2013.4.3(水) 厚生労働員会


183-衆-厚生労働委員会-6号 平成25年04月03日

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 杉並で認可保育園に入れなかった保護者六十名が、行政不服審査法に基づく異議申し立てを行い、街頭でのアピールなどを初め、こうしたことがきっかけとなって、目黒区、足立区、大田区など都内各区、あるいは埼玉、東大阪などでも声が上がり、待機児童問題が大きくクローズアップをされております。

 資料の一枚目に、東京新聞の二月二十六日付をつけました。「一万九千人入れず」と見出しがついていますが、これは二十三区内のトータルでありまして、東京新聞の独自の調査であるとなっております。

 それで、二枚目は、同じ日の新聞なんですけれども、二十三区外の都内の状況を、これは共産党の都議団が調査したものであります。それを東京新聞が取り上げていただいて、多摩、島嶼部は五千人を超えている、こういうことが紹介をされています。

 新聞各紙あるいはテレビなどでも紹介をされているので、皆さんもごらんになっていると思うんですけれども、妊娠中から申し込んだ五カ所の認可外も全て断られ、余りに長い不安の期間を過ごした上に全滅でショックが大きいという母親、この数日間眠れない、お母さんの精神状態が悪いと子供の笑顔もなくなる、そういう母親など、小雨の中、あるいは雪の降る中、赤ちゃんをおぶって訴えをしてきました。

 お母さんたちのそういう必死の訴えに、自治体も定員をふやすなどのつなぎ策は動き出しているわけですが、まだまだ求められる水準には遠過ぎます。

 まず大臣に伺いたいのは、こうした保護者たちの願いをどう受けとめていらっしゃるのか。実情把握や解決策をめぐって、こうした、今取り上げられている自治体との協議とか、何かやっていることがあるのか、伺いたいと思います。

○田村国務大臣 本当に切実なる思いであられるというふうに思います。

 これまでも、毎年毎年、定員枠をふやしてきたわけでありまして、二十三年度は四万三千人ですね、それから二十四年度が五万四千人、今年度が七万人、定員枠をふやそうということで、一応予算立てをして頑張る。

 四千六百十一億円、これに関して保育関連費を予算立ていたしておりますし、施設整備ということでありますが、安心こども基金で一千百十八億円、これは二十四年度の予備費で予算立てをした。

 そしてまた、補正予算で四百三十八億円、これは処遇改善ということで、保育士の方々の処遇改善で、保育士の方々自体が疲弊されていて、なかなか対応できないという部分もありますし、潜在的に、資格は持っているんですけれども、なかなか職場復帰されるお気持ちになれないという方々がおられますので、そういう方々にもぜひとも職場復帰していただきたいなということで、そういう予算立てをさせていただいております。

 去年の三党合意にのっとって子ども・子育て新制度が動き出すのに対して、今、子ども・子育て会議等々でいろいろな議論をする中において、この問題をどう解決していくんだ、そもそも、なぜ、これだけふやしているのに待機児童が毎年毎年ほぼ変わらない数字が出てくるんだということも含めて、いろいろな御議論をいただく中で解決策を考えてまいりたい、このように思っております。

○高橋(千)委員 今、大臣の答弁は、二問目のことも少し含んでいたのかなと。対策について、ちょっと分けて考えたかったんですね。

 つまり、今、切実な実態だということをおっしゃいました。ただ、なぜそうなっているのか。確かに子ども・子育て会議でやりますよというお話はあったんですけれども、では、直接自治体からヒアリングをしたり、お母さんたちの声を聞いたりとか、そういう実情をつかむということをされましたかということをまず聞きました。

○田村国務大臣 自治体からは、いつも、待機児童がどれぐらいおられるかという数字が上がってくるわけであります。我々の認識といたしまして、これから、子ども・子育て会議も含めて、いろいろな、自治体がなぜふやせないのかということも聞いていかなきゃならぬなというふうに思っております。

 また、親御さんのお気持ちは、これはもう十二分にわかっておりますので、とにかく認可保育園をふやす中において待機児童の解消を果たしていかなきゃならぬという思いは十二分に理解いたしておりますので、何とか認可保育園をふやしていくという方向で進めてまいりたいというふうに思っております。

