2012.11.7(水) 厚生労働委員会


181-衆-厚生労働委員会-2号 平成24年11月07日

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 三井大臣に初めて質問をいたします。最初に、通告をしておりませんが、所信的挨拶のことで一言だけ伺いたいと思います。

 きょうも朝から何度か質問が出ておりました。大変強調された、潤いのある社会保障、これがやはり、ぴんとこないわけなんですね。潤いのある社会保障を訴えるということは、まず現状認識、今社会保障がどういう状態だと思っていらっしゃるのか、そしてどのような状態に向かいたいと思っていらっしゃるのか、大臣のイメージをまず伺いたいと思います。

○三井国務大臣 けさも冒頭で御答弁申し上げましたが、今、現状の認識ということも私はしておるところでございます。

 ですから、そういう中におきまして、特にやはり、あえてぎすぎすしたという言葉で申し上げているんですけれども、そういう中で、社会保障というのは、もっと幸せであるというか国民の生活というのはやはり大事だと思っておりますから、そういう中で、やはりゆとりというんでしょうか、そういうことを考えながら私は潤いということを申し上げたのでございます。

 いずれにしましても、これからの、子供を産む、そして育てやすい支援制度の充実を図ってまいりたいということもございますし、また、どこにいても、自分の地域で適切な医療や介護サービスが受けられる仕組みをつくり上げていきたい。また、さらに、今ほど申し上げました、誰もが喜びを持って働くことができ、安定した生活を営むことができる社会をつくり上げたい。

 こういう取り組みについて、潤いのある社会保障制度ということで申し上げたのでございます。ぜひそういうことを実現したいと考えております。

○高橋(千)委員 ぎすぎすしては困るよというのは、それは人間関係はやはりそうであって、当然だと思うんですよ。いろいろ立場が違ったとしても、やはりそれはお互いを尊重し合いながら、潤いを持って人間関係をつくりましょうというのは、それはいいかと思いますけれども、社会保障というのはやはり現実の施策についてくる問題ですから、子育てしやすいですとか今おっしゃったようなことは基本的なあるべき姿であって、ですから、それを目標としたいということが一体何を言っているのかというのは、やはりよくわからないわけなんですね。

 それで、社会保障と税の一体改革、さきの通常国会で、政治生命をかけると総理がおっしゃったわけですけれども、結局、決まったのは消費税増税だけでありました。そして、社会保障については、今後、社会保障国民会議で方向性を協議することになったわけです。

 しかし、今聞こえてくるのは、専ら、潤いどころか、財政的な視点、つまりお金がかかり過ぎるんだ、その視点からの切り込みばかりではないかと思うんです。つまり、潤いどころか、憲法二十五条で保障されているはずの健康で文化的な最低限度の生活、このひとしく国民が持っている権利に大穴があいていると言えないか、これが私自身が持っている問題意識でございます。

 そこで、きょうは、その問題で象徴的だと思っている事案を通して、大臣の決断を迫りたい、このように思っております。

 脳脊髄液減少症、これは本委員会でも繰り返し取り上げられました。古屋委員も何度も取り上げていらっしゃったと思いますし、患者団体の粘り強い要請行動もあって、各党の議員さんが質問あるいは質問主意書で取り上げる、そういう運動が広がって、やはり一日も早い保険適用を目指してきたと思います。そして、七月からは、硬膜外自家血注入療法、いわゆるブラッドパッチ療法が先進医療に位置づけられました。

 医療保険との併用が認められ、患者負担が大幅に軽減されることや、データの積み上げによって保険診療の導入が期待されると思います。この点について具体的に伺いたいと思います。

○木倉政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、脳脊髄液が漏れる、脳脊髄液の漏、こういう症例で申しておりますが、これが確実に認められます症例に対して行われますブラッドパッチ療法、これにつきまして、医療保険の先進医療として保険との併用が可能になっています。

 これは、六月からこういう基準をつくっておりますが、実際に届け出ている医療機関で始まりましたのは七月から、先生御指摘のように、幾つかの医療機関で始まっております。そうなりますと、これまで全額自己負担というところが、保険で入院のところから、共通の部分というのは保険が使えるようになりますので、患者負担が軽減されているような状況にございます。

