2004.11.11(金) 災害対策特別委員会

居住機能失えば「全壊」

店舗・住宅一体も支援法適用

日本共産党の高橋千鶴子衆議院議員は十一日の衆院災害対策特別委員会で、被災者生活再建支援法にもとづく住宅被害の認定について、住宅の内部が壊れて住めない状態の場合などについてただしました。

高橋氏は、内閣府が十月二十八日に出した「浸水等による住宅被害の認定について」という通知をあげ、「(畳、壁、天井など)損傷として認められる部分が積み上がっていったら、建物を解体しなくても全壊とみなすという理解でよいか」と質問。村田吉隆防災担当相は「全壊または大規模半壊の適用がある」とこたえました。

さらに高橋氏は、二〇〇二年六月二十六日付の「災害の被害認定基準について」(内閣府政策統括官通知)で、全壊認定の基準として「住居がその居住のための基本的機能を喪失したもの」としていることをあげ、「このことが基本となるべきだ」と指摘。新潟県川口町のように「柱は立っていても、家の壁や内部はすべて壊れているケースでも、基本的機能を喪失しているということで、全壊として扱われるのではないか」と質問しました。内閣府の柴田高博政策統括官(防災担当)は、「住宅に住むことができないということになれば、全壊認定ということになる」と答えました。

また高橋氏が「事業所と自宅が一体となっている場合も、支援法のスキームを適用できるか」とただしたのに対し、村田防災担当相は、一階が店舗で二階が住宅になっている場合などの例をあげ「(事業所部分が壊れて)居住のための機能を喪失したという判定で適用になる」と答えました。

(2004年11月12日(金)「しんぶん赤旗」より転載)


161-衆-災害対策特別委員会-4号 平成16年11月11日

○高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 私も、二十九日の兵庫、一日の新潟への委員派遣に参加をさせていただきました。何よりつらかったのは、体育館の避難所に足を踏み入れたときです。仕切りもない、毛布や布団が唯一の境界線となっているような中で、他人に家の中を丸ごとのぞかれているのと同じではないかと思いました。体が疲れ切っているだけでなく、気持ちの休まることがないだろう、そういう思いでいっぱいでした。

 六千人余りの死者を出した阪神・淡路大震災は、発生後一年たった冬、九百人を超える被災者が、仮設住宅にも入れず、テントなどの旧避難所生活を強いられていました。また、仮設住宅に入った方も、雪と寒風の中で暖房にも事欠く生活。そして、最大四万八千人が入居した応急仮設住宅から最後の一人が出ていったのは、二〇〇〇年一月、五年後のことでありました。あの豪雪地帯の新潟で一年も避難所暮らしをさせられる、そんなことがあっては大変だ、どうか、一日も早く安心できる住まいを確保するためにできるすべてのことをしてほしい、このように思っております。

 そこで質問の一点目は、仮設住宅の問題であります。

 きのうの毎日新聞の一面に、自宅の庭先に仮設住宅という大見出しを見て、このことについては我が党の塩川議員が総務の委員会で取り上げて、地元の皆さんが大変望み、喜んでおられたということがありましたので、これが実現したと思いました。

 ところが縦見出しを見ると、「避難所扱い」とありました。よくよく見ると、これは新潟県が独自に出した施策であり、県独自の住宅再建策を使って、自宅を修理する方たちなどが一時的に自宅の庭先で過ごす場所としてプレハブのユニットハウスを建てる。イメージとしては、工事用の詰所のようなイメージであります。これは、新潟県の文書の中にもそういうような表現がありますけれども、照明とコンセント、ストーブ以外は何一つない。そういう中で何日も過ごせるわけではありません。

 もちろん、新潟県の知事の心情はよくわかります。当座をしのぎ、家の再建を目指すためにはそれも選択肢の一つだとして望む方がいれば、大いにそれは進めてよろしいかと思います。ただ、それでは冬を越せないというたくさんの方のためには、自宅の庭先にやはり耐雪型の応急仮設住宅を建設することは可能だということを確認してよろしいですね。