○高橋(千)委員 十二分にわかっているとおっしゃったんですけれども、少し、何でそうなのかということを議論する必要があると思うんです。

 というのは、これだけ話題になっているので厚労省もつかんでいるでしょう、たとえ新聞ベースであっても、枠がこうだったのに、一体どのくらいの人がはみ出して、現状どうなのかということを持ってきなさいということを言いましたら、三枚目の資料を持ってきたんですね。これは、杉並区等における認可保育所数や待機児童者数の状況ということで、これは昨年の四月一日の時点なんですね。

 そうすると、待機児童とは何かという議論があるわけですけれども、杉並区でいいますと、定員が五千四百十三人に対して五千四百四十人の児童だ、そうすると、待機児童は五十二人しかいないという話になっちゃうんですよ。そうすると、認可保育所は、何だ、一つの保育所、一人受け入れればいいじゃないか、そういう議論になっちゃうわけ。

 そうすると、実際に、このきっかけは、ことし一月に申し込んだ人の三分の二に当たる千八百名が、杉並区だけでですよ、はみ出して、これはもう立ち上がらざるを得ないという状況になったのを、全然反映していないじゃないですか。そこはどうですか。

○田村国務大臣 そういう数字を出されるんですね、出されるんです。我々も、もっといるだろうなということは大体わかっているんですが、そこはカウントの仕方というものがそれぞれ自治体であるわけでございまして、そういう数字になってきておる。一方で、認証保育園は、これは待機児童にカウントされないわけでございますから、潜在的にあるわけでございます。

 そう考えると、どうやって本当の待機児童の数をちゃんと把握するか、ここが一番大きな問題だということは我々も認識いたしておりますし、昨年の三党協議の中での国会での議論の中でも、そういうことを何度も私は申し上げたわけでございまして、それがちゃんとわかるような、カウントできるような方策を考えていかなきゃならぬなというふうに思っております。

○高橋(千)委員 まず、それをどうやって把握するかという問題で、この表には、実は、最初持ってきたのには右端がなかったんです。右端を入れてもらいました。そうすると、東京都の認証保育所などの数が出てまいります。五十二人が待機児童なんだけれども、実際は千百十八人がほかに入っている。こういうことはちゃんとつかんでいるわけです、厚労省はそもそも。

 それで、昨年十月一日の待機児童数、いわゆる公的に発表している待機児童数は四万六千百二十七人です、秋になりましたので。それで、ベビーホテルや認可外施設に入っている児童は十八万四千九百五十九人です。しかし、今声を上げているお母さん方は、その認可外の保育所さえも、あなたは三十番目ですよ、五十番目ですよという実態になっているわけです。

 ですから、先ほど来、認可保育所をふやすとおっしゃってくださいました。七万人、ことしは目標だとおっしゃってくださいました。しかし、では七万人に見合う保育所を幾つつくるのですかということを答えていただきたいと思います。

○田村国務大臣 ですから、子ども・子育て新制度において、多様な運営主体に力をかりながら、もちろん質は絶対的に落とせませんから、質をしっかりと担保して、そういうところのお力をおかりし、保育所の整備をしていかなきゃならない。

 これは、何といいましても、国がつくるというわけにはいかないわけでございますので、やはり民間のお力をおかりしなきゃならぬわけであります。社会福祉法人等々、いろいろな方々のお力をおかりしながら、そのかわり、こちらもいろいろな施策は考えてまいりますので、保育所の方々の養成もしていかなきゃいけない、いろいろな問題があります。

 そういうことを総合的に進めながら、保育所の整備をしていくということでございます。

○高橋(千)委員 しかし、そこにやはり、七万人とかいう数字は出るけれども、保育所そのものがどのくらいという目標がないのが問題ではないかと私は指摘をしています。

 共産党は、前から、例えば、標準は九十人定員でいいますと、十万人分一年間ふやすとすれば大体千七百億円程度という試算をして、やはり毎年そのくらいふやす必要があるのではないかと言っています。だって、八十五万人の潜在ニーズと言っているじゃないですか。それを全部とは言いませんよ、もちろん、いろいろな多様なものも大事かもしれません。しかし、それも、保育所をふやすということと一体でやらなければだめなんです。

