国会質問

質問日:2016年 3月 18日 第190国会 厚生労働委員会

自殺対策基本法改定案、被災者の医療費減免

自殺対策基本法改定案/全会一致で可決

 自殺防止対策を強化する自殺対策基本法一部改定案が18日の衆院厚生労働委員会で採決され、全会一致で可決しました。採決に先立ち、NPO法人自殺対策支援センター「ライフリンク」代表の清水康之参考人を招いた質疑を行い、日本共産党から高橋千鶴子議員が質問しました。
 高橋氏は、4月から自殺対策の所管が内閣府から厚労省に移ることに関し、各省庁を束ねて機動的に対応できるのかと質問しました。塩崎恭久厚労相は「ご指摘の通り、総合調整機能を発揮して対処する」と答えました。
 高橋氏は、日本の自殺者が年間3万人を割って減っているものの先進国では突出した水準だと指摘し、基本法制定の意義について質問しました。
 清水氏は自殺対策基本法について「自殺が個人の問題ではなく社会の問題だと啓発していく上で決定的意味があった」と評価。自治体には相談事業と地域での連携、国に対してはそれを支援する役割を求めました。
 高橋氏が、自殺者のうち20~40代女性の4割以上にある未遂歴の分析・対策の必要性を問うと、清水氏は「医療機関と地域の連携が大切で、その試金石は情報の共有だ」と述べ、各省庁での連携も求めました。
(しんぶん赤旗2016年3月22日付より)

医療費の減免延長を/被災者支援 高橋議員迫る

 日本共産党の高橋千鶴子議員は18日の衆院厚生労働委員会で、東日本大震災被災者の医療費免除を望む声を紹介し、国の支援拡充を迫りました。
 高橋氏は、被災自治体が国民健康保険の一部負担金減免を行った場合、国が来年度も8割補助を行うことを確認しました。その上で、宮城県保険医協会の調査で、医療機関を受診しない理由について、免除がない人の46・9%が「経済的に苦しい」と答えていることを指摘。「免除があって本当に助かったが、復興住宅に移れば家賃がかかる」「低年金で診療も受けられない」との声を紹介し、「減免制度はまさに命綱ではないか。来年度でやめる自治体もある。追加の支援を行うべきだ」と減免制度の延長を求めました。
 塩崎恭久厚労相は「減免制度は生活の根幹と分かっている。負担が過度にならないように配慮しなければならない」と答え、厚労省の唐沢剛保険局長は「財政力が弱い自治体に支援強化していく」と答えました。
 高橋氏は、被災地のみならず、国保の一部負担金減免を国が財政支援する基準について「入院に限っているのは見直すべきだ」と追及。同局長は「外来でも高額負担が増えているので検討する」とし、保険料免除も「検討する」と答えました。
 「支援は継続するが自立が大事だ」と言う塩崎厚労相に、高橋氏は「自立と言うなら、減免制度を活用しやすいものにすべきだ」と強調しました。
(しんぶん赤旗2016年3月23日付より)

――議事録――

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 本日は、一般質疑ではありますけれども、自殺対策基本法十年目の改正を目指し、参考人としてNPO法人ライフリンクの清水康之さんに出席いただいております。ありがとうございます。
 先ほど来の答弁を聞いていても、大変勉強になりました。後ほど私からも質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 まず、内閣府に伺います。
 昨年九月四日成立の内閣官房・内閣府見直し法に基づき、自殺対策は内閣府から厚労省に移管されました。関係施策は確かに厚労省が一番多いと思うわけであります。とはいえ、各省庁を束ね、機動的な対応が求められると思いますけれども、どういう権限が厚労省にあるのか、伺いたいと思います。
○安田政府参考人 お答え申し上げます。
 内閣府は、現在、内閣府設置法及び自殺対策基本法に基づき、自殺対策に係る関係省庁との調整、総合的な自殺対策の推進等の業務を担っております。
 具体的には、自殺総合対策大綱の策定及び推進に当たっての関係省庁との調整、自殺総合対策会議の庶務、自殺対策白書の作成、自殺予防週間及び自殺対策強化月間における啓発活動の実施等の業務を行ってきたところでございます。
 これらの内閣府において行ってまいりました業務につきましては、本年四月一日の業務移管後、いずれも厚生労働省において実施されることになると承知しております。
○高橋(千)委員 もうちょっと伺いますけれども、とはいえ、これまでは内閣府が、例えば災害対策などでも、関係省庁との連携といいますか、一定束ねる役割があったと思うんですね。それが、厚労省に移っても同じだということでよろしいでしょうか。
○安田政府参考人 そのように承知しております。
 自殺対策に係る総合調整の機能が厚生労働省に移るというふうに承知をしております。
○高橋(千)委員 この法案、私自身は所管しておりませんけれども、説明を受けたときにそういうことを聞きました。本当にそういうふうになるのかなというのが正直ちょっと不安だったものですから、改めて確認をさせていただきました。
