国会質問

質問日:2013年 11月 7日 第185国会 災害対策特別委員会

南海トラフ巨大地震対策

原発事故想定し対策を / 南海トラフ巨大地震 高橋氏要求

 高橋ちづ子議員は7日、衆院災害対策特別委員会で南海トラフ巨大地震を想定した対策を政府に求めました。
 高橋氏は、政府ワーキンググループが作成した「南海トラフ巨大地震対策について」の報告書に原発事故の被害想定がないことを指摘。「南海トラフの区域には中部電力浜岡原発や四国電力伊方原発などがある」とし、政府の認識を問いました。
 古屋圭司防災担当相は「原発は地震発生と同時に運転停止するため、原発事故を想定していない」と述べました。高橋氏は、以前に視察した福島県富岡町の防災担当課長が「(大地震の直後も)原発事故が起きることなど考えもしなかった。原発は停止したと聞いたので、冷却されて安定していると思った」と語っていたことを紹介し、「結果として福島第1原発はメルトダウンという深刻な事態になった。これでは3・11の教訓が生かされない」と厳しく批判しました。
(しんぶん赤旗 2013年11月14日付より)

 

――議事録――

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 先ほど来議論されている、南海トラフ地震防災対策特別措置法案について伺いたいと思うんですが、その前段となっているのが、ことし五月、中央防災会議防災対策推進検討会議南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループが、南海トラフ巨大地震対策についてと題する報告書を発表しました。
 マグニチュード九クラスで、死者数三十二万三千人、全壊焼失建物数二百四十万棟、九百五十万人の避難者、二百二十兆円の経済被害などが想定されるということで、非常に衝撃を受けたわけですが、報告書の「はじめに」では、二〇一一年三月の東日本大震災が、「一度の災害で戦後最大の人命が失われるなど、甚大な被害をもたらした。」として「「あらゆる可能性を考慮した最大クラスの地震・津波」を想定することが必要となった。」このように書いているところであります。
 そこで、伺いますけれども、「あらゆる可能性を考慮した最大クラス」というふうに指摘をしているわけなんですけれども、南海トラフの区域には静岡の浜岡原発あるいは四国の伊方原発などがあるわけですけれども、地震と原発との複合災害というんですか被害について、この南海トラフの被害想定の中で想定がなかったのはなぜなのでしょうか。

○日原政府参考人 お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、今回の南海トラフ巨大地震の被害想定におきましては、原子力災害に限らず、自然災害とその他の事故災害との複合災害については被害の想定は行っておりません。事故災害につきましては、一義的にはそれぞれの所管省庁によって、専門的見地から検討がなされるべきものと考えております。
 ちなみに、電力供給という観点では、原子力発電所は地震発生と同時に運転を停止するという前提で被害の想定を行ったところでございます。

○高橋(千)委員 一義的には各省庁、担当のところ、それでいいのかということなんだと思うんですね。先ほど来議論されているのも、例えば情報の共有ですとか、やはり縦割りではない体制が本当に必要なんだという問題意識が、この間、さまざまな対策を求められているし、議論されているということなんだと思うんですね。
 中部電力浜岡原発のある静岡県御前崎市周辺では、南海トラフの巨大地震によると、震度七、最大津波高が十九メートルと予想されています。浜岡原発で建設中の防潮堤は十八メートルだった。ですから、足りないじゃないかということで見直しが迫られたということが報道されておりますし、六月二十八日の静岡新聞によれば、これまでは、単独発生が前提だった二〇〇一年の第三次判定までは、最大震度六強を想定していたということなんですね。それから見ても、もっとレベルを上げなければならないわけです。
 それで、中電は、浜岡原発三号機から五号機に対して、加速度千ガルの耐震補強を行った。だけれども、五号機は、地下に低速度層があるために、千九百ガルの最大地震動に見舞われると推計されたとしています。そうすると、中電が何と説明しているかというと、五号機だけがそうなので、五号機が停止中だったら千九百ガルでも耐震性はあるよと説明しているんだそうです。
 そうすると、動かさなければ一番安心だという話になっちゃうわけですよね。ここは、五号機が動いていなければ最大の地震動が来ても大丈夫だと説明している。そういう中での対策であるのだとすれば、原発は動かさないのが一番いいと私は言いたいわけです。
 だけれども、きょうはその議論をする場ではないですので、そこを質問するわけではありません。
 大臣は、被害想定二百二十兆円の想定を発表した三月十八日のテレビ、報道ステーションでインタビューに答えて、今審議官がおっしゃったようなこと、同じようなことをおっしゃっているんです。原子力発電所は地震が発生と同時に運転停止するという前提で予想を作成していると答えている。
 そうすると、そういう認識なのか、つまり、原発は地震が発生してもとまるから、災害は想定しなくていいんだということなんでしょうか。大臣に伺います。

○古屋国務大臣 今、日原統括官から答弁をさせていただいたとおりでございます。
 電力の供給の観点では、原子力発電所は地震発生と同時に運転を停止するという前提で被害予想を作成しております。そして、原子力の事故災害については、それぞれの所管省庁によって、専門的な見地からしっかりと対応がなされております。

