2004.4.27(水) 農林水産委員会


家畜伝染病予防法改正案が可決

農家の被害に助成

 鳥インフルエンザなどの家畜伝染病で移動制限を受けた農家の損失を国が半額負担する助成の制度化などを盛り込んだ家畜伝染病予防法改正案が、二十七日の衆議院農林水産委員会で採決され、全会一致で可決されました。

 改正案はほかに1、手当金(補償金)は感染の届け出を怠るなどまん延防止策を講じなかった者には交付しない2、家畜所有者を届け出義務違反の罰則対象に加える3、都道府県の防疫事務の費用を国が半額負担する―などを盛り込んでいます。日本共産党は、要求していた農家への助成制度化や国の費用負担が盛り込まれたのは前進だと評価し賛成しました。

 政府原案の採決に先立ち日本共産党は、1、感染を発見した場合、獣医師に見せたか否かにかかわらず家畜所有者に届け出義務を課す2、感染またはその疑いがある場合、獣医師の診断がないときは所有者に届け出義務を課す3、既知の伝染病に感染の可能性を示す異変を発見した場合、所有者に通報義務を課す4、国は損失補償の三分の二を負担する―内容の修正案を提出。高橋ちづ子議員が趣旨説明を行いました。修正案には社民党が賛成しましたが少数で成立しませんでした。

高橋氏は採決に先立つ質疑で、小規模養鶏業者が手間ひまをかけて生産している高品質の鶏卵について、万全の補償が行われるよう求めました。

(2004年4月28日(火)「しんぶん赤旗」より転載


159-衆-農林水産委員会-13号 平成16年04月27日

○高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 政府の家伝法改正案について質問をします。

 山口県で七十九年ぶりの鳥インフルエンザ発生が確認されたのがことしの一月十二日、京都、兵庫などで終息宣言がされたのは四月の十三日でした。鶏肉、鶏卵業者を初め、関係自治体、関連業者、団体の皆さんの大変な御苦労があったと思います。私ども日本共産党国会議員団としても、対策本部を設置し、現地調査や申し入れ、委員会での質問を繰り返し行ってきましたが、それらの多くが今回提案された政府案の中に反映していただいたと認識をしております。

 そこで、改正案の特徴の第一は、届け出義務違反に関する罰則の強化であります。これについて、まずお伺いをいたします。

 手当金の不交付、殺処分等の対象となった家畜等の所有者に交付される手当金について、家畜伝染病の蔓延防止に必要な措置を講じなかった者に対しては支払わない、これがまず真っ先に来ております。それから、届け出義務に違反した所有者に係る罰則の強化、届け出義務に違反した場合の罰則を三年以下の懲役または百万円以下の罰金に引き上げる、こういうことが言われておりますけれども、まず、ここに想定されているのは、当然京都の浅田農産のような、まさに悪質な業者を想定しているんだろうと思うわけですね。

 現行法の中の第十三条に届け出義務が明記されておりまして、「家畜が患畜又は疑似患畜となつたことを発見したときは、当該家畜を診断し、又はその死体を検案した獣医師(獣医師による診断又は検案を受けていない家畜又はその死体についてはその所有者)」とありまして、まさにこれに当たるのかなと思っておるんですけれども、まずここを一つ確認します。

 そして、「必要な措置を講じなかつた者」というのは具体的にどういう者をいうのかということと、罰則の強化により得られる効果、どのように考えているのかをまず伺いたいと思います。

○中川政府参考人 まず、手当金を交付しない場合としてどのようなことが想定されるかということでございますけれども、これは、「家畜の伝染性疾病の発生を予防し、又はまん延を防止するために必要な措置を講じなかつた者」として、農林水産省令で定めるということになっておりますが、具体的なものといたしましては、この家畜伝染病予防法等に違反をして家畜の伝染性疾病の発生または蔓延を招いたと認められる者というふうな形で規定をしたいというふうに思っております。その中で悪質性が高いと認められる者につきまして不交付とすることとしているわけでございます。

 また、ペナルティーの強化でありますけれども、これは、現行では一年以下の懲役または五十万円以下の罰金というところを三年以下の懲役または百万円以下の罰金というふうに強化をしたところでございます。

