2013.5.17(金) 災害対策特別委員会


183-衆-災害対策特別委員会-7号 平成25年05月17日

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 きょうは、大規模災害からの復興法案を中心に質問したいと思います。

 一昨年、復興特区法の審議において、地域住民の意見を反映させる仕組みについて法案に盛り込むべきではないか、このような質問をいたしました。今法案では、第三条「基本理念」において、「国と地方公共団体とが適切な役割分担の下に地域住民の意向を尊重しつつ協同して、」と。「住民の意向を尊重しつつ」、こういうふうに書かれてあるわけですね。ですから、どのように尊重する仕組みを盛り込んだのか、伺いたいと思います。

○古屋国務大臣 災害からの復興は被災地域の住民の意向を尊重してなされるのは当然でありまして、地域住民の主体的な取り組みが欠かせません。

 そのため、この法案では、復興に当たっての基本理念として、地域住民の意向を尊重するよう規定するとともに、市町村が復興計画を作成する場合には、公聴会の開催など住民の意見を反映させるために必要な措置を義務づけています。

 また、復興計画やその実施について協議を行う復興協議会のメンバーには、被災市町村等が必要と認める者を加えることができる、こういうふうになっておりますので、地域の実情に応じて、住民の意見を正しく反映させるために必要な者を加えることが可能になっております。

 このように、この法律案では、地域住民の十分な参加のもとに復興の取り組みが進められるよう措置をさせていただいているというところでございます。

○高橋(千)委員 ありがとうございます。

 今、最初に第十条の五項を読んでいただいたと思うんですけれども、明確に法定されたということを大変歓迎したいと思います。

 やはり、自助、共助、公助ということが、法律の中にも考え方がちゃんと書かれているんですけれども、正直言って、震災直後の現場というのはもともと自助、共助なんですね。特に、今回の東日本大震災の現場におりますと、最初にできた避難所というのはほとんど自主的な運営でありました。とてもじゃないが公がかかわるというどころではないんですね。無数に自主的な防災組織が発動したり避難所の運営がされて、共助というのはもともとそういう力を持っておりました。

 そして、今、復興を目指す取り組みの中でも、それぞれの被災地で住民の組織が立ち上がって、当然、行政も巻き込んで、自分たちのプランをつくっていこうという取り組みがどこでもされているんですね。ですから、やはりそこを尊重していくということが行政にとっても望ましいことだと思いますので、そこが位置づけられたということで、今後も非常に重視していただきたいなということを改めて紹介させていただきます。

 そこで、先週の本会議で、大規模災害からの復興の枠組みをあらかじめ法制化することでこれまでより速やかな復興への取り組みが期待できる、こういう大臣の答弁がございました。

 ただ、災害のたびごとに復興対策委員会、東日本大震災のときは復興構想会議というものが開かれて基本方針ができたわけですが、今回は復興対策委員会が多分同じ趣旨の制度になると思うんですけれども、それはやはりつくらなくちゃいけない、しかも災害のたびにつくる、そして災害のたびに基本方針をつくる、これは同じスキームであるのを確認させていただきます。

○西村副大臣 東日本大震災、あるいは、さらに以前の阪神・淡路大震災からの復興に当たって復興対策本部というものを設置しましたけれども、それを設置するために、いずれも発災後に特別法を制定しておりまして、そのために一定の期間を要していたところでございます。今回のこの法律案によって、閣議決定によって、より迅速に本部を設置するということが可能になります。

 それから、復興基本方針についても、これは個別の災害ごとに、具体的な規模とか被災の状況、被害の状況等を踏まえて策定されるものでありますけれども、これにつきましても、復興対策本部が迅速に立ち上がれば、そのもとで速やかに定められるというふうに認識をいたしております。

○高橋(千)委員 速やかかどうかということではなくて、災害のたびに復興対策委員会をつくるということと、基本方針、要するに、法定は今回しますけれども、例えば南海トラフと首都と一緒じゃない、そのたびにメンバーは違うし、そのたびに方針は違うということを確認しただけです。

○西村副大臣 災害ごとに復興の対策本部をつくり、そして、中身はもちろん違いますけれども、復興の基本方針をつくっていくということはそのとおりであります。

○高橋(千)委員 まず、そこが一つ確認をした点です。

 そこで、先ほど来もお話があったように、東日本大震災においては、復興基本方針が決まらないと、復興交付金のメニューなど、つまり、どんな計画をつくっていくかということでは、これが決まらなくて、どれだけ国の支援が受けられるのか、ここがわからないことが、やはりその先に進めないという点で大変なネックでありました。それで、今回の法案では、第五十七条において、「別に法律で定めるところにより、」「財政上の措置その他の措置を速やかに講ずる」とあるわけです。

 ということは、確かに規模が大きくなればなるほど、財政がどれだけかというのは、それは特別な措置をとらなければならないのは当然だと思います。ただ、そのことによって、今回の大震災で用いられた、例えば復興交付金の四十事業と財政上の措置、これが必ずしもとられるわけではない。つまり、これをベースにするときもあるし、ふえることもあれば減ることもある。だから、結局は、やってみないとどれだけのことができるかわからない、こういうことになりませんか。