○高橋(千)委員 正直驚いているんですけれども、多分、これでは三・一一の教訓は生かされないと思うんです。いろいろな計画を、三・一一を踏まえて、改めて評価、見直しを迫られてきたわけですよね。そういう点で、その認識でよいのかということを重ねて指摘しなければならないと思っています。
 私は、大臣ももちろんいろいろな形で被災地に入っていらっしゃると思うんですが、ことしの連休に、福島県の富岡町、第一原発と第二原発の真ん中辺にあるところですね、防護服を着て警戒区域の中にも入りました。その際、地震が起きた直後に当然町の災害対策本部が開かれていました。その部屋に入ったんですね。
 要するに、そのままなんですよ。会議の途中で地震が来た。それも、地震の対策をするんだけれども、余りにも大きいということでそのまま逃げた。なので、ホワイトボードにはその日のことがいろいろ書いてあります。避難の状況がどうなっているかとか、物資はどんなふうに配備をされているかとか、そういうのが書かれていましたし、机の上にはかじりかけのパンやおにぎりがありまして、もう炭化しておりました。それがそのまま、片づける間もないし、戻ってきてもいないという状態だったんです。
 そのときに、机の上に地域防災計画原子力編の分厚いファイルが置かれていました。案内してくれた補佐は、これが何にも役に立たなかった防災計画ですと指さしたんですね。当然、防災計画を持っていますよ、原発の地域なんですからね。だけれども、実際、そのとおりにいかなかった。
 私、課長さんに聞いたんです。原発が被害を受けるというか、事故を起こすということは考えませんでしたかと聞きました。そうしたら、考えもしなかったとおっしゃいました。原発は停止したと聞いたので、冷却されて安定していると思ったと答えたんです。ずっとそういうものだと聞かされていたからです。
 大臣がおっしゃったように、揺れたらとまる、ほんのわずかな振動でもとまります、原発はそういうつくりですから。だけれども、とまっただけじゃ済まないのが原発なんですよね。冷やさなくちゃいけない。ですから、今回は福島第一原発もとまったわけです。それで安心した。しかし、それでは済まない。結果として、メルトダウンという本当に深刻な事態になったわけです。
 そういうことを一切、とまるんだから想定する必要がないというふうにはやはりいかないと思うんです。第一義的な官庁は別だとしても、当然、連携する必要があるじゃないですか。違いますか。大臣にもう一回聞きます。

○古屋国務大臣 先ほど申し上げましたように、やはり福島の教訓を生かして、それぞれの省庁、この場合は経済産業省になりますが、専門的見地から関係者とともに検討いたしております。
 したがって、今の御質問は、私は所管官庁の大臣ではございませんので、もうこれ以上のことは私からは答弁することは差し控えさせていただきたいと思います。

○高橋(千)委員 大臣、私、今、何回も言っているんですけれども、原発の是非とかを言っているわけではないんです。それから、安全基準がありますね。それに対しては規制委員会がチェックをします。そのことをどうかということを議論しているつもりもありません、別な場所でやりますから。
 そういうことではなくて、所管官庁ということを言ってしまえば、全部あるんですよ。環境省があったり、国土交通省があったり。だけれども、防災対策という一つの軸で大臣は全てを網羅している、連携をする、調整とか、そういう役割を果たしているわけじゃないですか。そういう点で、南海トラフが来たときにどういう被害があるのかという想定がされているのかということとか、それに伴う避難計画がされているのかということをやはり掌握する必要があるんではないかと思うんですね。
 例えば、原子力規制委員会は、原発の三十キロ圏内の市町村に対しては避難計画を義務づけました。義務づけたので、それはもうやっていることになっている。だけれども、実際にできたかどうか。地域によっては、避難計画をつくるすべがないところもあるんですね。陸の孤島になってしまうとか、さまざまな理由がある。だけれども、それはチェックする必要がないんだと言っているんですよ。本当にそれでいいのか。だって、避難する向きだって変わってくるじゃないですか。
 そういう点で、やはり複合的な場合はどっちに避難をするんですかということは、どこかで検討をする、すり合わせをする必要があるんではないか。それから、さっき、中川委員の質問に対して、大臣が非常に積極的に答えていらっしゃった情報の共有、この点について、やはり必要なんじゃないかなと思うんですが、いかがでしょうか。

○亀岡大臣政務官 今委員が指摘されたことは大事なことであります。私も被災地にいて、実は、第一原発と第二原発、同じ地震でも、事故が起きたものと起きないものがあります。第二原発は事故が起きておりません。
 そういう意味では、各電力会社が、東日本大震災の経験をしっかりと生かそうといって、今、それぞれきちんと防災対策、減災対策をやっております。
 それとは別に、全体計画を今つくっておりまして、後々それを全部共有させる必要があると考えておりますので、そこは、最初から事故を想定するということじゃなくて、まずきちんとやれることをやっていくという順番で今行っているところであります。

