2012.7.27(金) 厚生労働委員会


180-衆-厚生労働委員会-16号 平成24年07月27日

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 この高年齢者雇用安定法については、私、国会でも何度も質問をしてまいりました。この間、基準が削除をされるということ、雇用の継続は必ず必要であるという観点から、非常に待たれているという声も聞こえています。しかし、同時に、非常に心配されていることもある、手放しでは喜べない状況があるのではないか、このように思っております。

 それで、最初に伺いたいのは、継続雇用制度の対象者を限定できる基準、これを削除した理由について。これが、要するに、まず、どの程度基準というものが採用されていて、それにどういう問題があったと考えているのか、認識を伺いたいと思います。

○西村副大臣 お答えいたします。

 継続雇用制度ですけれども、これの導入によって、高年齢者雇用確保措置を講じている企業のうち約六万二千社、率にいたしますと五六・八%が継続雇用対象者についての基準を設定しております。

 この基準は労使協定で定めることとされておりますので、双方の協議を経て適切に設けられていると厚生労働省としては考えております。

 しかしながら、来年四月から老齢厚生年金の支給開始年齢が引き上げられるため、現行制度のままでは、平成二十五年度において、継続雇用を希望しても六十歳の定年以降に雇用が継続されない、そして無年金、無収入になる方が生じるという可能性があります。

 このため、今回の改正で継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みを廃止いたしまして、雇用と年金を確実に接続させることといたしました。

○高橋(千)委員 要するに、確実につながなければならないので基準を廃止したと言った。そうすると、その基準が、やはりつながない役割を果たしていたということになるわけです。しかし、現状は一・八%しかいないのだと言っているわけですよね、基準によって離職をした人たちが。

 それから、現状は、そもそも原則希望する者全員は再雇用できるというふうになっているはずでありますが、違いますか。

○西村副大臣 継続雇用制度につきましては、委員御指摘のとおり、基準が設定されていたところでございますけれども、この基準については労使協定で定められるものでありますので、双方の協議を経て適切に設けられているものというふうに考えております。

○高橋(千)委員 ですから、基準によって合理的な理由があればという条件つきであるけれども、原則希望する方は再雇用が認められるというのが現行制度でもあったと思いますが、間違いありませんね。

○西村副大臣 それは、希望者の方を対象とするということで、そのとおりでございます。

○高橋(千)委員 まず、そこが大事なんです。原則希望する人は全員なんだと。だから、何か基準で、経過措置をとってまでつながなきゃいけないということは、逆に言うと、その基準の持っている意味が、労使双方云々とおっしゃいましたけれども、恣意的に労働者を選別する役割を実は果たしてきたんだということなんです。この問題意識があるかということが言いたいわけです。

 私、この問題、何度も取り上げています。その基準といっても、とても合理的なものとは言えないもの、例えば、欠勤が一日でもあったらだめだとか、ラジオ体操に毎回出ているだとか、花粉症がないこととか、眼鏡をかけていないこととか、これは誰でも外せるんじゃないのというような要件を幾つも並べて、それが、いずれかではなく、かつという、要するに全部満たしていなければ合格しませんよというような基準もありました。

 それは極端な例かもしれません。でも、そういう例が幾つもあったということをこの場で紹介して、ハローワークがきちんとして、それが恣意的に労働者を選別するものであってはならないということで答えてきたのではなかったかなと思うんです。

 ですから、そういう問題意識を持っていますかということを聞いています。

○小宮山国務大臣 それは、そういう問題意識はございます。

 労働政策審議会の建議の中でも、その例外、対象外とするのは、客観的合理性、社会的相当性が求められるということを示していますので、今委員がおっしゃったようなことは、そういう社会的相当性に当たらないものもあるというふうに思いますので、そこはしっかりと対応しなければいけないと考えています。

○高橋(千)委員 基準は残るわけですから、今も経過措置として。ですから、ここはきちんと確認をしておかなければならないと思うんです。恣意的に対象者を選別することがあってはならないのだということを重ねて指摘をしたいと思います。