○小島政府参考人 先生御指摘の記事にある措置は、被災者の住宅の敷地内や住居近くの民有地にユニットハウスやテント等を避難所として設置し、被災者の自宅の修理完了や仮設住宅入居までの間、被災者に供与をするものでございます。この措置によりまして、自宅に近接して避難所を設置するものでありますから、住宅の修繕や片づけのため避難所と自宅を往復する負担を軽減するほか、地域コミュニティーの中での生活再建の促進に資するものであるというふうに考えております。

 一方、応急仮設住宅でございますが、今三千戸余りが着工されております。冬季が間近に迫る中で迅速な対応が必要を迫られております。しかしながら、設置に対しては、できるだけ部落単位で入居できるようにするなど、コミュニティーの維持に十分な配慮を新潟県の方で行っているというふうに聞いております。入居される被災者の方々の状況に配慮した形で進められるよう、私どもも新潟県の方に伝えてまいりたいというふうに考えております。

○村田国務大臣 今厚生労働省の方からお答えいただきましたけれども、補足して御説明しますと、これは仮設住宅じゃないんですよ。(高橋委員「いえいえ、そんなこと聞いていません」と呼ぶ)いやいや、それで、仮設住宅じゃなくて避難所扱いにすれば、とにかくあれは素早く設置できますので、仮設住宅に入る前に例えばそこに来られて、それでうちの近くでうちを建てるのに役立つとか、あるいは仮設住宅に入るまでの応急措置としてかなり柔軟に使えるんじゃないかという措置をしてくれたわけでございまして、私は、希望者があればとてもいい措置だというふうに考えているわけでありまして、どうか誤解のないようにお願いをいたしたいと思います。

○高橋委員 誤解していません。ですから、新潟県の知事の言っていることはよくわかるから、それはそれで必要な人にやってくださいと言っているんです。

 それとは別に、庭先に仮設住宅を建ててほしいという人に対して、建てることは可能ですねと確認しただけです。イエスかノーで答えてください。

○小島政府参考人 県、市町村でそういうふうに望まれれば、可能でございます。

○高橋委員 その一言でよかったんですよ。

 仮設住宅、あるいは今おっしゃったようなプレハブの臨時避難所の中でも、必要な生活必需品の確保、今救援物資などが相当出ておりますけれども、これについても、例えばガスこんろ、例えば布団、掃除機でも、これが最も必要だという被災者の要望に対して、一定の予算の範囲内であれば災害救助法で現物支給ということでできますよね。これも確認です。

○小島政府参考人 災害救助法によりまして現物支給になるということでございます。

○高橋委員 必要なものを最大限現物給付できるように、これは周知徹底も含めてお願いをしたいと思います。

 それで、先ほどの御答弁の中に、コミュニティーの中での再建に資するというお言葉がありましたけれども、そのことが今本当に大事になっているのかなと思っているんです。地域のコミュニティーを生かすということは阪神大震災の教訓でもあり、今回の中越地震でも強く提起された問題であります。

 それで、やはり用地の確保においても、地域のコミュニティーを生かした仮設住宅ということもこれありと思うんですね。どこに仮設住宅を建設すればいいのかというのは、その地域の住民が一番よく知っています。ですから、住民にまず聞く。災害救助法には、土地の借り上げ料というのは想定されていませんよね、公共用地があるだろうと。しかし、身近で地域の皆さんがとても集いやすい場所が、ちょうどいい場所があるよといった場合に、借り上げ料も含めて用地を取得するということも検討するべきと思いますが、いかがでしょうか。

○小島政府参考人 この応急仮設住宅の建設地につきましては、私どもといたしましては、本来、災害に備えまして市町村あるいは県の方でその用地をあらかじめ確保していただくというのが最も望ましいというふうに考えております。

 その建設用地といたしましては、原則として公有地を予定しておりますが、無償で提供されました民有地についてもこれに活用できるということで、現に新潟の場合でも、二カ所ほど民有地が無償で活用されております。

 しかし、これを有償にすることにつきましては、災害発生直後の混乱期に価格交渉をしなければならないというようなことで大変手間取る可能性がありますので、災害時の緊急時にはなじまないんじゃないかというのが基本的な私どもの立場でございます。