 具体的に、この基準に合うものとして届け出を出して先進医療でやっていらっしゃるところは、今まで二十医療機関ございますけれども、そこでの保険併用が可能になったということで、まず、併用できるということはどういうことかといいますと、病院ごとに少し費用の幅はありますけれども、大学病院なんかの例で申しますと、これまで、全体で、入院費とか先進医療技術の部分で十七万七千円余りかかったような例がございました。そのうち、入院費とかは保険で使えるようになって、その三割負担を自己負担すればいい。それから、先進医療技術分の負担があって、十七万七千円余りのうちの十一万一千円ぐらいが保険の方から出るようになる。そうしますと、自己負担は六万六千円余りというふうに軽減されるというふうなことでございます。

 こういうことで、きちんとした基準に沿って実施をしていただき、それを評価して、診療報酬改定のときに、それを施設基準に合う医療機関で広く保険としてやれるかどうか、先進医療技術分の費用も保険に取り込めるかどうかというような議論は、そういうデータに基づいて、今後、先進医療会議あるいは中医協の場で議論をしていただきたいというふうに思っております。

 以上でございます。

○高橋(千)委員 そこで、資料の一枚目に、個々の医療技術が保険適用されるまでの基本的な流れということで、厚労省の資料をつけさせていただきました。

 それで、最終的には中医協が保険診療の是非を決めるわけでありますけれども、今説明をしていただいたのは右側の流れ、先進医療会議において議論をした上で、報告をして、中医協が決めるということでありました。

 それで、先進医療は、ことし十月一日現在、六十五種類六百二十七件に上ると聞いております。多くの患者さんが期待され、また待たれていると思うんですね。最短ではどのくらいで保険適用が可能になるでしょうか。

○木倉政府参考人 お答え申し上げます。

 これは、ここの表にも書いてございますように、中医協のところの四角でございますが、こういう先進医療会議での評価を受けまして、その矢印の方、診療報酬改定、これは原則二年に一回でございますが、そのときにきちんとそれまでのデータに基づいて議論をいただいて、保険に導入できるかどうかと。

 まだまだそのエビデンスが足りないということがありますと、さらにデータを続けてとっていただくということもありますが、短くて二年ということは可能性はあるということであろうかというふうに思っております。

○高橋(千)委員 ありがとうございます。

 短くて二年というお話でありました。ですから、一番早くて平成二十六年ということになるのかなと思っております。非常に多くの方が待たれている。またその一歩であるというふうに思っているわけです。

 そこで、きょうお話をしたいのは、ある生活保護の受給者の方がブラッドパッチ治療を受けようとしたら、先進医療は生活保護受給者は受けられないと言われました。本人は、保護費、限られていますけれども、それを少しずつ蓄えて、今説明がありましたいわゆる先進医療の部分、自己負担の部分を支払えば、あと、保険の部分は医療扶助が受けられる、このように思っていたわけです、今説明があったように、併用ということなので。だけれども、現場ではこのように言われている。

 なぜ生保の受給者は先進医療が受けられないのでしょうか。

○村木政府参考人 お答え申し上げます。

 先生も御承知のとおり、生活保護の考え方でございますが、これは、利用できる資産、能力、その他あらゆるものを活用して、それでもなお生活に困窮する場合に最低限度の生活を保障するという考え方でございます。

 先進医療は、先ほどお話がありましたように、保険診療としての併用は認められるものでございますけれども、治療全体としては保険の適用がなされるものではなく、まだ評価が必要な段階のものであるということのため、医療扶助の給付対象とはしていないということでございます。

○高橋(千)委員 ですから、患者の皆さんは、全部扶助の対象にしてくれと言っているのではないんです。もちろんそれがいいに決まっているし、それを目指しているわけですけれども。しかし、保険の部分は併用なんだから、なぜ認められないのかと言っているわけなんですね。

 それで、次の質問にもう一度答えていただきたいんですけれども、私、これは二〇一〇年の十一月の本委員会で脳脊髄液減少症の問題を取り上げました。その中で、ブラッドパッチ治療が全額自費であるために生保受給者は受けられない、このことを問題にしたわけです。このときは、まだ先進医療にさえ入っていないときでありますけれども。