 同じ時間に今、復興特別委員会をやっておりますけれども、復興大臣もやはり各省庁に対して勧告する権限があるんですね。法律でそういうふうに書いたんです。だけれども、実際に一度もやったことがないわけなんですね。
 そういう意味で、やはり厚労大臣がどれだけリーダーシップを発揮できるのかということが大変気になっているわけですが、これは塩崎大臣にぜひ決意を伺いたいと思うわけであります。
 厚労省が自殺対策に関係する主な分野にはどんなものがあると考えていらっしゃるでしょうか。厚労省というのは、本当に、人が生きること全部にかかわる、まさに受精卵から御遺骨までというせりふをここでおっしゃった方がいらっしゃいましたけれども、全てにかかわりますから全てと言えるとは思うんですが、でも、ぜひ大臣の認識を伺いたいし、今後、所管するに当たって、特に力を入れたいのはどういうことなのか、伺いたいと思います。
○塩崎国務大臣 自殺は、先ほど来お話が出ていますように、健康問題であったり、あるいは経済、生活問題など、複雑にさまざまな問題が関連をし、生活面あるいは心の健康面を含めた包括的な対応が必要だというふうに思います。
 厚労省に今回移るわけでありますけれども、厚労省では、これまでも自殺対策として、一つは、精神保健医療の充実を行ってきた。あるいは、生活困窮者への支援の充実も新法の施行に伴ってやってまいりました。失業者に対する相談、これは長らくやってまいっているところでございますし、こういった取り組みに係るこれまでの蓄積、知見、それから自治体とのネットワーク、こういうことが生かせる強みで、医療機関にしても、やはり現場を持っている、そういうところが内閣府と少し違うところかなというふうに思います。
 この四月から所管するに当たって、自殺者数については、全体として減少傾向にあるといえども、近年、健康問題を原因とした自殺者の割合はむしろ増加をしているわけでありますから、こういうような状況を踏まえれば、職場における労働者のメンタルヘルス対策、あるいは地域における心の健康づくり推進体制の整備などについても、これまで以上に力を入れて取り組まなければならないと思っております。
 それから、総合調整の話で、厚労省で大丈夫かねというお話をいただいたように聞こえましたが、これは法律で定められた総合調整機能でございますので、自殺総合対策会議において厚生労働大臣が会長を務めることに、官房長官から移るわけでございますから、この場をしっかりと活用して、関係省庁の施策も含めた、つまり、大事なことは、やはり総合的に行う、複雑な問題であるがゆえに総合的に対処しないといけないということでありますので、まさに先生御指摘のとおり、総合調整機能を発揮するということが大事なので、そこにしっかりと力を入れて実施をしてまいりたいというふうに思っております。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。
 最初におっしゃった精神保健ですとか、生活困窮者対策、あるいは相談活動、いずれも現場を持っていると大臣はおっしゃいました。やはり、もしや自殺を考えている、あるいは、そこに至るかもしれない、そういう方たちに対して直接、接する場所があり、医療機関のような場所があり、かつ、直接、例えば心理療法士ですとか、さまざまな方たちの、いわゆる支え手の側の担当でもある。
 同時に、過労死防止対策推進法もつくりました。国として、例えば、労働時間、働き過ぎですよねと、こういうルールをしっかりつくっていくことによって過労自死を防ぐですとか、そういうことも大きな役割だと私は思うんですね。
 ですから、防ぐことができるという立場に立って、厚労省が本当に役割を果たしてほしい。それと同時に、今大臣が当然やりますとおっしゃいました総合調整機能を大いに発揮していただきたいということをまずお話ししたいと思います。
 世界では、毎年八十万人、四十秒に一人が自殺しているといいます。
 二〇一三年五月の第六十六回WHO総会において、初めてのWHOメンタルヘルスアクションプランが採択されました。二〇二〇年までに各国の自殺死亡率を一〇%減少させることを目標としています。
 ただ、日本は、一〇%なら、もう既に達成したことになるわけですね、ずっと三万人で来たわけですから。だけれども、自殺率の水準が世界の倍ですから、これは、目標もやはり倍、そういう気持ちで取り組んでいく必要があるのかと思います。
 清水さんの資料の中にもありましたけれども、これが二〇一四年のWHOの自殺レポート。タイトルがまさに、「自殺を予防する 世界の優先課題」と書いてありまして、並々ならぬ決意を感じます。
 各国が優先課題として取り組むことを提言し、そして、その調整役は保健大臣と書いておりますので、やはり厚労省が持つのが正しかったのかなと思っております。
 そこで、この中で、日本が、自殺総合対策大綱、つまり、戦略を持って現実に自殺者を減らしたことを好事例としてWHOが紹介し、評価をしております。