○高橋委員 これは今後の検討をお願いしておきたいと思います。

 次に、住宅再建支援法の問題で伺いたいと思いますが、先ほど来、弾力運用などについての解釈のことが言われていると思うんですね。七月の豪雨災害で、支援法のスキームで水害がフォローできるだろうかということが提起をされて、やむを得ない理由で、例えば、耐えがたい悪臭などのために解体をするという場合は適用できるというふうなことが、内閣府が指示を出し、八月にQアンドAも出されました。

 今回は、浸水被害による住宅被害の認定についてということで十月二十八日付で改めてまた通知が出されて、読むとちょっと時間がかかるので、浸水の水位が低位だった場合でも、壁内部のパネルや断熱材の吸水により壁の全面が膨張している場合には内壁全面の損傷として扱うとか、衛生設備としての機能を損失する場合など、つまり、畳も壁も天井もだめというように損傷として認められる部分が積み上がっていった場合には、やむを得ず解体するとまではいかなくても全壊とみなす、こういう理解でよろしいですか。

○村田国務大臣 まず高橋千鶴子委員の御質問にお答えする前に、平成十六年十月二十六日の衆議院本会議におきまして、共産党の塩川鉄也議員から、一連の台風災害について、被災した住宅や事務所の土砂の除去、当面の生活のための建物の応急修理が緊急に求められているが、政府の対策はいかがかという御質問を受けておりましたので、この場をおかりいたしまして改めて御答弁させていただきたいと思います。

 一連の台風災害につきましては、災害救助法が適用された市町村においては、同法に基づきまして、住宅の応急修理、住居またはその周辺の土石等の障害物の除去等の支援が講じられているところであります。また、被災者生活再建支援法に基づく被災者生活再建支援制度につきましては、さきの通常国会において、支給限度額の引き上げ、支給対象世帯の拡大、住宅の解体撤去費やローン利子の経費を支援する居住安定支援制度の創設等の制度の拡充を図ったところであります。

 今後とも、被災自治体と十分に連携いたしまして、被災者生活再建支援法等を積極的に活用することによって、被災者の応急的な救助及び生活再建を推進してまいりたいと思います。

 続きまして、ただいまの御質問にお答えいたしますが、そういう今の質問に対しましては、全壊または大規模半壊の適用がございますということでございます。

○高橋委員 こうしてこういう場合もあるということをきちんと言いながら、弾力的運用ということが言われてきた。そういうことは、つまり、平成十三年六月二十六日付の「災害の被害認定基準について」、内閣府政策統括官防災担当通知の中で全壊について言われているように、住家がその居住のための基本的機能を喪失している、このことが全壊認定の基本的な基準になる、そういうふうに言えるのではないかと思います。

 川口町の町長さんは、柱は雪国仕様でしっかりしている、建物自体は建っていても、家の壁や内部はすべて壊れている、こうしたことを訴えておられましたけれども、このようなケースであっても、やはり基本的機能を喪失しているということで当然全壊として扱われると思いますけれども、いかがでしょうか。

○柴田政府参考人 地震関係の被害の認定でございますが、これらにつきましても、内閣府におきまして基準をつくってございます。その適用につきましてはそれぞれの市町村で認定をしていただくことになってございます。

 これらの作業がこれから入ってまいりますので、内閣府といたしましても、九日の日に現地に内閣府の担当官を派遣いたしまして、地元の県及び市町村の担当官にお集まりいただきまして、被害認定のあり方等についての御説明をいたしたところでございます。個別具体的な認定作業は、それに基づいて市町村の方でやっていただくということになります。

○高橋委員 ですから、基本的機能を喪失している、このことが大事な基準になるということを確認してよろしいですね。

○柴田政府参考人 住宅が住むことができない、全壊しているということであれば、全壊認定ということになります。

○高橋委員 不安に思っている自治体の皆さんにそのことが理解されて励ましになるように、今、担当会議も行われるということでしたので、よろしく対応をお願いしたいと思います。