○高橋委員 悪質性が高いということで罰則を強化したというのは、今回の場合はまさにそれだと思うんですね。獣医師に見せたということを最初は言って、実際はうそであったということで、悪質だということが明確であるわけですよ。ただ、今回そうやって罰則強化をされた以上は、それに当たる人がどういう場合かというのはもっと明確にしないといけないと思うんですね。全部が今回のようなケースとは限らないだろう。

 そういう点で、届け出義務については何の改正も行われなかったのはなぜかということを聞きたいんです。例えば、届け出伝染病、高病原性でない鳥インフルエンザについてはどういうふうに対処しますか。

○中川政府参考人 今回対象として考えておりますのは、伝染力が強い、あるいは一たん発生をした場合の影響力が大変甚大であるということで、家畜伝染病予防法におきまして法定をされております伝染病を想定いたしております。

 したがいまして、先生今おっしゃいましたのは、高病原性でない鳥インフルエンザということをおっしゃいました。そういった場合は、この場合の対象には、罰則規定を伴うような届け出義務違反のそういった疾病の対象にはならないというふうに考えております。

    〔小平委員長代理退席、委員長着席〕

○高橋委員 ですから、高病原性でない鳥インフルエンザはいわゆる届け出伝染病ですよね。これらについては、獣医師は届け出がありますね。だけれども、所有者についてはさっき私が読み上げた十三条の括弧のようなものはなくて、第四条の伝染性疾病についての届け出義務、ここと、第四条の二、新疾病についての届け出義務というのがあるんですけれども、こうなると、高病原性かどうかはやってみなきゃわからない、きちんと検査をしなければわからないわけですよね。

 本来届け出義務というのが明記をされていないのに、万が一高病原性だった場合は罰則、手当金の不交付という大変な目に遭うわけです。だったら、最初からちゃんと義務づけるべきだと思いますが、いかがですか。

○中川政府参考人 まず、一般的に言いまして、家畜伝染病以外のさまざまな疾病というのは、なかなか専門家でないとその症状がわからないということでございます。そういうことから、獣医師には届け出ということを課しておりますけれども、所有者等については、そこはそういった義務は課していないということでございます。

 そういう中で、この高病原性鳥インフルエンザ、今現在、日本において大変な課題になっているわけでありまして、当然、鳥類、鶏その他を飼養しておられる方にとってみれば、ふだんから自分の飼っておられる鶏等についての健康状態というのは十分な注意を払っていただく必要があるわけであります。

 この点につきましては、一定の規模以上の者については、五十二条に基づいて報告徴求義務を課して、一週間に一度は御自分のところの鶏の健康状態について報告をしていただくというふうなこともやっておりますし、それ以外の規模の小さい方についても、こういった一週間に一回というふうな定期的なことはいたしておりませんけれども、何か異常があったときにはすぐに家畜保健衛生所の方に届け出るようにといったことは通知でやっているわけであります。

 こういったふうに、家畜を飼う、ペットとしてであってもそういった動物を飼っておられる方については、高病原性鳥インフルエンザが今日本の社会において非常なリスクとして出現しているということを踏まえて、適切な注意義務を払っていただきたいというふうに思っております。

○高橋委員 私は、これは政府案の非常に不備だと思うんですよ。修正を我が党として出していますけれども、ぜひ前向きに検討してほしいと思うんです。罰則だけを強化して、それのもととなる義務の中身については何ら変わっていない、これはどうしても整合性がないと思うんですね。

 戦後すぐ、家伝法が施行されたころは、中小規模の農家が多かったと思います。そのころは農家の皆さんに専門知識もなく、病気を心配するとすぐ獣医師に相談する、家伝法が施行されたころの事情というのはやはり今とは全然違うと思うんですね。今、規模拡大が進み、法人経営の比率が、養鶏で二五%、採卵鶏で六割を法人がやっている。一戸当たりの飼養羽数も、五一年当時、八千七百羽から今三万六千五百羽、採卵鶏では、三百七羽から三万一千六百三十六羽と実に百倍の規模拡大がされているわけです。