 基本法制定までと、そして制定後十年、取り組んでこられた清水さんに、この基本法が果たした意義について伺いたいと思います。
○清水参考人 基本法が果たした意義は、大きく二つあると思います。
 一つは、実務的な面での意義です。
 御承知のとおり、自殺対策基本法には、政府や地方公共団体の責務がうたわれており、それがゆえに、政府のみならず、都道府県や市区町村が、自殺対策を行政の仕事として、予算や人材を確保して推し進めることができる。これは基本法ができる前にはあり得なかったことですので、事業を進める上での根拠になっているということがこの基本法の意義の一つだろうというふうに思います。
 もう一つは、啓発においても決定的な役割を果たしているというふうに思います。
 かつて、自殺は、今よりもずっとタブー視されて、忌み嫌われ、個人の問題として片づけられていたわけですが、法律ができたことによって、大分変わってきました。
 本来の施行の順番としては、自殺が社会問題だという認識が広まって、その中で対策を社会的に進めていこう、法律をつくろうという合意が形成されていくということになるわけですけれども、ただ、逆から見れば、法律ができたということは、社会的な対策が必要だということになり、また、社会的な対策が必要なのは、それは問題が社会問題だからということになるわけなので、ですから、そうして自殺対策基本法の存在自体が、自殺を個人の問題ではなく社会の問題だというふうにしっかりと認識させていく、その啓発的な意味を非常に果たしているんじゃないかというふうに思います。
○高橋(千)委員 ありがとうございました。
 個人の問題ではなく社会の問題にしたということ、この法律ができて、大綱ができて、また自殺対策白書が出されているわけですけれども、この数字をさまざまに分析すると同時に、その数字の背景にあるさまざまな要因をしっかりと可視化していくというんでしょうか、そして、それが対策に結びついていくという意味で、本当に重要な役割を果たしているのではないかと思っております。
 関係者の皆さんには、改めて敬意を表したいと思っております。
 そこで、先ほど紹介したWHOの同レポートでは、主要メッセージ五つを挙げているわけですけれども、その五つ目に、「地域は自殺予防において重要な役割を果たす。」とあります。
 先ほど、言い過ぎることはないとおっしゃっておりました。本当にそのとおりだなと思うし、今回の法改正もそこがポイントだと思います。
 自治体にどのような役割を期待し、しかし、そうはいっても、自治体というのは、一つの窓口がいろいろなことをやっていたりします。その体制の中でどんな支援を国がしていくべきなのか、伺いたいと思います。
○清水参考人 自殺対策は、三つのレベルで考えると理解しやすいんじゃないかと思っています。
 一つのレベルというのは、相談事業などに象徴される対人支援。個人のレベルですね。
 二つ目のレベルというのは、さまざまな関係機関が連携して相談、対応に当たる。これは地域のレベルです。
 最後の三番目のレベルは、いわゆる制度レベル。各地域地域で連携しやすいような枠組みをつくるであるとか、あるいは、さまざまなデータを提供するであるとか、地域がしっかりと対策を進められるような、その枠組み、制度をつくるというのが最後のレベルです。
 市区町村、自治体において重要なのは、まさに対人支援の強化と、あと地域レベルの強化ということになります。個々人への支援を強化するために、人材の育成、研修もしなければならない、あるいは、地域のネットワークを強化するためのそうした連携事業をやっていかなければならないということが、市町村のこれからの重要な役割だと思います。
 あわせて、国の役割としては、地域地域がそうした事業をしやすいような研修プログラムの開発であるとか、地域の自殺の実態を分析して、それを提供するであるとか、あるいは、先進事例を全国から集めて、それを各自治体に提供していくといったような、現場が対人支援をやりやすいような仕組みをちゃんと国がつくっていく、現場本位の制度を、仕組みをしっかりつくっていくということが国の役割になるだろうというふうに思います。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。
 現場本位というのがとても大事かなと思っております。どうしても、地方分権だと言いつつも、さまざまな制度の要綱ですとか、かなりがちんとしていて、地方がすごく大変だということもあります。やはり、地方の課題に合わせて支援をしていくということがとても大事なのかなと今伺って思っております。
 そこで、次に、若年者の死亡原因のトップが自殺であるということは、よく知られていることだと思います。平成二十七年版の自殺対策白書では、ここを掘り下げた特集を組んでおります。
 この中で私がとても注目したのは、自傷行為の救急搬送の率は、女性の若年層が多い。三十歳前後の女性では、自殺者の二人に一人が未遂の経験があるということでありました。