 資料の二を見ていただきたいと思います。これは「生活保護法による医療扶助の特別基準の取扱いについて」、平成二十二年三月三十日の課長通知であります。

 この中の文章を読むとおわかりのように、昭和三十八年から、「「要保護者に特別の事由があって、前項の規定によりがたいときは、厚生労働大臣が特別の基準を定める」とされ、例外的に給付を行うことが可能」だとされてまいりました。しかし、今般の通知によってその基準を明確にしたわけですね。平成二十二年三月の通知によって、大臣が決めるものを明確にした。

 それがここにあるんですけれども、対象となり得る治療等の範囲(1)、(2)。(1)の保険の診療における取り扱いによりがたい場合ということで、その中身を2の(1)、ア、イ、ウと三つ書いておりますが、これを「いずれの要件にも該当すること。」いずれかではなく、いずれもなんですね。

 それを読みますけれども、生命の維持に直接関係があると認められること、イ、他に代替できる治療法等がないこと、ウ、研究的に用いられるものではないこと。

 ですから、私はこのことを二年前の質問で取り上げて、要するに死ななきゃいいという考え方で、生活保護の方たちにはこれを例外の対象にしないのかということを言ったわけでありますね。

 この考え方でなぜ、今のをもう一度聞きますけれども、保険と自由診療のミックスなわけですから、なぜ認められないのかということをもう一度伺います。

○村木政府参考人 生活保護の医療扶助の考え方、これは基本的には国民健康保険の例によるということで、それの例外として、さっき先生がおっしゃったもの、三つの要件を全て満たすものというふうにしております。

 生活保護の趣旨、先ほど申し上げた趣旨によれば、医療扶助も、それからその他の、先生が節約をしてと言われたのは、恐らく生活扶助の中から節約をしてということだろうと思いますが、これらも全て健康で文化的な最低限度の生活を維持ができるようにするという趣旨に沿ってお支払いをしている公費でございますので、この生保の考え方に沿って、一定の医療、受けられる医療について一定の範囲を決めるということで、今は、こういう先進医療については、特別の事情がない限りはこの範囲として認めないという考え方をとっているわけでございます。

○高橋(千)委員 考え方、趣旨に沿ってとさっきからおっしゃっていますけれども、憲法二十五条の理念に基づいて、健康で文化的な最低限度の生活を保障するものなんだ、しかも、それは全ての国民に保障されているということを生活保護法にはしっかりと書いているんですよね。だけれども、結局、死ななければ、これをやらなければ死なないという程度であれば、受けなくていいと国は決めていることになるわけなんですよ。それが健康で文化的な最低限度の生活になるかということを私は聞いているのであります。

 これが、患者さんは、それは違うんだ、そもそもこれは死なない病気じゃないんだということを訴えています。

 例えば、こんな訴えがありました。生活保護受給者が先進医療を受けたとき医療扶助の対象にならない、知りませんでした。生活保護受給者の医療費負担に踏み切るというニュースもあったばかりです。どんどん私たちの生きる道も絞られてきますね。考えたくなくても、死ななきゃいけないのかな、生きていちゃいけないのかなと考えてしまいます。こういう声です。

 そして、先月、親しい脳脊患者さんが自殺を図り、翌週にもう一人自殺を図りました。幸いにもどちらも命に別状はありませんでしたが、一人は内臓と左足に後遺症が残ってしまいました。

 どちらも結婚されていて、生保は受けていません。でも、治療のために家族に仕事を休んでもらったり、いつまで、どれだけ続くかわからない治療費に頭を抱え、家計を切り詰めながらも悩んでいました。家事もまともにできない引け目もあり、障害の程度が軽いとみなされ、ヘルパーさんに来ていただくこともできず、御主人が仕事から帰って家事をして、一人で入浴できないので介助をして、育児もして、これが二、三年続いて、御家族もうつになってしまい、先も見えず絶望して、私さえいなければと思ってしまったということでした。

 ですから、精神的にも金銭的にも追い詰められ、常に死と向き合いながら悩み、生きている患者さんがたくさんいるんだ、だから、決して死なない病気ではないんだ。実際に、たくさんの方たちが既にもう命を失っている、そういう現状もあるわけなんですね。

 だから、本当にこの考え方でいいのかということをきょうは大臣に伺いたいと思います。要件を緩和するべきではないかと通告しています。

○長妻委員長 まず、梅村政務官。(高橋(千)委員「大臣に通告しています、最初から」と呼ぶ)