○高橋(千)委員 ここは強く要望したいかなと思っています。
 原発がどうして想定から外されたんですかということを聞いたんですが、ワーキンググループで少し議論になったというんですけれども、では、その議事録をホームページにアップしていますかと言ったら、一年たたないと公開できませんと言うんですね。何か、あれは特定秘密なのかとつい思ったわけですけれども。
 実際に、いつやったのかもはっきりしないんですね。それで、第十一回のワーキンググループの議論だったということがようやくわかって、記者発表された議事概要をいただきました。そうしたら、議事概要の中には、原発のゲの字も出てこないんですよ。
 本当にそれでいいのかということを言わないと、一番大事な情報の共有というときに、そういうことは一切なしというのであれば、やはりあのことを繰り返すことになるんじゃないか。これは重ねて御指摘をしたいと思うんです。
 きょう、ここの部分は質問しませんけれども、大臣は、三月の被害想定の発表の際に、エネルギーのバックアップ問題も国土強靱化計画に入れたいと発言をされました。それが、さっきの発言でもあると思うんですよ。つまり、原発の被害は想定していないんだけれども、しかし、電気がとまったら困るので、そのバックアップは重要だという議論をされている。
 東日本大震災のときも、同じ東電だけれども、その瞬間は刈羽が動いていた。動いていて助かったという議論があって、やはり原発の電力を活用しようじゃないかという議論が出てくるのかいとなるわけですよ。
 それで、関西大学の河田教授は、政府内からは、原発の安全管理をし過ぎると南海トラフ対策に影響を与えると述べたということも報道されているんですね。
 そうすると、何か、原発の被害とか、それに対する対策については想定しないんだけれども、電源としての再稼働というんですか、原発は大事だというふうな議論になってくると、私は、これは逆立ちした議論だというふうに指摘をしたいと思います。重ねて、今後、優先順位とかおっしゃいましたけれども、最も優先的に議論する必要があるんだということで指摘をしたいというふうに思います。
 そこで、もう一つ。質問がきょうはいっぱいあったんですけれども、時間の関係で一つに絞りたいと思うんです。
 現在、地震発生直前の予知の可能性があるとされて、監視体制が整備されている東海地震を念頭にした大規模地震対策特別措置法というのがあるわけですけれども、東南海・南海地震特措法、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震特措法は、地震予知体制が確立した場合に、この大規模地震対策特別措置法へ移行することを想定するとされています。
 阪神・淡路大震災を機に、直前予知に対する信頼性に疑問が持たれるようになる中、本年五月に公表された中央防災会議の、さっき私が読み上げた南海トラフ巨大地震対策についての最終報告は、地震予測の研究の必要性を認めつつも、「現在の科学的知見からは、確度の高い地震の予測は難しい。」という見解を明らかにしました。
 なので、翌日の新聞各紙は、「地震予知が「困難である」と指摘した内閣府の有識者会議の最終報告書は、予知を前提とする現在の東海地震対策に無理があることをはっきりさせた。」というふうに報道された、これは朝日ですけれども。あるいは、「南海トラフ地震に備え、自治体の対策を後押しする特別法をつくる動きがある。新法制定に合わせ、東海「予知」を定めた大規模地震対策特別措置法を廃止すべき」ではないか、つまり、予知を前提にするべきじゃないんじゃないかというのが日経新聞には報じられているんです。だから、今回の法律がそのチャンスではなかったのかなと思うんですよ。
 五月二十三日の本委員会で、私、一度質問しています。直前予知が可能な巨大地震に個別に対応するという形で対策法が今林立している、だけれども、直前予知を前提としない、もうどこだってあり得る、そういう法律の一元化を検討すべきではないか、こう質問したわけです。
 改めて、検討すべきではないかなと思うんですが、大臣の見解を伺いたいと思います。

○古屋国務大臣 お答えいたします。
 大規模地震対策特別措置法、これについては、確かに、確度の高い地震予測は困難でありますけれども、東海地震地域における地震観測網が、前駆すべり等の東海地震の前兆現象を捉える可能性がありますということで、地震予測を前提として、警戒宣言後から発災までの地震応急対策についての特別の措置を定めておりますこの法律は、私は引き続き必要であるというふうに考えています。

○高橋(千)委員 最終報告書の大臣がおっしゃった部分、私も読みました。なので、私は、予知の研究をやるべきじゃないと言っているわけじゃないんです。
 この間、委員会でいろいろな研究者の方の御意見も聞きましたし、それが非常に進化をしていて、可能性はすごく高まっているということも実感いたしました。ですから、予知の研究をすごく充実させるということは大事だと思うんですね。だけれども、予知ができるというそこだけに絞って、そことリンクした特措法でなくてもいいんじゃないかということを言っているのであって、その特措法に、もっと起こり得る全体の対策ということで一元化をすればいいのではないかと言っているわけで、そういう考え方はできないのでしょうかということを言っているだけなんですね。どうですか。

○坂本委員長 時間が経過していますので、答弁は簡単にお願いいたします。

○古屋国務大臣 今答弁申し上げたとおり、私たちは、委員御指摘のような考え方ではなくて、可能性がある以上は、この特措法は必要であるという考えです。

○高橋(千)委員 終わります。引き続いてお願いします。

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