 これは資料の一枚目に、白書から抜粋してつけておきましたけれども、左側が男性であって、自殺未遂の経験ありというのが一〇%台なわけですね。ところが、右側の女性は、三〇%から、二十代、三十代、四十代は四〇%台ということで、非常に、自殺未遂歴がある。また、比較的軽傷だったりもする。つまり、リストカットが繰り返し行われているのかなということも想像できるかなと思っております。
 そこで、こうした部分の分析と対策が予防のためにも大変重要だと思うんですけれども、自殺未遂者の相談などにも直接取り組んでこられた清水さんの見解を伺いたいと思います。
○清水参考人 今お示しいただいたデータから読み取るべきことの一つとして、若年世代の女性の自殺未遂歴のある方が非常に多いということは、亡くなる前に医療機関等につながっていた可能性が非常に高いということだと思うんです。
 では、医療機関が自殺未遂者に対してどういう支援を行っているのか、どういう治療を行っているのかというと、多くの場合は、身体的な傷を治療するだけで、大体、病院から帰してしまいます。そうすると、自殺未遂というのは、これは自殺行動を起こした本人からすれば、言ってみれば失敗に終わったわけですので、身体的な治療だけされて病院から出されると、今度は失敗しないと思って確実な方法をとる。結果、自殺で亡くなってしまうということが大いにあり得るわけです。
 ですから、身体的な治療のみならず、精神的な治療も同時に行っていく。そうした医療の中の精神と救急の連携を行いつつ、同時に、その人が自殺せざるを得なかった要因を取り除いていくという意味では、これは医療ではできませんので、地域でやっていかなければならない。ですから、医療と地域がしっかりと連携を果たして未遂者への支援を行っていくということが非常に重要だろうというふうに思っています。
 連携できているかどうかの試金石の一つは、私は、情報の共有ができているかどうかだと思います。かつて、警察の自殺の統計というのは、残念ながら、自殺対策に取り組む内閣府や厚労省には提供されていませんでした。ただ、自殺対策基本法ができた中で、そうしたデータが共有されるようになり、対策に生かされるようになってきた。今では、毎月、市区町村単位の自殺の統計が公表されるようになってきました。
 ただ、未遂者のデータというのは、これは消防庁が自損ということで持っているわけですけれども、残念ながら、今日においては、まだ自殺対策に生かされるような形では情報の共有がなされていないという現実がありますので、ぜひこれは、省庁の壁を越えて、しっかりと連携するということのあかしとして、情報を共有して、未遂者支援に役立てていただきたいというふうに強く思っています。
○高橋(千)委員 ありがとうございました。大変参考になりました。
 最初にWHOの話もしたわけですけれども、現実に、命を落とさずに済んだ方たち、そこを救うことを糸口として、予防に広げていくことができるのではないかということを非常に考えさせられました。ありがとうございました。
 そこで、次の話題にしたいと思うんです。
 東日本大震災と原発事故から既に五年が過ぎました。被災地では、今なお十七万四千人もが避難生活を送っておられます。死者・行方不明者は一万八千四百五十五人、震災関連死は三千四百七人です。そのうち、福島では、直接死よりも震災関連死が上回っているということも重ねて指摘をされてきたことであります。
 また、阪神・淡路大震災から既に二十年以上たった今も、やはり災害公営住宅などでの孤独死が大きな問題となっております。東日本大震災でも同じような道をたどるのではないか、非常に心配をしているわけですが、この孤独死の定義自体がまだ明確にされておりませんので、今、例えば、ひとり暮らしで仮設住宅で亡くなったという方であれば、昨年は既に五十三名もいらっしゃる、こういう実態もつかむべきだと思っております。
 そこで、震災被災者の自殺はどのようになっているのか、また、どのような原因なのか、伺いたいと思います。
○安田政府参考人 お答えいたします。
 平成二十三年六月から平成二十七年十二月までの間におきます東日本大震災に関連する自殺者数は、百六十二人と把握をしております。
 これらの自殺者の原因、動機別の内訳でございますが、原因、動機に関しましては複数掲上を可能としておりますため、合計は必ずしも自殺者数と一致はいたしませんが、健康問題を原因、動機とする方が七十四人、経済、生活問題が三十七人、家庭問題が三十二人、勤務問題が十六人、男女問題が三人、その他が二十人、不詳が四十三人となっております。
○高橋(千)委員 震災直後から私は発言しておりますけれども、せっかくあの大津波と原発事故から助かった命が、やはりそこからまた失われるようなことがあってはならないと思っております。
 そういう意味で、今、原因を一定の分類で御報告いただきましたけれども、やはりここも予防という観点から、もうこれ以上は犠牲者を出さないという観点から、できることを進めていきたい、このように思っております。
 その一つとして、医療の問題をきょうは伺いたいと思うんです。