○西村副大臣 復興のための財政措置についての御質問でありますけれども、当然、この五十七条に書いてあるとおり、「財政上の措置その他の措置を速やかに講ずる」ということでありますので、こうした場合にしっかりと支援をしていくという方向性は書いてあるわけですけれども、その具体的な中身は、まさに御指摘のあった災害の規模、被害状況、それから、その時点での国の財政状況と被災した地域の財政力、そういったことも勘案しなければいけませんし、それから、財源確保のための国民全体の負担をどうするかといったような議論も必要であるわけであります。

 したがって、このようなさまざまなことを勘案しなければいけませんので、例えば、御指摘の東日本大震災の復興交付金のような事業をあらかじめ法制化しておくというのは適当でないというふうに考えているところであります。

○高橋(千)委員 先ほどの議論でも、場合によっては二百二十兆というスケールの災害もあるよという議論もありました。ですから、本当に、そのときになってどれだけの規模が確保できるのかというのは確かにあると思うんですね。ただ、あらかじめ復興の枠組みを決めておこうと言った以上は、何から何まで全く予算が通らなければできないというのでは、やはり同じなんですよね。一昨年の教訓は生きない。

 なので、一昨年の震災で非常に好評だったもの、あるいは定着したもの、こうしたものを、一定のスタンダードというんでしょうか、捉えておく。ここまでは当然国の支援はあるんだよというふうなことを整理しておくというのも一つの考えだと思うんですが、いかがでしょうか。

○西村副大臣 もちろん、東日本大震災での経験、それから、さらにさかのぼっての阪神・淡路大震災での経験、これは我々にとっては、大事な経験、教訓としてしっかり受けとめて、復旧復興の事業についても、それぞれ検証しながら今後につなげていくことが大事だというふうに思っております。

 ただ、あらかじめ財政上の措置についてそうしたメニューを用意しておくというのは、先ほど申し上げたとおり、被災した地域の特性によっても違いますし、そのときの国、地方の財政状況も違いますし、規模も当然、災害のたびに違うわけでありますので、あらかじめ東日本と同じメニューを個別具体に措置するというのは適当ではないというふうに判断をしたところでございます。

○高橋(千)委員 ぜひ、大臣にも通告をしておりましたので、これは最後にもう一度質問しますので、答弁をいただきたいなと思うんです。

 私は、四十事業も、もっとふやせという意見もありましたし、これでいいとは言っていないんです。だけれども、全く一つも決まらないというのではなくて、一定の標準を決めておく必要があるのではないかということを提案していますので、検討いただきたい。また、本当にそのときになってみなきゃわからないよというのであれば、あらかじめ復興基金という仕組みをある程度とっておいて、最初は自治体に任せるよ、そのくらい言わないと、本当に前に進まない。せっかくこういう法制をつくっても前に進まないんですよね。大臣、どうですか。

○古屋国務大臣 東日本で、震災でいろいろメニューをつくりましたね。これはあくまでも個別に応じてつくったんですけれども、でも実際、その経験、知見というのはすごくあるんですよ。だから、その経験を、今後もし大規模災害が発生した場合、その復興に適切に対処していくための参考にはなりますよね。そういう対応によって、被災市町村にもしっかり復興事業にも取り組んでいただけるということにつながっていくと思います。

○高橋(千)委員 これはぜひ検討課題にしていただきたいと思うんですね。結局、震災の直後にまず始めたことは、阪神・淡路大震災でできたことは何だったかと。あの財特法ですよね、そこを少しでも乗り越えようというところからスタートをいたしました。ですから、やはり乗り越えていくんだというふうな決意を持って一定の整備をしていくということが必要ではないかということで提言をさせていただきました。

 そこで、教訓ということで、震災絡みで少し具体的なことを伺いたいと思います。

 津波復興拠点整備事業、これは市街地、住宅ですとか水産関係ですとか、あらゆるものを一体的に整備をするというので非常に歓迎をされている事業でありますけれども、これが、一自治体二カ所ですか、条件が厳しいという声もございます。ただ、例えば最大の被災地である石巻などでは、広域合併をしているのでこれでは全然おさまらないよという声が現場から上がっているわけですが、柔軟にできないでしょうか。

○樺島政府参考人 津波復興拠点整備事業につきましては、今御指摘ございましたけれども、地域全体の復興を促進する上で必要な投資を集中的に行うということ、このことによりまして主な都市機能を迅速に回復する。このために、用地の全面買収方式によりまして、被災した都市機能を集約的かつ迅速に整備していく、こういう事業制度として創設されたものでございます。このような事業制度の趣旨に照らしまして、都市ごとの箇所数や規模に関しては一定の要件が設けられているところでございます。

 また、この事業制度の対象にならないケースにおきましても、被災した市街地の復興支援のため、この事業のほかにも、活用が考えられるさまざまな事業手法も用意されているところでございます。

