羅するには、まだ長期にもかかるし、予算もかなりかかるんだというお話だったと思います。先生、今、かなり地味なとおっしゃったのは、すごく大事なことだと思って、やはり基礎的なそういう力をつけていくということが本当に求められているのではないかと思っています。
 そこに関連してもう一問伺いたいんですが、人の役割というのをどのようにお考えでしょうか。
 この間、測候所の廃止などがずっとやられてきて、原則全廃ということになって、気象台に集中されたということと、それと引きかえに、観測の機械というのは物すごくハイレベルなものになりました。でも、先ほどお話にもあった大島の被害なども、実は、測候所があって、人が迅速に警戒をアドバイスできるということもあったのになという指摘もございます。
 ですから、データの積み上げをずっとやっていくもので、それを本当に防災に生かすという点で、人の役割というのも大事なんじゃないかなと思うんですが、一言いただければと思います。

○平田参考人 お答えいたします。
 御指摘のとおり、人の役割は非常に重要でございまして、地震や火山の災害というのは、人間の一生のスケールに比べて長い時間の現象を扱うので、特に人材の育成という観点で、研究者、技術者、それから防災の行政の担当の方も含めて、技術を継承し、新しい知見を得るということでは、人が継承していくということは非常に重要なことだと思っております。

○高橋(千)委員 ありがとうございました。
 次に、濱田参考人に伺いたいと思うんですが、コンビナートの被害について、非常に興味深く伺いました。
 そこで、先生、これまでいろいろなところで書かれているもので、長周期地震動によるスロッシング被害ですとか液状化など、やはり複合的な被害が拡大するのではないかということを指摘されていると思うんですね。その中で、では、どういう被害が起こるのか、起こり得るリスクがあるのかという点で、一つは、先生おっしゃっていますけれども、東日本大震災による液状化被害、地震動の関連による被害がどのようなものだったのかというその全容を明らかにする問題と、それから、それぞれのコンビナートのいわゆる地盤、液状化しやすい地盤であるかどうかとか、そういう調査などをどの程度やられているのか、あるいはできるのかという点で御提言いただければと思います。

○濱田参考人 お答えします。
 東日本大震災で、例えば東京湾のコンビナート地区で何が起こったかということを調べることは極めて重要であります。東日本大震災での東京湾の揺れと、将来起こるであろう東京湾北部地震、これは数倍違います。恐らく液状化のぐあいも格段に違うだろう。それを予測するために、東日本大震災で何が起こったかということを調べる必要があると思いますが、残念ながら、そういうデータというのは十分には集まっておりません。それは、企業の中の事業所の中で起こったものでして、立ち入って調べることができない、これは非常に残念なことであります。
 私はいつも申し上げるんですが、先ほど来、公的資金を投入すべきだということを申し上げたんですが、公的資金を投入する前に、やはり企業のトップの見識、これに期待をしたい。自分の事業所のリスク、これをきちっと意識して必要な投資をしていくということが重要なんじゃないか。
 川崎のコンビナートのある一角でありますが、アメリカ系の石油会社がございますけれども、そこはもう三十年前に液状化対策をいたしました。その隣の日本系の石油会社はいまだに何もしていない。
 私は、日本の企業のトップが、リスクに対する感覚といいますか、そういうものが非常に薄いんじゃないか、それを機会を捉えて皆さんに申し上げて、やはりトップの判断というのが非常に重要になるだろうというふうに思います。

○高橋(千)委員 ありがとうございます。非常に貴重な御提言だったかと思います。
 確かに、企業にしてみれば、リスクを公表するということは、そのものが自分たちの営業にかかわるものでもあるので、なかなかやりにくいということがあるんだろう。だけれども、コンビナートというのはほとんど民間企業が立地しているという中で、やはりそれを乗り越えていかないと、だからこそ国がリーダーシップをとってほしいということだったのかなと思います。
 例えば、経済産業省が昨年度の補正予算で産業・エネルギー基盤強靱性確保調査事業というのを計上しております。石油コンビナートなどを持つ十三の事業所を対象に、ボーリング調査などによる液状化や側方流動などの評価を委託しているということなんですね。
 ただ、その結果について、例えば立地の自治体ですとか住民などに公開していただかないと、調査はしたんだけれどもわからないということになる。そういうのが大きな一歩になるのかなと思っていますが、御意見をいただければ。