 ですから、こうした中で、浅田農産の社長もそういう大規模な経営者であったわけですけれども、彼自身がそうであったように、経営者自身が獣医師並みの知識も兼ね備えてきた、当然そういうことを備えていなければ経営もできないような状況がもう今は生まれているわけですよね。そういうことを、やはり背景の違いを踏まえて、現代に合ったものにするべきなのではないか。

 そういう高病原性でないものであれば届け出義務がないけれども、しかし、報告の徴収とか、気をつけてくれよ、そういうことを言うのであれば、気をつけるために、例えば獣医師の関与、大規模農家であればきちんと検査を義務づけるだとか、あるいは家保、家畜保健衛生所の立ち入りを義務づけるだとか、そういう担保するものがなければだめなんじゃないですか。その点、いかがですか。

○中川政府参考人 今先生おっしゃいましたように、日本の養鶏企業、養鶏農家の方々も、大変規模が大きくなってきているという現実にあるわけです。そういたしますと、そういったいわば業として養鶏を営んでおられる方にしてみれば、みずから飼っておられる鶏の健康状態について一定の注意義務といいますか、注意を払うというのは、これまた経営者として当然のことかというふうに思っております。

 したがって、そういった鶏を飼う、そのことが、かつまた一たん病気になれば、みずからの経営だけではなくて近隣の養鶏農家の方々にも影響を及ぼす、そういうこともよく御理解をいただいて、やはりまずはみずからの飼養しておる鶏についての十分な注意義務を払っていただくということは、これは必要なことだというふうに思っております。

○高橋委員 その義務が変わっていないという問題については引き続いて検討していただきたい、これは指摘にしておきたいと思います。

 それで、注意を払ってというその部分のことなんですけれども、報告徴収の義務づけは一千羽以上のところですよね。それ以外の小規模なところに対しては、平成十六年の三月九日に、食品安全委員会その他の三省で出した「国民の皆様へ」、これに基づいて注意を払いましょうというお話なんですけれども、そこのところを読みますと、「飼っている鳥が死んでしまった場合について」ということがあるんですけれども、「原因が分からないまま、鳥が次々に連続して死んでしまうということがない限り、鳥インフルエンザを心配する必要はありません。」、こういう非常に抽象的な、不安を持つ文章ですよね。

 その前のところに、ちょっとこれは蛇足でありますけれども、鶏肉、卵の安全性についても随分ここで議論されましたけれども、「鶏肉は十分加熱して食べて下さい。未加熱又は加熱不十分なままで食べることは、食中毒予防の観点からおすすめできません。」と。それは当然のことであって、鳥インフルエンザとの関係でどうなのかということが、ちょっとこれは、「国民の皆様へ」を参考にして、小規模な農家がそれでちゃんと報告やるよということにはなりがたいと思うんですね。だけれども、万が一のときには大変な罰則が待っている。ここのところは真剣に考えて、見直しを求めたいと思うんです。

 それと関連しますけれども、そういう点で農家の相談相手にもなり、非常に大事な役割を果たす家畜保健衛生所が非常に縮小しているのではないか。平成八年で見ますと、百九十八あったのが平成十五年で百七十九とマイナス十九、職員数は二千五百五十から二千四百二十五人と百二十五人が減っている。中でも家畜防疫員が、五千九百九十七人から五千百十六人と、八百八十一人も減っているわけですよね。

 今まさにこういうところできちんと整備をしていくことが求められていると思いますが、その点について考えを伺いたいと思います。

○中川政府参考人 家畜保健衛生所の人員なり体制のお尋ねでございますけれども、家畜保健衛生所の獣医師職員の定員、確かに近年ずっと減少してきておりましたけれども、十三年の秋に国内にBSEが発生したということも一つの契機でありますけれども、その十三年のあたりをボトムにいたしまして、最近ではむしろ獣医師さんの数もふえてきておるわけでございます。これは十五年だけではなくて、さらに十六年度においても定員の増加を予定しておられる都道府県もございます。

 こういったふうに、それぞれ現場で、この家畜保健衛生所は都道府県の職員でありますけれども、それぞれのところにおかれましては、畜産業の状況を踏まえて、それぞれ各都道府県において適切に必要な人員の拡充も行っていただいているものというふうに理解します。