 同時に、継続雇用制度を採用している企業は八割強だと。要するに、三つの選択肢があるんだけれども、圧倒的に、多くは継続雇用制度ということを採用しているんですね。

 ただ、問題は、その再雇用後の処遇についての規定がございません。ですから、再雇用を条件に、大幅な賃金引き下げ、あるいはパートという非正規化、あるいは、NTTが代表的でありましたけれども、今回見直しをしましたが、定年を早める。もう五十歳が定年だ、そこから先は再雇用ということがございました。つまり、再雇用制度を使うことで、逆に労働条件引き下げのツールにしていた、こういう問題があったわけですね。定年の問題については、この法律の世界では、なかなかこれは言えませんということが当時の見解でありました。

 こういうことについて、つまり、処遇については何にも書いていないんだけれども、どういうふうに考えていらっしゃいますか。

○小宮山国務大臣 継続雇用制度で労働者を定年後に再雇用する場合は、新たな労働契約を締結することになりまして、勤務場所ですとか勤務内容などの条件は労使の合意で決まります。

 その際に、事業主が提示する労働条件については、高齢者の雇用の安定というこの法の趣旨に合致してあるものが当然必要だと考えます。

 裁判例でも、具体的状況に照らして極めて過酷で、勤務する意思をそがせるようなものは高年齢者雇用安定法の目的に反するとしているものもあります。

 厚生労働省としましては、高年齢者雇用確保措置を実施する上での留意事項を大臣告示で示して、この措置が各企業で十分な労使協議のもとに適切に有効に実施されるように指導を行っていきたいと考えています。

○高橋(千)委員 やはり、国が年金の支給開始年齢を法律で段階的に引き上げたわけですけれども、企業に言わせれば、国が勝手に法律を決めて、俺たちに押しつけるのか、そういう論理があるわけですよ。それを非常に強く言われた、批判もしてきた。だから、国としても強く言えない、こういう関係ではうまくないわけですね。

 これを逆に逆手にとって、定年を早めるチャンスだとか、もともと仕事はずっと必要だし、人手も必要なんだ。だって、団塊世代が今大量に定年を迎える時期でもありますから、圧倒的に人手は必要なわけですよね。その必要な人手を、ベテランを安上がりに使うということで逆に使っているということも現実としてはあるわけですから、今、大臣告示ということをおっしゃいましたけれども、今の精神がきっちりと入るように指摘をしていきたいと思います。

 先ほどの質問の中で経過措置のことを言いましたので、ちょっとここは飛ばして、次に進みたいと思います。

 それで、九条の二項に新設された特殊関係事業主、グループ会社のことをいうと思うんですが、この事業主との関係が具体的にどういうものを意味するのでありましょうか。

 これは、資料の三枚目に、継続雇用制度の雇用先の特例ということで出されています。今回、グループ会社にもその継続雇用先として対象範囲を広げたわけであります。

 それで、私は、二〇〇六年の十二月十二日、これも資料につけてございます、最後のページを見ていただきたいと思うんですけれども、質問主意書を出しています。

 それで、この問題について、このように質問しているんですね。「子会社に再雇用させる場合、本社内に雇用確保措置を設けず、一〇〇%丸投げ方式でもよいのか。また、日常的に資本関係が希薄な関連会社や無関係な一般会社でもよいものか。」こういう質問をいたしました。

 それに対して、「実際の企業における具体的な事案に基づき個別に判断する必要があると考えるが、子会社等で雇用しようとする場合に親会社として高年齢者雇用確保措置を講じたとみなされるためには、定年まで高年齢者が雇用されていた企業と当該子会社との間に、両者が一体として一つの企業と考えられる程度の密接な関係があり、当該子会社において継続雇用を行うことが担保されていることが必要であると考える。」このような答弁がございました。

 これは大変重要な答弁だと思います。「両者が一体として一つの企業と考えられる程度」、これは、やはり大きな企業になればなるほど、グループ会社のパートナー会社ですとかそういう形で、関係企業というともう切りがなくなってしまうわけです。でも、そういうときに、こういう表現があったということで、これは大きな歯どめになったと思います。

 実は、いろいろな企業の問題を取り上げていたんですが、このときはJRを念頭に置いて質問いたしました。JRはこの後、エルダー制度ということで、直接JRが雇用関係を継続するという形で再雇用するという制度に切りかえたわけであります。

 それで、今回、グループ会社ということでくくるとどこまで広がるのか、その基準をまず聞きたい。それから、今度の法改正では、私が同じ質問をしたとすれば、ここの部分、「一体として一つの企業と考えられる」、ここの部分がどういう表現ぶりになるのでしょうか。