 大震災の直後に、被災者の医療費を、国庫負担で減免制度をやってきました。現在、被災地の減免制度と実績はどのようになっていて、来年度以降はどうするのか、伺います。
○唐澤政府参考人 お答え申し上げます。
 まず、東日本大震災直後から、被災者の方に対しましては、国民健康保険等の窓口負担の減免を決めた市町村に対しまして、減免に要する費用の全額について、国が財政支援を行ってまいりました。これは、震災発生から一年間。
 そして、平成二十四年度以降でございますけれども、こちらでは、まず、東京電力福島第一原発事故に伴う避難指示区域等の被災者の方、こうした方につきましては、市町村が窓口負担の減免を行う場合、それに要する費用に対しては、原則、国による全額の財政支援を行ってきております。
 また、避難指示区域等以外の地域の被災者の方につきましては、国民健康保険等における窓口負担の免除を保険者の判断により実施することが可能でございます。こうした場合に、免除による財政負担が著しい場合には、減免額の十分の八以内の額を国が特別調整交付金として財政支援する措置を講じているところでございます。
 その金額でございますが、この窓口負担の免除に係る国の財政支援について、被災三県における平成二十六年度の実績、これは約八十億円という金額になっているところでございます。
 こうした措置につきましては、来年度も引き続き実施する予定としておりまして、厚生労働省といたしましては、今後とも、こうした仕組みを通じまして、被災地の支援をしてまいりたいと考えております。
○高橋(千)委員 来年度も、自治体が取り組んだ場合は、国保の減免制度の枠組みではありますけれども、国が八割支援をする、これは変わらないということをまず確認させていただきました。
 これはもう一押ししたいなというのが率直なところなんですね。
 残念ながら、自治体でもう既にやめるところが出てきております。資料の二を見ていただきたいと思います。
 宮城県保険医協会が実施した被災者に対するアンケートであります。回答数は二千五百十九件で、うち、免除の対象になっている方は五五%というところで、免除ありの人と免除なしの方を比較して答えています。そのうち、健康に何らかの不安があるという方は、免除ありは八九・八%、免除なしも八六・二%、いずれも高いです。これはもう想像できる話だと思うんですね。医療機関を現在受診していますかという問いに対して、免除ありの方は九一%、ほとんどの方が利用しています。免除なしは七八・八%と、少し差が出てまいります。
 そこで、次のページをめくっていただきたいんですけれども、受診していない方にその理由を聞いているんですね。免除ありの方は、支払いについての心配がないわけですので、治療の必要がないからというのが四七・三%で一番多いわけですよね。ですが、免除なしの方は、四六・九%が経済的に苦しいからと言っている。これが実態ではないかなと思っております。
 私は、少し大臣に聞いていただきたい。自由記入欄というのがあるんですけれども、そこに本当に切実な声が紹介されております。
 復興住宅に移住する時期に医療費の一部負担金免除がなくなることは生活にかなりの負担がかかることになります、もう少し継続をお願いしますと。つまり、家賃が発生して、それプラス医療費が発生するというのは本当にきついということ、これはかなりの方がおっしゃっているんですね。
 一方では、東日本大震災より医療費一部負担金免除していただき本当に助かりました、これからもと思いますが、一般の方に申しわけなく思っておりますので、仕方ないかなと思っております、ありがとうございました。こういう方もいる。仕方ないかなと、本当は続けてほしいんだけれども、おっしゃっている。
 年金だけの収入では到底現在の医療費は支払いができなくなります、低所得者は診療も受けられなくなります、医療費免除の継続をお願いいたします。
 収入が減って生活が大変になりましたので免除は本当にありがたいです、国民年金では生活していけないです。
 所得が少なく、免除になるので助かっています、働きたいが持病があり、何度も面接したが採用されず困っている、預金を崩している状態、先が不安、何とか国、子供たちに迷惑かけたくないが。こういう声がありました。
 もっともっと紹介したいところですけれども、特徴があるんですね。まず、免除に対して本当に感謝をしているということ、同時に、申しわけないと思っている。自分たちが免除を受けていることで一般の受けられない方たちに対して負担をかけているのではないか、そう思っているんですね。だけれども、家賃も発生するし、年金はますます少なくなるし、払えないのは明らかなんです。
 今でも狭い仮設にいて、本当に狭い仮設でつらい思いをしている、さらにこの医療費の免除の問題でも肩身の狭い思いをしている、この声にちゃんと応えていただきたいと思います。
 大臣に伺いますが、被災地、被災者にとって医療、介護の減免制度がまさに命綱であるということ、その認識がおありでしょうか。