○高橋委員 時間がないのでここは指摘にとどめますけれども、ここ数年で家畜保健衛生所の職員がふえたのはBSEの対応を迫られたからであって、そこを除けば充実したとは言えないんですよね。逆に言えば、それだけ家畜伝染病あるいは届け出伝染病の種類がこの間ふえていて、それは背景に輸入の増大という問題もあるわけですけれども、そういう中で家畜保健衛生所の役割が求められているんだということをしっかり見て、現場に対応できるだけの整備をきちんとやっていただきたい、これは要望しておきたいと思います。

 それで、あわせて、次に行きますけれども、義務づけや罰則の強化をする以上は、移動制限に協力する農家の皆さんに対する補償措置がやはり万全でなければこれはもう機能しないということは、養鶏協会の皆さんなども強く要望している中身でありますけれども、その点で、今回は、移動制限命令に協力した畜産農家に対する助成の制度化ということで、売り上げの減少額や飼料費、保管費、輸送費等を助成する場合にはその二分の一というふうにあるわけですけれども、まず、売り上げの減少額をどのように算出するのか。それから、自治体によってその被害のあらわれ方がさまざまあると思うんですが、輸送費等の部分ですね、どんな事態を想定しているか、具体的に伺います。

○中川政府参考人 お尋ねの売り上げの減少額の算定方法でございますけれども、まず、卵価につきましては、これは鶏卵相場の状況を調査いたしまして、対象鶏卵の販売価格等を確認いたします。これはもちろん移動制限が解除された後で販売価格というのは把握をされるわけでありますけれども、その販売価格と、それから移動制限の期間中の鶏卵相場、これはブロックごとに、全農の卸売相場等客観性のあるデータがとれますので、こういった鶏卵相場と取引価格、実際に移動制限解除後に実現しました取引価格等の差額を適正に算定していきたいというふうに思っております。

 それから、さまざまなかかりました経費、例えば保管費あるいは輸送費のほかに、等として何があるかというお尋ねでありますけれども、これは、まずはこの移動制限が解除された後に、それぞれの農家の方々は販売をしていただく、そういう努力をお願いしたいというふうに思いますが、どうしても販売されなかった場合は、やはり焼却等もやむを得ざる措置として行うことが出てくるかと思います。その場合の焼却費を想定いたしております。

○高橋委員 いわゆる全農の標準額というのがこれまでも指摘をされてきたわけですよね。国としても、こだわり卵の支援ということで、鶏卵安全・品質向上推進事業というのを、四千万というわずかな予算ではありますが、盛り込んでいるように、こういう非常に手間暇かけてこだわりの卵をつくっている業者がいっぱいいるんだということは認識しているからこそ、こういう事業も立ち上がっていると思うんですね。そういう点を踏まえて、実態に合った援助をするつもりがないのかどうかをまず大臣に伺いたいんです。

 それと、ちょっと時間がないのであわせて、鶏卵販売農業協同組合などからも要請されておりますが、卵価の安定のための基金制度、卵価安定基金制度がありますが、これが毎年五千万ずつ予算が削減されていって枯渇している、やはりここをしっかり拡充して安定させることが重要だという要望が出ておりますが、これについてどうお考えになるか、伺いたいと思います。

○亀井国務大臣 高付加価値の卵、価格の補てんの問題、これにつきましては、やはり市場価格がない、それぞれ個々の販売、こういうようなことでございまして、これに対しまして、市場価格と販売価格の差を補てんするわけでありますが、高付加価値の卵につきましては、今申し上げましたとおり、取引がそういうことでやはり適正に評価ができない、こういう面で、補助金の適正の執行、こういう面から大変難しい、こういうことであります。

 それから、あともう一点、卵価安定基金につきまして、この点、財源が少なくなってきている、そういうことでございまして、これらにつきましては、基金が不足した、こういうことから国として直ちにこれを拡充するということは困難であるわけでありますが、十六年度につきましては引き続き助成をする、こういうようなことで支援策を考えておるわけであります。

○高橋委員 引き続き助成だけれども、削減の方向であるわけですよね。しかし、やはりこの間の鳥インフルエンザで、終息宣言はしたけれども、まだ卵価だとか取引などが持ち直していないという現状もありますよね。そういう中で、やはり、今頑張って養鶏業者の方たちが立ち直っていくというためにも、少なくとも削減はしない、維持していく。