 さて、適用の方はかなり中身が見えてきて、本当ならばこの支援法の適用になるんだろうということが見えてきたと思うんですが、一方、確かに今言ったように対象にはなるんだけれども、しかし、所得制限があるとか年齢でひっかかるとか、さまざまな問題がまだ依然として出ております。

 先ほど、泉委員が資料で各県独自の支援策を紹介されておりました。その中に紹介されている宮城県で言えば、年齢も所得制限もなし、住宅の建設に百万円、補修に五十万円、それから中古住宅の購入費も対象になっております。この制度は、発足して以来期限は二年という利点がありますので、現在、二千五百二十八件決定をし、なお三千八百世帯が申請したいと言っております。ちなみに旧支援法の適用になっておりますけれども、こちらは三百十二件にとどまっております。

 では、支援法改正後の中之島町の例があります。県単で床上浸水を含む制度に二カ月間で二百六十八戸、国はわずかに十二戸であります。国制度に対する申請は十二戸です。これでは、被災者を支援しない法だと指摘をされても仕方がありません。

 このような、実際に、生活再建支援法といいながらも、県や町独自の制度と比べても使い勝手が悪いし利用者も少ない、こういう実態をかんがみて、制度をもっと使い勝手のいいものに改正をする必要を考えられませんか。大臣の見解を伺います。

○村田国務大臣 被災者生活再建支援法でございますけれども、災害によりまして生活基盤に大きな打撃を受けた人、そういう人の、もとの生活に戻りたいというそういう御要望に国としてこたえる制度として、真に支援が必要なもの、こういう観点から、経済的な理由とか年齢制限とか、あるいは所得制限というようなものが設けられる、こういうふうに承知をいたしております。

○高橋委員 大臣、でも、そういうふうに言っちゃうと、自治体の制度は支援が必要じゃない方にまで支援をしていることになりませんか。

○村田国務大臣 自治体は自治体として、それぞれの自治体の政策によりましてそうした支援の制度が設けられているのではないかと私は理解しております。

○高橋委員 先ほど来、理解という言葉しか出てこないので。

 これは、まだまだ自治体の独自の施策が、具体的に例えば福井などがどれほど利用者が出てくるかとか、そういうのがもう少し時間がたてばもっとはっきりしてくると思うんですね。この点も大いに調査も国としてされて、何が一番求められているのか、本当に支援が必要とはどういうことなのかということをぜひ検討されていただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 あわせて確認をしたいと思うんですが、事業所と自宅が一体になっている場合も支援法のスキームで適用ができると思いますが、いかがでしょうか。

○村田国務大臣 同法によりまして支援の対象になる全壊とか大規模半壊でございますけれども、今委員が御指摘のように、事業所と住宅が一体となった場合、併用住宅とこう言いますけれども、その居住部分が本質的には本来ならば支援対象となりますけれども、ただし、一階が事業所になっていて二階が住宅になっていた、それで一階部分が壊れてしまった、こういうようなケースが例えば想定されると思いますけれども、そういう意味では、一階部分の事業所がつぶれることによって構造的に二階部分が住めなくなるわけでございますので、居住のための基本的な機能を喪失した、こういう判定で適用がある、こういうふうに理解をしていただきたいと思います。

○高橋委員 ありがとうございます。

 この点については、事業所だから適用にならないというふうに思っている方も大分多いですので、十分理解されて、利用できるところは利用していただくようにぜひ周知をお願いしたいと思います。

 次に、国税局に伺いたいと思います。

 災害減免法や所得税法による雑損控除などによって家財などの災害による損害分を減免できる仕組みがございます。ただ、問題は、その損害分をどれほどあるのかということを積み上げるのが、今の実態からいけば大変難しいと思います。そもそも、家に黄色い紙が張ってあって立ち入ることさえできない状態である。そういうときに、例えば、阪神、東海豪雨、三宅のときなどは、一定の算式と申しましょうか、に入れて計算をする簡便法というのを使ったということを聞きました。これが使えないかということであります。