 政府は、子ども・子育て新システム移行後五年間で待機児童をなくすと言っていますが、これでは保育所年齢を過ぎてしまいます。期限を区切って、認可保育所を思い切ってふやす計画をつくるべきと思いますが、いかがですか。

○田村国務大臣 おっしゃられるとおりでございまして、でありますから、実は、総理からも指示をいただきまして、これは子ども・子育て新制度スタートまでの間、期間がございますから、前倒しという意味も含めて、しっかりと認可保育所をつくることによってこの待機児童というものに対して対応をするようにということを言われておるわけでございます。

○高橋(千)委員 しっかりつくるというのは、まずしっかり受けとめました。ただ、幾つだとか、計画的にとはなかなかおっしゃっていただけないなと思って聞いていたんですけれども。

 ちょっと、その保障の問題で、それを前に進める上で確認をしたいんですけれども、新システムに入る前の先取りとしての緊急確保事業、これは子ども・子育て支援法の附則十条にありますよね。それと、新制度移行後も、児童福祉法五十六条、交付金という形で、保育所整備費というのは必要に応じて持つことができるということになっているはずなんです。

 それで、これまでは整備費というのは安心こども基金でやってきたわけですが、継ぎ足しと延長という形だったわけですね。当然、その水準は上回るのだということでよろしいでしょうか。安心こども基金の水準は上回る、これは国会決議でもありますので。整備費の保障。

○田村国務大臣 それは四分の三の話でございますか。

 附帯決議等々でしっかりとそういうような院の御決議をいただいておりますので、それを重く受けとめさせていただきたいと思います。

○高橋(千)委員 そこで、もう一つ問題提起をしたいと思うんですが、認可保育所をつくるんだというお答えがありました。そして、これまで継ぎ足ししてきた安心こども基金が、緊急確保事業や交付金という形で、同じ水準が保たれて施設整備費を担保するんだということを一つ確認できたかなと思うんですが、問題は、公立保育所の予算は、もう既に一般財源化されておりまして、施設整備費がございません。

 私、全部公立にしろなんて今は言っていません。だけれども、少なくとも八十万人を超える潜在ニーズに応えるためには、やはり自前で、お願いベースだけではなくて自前でもつくれるということがなければならないと思うんですが、これについて、公立保育所の整備について、やはり予算を持つ必要があると思いますが、いかがでしょうか。

○田村国務大臣 公立保育園が一定の役割を果たしておられるということは十分に認識をいたしております。

 その上ででありますけれども、しかしながら、これは一般財源化したわけでございまして、それをまた国の運営費等々で対応するということはなかなか難しいわけでございまして、残念でございますけれども、そういうわけにはいかないということであります。

○高橋(千)委員 ですから、結局、自治体に計画をつくれ、頑張れと言っても、どこかにやはり国が責任を持てる部分が残っていないと難しいんだということを私が言っているんです。

 二〇一〇年八月二十三日に、東京都の特別区議会議長会、これは大臣宛てに、まだ田村大臣になる前ですけれども、要望書を出しています。その中で、やはり今言ったことを指摘しているんです。

 「平成十六年、国が公立保育所運営費補助を一般財源化したことにより、自治体財政が厳しいもとで多くの自治体で保育予算を減らさざるを得ない状況となっている。待機児童解消のために公立保育所を整備したくても、土地取得費、建設費、運営費をすべて自治体の持ち出しでは、着実な整備は困難である。」と指摘しています。

 やはり特別な手当てをとらなければならないということを指摘しておきたいと思います。

 そこで、きょうは一つ提案がございます。

 平成二十四年度の補正で、内閣府が地域の元気臨時交付金一兆三千九百八十億円をつくっておりますけれども、これは地方単独事業にも充当できる、使えるとなっておるので、例えば公立保育所を建設する場合にも使えると思います。確認させてください。

○北村大臣政務官 今回の地域の元気臨時交付金は、今回の経済対策における追加公共投資の地方負担が大変大きくなることに鑑みまして、地方の資金調達に配慮をしたものでございます。配慮をして、しかも迅速かつ円滑な実施を図るために交付するものであります。