○小宮山国務大臣 この改正法案によりまして継続雇用制度の対象者が雇用される企業の範囲を拡大する場合であっても、定年後の安定した雇用を確保するために事業主が責任を果たしたと言える範囲で定める必要があると考えています。

 この範囲については、ほかの法令のいわゆるグループ会社のように、意思決定を支配し、または重要な影響を与えられる関係にある範囲を想定しています。建議に示されましたとおり、一つは親会社、そして子会社、また同一の親会社を持つ子会社間、関連会社などにすることが考えられます。ここにもありますように、子会社については議決権五〇%超、関連会社については議決権二〇%以上などです。

 また、改正法案では、継続雇用する企業の範囲を拡大する場合に、事業主間で引き続いて雇用することを約束する契約の締結、これを要件として求めています。継続雇用の担保が今までよりは明確になるというふうに考えています。

○高橋(千)委員 議決権二〇%以上ということでグループ会社は広げるという、資料にも書いているけれども、それ以外の要件というのはありますか。

 何でそう聞くかといいますと、親会社の責任がどこまであるのかということなんです。さっき言ったように、一つのものと見られるという答弁を受けてできたJRのエルダー制度、これでさえも、現実はなかなかそうはなっていないわけなんですね。

 出向扱いとはなっているんですけれども、御存じのように、JRというのは大変幅広く関連会社を持っておりまして、ホテルとか広告会社までいろいろやっている。賃金が十万ちょっとであるとか、ロッカーもないとか、仕事内容がわからない、誰も教えてくれない、一度あっせんを断ると何にも、これでチャンスはないですよという形で、結局、再雇用のチャンスが奪われる。要するに、自分がやったこともない仕事を、あなたにあっせんしましたよと言われて、それは無理ですと言ったら、もう義務は果たしましたということになっては困るわけですよね。

 そういう意味で、やはり親会社が本人の希望をちゃんと聞いて責任を果たす、そのくらいのことがなければ、幾ら何でもこれは広げ過ぎよということになる。つまり、事実上の、それは無理ですということが、イコールやめざるを得ないのかなということになりかねないわけですが、いかがでしょうか。

○津田大臣政務官 高橋委員にお答えを申し上げます。

 御指摘をいただきました点でございますが、今回の改正によりまして、継続雇用制度対象者は拡大するわけであります。同一の企業の中だけで雇用を確保するには限界がある、そういう企業も出てくるだろうということを想定いたしております。

 このため、グループ内で雇用の機会を確保できるよう、労働政策審議会での建議を受け、他の法令に倣い、事業主の責任を果たしていると言える範囲、二〇%ということもございましたが、継続雇用制度で雇用される企業の範囲を拡大することにしているわけでございます。

 当然さまざまな問題点も出てくるだろうというふうに思っております。例えば、再雇用を拒否された労働者、そういう場合には、現在各労働局に開設をいたしております総合労働相談コーナーで相談を受け付け、労働局の助言、指導またはあっせんなどによりしっかりした救済を図ってまいりたい、そのように考えております。

○高橋(千)委員 それは、要するに親会社が再雇用を結果としてきちんと担保しましたよということで、責任が持てる範囲という意味ですよね。

 そうすると、今の、要するに、事が起こってからハローワークに行って、救済、何とか訴えますということではなくて、そこを未然に防ぐ、やはり本人の希望がきちんと聞かれること、とてもじゃないが現実的でない条件、つまり、余りにも広域な配転だとか、やってきた仕事と極端に違うものですとか、そういうことをあらかじめ決めておく必要があると思いますが、いかがですか。

○津田大臣政務官 先ほどの大臣答弁の中でもございましたが、大臣告示の中で、今申されたようなことについて、例えば処遇あるいは配置先についての問題については、やはり常識的な範囲の中で、労働者の意見もしっかり酌み上げた中で判断していくようにしていこうというようなこと、高年齢者の希望に応じた勤務、こういうものもしっかり配慮するようになっておるところでございます。

○高橋(千)委員 今おっしゃった労働者の意見をきちんと配慮するということ、しっかりとこれは確認をさせていただきたいと思います。

 時間があればもう少しこの続きをやりたいと思うんですが、次は、修正案の提出者の方に質問させていただきたいと思います。

 それで、今の法律のつくりは、高年齢者等職業安定対策基本方針というものがもともと第六条にあるわけですけれども、その「定める事項」の中に「必要な指針となるべき事項」を書くというふうなつくりになっております。それを、「指針を定めるものとする。」ということで、指針というものの位置づけが明確になったのではないか、特出しされたと思うんですが、その意図をぜひお願いいたします。