○梅村大臣政務官 済みません、少し局長の答えの追加になるかもしれませんが、原則としてはさっきの三つの要件ということであります。

 この要件を緩和してほしいということだと思いますが、現時点でも、これは例外規定として、個々のケースに基づいて例外要件というのは認めているわけでして、逆に言えば、一つの疾患に着目をして、そして、そこで要件を緩和してほしいということについては、これは原則としては認めることができないということだと思います。

 今御説明した形で、健康保険法の中での例に従った医療扶助ということで申し上げたいと思います。

○高橋(千)委員 これだけとは一言も言っていません。先進医療というのは併用だとさっきから言っています。だったら、その保険に至る一歩なんですよ、その保険の部分を医療扶助で認めればいいじゃないかと言っているだけです。大臣。

○三井国務大臣 今ほど梅村政務官からも御答弁させていただきましたように、最低限度の生活を保障するという生活保護制度の基本的な考え方からいたしますと、医療扶助の適用範囲を拡大することは難しいと考えております。

 また、お尋ねのブラッドパッチ療法につきましては、先進医療に位置づけられまして、保険給付の対象の適否について評価を行っているところでございますので、その状況を見守りながら考えてまいりたい、こういうぐあいに思っております。

○高橋(千)委員 きょうはこの問題に絞って質問しています。実際は、脳脊髄液減少症をめぐっては、先進医療となったけれども、診断基準そのものが大変厳しくて、起立性頭痛という要件がありますので、そもそも満たさないんだとか、子供さんのデータが全くないですとか、ですから、子供さんが本当はその疾患になっているのにそういう評価がされていないとか、さまざまな問題があるんです。

 だけれども、今回は、先進医療にたどり着けない患者さんもいる中で、ようやっとここまで運動によって来たんだ。たったその一歩さえも使える人がいない、ほとんどいないではどうするのかということを言っています。

 いいですか、次の質問は、せめてこれだけ、せめてこれだけはというのは変ですけれども、生保の受給者が、本当に生活費を切り詰めて貯金したり、知人から一時的に借入をするなどして費用を用立てて、全額自己負担で治療を行ったときに、それで生活保護を停止される、こういう事態があったわけですね。せめて、そんなことはしない、収入認定はしないとお答えいただけますか。

○梅村大臣政務官 まず原則論の話になりますけれども、生活保護というのは、利用できる資産、能力、その他あらゆるものを活用することを前提としていますから、ですから、最低限の生活を保障するということ、これはもう大原則であります。

 そうしますと、今回お尋ねの収入認定除外ということは、原則として、出したお金が、結局、最終的には公費支出、除外認定した部分というのは公費支出と同じということになりますから、先進医療としてまだ評価を行っている現段階においてはそれを認めることは難しい、そのように思っております。

○高橋(千)委員 今までのお話をまとめますと、どういうことかといいますと、生活保護を受けている以上はこのブラッドパッチ治療が受けられない、自費でしか受けられないから、自費で受けたら保護もとめられちゃうんですよ。こんなばかな話がありますか。生かさず殺さずじゃないですか。何のためにここまで来て先進医療になったんですか。

 しかし、圧倒的多くの方が、病気が治らないから働けなくなって保護に至っているんですよ。好きで保護になったわけじゃないんです。でも、その方たちが治療を受けられなかったら、データが集まらないじゃないですか。データが集まらなかったら、どうやって先進医療を評価していくんですか。全く矛盾していませんか。

 大臣、こういうことは決断してください。

○三井国務大臣 先ほども一部御答弁申し上げましたが、最低限度の生活を保障するという生活保護制度の基本的な考え方からいたしますと、先進医療の保険適用に関するデータを収集することを目的といたしまして医療扶助の適用範囲を拡大することは難しいということでございます。

 先ほども御答弁申し上げましたが、ブラッドパッチ療法につきましては、先進医療に位置づけられまして、保険給付の対象の適否について評価を今現在行っているところでございますので、その状況を見守りたいと考えております。

○高橋(千)委員 ですから、言っていることがおかしいと思いませんか。要するに、治療するなと言っているのと同じなんですよ。だけれども、それだったら自立ができないでしょう。生活保護の自立を図るというのが今の政府の生活支援戦略なんじゃないですか。それができないと言っているんです。しかも、先進医療のデータも積み上がらない、治療ができないんですもの。