 各自治体への交付限度額は、平成二十四年度補正予算に計上された公共事業等に伴う地方負担をもとに算定されているものでございます。

 本交付金の使途についてでありますが、一つには、建設公債を財源とする国庫補助事業で、法令で国の負担割合が定められていないものの地方負担に充てること、いま一つは、建設地方債の対象となる地方単独事業等に幅広く充当することができるものとされているところでございます。

 御指摘の公立保育所を建設する地方単独事業についても、その事業を実施する自治体において、本交付金の交付限度額の範囲内で充当することが可能であると考えております。

 いずれにいたしましても、地域において、本交付金を工夫して活用することにより、地域の活性化につながることを期待しているものでございます。

○高橋(千)委員 結論は、可能であるということだと思います。

 本当にこれは次善の策ではあるんですけれども、しかも公共事業を推進という交付金ではあるんですが、しかし、可能だということは非常に大事であるということを一つ確認いたしました。自治体にぜひ使っていただきたいと思う。

 ただ、同時に、公立保育所をつくるというためには、この間、国の定員管理の中で、非正規化、あるいは保育所の民間委託化が進んできた背景がございます。当然、そこの手当ても一緒になって頑張らなければならない。

 今度は総務省の立場で、同じ政務官にお答えいただきます。簡潔にお願いします。

○松本委員長 簡潔にお願いいたします。

○北村大臣政務官 御案内のとおりでありますが、地方公共団体の職員数については、平成十七年から平成二十二年の五年間で、行政改革法などに基づいて、地方公共団体として具体的な削減目標などを掲げた、いわゆる集中改革プランを策定するよう要請し、定員の削減を図ってきたところであります。

 その結果、十七年から二十二年までの間で、総職員数については約二十三万人減少しております。さらには、保育所等については、保育所を含む福祉部門についても、民間委託等によって約四万人減少しているところでございます。

 ただ、集中改革プランの期間終了後は、総務省として、各地方団体の定員管理については、地域の実情を踏まえつつ、自主的に適正な定員管理の推進に取り組むよう助言をいたしているところでありまして、各地方団体においては、それぞれの地域における行政需要を勘案して、めり張りのきいた人員配置を行っているものと理解しているところでございます。

○高橋(千)委員 定員管理が人材確保の障害にならないように、セットでお願いしたいと思います。

 そこで、最後にどうしても大臣にもう一問聞かなければならなかったので。

 今回の運動は、単に子供の預け先をふやしてほしいというだけではなく、先ほど来述べているように、認可保育所をふやしてほしいということだったわけですよね。お母さんたちは、これまで保活をずっとやっていますので、認可外の保育所もいっぱい見ているんです。だから、狭いとか、職員が少ないとか、もちろん保育料は高いです、そういうのを見ているからこそ、安心して預けられるものをふやしてほしいということを実感して述べているということです。

 それで、実は、ことしの一月に厚労省が発表した昨年一年間の保育施設における死亡事故は十八件で、前年より四件ふえています。いずれも、一歳未満の子供たちで、お昼寝中ですね。特筆すべきは、一時預かりで、預けた日の初日に亡くなったのが三件もあるんです。夜間の死亡事故が三件です。

 保育従事者が無資格者のみとか、本当に深刻な状態で、やむにやまれず預けた結果が、子供の命が奪われる。どんな思いで親たちがいるのかということを本当に受けとめていただかなければ、だから、とりあえず預け先があればなんということは絶対に言えないんです。

 この認識と、この中で、今、規制改革会議が基準をもっと緩和せよと言っていたり、どこぞの知事が国の基準が厳し過ぎるんだなどということを言っていますが、そうではないのだということで、大臣、一言お願いします。

○田村国務大臣 先ほどのお話は本当に重要なところでありまして、要は、ただ単に、子供を預けるところがないんじゃなくて、ちゃんとしたところに預かってほしいというのが切実なる親の思いだというふうに思います。

 規制改革会議だとか、いろいろなところで保育の議論があるのは私も承知しておりますけれども、私は私の立場で、子供を守るという立場でございますから、安易な規制緩和は絶対に許さない、認可保育所の基準というものをしっかりと守って、認可保育所をふやしていくということが一番重要であるというふうに思っております。

○高橋(千)委員 よろしくお願いします。

 きょうは終わります。



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