○濱田参考人 お答えします。
 先ほど、ちょっと私、冒頭の説明で、私の資料の十枚目の説明を少し省略しましたが、おっしゃるように、経済産業省がこの産業・エネルギー基盤強靱性確保調査事業というのを始めております。
 ただし、これは十分ではありません。手を挙げた事業所、これに公的資金を投入して調査をしているということですが、抜けているところがいっぱいございます。抜けているところがあるということは極めて重大でして、一つの事業所が被災をしますと、その被災が他の隣接する事業所に及びます。島全体に及びます。島の被害が海域を通して他の島に及ぶということですから、これは全体でやらなければ意味がない。
 経済産業省にもいつも申し上げておりますが、この事業を次年度もぜひとも継続すべきだ、それから、調査をしてそれで終わりということには決してならないだろう、調査をした後、これをいかに補強するか、工法がどういうものがあるか、そういう調査もあわせて進めていかなくちゃいけないと。
 それと、今度は実際に補強、実施、実践ということになりますと、それをどういうふうに国が助けていくか、補助率とかそういうことになるかと思いますが、そういうような制度整備も必要だろうというふうに思います。

○高橋(千)委員 ありがとうございました。
 藤井参考人に伺いたいと思います。
 昨年、藤井参考人が自民党の国土強靱化総合調査会に呼ばれて講演をされた。強くしなやかな国を目指してということで、膨大な本になっておりますので、拝見をいたしました。ただ、そのときに進めていた国土強靱化の法案というのと、今どうなのかということで、先生が率直にどう思っていらっしゃるのかを伺いたいと思うんですね。
 十年間で二百兆円ということがよく言われました。そのことは、そもそも一年間で二十兆円は大した額ではないのだということもおっしゃっておられます。また同時に、国土強靱化というだけではなくて、リスクがあっても成長できる国にすることが強靱化なんだと。きょうも最後に成長戦略のことをおっしゃいました。
 そういう意図と、今、民主党さんからも修正案も出されているという中で、今出されている法案というのは、先生が考えていらっしゃったものから見てどうなんでしょうかということです。

○藤井参考人 お答えしたいと思います。
 まず、十年で二百兆程度使う必要があるということを、私は、書籍並びに国会の委員会等でも主張申し上げていたかと思います。自民党の政務調査会でも主張申し上げていたと思います。その学術的根拠というものを、当然、私はそのときに示しておりました。それにつきまして、どれぐらいの金額が合理的なのかということを含めた議論というものが、これから当然必要になってくるだろうというふうに思います。
 ただ、その金額について、私は一学者としてそれを公表申し上げていたわけではありますけれども、もし仮に、政府として、財政規模というものを含めて強靱化の方針を考えていくというときには、次のように考えるべきだろうというふうに私は思います。
 それは、例えば、イメージとして、少しずつ投入をしていって、そのうち地震が起きてしまう。そうしたら、大して強靱化されないうちに地震が来るので、被害がかなり大きくなる。その一方で、物すごく巨大な財政を組んで、それで強靱化を果たして、地震が来ても大丈夫なようにする。メリット、デメリット等を考えたときに、たくさんの財源を組んで、地震が来て、それで大丈夫だったというシナリオと、それから、少しずつ少しずつ強靱化をして、やはり途中で地震が来てしまったというときの国益全体と、我が日本国家の安泰とか安寧とかいうものをこの二十年、三十年という視点で考えたときに、どちらが有効なのかということを考える。こういう視点でもって財政規模というものを考えていくべきであろうというふうに思います。そういうような視点でもって、当時、私がああいう試算に基づいて申し上げていたということでございます。
 そのときに、やはり、大きな地震があったときに、成長できなくなって大きく問題があるという、二つのシナリオで申し上げたわけでありますけれども、これは連続的な数字でありますから、これに関してはどの程度なのかということを、より議論の精緻化を図っていくことが必要だろうというのが一点。
 並びに、そういうような発想が必要なのだということを理解した上では、是々非々で、全省庁の力を使いながらきちんと脆弱性評価を行って、それに対してどういうような政策をやることが合理的なのかということも、これも是々非々で、査定をきちんとしながらやっていく。
 その結果として、どれぐらいの財政規模になるのかということを考えていくことが必要であろうと思いますし、そういうような方向に現法案があるのではないかというふうに考えますと、計算の精度の差こそあれ、基本的な方向については、さして大きく違いはないのではないかというふうに認識しているところであります。

○高橋(千)委員 ありがとうございました。
 私は、きょうの先生方のお話を聞いていて、やはり、ちょっと災害対策特別委員会の枠でこの国土強靱化を議論するのは難しいかな、もう少し大きなレベルで、あるいは時間をかけて議論する必要があるかな、一つ一つ大事な問題だなと思って承りました。
 終わります。以上です。

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