 具体的に運動の中でかち取った宮城県多賀城市の経験があります。八六年の水害、これは市議団が出した民報の中に還付された実例が書いてあります。Aさん、二階建て、床上浸水五十センチ、これで五十万円還付されております。Bさん、二階建て、床上四十センチ、保険金百万円出たけれども、さらに十五万九千円還付されております。あるいは、借家の一階建てに住まいをされていたDさんは、床上六十センチ、十五万五千円還付をされております。

 ですから、今は首まで水が来たというような水害が続いていることから見ると、十分こういうのが適用されればかなりの還付が見込めるかなということもあります。七月の豪雨から始まってたび重なる被害に見舞われたということで、これらの被災者に対して簡便法を適用すべきと思いますが、いかがでしょうか。

○竹田政府参考人 個人の有する住宅、家財等につきまして災害等により損害が生じた場合には、雑損控除の適用が受けられるわけでございます。それで、その場合の損害額の計算につきましては、被害を受ける直前の資産の価額を基礎として損害の実額を計算することとされております。

 これまで、大きな災害があった場合には、この雑損控除の適用をお受けになられる納税者の方々が多くおられる、そういうことに加えまして、また先生からもお話しございましたように、損害額を積み上げて計算するということが困難なケースも非常に多うございます。

 このため、納税者の方々の便宜等の観点から、損害額の合理的な算定方法の選択肢といたしまして、一定の方式を作成して、これに基づいて算定された損害額によって雑損控除の適用を認めることとしているわけでございますけれども、したがいまして、今先生から幾つか御紹介ございましたような、阪神・淡路大震災等の災害の際にも、このような算定方式を作成いたしまして雑損控除の適用を行ったところでございます。

 それで、本年の地震あるいは台風の災害につきまして、今先生から御指摘いただきましたような御意見がございましたことは承っておきたいと思いますが、いずれにいたしましても、私どもまずは、被災されました納税者の方々に対しまして、災害に遭われた場合の税制上の措置というものにつきまして積極的な広報に努めてまいりますとともに、来年の確定申告期において被災された方々が円滑に申告されることができますように、適切な対応を行ってまいりたいと考えております。

○高橋委員 申告の時期が近づいておりますので、少しでも明るい話題が提供できますように、ぜひこれを活用していただくように強く要請しておきたいと思います。

 さて、先ほど佐藤委員に対し、道路局ですけれども、山古志村の県管理国道の復旧を国が代行することを今やっているとか、知事の求めに応じて市町村道の調査や復旧計画に国が人員を派遣して支援をしている、こういうふうな説明がございました。

 私は、やはりこの災害という非常な事態の場合、鳥取県の知事なども指摘をしておりますが、ともかく市町村は、避難所の確保や住民との相談など、メンタルな部分も含めて非常に力を注がなければならないわけですし、道路が本当に無数に傷んでいるときに、それを復旧するためのスタッフも金もなかなかないというのが実情でございます。

 片や国道などは、国直轄の部分では、先日も拝見させていただきましたが、四日間で用地買収も含めて迂回路がもう整備されている、そういうすばらしいスピードであります。そういう仕事を、要請があれば県道や市町村道にも国が積極的に対応する、そういうことがあってもいいと思いますが、お考えを伺いたいと思います。

○谷口政府参考人 お答えします。

 国道につきましては、指定区間外、県知事が管理する国道につきましては、道路法の十三条三項の規定がございます。したがいまして、委員御指摘のとおり、山古志村の国道二百九十一号につきましては、県知事の要請を受け、国土交通省が直轄事業として災害復旧事業を実施することとさせていただいたところであります。

 県道、市町村道につきましては、当該地方公共団体において災害復旧をするべきものと考えております。

 今お話のございましたように、我々としては最大限の御支援を申し上げるということで、これも知事からの要請を受けまして、十月三十一日からは延べ五百五十人を派遣し、小千谷市など五市町村で一千五百五十カ所の被災状況の緊急調査を実施したところでございますし、さらに、さらなる要請に基づきまして、十一月八日から約七十人の地方整備局職員を長岡市など十市町村に派遣し、災害査定の準備作業の支援を行っているところであります。