○加藤(勝)委員 今の御指摘がありますように、もともとは高年齢者等職業安定対策基本方針の中に盛り込むというものが、いわば、まさにおっしゃるように、特出しされて、独立した指針として、今回、法律の中に定めさせていただいた。

 その趣旨は、労政審の建議等もありますので、労使ともにわかりやすい、そういう形にしていくためには、そして、いろいろなものと一緒ということではなくて、特出ししてしっかり示した方がいいだろうということで修正をさせていただいた、こういう経緯でございます。

○高橋(千)委員 確かに労政審の建議の中にわかりやすいということは書いてあります。ただ、こういうものを指針にすべきだということは、具体的に、今修正案に盛り込まれていることは書かれてはいないわけですね。わかりやすいという表現しかしておりません。ですから、この指針がどちらの方向を向いているのか、非常に重要な中身になるのかと思うんです。今まで議論してきたような、つまり、恣意的な選別にならないこととか、そういうことをなるべく具体的に書いていくというのが私は大事だと思うんです。

 ところが、この指針、九条の三項に書いていますのは、「第一項の事業主が講ずべき高年齢者雇用確保措置の実施及び運用」という中で、括弧して「(心身の故障のため業務の遂行に堪えない者等の継続雇用制度における取扱いを含む。)」というふうに書いております。これ、ちょっと非常に具体的になってくるわけですけれども、心身の故障云々というこの表現の意味と、なぜ書かれたのか、伺います。

○加藤(勝)委員 先ほど申し上げた労政審の中で、今回、継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準は廃止することが適当だということと同時に、就業規則における解雇事由または退職事由に該当する者について継続雇用の対象外とすることもできるとすることが適当だ、こういう建議があるわけでございまして、具体的な就業規則の中で一つ出てきておりますのが、心身の故障云々というのが、例えばモデル的な就業規則の中に盛り込まれている。また、一般的に法令的にも心身の故障という言葉を使っておりますので、それを一つの代表的な事例として書かせていただいている、こういうことでございます。

○高橋(千)委員 そうすると、今の答弁の中に解雇事由、退職事由云々ということがありましたけれども、「取扱い」という言葉、この「取扱い」という言葉は、まさしく今の解雇ですとか退職のことを意味しているんですか。

○加藤(勝)委員 ですから、通常、雇用関係が、定年以前の場合においても、雇用解雇規則に反すれば当然解雇される、こういうことでございまして、それが再雇用の場合にも、同じような事情があれば、適用され得ることもあり得るよ、そういうことでございます。

○高橋(千)委員 では、この「業務の遂行に堪えない者等」の「等」の部分は何が入っていますか。

○加藤(勝)委員 これは、例えばモデル就業規則というのが厚生労働省の労働基準局等から示されておりますが、例えば、その中で、「勤務状況が著しく不良で、改善の見込みがなく、従業員としての職責を果たし得ないとき。」等々いろいろな事由が出てきておるわけでございまして、そういったものがその中に入ってくるだろう。

 それを踏まえながら合理的なものかどうかということを最終的には判断していただく、こういうことになろうかと思います。

○高橋(千)委員 私は、やはりこの条文は非常に重要というか重大だと思っています。

 先ほど来議論してきましたように、やはり、原則、本人が希望すればという法のたてつけではあるんだけれども、恣意的に選別ができる基準がこれまで許されていた、もちろん、労使の合意という条件はあるんだけれども。しかし、労使といっても、なかなかそれが対等ではなかったり、代表する者がわずかしかなかったり、さまざまな職場の実態がある中で、実際には基準が押しつけられてきたという実態もあった。それを取るかわりに、これが出てきたわけです。そういうことになるわけですよね。経団連などはその基準は維持してほしいという要望を出していたわけですから、これが成りかわることにならないのかという懸念を持っています。

 そこで、具体的に伺いますが、障害者差別にならないか、あるいは心身の故障の解釈、これがちょっと極端に広がって、うつ病などで休業している人が退職に追い込まれたり、そもそも、うつ病かもしれないということを申し出しにくい、そういうことになりかねないのではないでしょうか。お願いします。