 今後とも、地方公共団体のニーズや実情を踏まえながら、必要な事業を工夫し、前に進めていただきますよう、津波復興拠点整備事業の柔軟な活用、あるいは他の事業制度も含めまして、最適な事業の選択や実施について、きめ細かく町づくりへの助言と支援を行ってまいりたい、かように考えております。

○高橋(千)委員 やはり絶対合わせわざというのが必要ですので、今、柔軟にというお答えをいただきましたので、よろしくお願いをしたいと思います。

 それで、ちょっと順番を変えまして、経産省に伺いたいと思うんですが、グループ補助金の遡及適用が三月の七次募集で打ち切られるということで、これから八次募集に向けて申請を準備したいと考えている事業者もあるじゃないかということで、私、八日の参考人質疑でも取り上げたんです。

 塩釜の商工会議所の桑原会頭が、この方自身はグループ補助が適用になって活用された方なんですけれども、やはりまだ全然更地の状態である、例えば石巻とか女川とか、まだまだ今後課題があるし、これからの八次に向けて申請を準備しているところも当然あるので、そういったところもぜひ助けていただきたいというふうな声が紹介をされていました。

 これについてもやはり柔軟にやるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○守本政府参考人 お答え申し上げます。

 グループ補助金につきましては、二十四年度の予算までは、被災事業者の早期の復旧、事業再開を後押しするということで、補助金の交付決定前に復旧に着手をされた事業者の方も、例外的に遡及適用ということを認めてございました。

 二十五年度、すなわち第八次公募からの申請でございますが、これは、申請から二年たちまして、津波浸水地域等以外では復旧が一定程度進んできたということを踏まえまして、復旧のおくれている地域に支援を重点化するということになりました。

 このために、再交付の案件を除きましては、二十五年度からは通常の運用に戻しまして、遡及という形は適用しない。それから、土地のかさ上げ等のおくれから復旧がおくれている地域を支援の対象とするということにさせていただきました。

 こういう見直しに当たりましては、これまでに、被災三県を初めとしまして、関係自治体と十分な調整を行って検討を進めてまいったところでございます。また、事業者の皆様に対しましても、二十五年度以降は遡及適用はしませんという旨を周知させていただきながら進めてきたということでございます。

 なお、遡及適用が必要なケースをできるだけ支援するということで、ことしの二月上旬に、追加的に七次募集というのを実施して、広く申請を呼びかけたところでございます。その際に、国と県が連携をしまして、実際に出てきた内容につきましても、その内容を向上させるために、具体的かつきめ細かな相談対応を行いまして、これによりまして、遡及適用が必要な案件を可能な限り幅広く採択させていただいたということでございます。

 今後につきましては、本補助金の適切な運用によって、自力再建のめどが立たない方を含めまして、復興がおくれている地域の復興を加速化してまいりたいと思っております。

 また、あわせて、二十四年度までであれば遡及の対象となり得た、既に自力で復旧された方、この方々につきましては、積極的に資金繰り支援を行うなど、きめ細かな対応を行ってまいりたいと思っております。

○高橋(千)委員 この間、現場の声をよく聞きながら拡充をしてきたという経過もあったんだと思うんです。その上で、復興のおくれたところにぜひ手当てをしていきたいというお答えであったと思うので、要するに、おくれているのも、事業者のせいではなくて、復興計画がやむを得ずおくれているという事情があってのこともあるわけですから、せっかく今、それで駆け込み需要というものもありましたし、自治体の声もよく聞いている中で、それでも漏れるような、残念ながらちょっと間に合わないというふうなところがないように、何とか支援をしていただきたいということを、検討を含めて要望したい、このように思っております。

 そこで、内閣府に戻りますが、被災者生活再建支援法、これも申請の期限が、原則、発災後三十七カ月となっております。当然、これも同じで、三年では再建が困難な実態も踏まえて、柔軟に延長を認められるはずだと思いますけれども、確認をしたいと思います。

○古屋国務大臣 お答え申し上げます。

 支援金の申請期限、原則として、基礎支援金は発生した日から十三カ月を経過する日、加算支援金は発生した日から三十七カ月を経過する日までとなっています。

 しかし、実際、やむを得ない事情はありますので、被災世帯が期間内に支援金の申請をすることができないと認めるとき、これは都道府県の判断で申請期間を延長することができます。現実に、岩手県、宮城県、福島県においては平成三十年四月十日、千葉県においては平成二十七年四月十日まで延長をされているところであります。

○高橋(千)委員 ありがとうございます。

 今、期限の延長の問題と遡及の問題を取り上げたんですけれども、やはり震災のときは、危険区域の設定自体が大変おくれたがために自力再建に踏み切ってしまった、それで遡及もできない方が、今のグループ補助の話ではなくて、そういうことがたくさん起きました。

 ですから、指摘をしたような復興の枠組みがわかっていて、ここまでは支援ができるだろうということがあれば、きっと今のそういう、仕方がなく先にやって、お金が全然出ないというようなことはほとんどなくなっていくのではないか、そういう問題意識のもとにきょうの質問をさせていただきました。大いに検証して、次につなげていきたいと思います。

 ありがとうございました。



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