2004.12.2(木) 災害対策特別委員会

高橋氏答弁

住宅本体を対象に

被災者生活再建支援法改正案を審議

衆院災害対策特別委員会は二日、日本共産党、民主党、社民党提出の被災者生活再建支援法改正案の質疑を行いました。日本共産党の高橋千鶴子議員が提出者の一人として答弁しました。

同法案は、現行法で支援金の対象外となっている被災者の住宅本体の建築、補修も対象とするもの。四月一日にさかのぼって適用され、新潟県中越大震災や台風・豪雨災害も対象となります。

日本共産党の塩川鉄也議員は、「自治体では住宅再建への支援など国を上回る支援策が取られてきたのに、国だけが住宅再建への支援を拒んでいる状況をどう評価するか」と質問。高橋氏は、阪神・淡路大震災から十年近くたっても「住宅再建の二重ローンの返済に追われたり、災害復興住宅では昨年十一月まで二百五十一人が自殺・孤独死し、家賃が工面できず強制退去させられる事例が急増している」ことを紹介。「被災者の住宅再建のあり方に関する検討委員会」の報告書で、大規模災害時の住宅支援は公益が明確に認められると明記していることを指摘し、「住宅本体への支援は待ったなしの課題だ」と強調しました。

提出者の民主党の鎌田さゆり議員は「まちづくりの観点から、個人の住宅は私有財産であると同時に公共性を持つ。これに公金を投入することは、地域復興の観点から合理的な理由がある」と答弁。社民党の横光克彦議員は「国民の80%が国が公費で(住宅再建に)援助することが必要だとしている」とのべました。

一方、住宅本体への支援は「国家と個人の関係に悪影響を与える」と反対を表明した自民党の福井照議員は、質疑の中で「(住宅本体に支援してはならないということが)憲法上理屈がないことがわかった」と述べました。

(2004年12月3日(金)「しんぶん赤旗」より転載)


161-衆-災害対策特別委員会-6号 平成16年12月02日

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 野党三党共同提出の被災者生活再建支援法改正案について質問をさせていただきます。

 私ども日本共産党は、一九九五年一月十七日の阪神・淡路大震災直後の二月十日、被災者の生活再建を復興の土台に据えること、そのためには、生活再建に対する国の責任を回避するのではなく、国による個人補償、住宅の補償を行うことを提言し、その実現のために努力してまいりました。

 大規模災害から被災者が生活や営業を再建し、また地域の復興を図る上で、国としての支援のあり方はどうあるべきなのか、阪神・淡路大震災の教訓も踏まえてお答えください。

○高橋議員 お答えをいたします。

 阪神・淡路大震災の教訓に学んでという問いでありました。

 来年は阪神・淡路大震災十周年であります。この十年間、被災者は、住宅や事業再建のための二重のローンや災害援護資金などの返済に追われております。もとの住まいを断念して移り住んだ災害復興住宅では、昨年十一月までの統計で通算二百五十一人もの方が、自殺を含めて孤独死に終わっております。あるいは、家賃を工面できずに強制退去させられる事例が急増し、大きな社会問題となっているところです。十年後の被災地の現状は、御指摘にあるように、生活再建に対する国の責任が果たされていなかったことによるものと考えております。

 私どもは、住宅と生活、また営業の再建にもそれぞれ五百万円を上限に支援金を支給する独自の法案大綱を発表するだけでなく、超党派の有志議員や市民の方々と共同を積み重ね、九七年五月に、六会派三十九議員で災害被災者等支援法案を参議院に提出しました。住宅の損壊により生活基盤にダメージを受けた被災者を支援しようというものであり、対象を低所得者に限定しない、また、支援金の使途についても制限しておりませんでした。

 今、改めて被災者の願いにこたえる支援のあり方が問われているものと考えております。

○塩川委員 次に、法案が住宅本体への支援を盛り込んでいることに関連をして、二〇〇〇年十月の鳥取県西部地震や昨年の宮城県北部連続地震などを初め、ことし七月以来の相次ぐ集中豪雨、台風被害、三宅島や新潟県中越地震など、国の支援制度を上回る独自の支援策がとられてまいりました。

 いわば、やろうとすればできるにもかかわらず、国だけが被災者の住宅再建に対する支援を拒んでいる状況をどのように評価をするのか。また、改正案との関係をお答えください。

○高橋議員 御指摘のとおり、住宅再建に対する公的支援は、やる気になればできるものだと考えております。二〇〇〇年の十二月、被災者の住宅再建のあり方に関する検討委員会報告書は、「被災者の住宅や生活の再建が速やかに行われれば、地域の経済活動が活性化し、その復興を促進する」として、「ある種の公共性を有している」ことを明記しました。

 さらに、「大規模災害時の住宅再建の支援は、対象となる行為そのものに公共の利益が認められること、あるいはその状況を放置することにより社会の安定の維持に著しい支障を生じるなどの公益が明確に認められる」と述べております。

 同委員会は、九八年の被災者生活再建支援法の附則第二条に基づいて設定されたものであり、その委員会が公的支援の妥当性を認めていることは重要であると考えます。

 本年三月十八日の本委員会で、住宅本体に支援をしてはいけないというルールがあるかという私の質問に対し、井上当時の防災担当大臣は、「そういうことが憲法に規定されたり法律には書いてありません」と認めております。

 災害対策基本法第九十七条、「被災者の災害復興の意欲を振作するため、必要な施策を講ずるものとする。」と規定されているように、被災地の要望にこたえ、住宅本体への支援は待ったなしの課題であると考えます。

 本改正案は、そういう意味で住宅本体への支援を実現するものであります。

○鎌田議員 被災地全体の町づくり、コミュニティー維持の観点から見ますと、個人の住宅は、私有財産であると同時に公共性を持つものということは再三申し上げてまいりました。これに公金を投入するということは、地域復興の視点からも十分な合理的な理由があると考えております。

 加えてなんですけれども、農地が私有財産であるということは皆様御存じのとおりでございますが、災害により被害を受けた農地につきましては、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律、この中で、すべて農林事業者個人の責任に帰すことは過酷であるという理由から、被害を受けた農地については公費が投入されているということもございます。

 ですので、我々は、これと住宅再建を別扱いする特段の理由はない、これも一つとして考えてございます。

○塩川委員 時間が参りましたので終わります。

 ありがとうございました。

    



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