○塩崎国務大臣 先生今御指摘のように、医療、介護の減免制度が、東日本大震災の被災地で、被災された方々の生活のまさに根幹をなしているという意味で重要な役割を担っていることは、よく私もわかっているつもりでございます。
 このため、先ほどからお答えも申し上げておりますけれども、医療保険それから介護保険において窓口負担や保険料を自治体が減免した場合には、この費用について、先ほど来申し上げているとおりの国の財政支援というものを行ってきているわけでありまして、自治体の負担が過度にならないように配慮をしているところでございます。
 こうした措置につきましては、引き続き来年度も予算計上を既にしているわけでございまして、引き続いて実施をしてまいります。
 厚生労働省としては、今後とも、こうした仕組みを通じて被災地の支援を継続してまいりたいというふうに思っております。
○高橋(千)委員 わかっているなら、もう少し頑張ってもらいたい。
 今紹介した方たちも、ずっとと言っているわけじゃない。未来永劫なんて言ってません。せめてやはりまだ仮設にいる間だけでも、あるいは、公営住宅に入って家賃がいきなり出て負担がふえる、それを軽減するだけでも、もう少し何とかならないかということをおっしゃっているんですよね。
 自治体によっては、今おっしゃったように、自治体がやるときには八割まで見ますよと言っているんだけれども、減免制度を来年でやめるというところも出てきています。続けている岩手県でも、大変だという率直な声も聞くわけです。残りの二割がきついんですね。県と市町村で一割ずつ見ているわけですけれども、岩手県はもちろん継続を決めました。宮城県は、三十五市町村中、免除の継続を決めたのは八市町、非常に少なくなっちゃった。やめたのは二十六市町です。
 しかし、実施している市町村も大変厳しい状況なんです。岩手県山田町では、町議会で、無所属の議員さんなんですけれども、国保の財政調整基金はわずか二百八十六万円しか残っていない、調整基金の取り崩しは、二十五年度に一億一千万円、二十六年度に二千百万円という指摘があって、もうない袖は振れないから打ち切りも視野にするべきではないか、こういう質問があって、それでも、町当局はこらえて、二十八年度も延長します、基金や一般会計からの繰り入れで対応すると答えているんですね。
 やはり、通常のスキームでやっても、対象者が多いからこういう事態になるんですよ。そこをやはり、追加支援も求められておりますけれども、もう一歩踏み込んでいただけないでしょうか、大臣。
○唐澤政府参考人 先生御指摘のとおり、被災地はなお厳しい状況にございます。
 私ども、先ほど申しました形で御支援をさせていただいているところでございますけれども、昨年来継続してまいりました国民健康保険制度の改革の中で自治体に対する支援を強化してまいりたいと考えておりますので、具体的にどういう方法でできるかということはございますけれども、財政力の弱い自治体につきましては、きちんと支援を強化できるように検討してまいりたいと考えております。
○高橋(千)委員 財政力の弱い自治体に関しては強化していきたいとおっしゃっておりますので、何か追加的な支援があるのかなということを期待したいと思います。
 そこで、国保法四十四条に、一部負担金の徴収猶予及び減免というものがございます。これが今回の仕組みのもとになっているわけですが、これは、別に被災地だけではなくて、オール・ジャパンで使える制度なわけです。
 私、ずっとこの問題を取り上げてきておりまして、平成二十二年九月十三日に、保険局長通知によって減免の基準が示されて、ここに、基準に沿った条例をつくった自治体に対しては国の特別調整交付金によって上乗せがされるというふうに仕組みがなりました。
 資料をつけておりますけれども、二十二年度は、要するに、これが始まる前は一万四千七百二十五件、六億二千万円の実績でありました。これが、この基準をつくったことによってどのようになったでしょうか。
○唐澤政府参考人 御指摘がございましたように、これは、震災前はなかなか、全ての市町村でなかったわけでございますが、この基準が示されて、条例をつくっていただいた保険者数でございますが、まず、平成二十二年度は千百五でございましたが、二十六年度には千四百十六に増加をしております。
 また、減免の実施件数でございますけれども、二十二年度が一万四千七百二十六件でございましたけれども、二十六年度には十三万二千百三十件に増加をしております。
 減免の総額でございますけれども、二十二年度が約六億二千万円、六・二億円という金額でございましたけれども、二十六年度には約百七億七千万円、百七・七億円という金額になっているところでございます。
○高橋(千)委員 六億の実績だったのが百七億まで広がったと。それだけ助けられた方がいるということですから、これは本当によかったと思います。
 同時に、私は、きちんとこの減免制度が動いていれば、やはり国保というのは保険料が高いし、一部負担も重いという声が本当にどこへ行ってもあるわけですね。ここは本当に大事だと思っているんです。なので、もうちょっとここの対象について、もうそろそろ見直してもいいんじゃないかと思うんです、五年以上たったわけですから。