○古屋(範)委員 御指摘の「心身の故障のため業務の遂行に堪えない者」、これは通常働けない場合を例示したものでありまして、他の法律にも例がございます。立法者として、障害者を差別する意図も、心身の不調があることをもって直ちに退職に追い込む意図も毛頭ございません。

 付言すれば、業務の遂行にたえない場合、継続雇用しないことについては、通常の解雇と同様に、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であることが求められており、単に障害者であるとか心身の不調があるという理由だけで直ちに継続雇用されなくなるというものではありません。

 議員、うつという例示を挙げられましたけれども、御懸念のある点は全く理解できないわけではありませんけれども、法律が成立した後、修正した条文が正しく解釈されるよう、指針そのものに注意事項を盛り込むなど、きめ細かな配慮をすることが必要だと考えます。

 うつ病、今百万人の時代と言われておりますけれども、誰しも、あるいは家族があすうつになる可能性があります。そうしたときに、ちゅうちょなく使用者側に申し出をして、そして、適切な治療を受け早期に社会復帰ができるような、そういう体制整備をしていくことが必要かと考えております。

○高橋(千)委員 この問題では繰り返し委員会で御質問もされ、こころの健康議連もやっていらっしゃった古屋委員が答弁をしていただいたわけですけれども、本来、本人が職の遂行にたえられなければ、数字ももう出ているように、離職を希望することだってできるわけですから、当然、休業もすることもできる。あるいは、仕事をあえてしないような、サボるような、何か特別なものに対してはきちんと懲戒という制度が労契法にございます。ですから、労契法というのは全ての世界に生きるわけですから、何もここに書く必要はないわけです。ここにあえてこれを書くということで、今まで以上の意図がやはり生まれてくるのではないかと考えるのは当然でございます。

 そして、先ほど「等」とは何かという質問をしましたけれども、「等」の中で、結局、定年になる前にこれに該当する人がいた場合に再雇用しなくてもよいというふうな解釈になるわけですよね。

 ですから、再雇用しないということをもって、結局これは事実上の解雇と等しくならないか、これはやはり解雇権濫用につながるおそれがあるのではないかと思います。しかも、それを労使協議ではなく国が指針で定めるということは、やはり潜脱している、私はこのように思いますが、いかがでしょうか。

○加藤(勝)委員 今の御質問の中の、そもそも就業規則における解雇等を決めた事象に基づいてというお話でございますから、そこから何か一歩踏み出すという話ではまずないということを申し上げておきたいと思います。

 それから、今の労使協議云々というか、むしろ、労使協議ではなくて原則適用する、そうすると、その原則の適用に当たってどう考えていくべきか、それをきちっと労使双方がわかりやすいようにしていこうというのが今回の趣旨だ、こういうことでございます。

○高橋(千)委員 逆に、労使という部分が法律からなくなっているわけですよね。要するに、基準のところで労使が出てくるわけですから、そこが今とれて、指針ということになった。そうすると、逆に、労使の議論の中でしっかりと雇用の確保、いわゆる逸脱して解雇強要になるんじゃないかとか、そういうことを争う権利を持っていたものが、指針という形で、こういう規則にあるんだからこういうときはとなってはならないということが、非常に危機感を持っているわけです。つまり、選別基準を廃止するという踏み込んだ改正を提出する一方で、新たな選別のルールを持ち込んだことにならないかという危機感を持っています。

 与党の提出者と大臣に最後に一言ずつ聞いて、終わります。

○岡本(充)委員 先ほども答弁させていただきましたけれども、基本は、継続雇用をして、年金と雇用が接続するということをしっかり確保していこう、こういう中で、これまでいわゆる現場で行われてきた解雇事由に相当するものについて、今回、定年後も解雇事由に相当するような方については残念ながら離職していただく可能性があるということを私は先ほども述べたわけでありまして、決して、新たな選別基準をつくろう、こういうことでこの修正案を出しているわけではないということをお話をしておきたいと思います。

○小宮山国務大臣 今、修正案提出者が述べたとおりでございますので、御懸念がないように対応していきたいと思います。

○高橋(千)委員 選別の可能性を残した、解雇の可能性を残したということで、非常に問題があると思います。

 この点については、実は修正案はきのう出されたわけですので、もっと十分な審議が必要だということを指摘して、質問を終わります。



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