 今後とも、県、市町村と連携を図りながら、県道、市町村道の早期復旧に向け、国として最大限の支援をしてまいる所存でございます。

 以上でございます。

○高橋委員 私が数えただけでも、今回の地震で震度五以上の記録をした市町村の中で、例えば長岡、小千谷、十日町、栃尾、山古志、川口など、十五の市町村が特別豪雪地帯に指定をされております。新潟県自体が豪雪地帯であります。

 豪雪地帯特別措置法は、「積雪が特にはなはだしいため、産業の発展が停滞的で、かつ、住民の生活水準の向上が阻害されている地域について、雪害の防除その他産業等の基礎条件の改善に関する総合的な対策を樹立し、」ちょっと飛ばして、「産業の振興と民生の安定向上に寄与する」ということを目的にある法律でありますが、この中に特別豪雪地帯における基幹道路の整備の特例というのがございまして、市町村道に対しても県がかわってその権限を行うものとするという、第十四条でありますが、こういう規定もございます。

 特別豪雪地帯であり、やはり特別な事情であるということをかんがみて、このようなこともあり得る、そして、それに対して国としても支援をしていくということを確認させていただきたいんですが。

○谷口政府参考人 お答えします。

 委員御指摘のとおり、豪雪地帯対策特別措置法に基づく特例につきましては、基幹的な市町村道のうち、国土交通大臣が指定する道路の改築について、都道府県が、本来の道路管理者である市町村にかわり、豪雪地帯対策基本計画に基づき実施するということはございますが、災害復旧事業に関するものではございません。

 したがって、先ほど答弁させていただきましたとおり、県からの要請に基づきまして、連携を高めながら最大限の支援を国としてやってきておるつもりでございます。

 以上でございます。

○高橋委員 適用するかどうかではなく、そういう精神でやってほしいということでございます。

 農業について一点だけ伺いたいと思っております。

 やはり、農業の分野でも直接補償ということが本当に求められているのかなと思っているんです。機械が水で全滅した、そういう場合、やはり損害額が一千万近いということがあるわけで、ここを何とかしてほしいという声はあちこちで上がっているんですが、例えば福井市では、土砂流入などの被害を受けた農機具の修繕費用として最高五十万円、埼玉県では、自然災害で損失を受けた農家に対し、農薬や肥料購入費を助成しております。

 こういう自治体独自の制度も幾つかあるわけですけれども、今本当に、農機具やあるいは農薬などこうしたものに対しても直接補償を検討するべきかと思いますが、いかがでしょうか。

○佐藤政府参考人 ただいま委員御質問の点でございますが、基本的に、農地とか農業用施設の基礎的なもの、それにつきましては、補助というような形で、これも、災害の場合、一般の場合も八割程度でございますが、激甚災等がかかれば九割程度の補助になります。

 今御指摘のような農機具につきましては、基本的に低利の融資で対応するという考え方をとっております。

 具体的には、農機具を修理するために必要な資金、これは農業経営維持安定資金というのがございます。また、新たに取得される場合には農林漁業施設資金ということで、いずれも長期、低利の制度資金ということで用意をしております。〇・八%から一・八%まで期間に応じてということでございますけれども、最長二十五年でお貸しできるような形になっております。

 こうした資金の円滑な融通を通じまして、被災された農家の方々の経営の継続と再建を積極的に図ってまいりたいというふうに考えております。

○高橋委員 時間がなくなりましたので要望にとどめます。今の機械の問題は、中小企業の対策のときに、豪雨のときにもやりましたけれども、無料貸与なども含めて検討されることをお願いいたします。

 阪神では、激甚災の指定をされたのは、一月十七日から八日後の二十五日ではなかったかと思います。先ほど来、激甚災の問題が出されて、今月中には何とかというお話がありましたけれども、もうだれが見ても激甚な災害であるときに、積み上げの細かい措置をしなくてもできるということがあったのではないかと思うのです。阪神でできたことが今回はできないということがないように、できるだけのこと、少なくともこれまでの経験でやってきたことはやれるように、そのことを強く要望して終わりたいと思います。



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