 減免の対象は、今の基準は入院療養費に限るんですね。これは大変厳し過ぎないか。しかも、自治体に対しては、もちろん基準より広い範囲で条例をつくってもいいですよ、ただし、その分は一切交付金の対象とはなりませんと言っているんです。これも見直すつもりはないでしょうか。
○唐澤政府参考人 これは、先生御指摘いただきましたとおり、今、減免の対象は、入院を対象にしております。それは、私ども、やはり入院した場合に高額な医療費がかかるということを考えまして、入院というものを対象にしているところでございますけれども、最近、外来でも高額な場合もふえてきているのは事実でございますので、これはちょっと、私どもだけというよりも、自治体の、保険者の皆さんの御意見も聞きながら検討させていただきたいと考えております。
○高橋(千)委員 ぜひ御検討を前向きにお願いいたします。
 保険料も、当然、災害や倒産など、急激な所得の減少のときは減免の対象となります。このときに、やはり生活保護基準程度だったら保険料免除、こういうこともあっていいんじゃないかと思うんですが、自治体独自にはやっているところも当然ありますけれども、これについて、いかがでしょうか。
○唐澤政府参考人 保険料でございますが、先生が御指摘のとおりでございまして、保険料については、減額という措置は講じておるんですが、免除というものは、国の制度としては講じていないのが現在のところでございます。
 これは、国民皆保険ということで、皆さんから少しずつでも御負担をいただいて、保険に御参加をいただいて運営をさせていただくということでお願いをしているわけでございますけれども、保険料の免除も設けるべきではないかという御意見も自治体の方からもいただいておりますので、こうした点については、引き続き検討をさせていただきたいと考えております。
○高橋(千)委員 よろしくお願いいたします。
 大臣に、ぜひこの問題で伺いたいと思うんです。
 私は、制度としてなかなか特例がきかなくなった被災者に対しても、あるいは全国の大変負担が重いと思って困っている方に対しても、やはり一定のこういう減免制度があれば本当に助かるということをずっと言い続けてきたんです。
 それで、厚労省の一部負担金減免に対するQアンドAを見ますと、こういう問いがあります。収入が生活保護基準以下であり、かつ、預貯金が生活保護基準の三カ月分以下という世帯は、そもそも生活保護の対象となるのではという質問なんですね。
 答えは、いやいや、生活保護というのは、本人の申請意思とか、資産とか能力の活用、要するに全て活用しなきゃいけない、それから、扶養義務者がいるのではないかとか、そういうことを全部見て、他法他施策の活用などの要件があるということを解説して、「したがって、今回示した基準に該当する場合には、まずは一部負担金減免の手続きを進めることとし、その上で、必要に応じて、生活保護担当など福祉部局と連携するようにしていただきたい。」と言っているんですね。
 もう一つ、似たような問いがあるんです。
 減免の相談を受けたとき、まず生活保護の申請を援助して、却下されたら減免を行ったらいいんじゃないかというふうな問いに対して、これも同じ答えで、いやいや、「まずは一部負担金減免の手続きを」と答えているわけなんですね。
 これは、安易に生活保護に行くなと言っているように見えるんですけれども、やはり、さっき話したような事情のある方たち、減免制度がなくなれば保護以外に行く道がない人も出てくるわけなんですよね。生活保護受給開始の理由のトップは、収入の減少、貯蓄が減ったということがトップですよね。そして、その次がやはり医療なんです。我慢して保護を受けないで、急迫して緊急医療扶助を受ける、こういう方も大変多いです。
 そういうことを考えると、確かに生活保護受給者は年々伸びていますけれども、保護を受けずに頑張ろうとしている人たちに、減免制度がちゃんとあるよということで、さっき言ったように、まずは減免とQアンドAをつくっているんですから、そうやってちゃんと制度を確立して助けてやるということが、回り回って、コスト的にも大変効果的じゃないかと思うんですね。
 これを、大臣、思い切って進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○塩崎国務大臣 国民健康保険で健康を守るということを原則としながら、厳しい状況にある被災者の皆様方にどういうサポートが引き続いて必要かということでありますが、基本的には、今先生お読み上げもいただきましたが、国民健康保険を継続していく中で減免制度を御活用いただくということを、私どもとしても、言ってみれば、それがまず一歩、第一歩ということでお続けをいただき、また、先ほど来、支援については継続をしていくという考え方でございますので、そのような形で、できればやはり自立というものが大事でございますので、その点も踏まえた上でやっていきたいというふうに思います。