 そんな矛盾したことはないでしょう。ずっと保護に縛りつけておく、それが政府の戦略なんですか。そして、寝ていることが最低限度の生活なんですか。それだったら、これまでの憲法で保障された生活保護の考え方を後退させたことに私はなると思いますよ。

 もう一人の方の声を聞いていただきたいと思います。三十四歳の男性です。発病して十六年ぐらいになり、原因は中学校のクラブのラグビーでなりました。見つかるまで十四年かかっているんですね、この方は。車椅子でなくては移動できないので、働くことすらできない。生活保護だと治療も受けることすらできませんし、ケースワーカーもこの病気を理解していないのが現状です。病気が見つかるまで、三十カ所の病院に行き、検査をしましたが、わからなく、最終的に、精神的なものだと言われて精神科に行かされ、入院もして、薬も一日三十錠以上飲まされ、薬漬けにされました。

 今、生活保護で、若い方たちの医療費が一般の人よりも非常にかかっているというデータがあるでしょう。こういうことをやっているからなんですよ。実態をきちんと追求しないで薬漬けにしている、こういう実態があるからなんです。今は点滴治療しながら毎日病院通いをして、病院通いが仕事になっているのが現状です。やはり、生活保護を受ける人は一番後回しにされて、治療すら受けられないのが今の日本の現状だと思います。

 こういう方たちが本当に治って自立をしたいと思っているのに、何の道も示せないんですか。検討すると言っていただきたい。

○高橋(千)委員 ぜひお願いしたいと思うんです。

 実は、二年前に質問したときに、代替できる療法が、では何があるのかということを事前に厚労省に聞いたんですよ。それは、安静にしていること、ボルタレンを飲んでいること、これだけなんです。さっき紹介した方も点滴でしょう。これで代替療法というんですかということなんです。そこを本当に検討していただいて、どこからでもいいですから、穴をあけていただきたい、そのことを指摘したいと思います。

 これを言っている間に時間がなくなってしまいまして、本当は、きょうは生活保護の医療費扶助の問題を、今、財政制度審議会の中で、一部負担あるいは償還払いということが検討されているということをぜひ質問したかったんですね。

 それで、結局、今大臣、お気づきになったかどうかわからないんですけれども、非常に言っていることが矛盾しているんです。つまり、最低生活費の保護費をもらって、それをちょっと蓄えて自費診療したら、それは、もう生保はだめですよと言われている。つまり、最低限度の生活費というのを物すごくがちがちと厚労省は捉えているんです。

 ところが、医療費の自己負担あるいは償還払いということは、その最低生活費を自己負担することによって割り込むことになるんです。わかりますか。医療費を月々五千円でも一万円でも払うということで、生活費を下げることになるんです。それをやろうと言っているんですか。もし皆さんが、本当に最低生活費というのはぎりぎりとやるんだというのであれば、そんな議論は絶対出てこないと思う。

 大臣、最後に一言。

○三井国務大臣 生活保護につきましてはさまざまな御意見があることは承知いたしております。

 しかしながら、この医療扶助への一部自己負担の導入につきましては、金銭的な理由によりまして必要な受診を抑制してしまうおそれがあるということも認識しております。一旦自己負担した費用を払い戻すことにしても、生活保護受給者が医療費を立てかえる資力を確保することは難しいのではないかという理由から、慎重に検討する必要があると思っています。

○高橋(千)委員 大臣がしょっぱなの十月二日の記者会見で、いきなり一部負担に言及されて、すぐに訂正をされたわけでありますけれども、これは、きょうは財務省に来ていただいて、質問できなくて申しわけなかったんですが、やはりその後に財政制度審議会の中で具体的な要素として検討事項が出されてきた。多分、それを大臣は念頭にあって、先取りをされてお話をされたんだと思うんです。

 だけれども、最初から言っているように、そういう財政的な切り込み、どこから削れるかなという話が盛んにされるわけですけれども、しかし、厚労省は、やはり生活保護法の本来あるべき姿は何なのか、そこに本当に立ち至って、生活費を割るようなことがあってはならないのだという立場に立って頑張っていただきたい。

 引き続いて、また質問させていただきたいと思います。

 終わります。



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