 大体、国は五月から七月の三カ月分しか補助していないわけですからね。圧倒的に多くの部分は、差額が出ない月もありますけれども、一覧表を見るとかなりの部分で、平成十五年などは一カ月を除いて全部補てんが出ておるんです。つまり、業界の方が補てんを出しているんですね。そういう中で持ちこたえているということをしっかり認識して、国としても拡充あるいは維持をしていくべきだと思いますけれども、もう一言聞いて、終わります。

○亀井国務大臣 国としても、適切な運営が図られることを前提といたしまして引き続き助成を行う、さらには、中小規模経営の体質強化を図るために、高品質化への取り組みや共同GPセンターの整備を促進する、こういうようなこととあわせて支援をしてまいりたい、こう思っております。

○高橋委員 よろしくお願いします。


家畜伝染病予防法改正案に対する日本共産党修正案の提案理由説明

○高橋委員 私は、日本共産党を代表して、政府提出の家畜伝染病予防法の一部改正案に対する修正案の趣旨説明を行います。

 修正の第一の点は、家畜の伝染性疾病に係る届け出義務の対象者の拡大と通報義務の新設であります。

 家畜伝染病予防法は、伝染性疾病についての届け出義務、第四条、新疾病についての届け出義務、第四条の二ともに家畜所有者に届け出義務はなく、届け出義務は獣医師のみに課せられております。また、法定伝染病についてのみ、患畜等の届け出義務、第十三条として届け出義務を獣医師に課すとともに、例外として、獣医師に診断または検案を受けなかった場合のみ家畜所有者に届け出義務を課しております。今回、浅田農産が当初獣医師に見せたとうそをついたのは、浅田農産がこの規定を十分知っていたからであると想定されます。

 このように、家畜伝染病予防法は、通報義務の基本を獣医師に課し、家畜所有者は法定伝染病で獣医師に見せなかった場合にのみ通報義務が課せられる仕組みとなっております。このような法的枠組みは、家畜飼養形態が小規模で、家畜所有者が十分な家畜疾病の知識を有していなかった戦後直後の状況を反映していたと想定されます。

 しかし、養鶏業界について言えば、ブロイラーでは、一戸当たりの平均飼養規模は四万羽に迫っており、十万羽以上の経営者は一千八百八十戸で、生産量の八八%を占めております。採卵鶏養鶏では、十万羽以上の経営者三百六十戸で生産量の五四%を占め、最大の経営規模は四百万羽にもなっております。ほとんどの大規模な経営体が企業経営となっているのです。このような大規模な経営体の家畜所有者に通報義務が課せられていないこと自身が、社会的な責任という点からも問題でした。

 また、獣医師には立ち入り権限はなく、このような大規模な養鶏場で何が起こっているかは、経営者、すなわち家畜所有者しか知り得ないのです。このような状況の中では、家畜所有者に基本的に通報義務を持たせることが必要であります。

 そのため、患畜等の届け出義務については、家畜所有者は、家畜が患畜または疑似患畜となったことを発見したときは、獣医師による診断または検案を受けたか否かにかかわらず都道府県知事に届けなければならないとするとともに、家畜が届け出伝染病または新疾病にかかり、またはかかった疑いがあることを発見した場合についても、家畜所有者は、獣医師に診断または検案を受けていないときは都道府県知事に届けなければならないものとします。さらに、家畜所有者は、既に知られている家畜の伝染性疾病にかかっている可能性を示す異変を発見したときは、都道府県知事にその旨を通報しなければならないものとします。

 修正の第二の点は、損失補償に伴う費用負担についてであります。

 政府案は、移動制限命令に協力した畜産農家に対する助成の制度化や、都道府県の防疫事務の費用に対する国の負担を盛り込みましたが、それは日本共産党がいち早く要求してきたものであり、前進面として評価できるものでありますが、国の負担率が二分の一となっており、地方自治体関係者からも国の負担率の強化が求められておりました。これを受けて、国の負担率を三分の二とするものであります。

 以上、修正案の趣旨を説明いたしました。

 何とぞ委員各位の賛同を得られますようよろしくお願いいたします。



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