○高橋(千)委員 減免制度を御活用いただくとおっしゃいました。だからこそ、活用しやすいものにしてくださいと言っているんです。
 それで、自立と言ったって、結局、そこで減免に至らなければ、条件が外れてしまえば、最初に言ったように、今、大変厳しい条件ですから、あるいは入院しか使えないとか、そういうようになっていますから、やはり、そこを御活用いただくと言う以上は、活用できるように検討してほしいということを言っております。重ねてお願いいたします。
 この間、山田町を初め、被災地を回って聞かされたことの中に、ちょっと共通していることがあったんですね。それは、男性の方が大変深刻であるということ。大変失礼でございますけれども、多くの男性の皆さんに。
 実は、自殺も七対三で男性の方が圧倒的に多いわけです。もちろんこれは、働き手であって、倒産ですとかリストラですとか、いろいろなことを苦にしているということもあると思うんですけれども、ここで私が言いたいのは、それだけではなくて、やはり人との交流の問題なんですよ。
 例えば、女性はお茶飲み会をやりましょうとか、何か小物をつくるから集まりましょうとか、何かと行事に参加をして交流をするんですね。ところが、男性は一人ではまず出てこないということを言われたんです。それから、病院の先生もおっしゃっていました。診察の日がなければ、本当にあと何にも出てこないんですよ、とっても心配ですということをおっしゃっておりました。
 私は、本当にそうだと思うんですね。かつて、老人医療費の無料化で病院がサロン化していると批判が強まって、それからだんだん有料になってきた経過がありました。でも、私は、あの被災地の医療機関というのは、本当に気軽に通えることが、交流の機会をふやし、看護師さんにだったら思いのたけを述べたりするんですね、そういう心を開く機会でもあるんだなということにすごく気がついたんです。
 ですから、今回のことで結局病院にも行かなくなったら、これは本当に危ないなと思いますので、こうしたことも、大臣、ぜひ心にとめていただきたいと思う。
 このことを最後に、私、清水さんにもう一回伺いたいと思うんです。
 ここまで後半の質問を聞いていただきました。ぜひ感想的な意見を伺いたいと思うんですけれども、やはり今の、なかなか表に出てこない方たちの問題、今お話ししました。それから、自殺のトップはやはり依然として健康問題である。不治の病を苦にしてという側面もありますけれども、やはり低所得者対策ができていなくて、高額の医療費が払えないとか、そうしたことも大きく背景としてはあると思うんですね。
 これらを含めて、厚労省に期待する点があれば伺いたいと思います。
○清水参考人 自殺は、人の身体、生命の問題そのものですから、最後は、最終的には、多くの人というか、誰もが健康問題を抱えるようになるわけです。ただ、だからといって、健康問題のみを対象とした支援を強化すればいい、メンタルヘルスを強化すればいいということではなくて、その背景に潜んでいるさまざまな問題に対してやはり当然手を打っていく必要があるんだろうと思います。
 厚労省に移ったことによって、自殺対策、これまで地域づくりとして進めてきたものが、うつ対策に後退したということが言われることのないように、私はしっかりやっていただきたいというふうに思っています。
 健康問題が一番多いのは、これは、要因の数を数えれば、確かにそうなんです。ただ、要因をそういうふうにばらばらにカウントができても、でも、人というのはやはり一つの個体として、ばらばらにできませんから、人は複数の問題を抱え込んで自殺のリスクが高まっていく。ですから、関係者がしっかりと連携をして、包括的な生きる支援として一人の人を支援していく、生きる支援を強化していく、そうしたことを厚労省全体としてぜひやっていただきたい。
 点の取り組みではなくて、プロセスの取り組みとして、線の取り組みとしてやっていきたいというふうに思っております。
○高橋(千)委員 大変参考になるまとめをしていただきましたので、前回ちょっと時間が延びたので、きょうはここで終わりたいと思っております。
 清水さんがおっしゃってくださった、うつ対策に後退したと言われないようにというのは、私はすごくこれは自分自身も言いたいことなんです。大変、原因としてあるのは確かなんだけれども、そこに矮小化しちゃったら、やはり違うんだと思うんですね。ですから、本当に、丸ごと、包括的な支援ということを厚労省に期待したいとおっしゃっておりますので、ぜひ大臣にも期待をいたしまして、引き続いて、質問はまた次の機会にしたいと思っております。
 きょうは本当に勉強になりました。ありがとうございました。
 終わります。

 

――資料――

【資料1】平成26年における自殺未遂歴の有無別自殺者数の割合

【資料2】宮城県保険医協会「東日本大震災被災者の医療費一部免除の継続・拡充に関するアンケート」

【資料3】一部負担金減免実績

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