障害者自立支援法の、一刻も早い廃止に向けた緊急要求

内閣総理大臣 鳩山 由紀夫 殿

厚生労働大臣 長妻 昭 殿

2009年12月15日 日本共産党国会議員団

障害者の全面参加と平等推進委員会

障害者自立支援法の廃止と新たな法制度の制定は、障害者、家族、関係者の切実な願いです。政府は、障害者、家族に過酷な負担と苦しみを押しつけてきた障害者自立支援法を一刻も早く廃止し、障害者が真に人間らしくくらせる法制度を確立するために、全力でとりくむべきです。同時に、この機会に、雇用、年金、所得保障など立ち遅れている日本の障害者施策全般を抜本的に見直すことは、政府に課せられた重要な責務です。国連の障害者権利条約の批准をおこなうためにも前提となる課題です。

 日本共産党は、障害者自立支援法廃止後の新たな法制度について、日本国憲法と、国連の障害者権利条約の趣旨にそって、障害者が人間らしく生きる権利を国の責任でしっかりと保障するものとすることを求めています。

日本共産党国会議員団はさる12月9日に「障害者・患者団体との懇談会」を開催し、障害者団体や当事者、家族のみなさんから切実な要望をお聞きしました。新しい法制度についての提案は、すでに昨年12月にしめしていますが(『障害者自立支援法を廃止し、人間らしく生きる新たな法制度を』08年12月)、今回はその提案と「懇談会」での要望をふまえ、当面する課題にしぼって、その実現をつよく要求するものです。

1、来年4月からの緊急対策の実施を

 自立支援法廃止は「一刻も早く」というのが障害者、家族の願いです。新政権は「4年以内」としていますが、一日も早く実現すべきです。

 同時に、障害者自立支援法の廃止、新法制度の制定を待たず、障害者の苦しみを少しでも軽減するために2010年4月から、次の施策を緊急に講じることを要求します。

(1)応益負担を廃止すること・・・障害者の福祉・医療は本来、無料であるべきですが、当面、応益負担はただちに廃止して、支援費制度時代の応能負担に戻し、住民税非課税世帯は無料とすべきです。そのために、定率1割負担を規定している自立支援法29条の削除をおこなうことを求めます。

(2) 給食費など実費負担は廃止すること

(3) 報酬の「日額払い」を「月額払い」方式に戻すこと・・・利用者が希望する場合には、複数の事業所を利用することを妨げない仕組みをつくるべきです。

(4)報酬の大幅引き上げをおこなうこと・・・障害者事業所の報酬を大幅に増額し、職員の賃金・労働条件の抜本的な改善をはかることを求めます。複雑多岐にわたる加算を本体報酬に組み入れ、底上げをはかるべきです。

(5)障害程度区分認定の抜本的見直し・・・知的障害や精神障害など障害の特性が正確に反映するしくみにあらためるよう求めます。

(6)小規模作業所と地域活動支援センター問題を解消すること・・・小規模作業所にたいする自治体補助金の廃止が各地で相次ぎ、一方、地域活動支援センターの国庫補助が低水準であるために、多くの小規模作業所が危機に直面しています。緊急に、地域活動支援センターにたいする補助金を実態に見合った水準に引き上げることを求めます。

(7)サービス対象者の障害者手帳要件を外すこと・・・新法が制定されるまでの間、障害者手帳要件を緩和し、障害手帳がない難病等でも、医師の診断書の提出、障害程度区分認定などで要支援であることが確認された場合は、対象とする措置を講じるべきです。

(8)その他、第171通常国会(08年)で廃案となった「障害者自立支援法改正案」のなかで、現状の改善に通じるような施策――福祉サービスと補装具負担の合算方式の導入、相談支援の充実、移動支援の義務経費化などは、ただちに実施に移すことを求めます。

2、障害者自立支援法廃止後の新たな法制度の制定は、幅広い障害者の参加のもとに、その声と実態を反映させるよう求めます。

障害者、家族、関係者が訴え続けたのが、「私たちぬきに、私たちのことを決めないで」というものでした。この声に応え、新たな法制度の制定は、障害者の参加のもとにおこなうことを徹底的に貫くことが必要です。

政府の「障がい者制度改革推進会議」は、障害者施策にかんする全ての分野が対象とされることからも、「推進会議」の人員構成等は、それに対応できるものとすべきです。また、広く当事者の声を反映させるため、中央、地方で公聴会などをきめ細かに開催すべきです。

 政府として、障害者(児)の生活と、事業所経営の状態などについての実態調査をおこなうことも求めます。

以上



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